友人自体は痴漢に遭ったことが無いのだが、痴漢が「この人痴漢です!」と言われて捕まえられるところは目にした事があるらしい。
そこでふと、実際にどのくらい痴漢が多いのか気になり始めた俺は、ある実験をしてみる事にした。
中性的な顔立ちだということを生かし、女装してその路線に乗る事にしてみた。
実際にした格好は、伸ばした地毛と、女性が最近着ているようなハーフパンツ、普通のTシャツとその上に軽く羽織る物、という構成だった。
ちなみに乳は肉まん×2にしてみた。
そして決行当日、なるべく女らしい行動を心がけつつ、電車がそこそこ込む時間帯を狙いながら俺は電車に乗り込んだ。
しかし、なかなか獲物はかからない。
結局その日は終電まで粘ったものの獲物は現れなかった。
翌日再トライをかけてみた。
するとどうだろう、今度は昨日までとは何か違う雰囲気を感じる。
異様な雰囲気の原因を探ろうと周りをチラ見してみると、何となく怪しい男を発見した。
この男、見た目は普通のサラリーマン風なのだが、何となく常人でない匂いを感じた。
むしろこれは俺と同等の変態の匂いだと俺は感じた。
そして、時は来た。
触ってきた。
艶かしく触ってきた、ケツを。
俺のケツを。男のケツを。
先月イボ痔を治したばかりの俺のケツを触られた瞬間、こんなに艶かしく触ってくるとは思わなかった俺は、突如ヤマジュンやTDNネタを思い出してしまい、本気で「うわぁっぱぁば!」という感じで叫んだ。
すると痴漢は、突如だみ声で奇声をあげた目の前の人間にかなり驚愕したらしく、「おういっ!?」と言って体ごと素早く手を引いた。
しかし俺の方がパニックに陥っていて、「俺、男なのにケツ触られた!すっごくエロく触られた!俺男なのに!俺男なのに!」とワーワー叫んでしまった。
しかも相当パニクってた俺は更に「胸だって肉まんなのに!木村屋の冷凍肉まんなのに!」と言って肉まんを胸から取り出す始末。
車内の人全員が呆然としつつ、俺と男を見ていた。
俺と男も呆然としていた。
この間、ほんの数十秒ほどだったかも知れないが、この時はこれが数時間位に感じ取れた。
みんな呆然としてると電車が止まった。
そこで我に返った俺は一目散に電車から飛び出し、その勢いで駅から脇目も振らずに飛び出した。
そしたら走ってきたバイクに轢かれて気絶した。
気づいたときは病院のベッドの上だった。
その後、俺のあだ名は「フルスロットル」になった。