女性たちの1人はちょっと年配(30後半?)の池上季美子タイプ。
あとの2人は同年代の中沢裕子とまちゃまちゃだった。

酒も進んで多少場が乱れた頃、話題が少し下ネタになった。
チーママ(池上)が突然、俺と2年に向かって、「先輩らはもう卒業やけど、あんたたちはもう卒業式は済んでるの?」と聞いた。

PCMAX
俺と2年が顔を見合わせて何のことか分からずにきょとんとしていると、OBがニヤニヤしながら・・・。

OB「お前ら、まだやったらチーママにお願いしたらどうや?」

池上「うちやったらOKやよ。せやけど単位あげるかどうかは実技次第や」

俺たち以外はドッとウケた。
俺たちもやっと意味がわかって、照れ笑いしながら俯いてしまった。

池上「いややわぁ、まじになってるわ、この子ら」

またみんながドッと笑った。
俺は真っ赤になってその場に居た堪れなくなり、トイレに立った。
出てくると、まちゃまちゃがお絞りを持って立っていた。

「あ、すみません」

「あんまり気にしなな。こういうとこはこんなもんやで、聞き流しとったらええねん」

俺は外見とは違って気遣ってくれるまちゃまちゃの一言でなんとなく気分が落ち着いて、そこからはなんとなくその娘とばかり話すようになった。
デュエットも言われるままに一曲披露した。
そうなると、また周りがからかう。

中沢「あれ~、まちゃ、なんかええ感じやんか、食べたらあかで」

池上「そんなん言うたりな、まちゃが気に入ったんやったら、お持ち帰りしてもええよ」

俺はさっきの忠告にも関わらず、また顔を真っ赤にして冷や汗をかいていた。
そうこうしているうちに先輩が突っ込んできた。

A「まちゃさんあかんで、こいつには彼女がおるねんから」

B「そうやで、しかもピチピチ女子高生や」

まちゃ「え~、ほんま?まじでお持ち帰りしたかったのに~」

俺はムカムカした。
別にまちゃにモテたいとかはどうでも良かったが、周りが勝手に榎本を彼女に決め付けるのが我慢できなかった。
(まぁ客観的にはその通りだが、俺の気持ちの中では・・・)
俺は普段は先輩に言い返すようなタイプではなかったが、そのときは相当飲まされて気も大きくなっていたのか珍しく反論した。

俺「先輩!やめてくださいよ。あいつ、そんなんとちゃいますて」

A「またゆうてるわコイツ、ええかげんに認めたったらどうやねん」

B「せや、聞いたって、こいつ彼女に冷たいねんで・・・」

先輩達が今までの俺の榎本に対する仕打ちを有ること無いこと大袈裟に言うので、俺もムキになっていかに榎本の存在が迷惑で俺が悩んでいるか、榎本の強引さに辟易しているか、彼女として認めていないか、愛情がないか(全然無かったわけではないが・・・)を、こちらも誇張して思いっきり熱弁した。
するとやはり女性達には受けが悪かったようで反感を買った。

池上「若いね僕、もっといっぱい経験積んだら女の気持ちもわかるようになるわ」

中沢「もうちょっと彼女の気持ちも考えたり。その娘、よっぽど好きやねんで」

まちゃ「それやったらハッキリ言うたらなあかんやん。ズルズルは卑怯やで」

俺は批難されて頭に血が上ったが黙った、やっぱりヘタレだ。
その代わりむしゃくしゃして半分やけになって、その後、急ピッチでグラスを空け始めた。
2年もすでにダウンしていたが、俺もすぐに意識が朦朧としてきた。
結局、看板までその店に居たようで、俺もその時点で相当酔っ払っていて、ハッキリと記憶には無いが、くだを巻いて周りに迷惑をかけていたようだ。
OBはチーママとどこかに行き、Aは2年を、Bは俺を担いで帰ることになったが、2年は完全に意識を失っていたので、Aは1人では無理だと言い出し、結局AとBで担いで帰ることになった。
俺はまだしも立てていたので、最初は「1人で帰れる」と言い張っていたが、まちゃがタクシーで同じ方向に帰ると言うので、ママの指示で嫌がる俺を無理やりにタクシーに押し込んだ。
(以上は後で聞いた話)

