昨日の入学式は時間がラッシュアワーからズレていたから、今日が初めての満員電車通学だ。
駅には既に沢山の人が電車の到着を待って並んでいる。
私も列の後ろに並んで電車を待つ。
やがて駅に入って来た電車はもう誰も乗れないくらい満員だった。
どう考えても乗れないだろうと思ったけど、並んでいた人達はお構いないしに電車に乗り込んでいく。
私もその人達に続いていって、さらに後ろの人達がどんどん押してきてくれたおかげで、何とか電車に乗る事ができた。
電車の中は押し潰されそうなくらいギュウギュウ詰めで全く身動きが取れない。
やがてお尻を手の平で押されているのに気が付いた。
もっと前へ行けという事だろうか。
しかし非力な私ではこんな密集状態の中で前へ進むなんて出来るわけがない。
仕方なく身動きできないでいると、今度はお尻のお肉を掴むくらいさらに強い力でグイグイと押してきた。
もしかしたら後ろの人は怒っているのかもしれない。
私は心の中で、(ゴメンナサイ、でも無理なんです)と謝りながら、満員電車の圧力に耐えていた。
「それ絶対痴漢だって」
お昼休みにお弁当を食べながら、朝の通学電車での事を聞いた島津さんは力強くそう言った。
「そうかなぁ。あれだけ満員だったら手くらい当たっても不思議じゃないと思うんだけど」
「だって手の平で触られたんでしょ?」
「触られたっていうか、押されたんだけど」
「なおさら質が悪いじゃない。きっと祥子ちゃんのお尻の感触を楽しんでたんだよ」
「や、やめてよ」
島津さんは人見知りしない性格らしく、知り合ったばかりなのに遠慮なく物を言ってくる。
それが内向的な私には凄く助かる。
「それ、私も痴漢だと思うよ」
福沢さんが意見を述べた。
「私、同じ中学で仲のよかった先輩がこの高校にいるんだけど、その先輩に言われてるもん。この学校の子は電車通学してると2週間以内に必ず痴漢に合うから気をつけてなさいって」
「か、必ず合うの?」
「うん、うちの制服、マニアに人気なんだって」
「マニアってなによ?制服マニア?」と島津さんが尋ねた。
「ううん、痴漢マニア」
「なによ、それ」
「ねぇ、祥子ちゃん、ちょっと立ってくれない」
福沢さんが私にそう促したので、私は食べかけのお弁当をそのままにして立ち上がった。
すると福沢さんは私に近付き、私のお尻を撫で始めた。
「ち、ちょっと、福沢さん?」
「あ、祥子ちゃん、スカートの下にスパッツ穿いてる」
「へぇ、祥子ちゃんそうなんだ。でも何でわかるの?」
「ほら、うちのスカートってプリーツなくって1枚の布じゃん。だからスカートの上から触っただけでどんなパンツ穿いてるか判っちゃうんだって」
それを聞いた島津さんは立ち上がって自分のお尻を触り始めた。
「本当だ。パンツのライン丸わかり」
島津さん、いくら女の子しかいないからってそんな事大声で・・・。
「それにセーラー服とかと違ってジャンパースカートだから上と下繋がってるでしょ?」
「うん」
「だからスカートめくったらそのまま上まで手を入れられるんだって」
「えーーーっ」
「いや、普通そこまでされたら抵抗するでしょ」
「それがこの学校、結構堕ちる子がいるらしいのよ」
「堕ちる子って?」
今度は私が尋ねた。
「中学校の時、男の子と何も無かったような子がうちみたいな女子高来るとさ、気持ちいい事とか何も知らないまま過ごすわけじゃん。そんな子が痴漢に合うと虜になっちゃうっていうか、夢中になってされるがままになっちゃう子がいるんだって」
「えー、そんなのありえないでしょ」
島津さんはケラケラと笑っている。
きっと島津さんも福沢さんも、中学校時代ちゃんと男の子と何かあったのだろう。
私は中学校の時、男の子とは何もないまま女子高に来ちゃった子だけど、いくらなんでも痴漢に身を委ねるような真似はしないだろう。
「とにかく祥子ちゃん、お互いに痴漢には気をつけようね」
「えっ、私は気をつけなくていいの?」
「島津さんは自転車通学じゃない」
「あは、そうでした」
私達3人は笑いあって残りのお弁当を平らげた。
翌朝、私はスパッツを穿かずに学校へ向かった。
スカートの下にパンツしか穿かずに学校へ行くのは中学校時代には1回もなかったはずだ。
だが見かけも中身もお子様な私は、高校生になったらもう少し大人っぽく振る舞おうと思っていた。
電車の中で手が当たった見ず知らずの人に偶然とはいえ、スカートの中を知られてしまうのは恥ずしくて仕方なかったから、せめてお子様な部分だけは知られないようにしようと思った。
昨日と同じように押し込まれるように電車に乗った。
そして昨日と同じようにお尻にはピッタリと手が当たっていた。
そしてその感触はスパッツを穿いていなかった分だけ昨日より生々しかった。
途中何度かお尻を握るように力を込められた。
島津さん達は痴漢だと言ったけど私には確証が持てなかった。
こんなに満員の電車では偶然手が当たってしまう事もあるんじゃないのだろうか。
そんな風に偶然かそうでないのか判断が付きかねている時だった。
お尻の手が少しズレてパンツの下のラインをなぞり始めた。
いくらなんでもこれはわざとなんじゃないんだろうか。
さらに今度はパンツの上のラインをなぞり始めた。
さすがにここまでされると恥ずかしくなってきた。
わざとにしろそうでないにしろ、この手の持ち主に私がどんなパンツを穿いてるか知られてしまった。
今日はどんなパンツ穿いてたっけ?
ああ、そうだ、お母さんの買ってきてくれたおっきなお子様パンツだ。
思い出すと余計に恥ずかしくなる。
そういえばお姉ちゃんは中学校の時から自分で買ってきた大人パンツ穿いてたな。
それに比べて高校生にもなっていまだにお子様パンツ穿いてる私って・・・。
お尻にある手はもう揉むような動きになっている。
たぶん痴漢なんだろうなと思った矢先だった。
スカートが手繰られた気がした。
え?と思った瞬間、もう一度スカートを手繰られた。
(間違いない。スカート捲られてる!キャー)
心の中で悲鳴をあげるのもつかの間、手はスカートの中へ侵入してきた。
パンツの上から私のお尻を揉みくちゃにする手の感触は、スカート越しよりはるかに生々しく、私はスパッツを脱いできた事を激しく後悔した。
痴漢の指はパンツの下のラインをなぞり始めた。
パンツからはみ出した指先の半分がお尻に生で触れて気持ち悪い。
だがそれだけでは済まず、指がパンツの中に入ってきてさらに内股へと向かっていった。
私は足をギュッと閉じ、初めて抵抗らしい抵抗をした。
幸いそれ以上指は内側へ侵入して来なかったが、その代わり、一旦パンツから指が引き抜かれると、今度はパンツの上の方から手の平全体が入ってきた。
スカートの上から揉まれ、パンツの上から揉まれ、遂に生のお尻を揉まれてしまった。
でもどうしていいかわからないし、私に「やめて下さい」なんて言う勇気があるわけがない。
それになにより怖かった。
私は我慢を続け、駅に着く直前までお尻を揉まれ続けた。