そこにはもうS子がいて、「前から好きだった、付き合って欲しい」と言われました。
もう天にも昇る気持ちですごく嬉しくなってしまい、「僕でよければよろしくお願いします」と返事をしました。
(カミカミでした。)
その後、すごくテンパってしまい、とりあえず一緒に帰ろうかとS子の手を繋いだら「ぎゃっ」とか変な悲鳴あげて振りほどかれて突き飛ばされて、「もうギブ!」とかって、S子が泣き出しました。
そしたら、脇の部室のベランダから同じクラスの女子4人が出てきて、「よくやったよ、Sちゃん」とか、なんかポンポン肩抱きながら励ましだしました。
ポカーンとしてたら、女子たちがこっちをキッと睨んで、「あんたSちゃんに何してんだ、泣いてるじゃん」とか怒鳴られました。
よくある話だけど、結局自分への告白は、女子たちの罰ゲームだったみたいで・・・。
(何の罰かは忘れました。)
「無理やり手を繋ぐなんて痴漢だ」
「キモ顔の癖に本気にするな」
「とりあえずSちゃん泣かしたから謝れ!痴漢野郎」
・・・とか、色々罵声を浴びせられました。
S子は泣きながら「キモいんだよ!」と手をハンカチでゴシゴシしながら怒ってるし・・・。
とりあえず何も言い返せず、S子に向かって「本当にごめんなさい」と謝ったんですが、「土下座しろ」とか言われる始末・・・。
失恋もちょっとだけ混じってショックでした。
そしたら、そこに同じクラスの男子10人くらいがやってきました。
S子や女子4人組は、「セクハラされた」と嘘の事情を話し出しました。
・・・が、男子の一人(Tとします)が「嘘つくな、ずっとそこで見てたんだぞ」と言って、TはS子を引っ張ってどっかへ連れて行きました。
S子とTは付き合っていたようで、S子の振る舞いにTはそのとき大激怒でした。
残りの9人は女子4人を取り囲んで、「とりあえず◯◯に謝れ!」と凄んで、女子4人を土下座させて自分に謝罪させました。
その後、反省の証と称して、女子4人のほっぺたを両側からギュッと寄せて変顔の写メを撮ったりしてました。
普段はあまりしゃべらない男子達ですが、嘘の告白を真に受けて、それでも反論しないでただ謝る自分の姿をみて何とかしてやらなければと思ったみたいで、加勢に来てくれたようでした。
「確かにブサイクかもしんないけど、もっと堂々としてれば良いことあるし、女なんかクソだぜ」とか励ましてくれました。
すごく嬉しかったのを覚えています。
武勇伝とは違うかもしれませんが、そのときの男子達の団結というか、自分をかばってくれた彼らが自分にとっての武勇伝だと思っています。
ちなみにTは、S子に幻滅したそうで、あの後すぐ振ったとのことでした。
S子はショックなのかなんなのかは不明ですが、その後2学期の間ずっと学校を休んでいました。