車に揺られてさらに酔いが回った俺はマンションに着いても1人で降りられず、タクの運ちゃんとまちゃに支えられて部屋のドアまで連れてこられた。
まちゃはそこで運ちゃんに車で待つように言って俺の部屋に上がり込み、ベッドまで連れて行ってくれた。
俺はまちゃに支えられながら、香水の匂いと、榎本とは違う柔らかい体の感触にモヤモヤした気持ちが膨らんでくるのがわかった。
ベッドに腰を下ろされて、まちゃが俺の腕から首を抜こうとしたとき、俺は急に腕に力を込めてまちゃを引き倒し、いきなり覆い被さった。

まちゃ「あかんて・・・」

強い拒絶ではない。
俺は無言で服の上から胸を揉み、キスをした。
まちゃの舌はやはり榎本とは違い経験豊富な絶妙な動きをした。
俺の股間は見る見る膨張していった。
俺はもどかしくパールピンクのスーツについている金色のボタンは外し、ワインレッドのブラを上にずらすと薄茶色の乳首を口に含んだ。

「うふふ、あんた、見かけとちごて悪い人やな、彼女が怒るよ?」

「彼女って言うな!」

俺は乱暴にまちゃの股間に手を突っ込んだ。
ソコはなんかゴワゴワした硬い布地だった。
ガードルである。
以前の彼女も榎本もそんなものは身に着けていなかったので俺は戸惑った。
ストッキングも穿いていたので指を差し込む隙間も無く、俺はしばらくは硬い生地に指を押し付けるように力を入れた。

「痛いって」

「あ、ごめん、脱がしてもええ?」

「・・・」

まちゃは急に起き上がった。

「どうした??」

「ハイ、おしまい、続きは彼女と別れてからにしぃな」

まちゃはそう言うと、呆然としている俺の前でさっさと身繕いをして、「まだまだ修行が足らんね」と捨て台詞を吐いて出て行ってしまった。
自己嫌悪に押しつぶされそうな自分がぽつんと残された。

次の日の夕方、2日酔いで講義をサボってベッドに寝転んでいるとチャイムが鳴った。
居留守を使おうかと思ったが、しつこく鳴らすので覗いてみると榎本が立っていた。
俺はビックリした。
榎本はいつもはチャイムを鳴らさずに、いきなりドアを開ける。
しかも、どうやら泣いているようだ。
俺は慌ててドアを開けた。

「どうしたん?」

いきなり平手が飛んできた。
俺はよろめいた。

「嫌やったら、嫌て言いな!!同情で付き合ってもらいたないわ!!!」

「な、なんやのん」

俺は思いっきり狼狽した。

「姉ちゃんの店に行ったんやろ?本音聞かしてもうたわ、ほんでまちゃさんと何したん?」

心臓が万力で潰されたように感じた。
昨日の店は榎本の姉さんの店だったらしい、中沢がそうだった。
話題から俺が妹の彼氏だと途中から気づいていたそうだ。
そしてまちゃにお持ち帰りされたことも・・・。
帰ってきた姉さんが榎本に諦めるように説得したそうだ。

「もうけぇへんからな!!ほなサ・イ・ナ・ラ」

榎本はマンション中に聞こえるように怒鳴ってから走り去った。

榎本は本当に来なくなった。
俺は永久に言い訳が出来なくなった。
結果的に俺は目的を達成したわけだが、ものすごい虚脱感と淋しさを感じた。

やっとのことで卒業証書を手に入れ、四月からは地元の役所勤めが始まる。
思い出の多い4年間を過ごしたこの部屋も来週中には引き払う。
なんとかそれまでにと思って書き切ったが、少し後悔してるのが正直なところだ。
途中からエッチなところはほとんど無かったが、最後まで付き合っていただいた方には謝意を表したい。
サンクス!