容姿は人並みですが、笑顔が可愛らしく、また性格が明るくて周囲への気配りにも長けているので、婚前はそれなりに男性にモテました。
性に関しては至ってノーマルですが、決して奥手な方ではなく、結婚当初は週に2~3回励んだものです。
ただ、最近は多くのご夫婦と同様にマンネリ気味で、夜の生活もかなり減っていました。
自分の寝取られ願望に気付いたのは、ある洋画を見たのがきっかけでした。
決して仲の良くない夫婦が旅行中に犯罪者に拘束され、奥さんが縛られた夫の目の前で凌辱されるシーンがあるのですが、野性的な男に肉体を貪られるうち、普段から快く思っていない夫への当てつけからか、次第に快楽に身を委ね、遂には男と一緒に果ててしまうといった強烈な内容でした。
登場する女優を絢子に置き換えて妄想すると、自分でも驚くくらい興奮したのを今でも鮮明に覚えています。
ただ現実にそのような性癖や願望を妻に打ち明けられるわけもなく、その手のビデオやサイトを見て憂さ晴らしをする生活を送っていました。
ある晩、妻が就寝後、いつものように寝取られ系の掲示板を眺めていると、そこで興味を引く書き込みに出会いました。
それはアダルトビデオ製作会社のPRで、個人的に楽しむためのプライベートビデオ製作の売り込みでした。
その日はお酒が入っていたこともあり幾分か気が大きくなっていたこと、また長年の願望が鬱積していたこともあって、半ば勢いで応募しました。
当然、妻の合意はありませんので、話が進む可能性は限りなくゼロに近いこともよく認識した上でのことでした。
(どうせメールアドレスの収集が目的だ。返信なんて来ないさ・・・)
そう高を括っていましたが、それから二日後、なんとその会社から返信が届きました。
私は胸の高鳴りを禁じ得ず、急いでメールを開けました。
冒頭は応募に対するお礼に始まり、会社概要や料金案内が書かれていました。
続いて早速具体的なプランが提案されていました。
彼らは、『相手に内緒ということであれば、まずは普通のマッサージからスタートし、反応を見ながら次の展開を決定する』という方法を推奨し、男優の選定方針、場所や時間の設定、更には過去の失敗事例までも紹介し、俄然私の想像力を掻き立て、最後は『とにかくチャレンジしなければ何も進まない』と殺し文句で括っていました。
私は携帯を手に取り、妻に「煙草を買いに行く」と告げて家を出ると、近くの公園で電話をかけました。
翌日の会社帰り、雑居ビルの中にある彼らのオフィスに寄ると、以後の展開は一気に進みました。
マッサージを施術する男性には、いかにも妻が好みそうなタイプを選びました。
風間さんという男性で年齢は38歳、色黒でガッチリとした野性味の溢れる二枚目です。
担当者の評判も良く、特に普段の物腰の低さとセックスの激しさとのギャップが彼の一番の魅力だとのことでした。
後日、都内の居酒屋で風間さんと直接二人で打ち合わせをすることになりました。
待ち合わせ場所に着くと、独特のオーラを携え、豪快にジョッキを仰ぐガッチリとした男性の後ろ姿が目に入りました。
私は他の客を見渡すまでもなく、すぐにそれが風間さんだと分かりました。
「風間さんですか?」
「はじめまして、風間です。このたびは僕を選んでいただき光栄です。さあ、おかけください」
私が着席すると、風間さんは店員を呼び止め、ビールを注文します。
程なくして店員がビールを運んで来ると、小さく乾杯して二人で飲み始めました。
緊張がほぐれるまでは世間話でもと考えていると、風間さんが先に口を開きました。
「では、まず奥さんの写真を拝見しても良いですか?」
いきなり本題に入り少し戸惑いましたが、私は持参した妻の写真を取り出しました。
「そんな美人ではないですが、私には勿体ないくらいの妻です」
少し気恥ずかしさを感じながらも手渡すと、風間さんは写真を眺めながら頷きました。
「うん。可愛らしいですね。正直、僕のタイプです。必ず旦那さんの願いを果たしてみせますよ」
リップサービスと分かっていても、妻を褒められて悪い気がするわけもなく、私は残っていたビールを一気に飲み干しました。
私はタバコを咥えて火をつけると、逸る気持ちをなだめるようにゆっくり煙を吐きました。
「それで、具体的なプランをすり合わせたいのですが・・・」
「奥さんには秘密と聞いてます。大事なのは焦らないこと。まずは旦那さんがお客さんという設定でスタートしましょう」
「場所はどうしましょう?」
「ご自宅です。他の場所では理由づけがどうしても不自然になってしまいます。不信感を抱かせないことが最優先です」
「わかりました。風間さんの予定は?いつが良いですか?」
「善は急げです。明日にしましょう。平日は旦那さんも残業があるでしょうし」
「明日ですか?妻にはまだ何も話してませんし・・・」
「今日帰って話してください。明日の夕方に伺います。それとお願いがあります。夕食を一緒に取れる流れにしてもらいたいのです」
「なかなかハードルが高いですね。それこそ妻も不自然に思うのではないですか?」
風間さんは、ビールを片手に笑いながら答えました。
「ハハハ・・・旦那さん。もともと富士山よりも高いハードルですよ。それと・・・奥さんへの施術に辿り着けて初めてスタートラインに立てると思ってください。焦らないのはそれからの話です。それまではスピード感をもって物事を進めましょう。無駄に費用がかさむだけですよ」
風間さんのもっともな指摘に、私は頷かざるを得ませんでした。
千鳥足で帰宅すると、妻がパジャマ姿で出迎えてくれました。
「おかえりなさい。あら、飲んできたの?」
「ああ、課長に誘われてね。ほとんど部長の愚痴で終わったよ」
私はワイシャツを脱ぎながら横目で妻のお尻を眺めました。
その柔らかい膨らみを風間さんに鷲掴みにされる姿を想像し、鼓動が早くなります。
「明日なんだけどさ・・・」
「うん?何?お仕事?」
「いや、最近残業が多いせいか、肩こりが酷くてね。同期の榊原がいい先生を紹介してくれたんだ。突然の話で悪いけど、17時に家に来ることになった」
一瞬動きを止めた妻の反応が気になります。
(やはり唐突すぎるか・・・)
しかし、そんな心配をよそに、妻は笑顔で振り返りました。
「良かったね!最近遅かったし、疲れが溜まってるんだね。上手な人だったら私もお願いしていい?最近体がだるい気がして」
予想外の返事に思わず声が裏返ります。
「もちろん!すごく巧いらしいから絢子も試してみなよ」
「うんっ!楽しみ!」
深夜、風間さんに帰宅後の妻とのやりとりを報告すると、次のような返信がありました。
――――――――――――
メールありがとうございます。
思ったより警戒心がない奥さんで良かったです。
明日はこの調子で奥さんに施術するところまで持ち込みたいですね。
展開も早くなりそうです。
頑張ります。
――――――――――――
当日、妻は朝から家の掃除をし、お昼前には夕飯にリクエストしたカレーも出来ていました。
一通りの用事を済ませ、しばらく休憩すると、約束の1時間前には洋服に着替え、化粧を直し始めました。
私はそんな健気な妻を眺めながらわざとらしく言いました。
「聞いていないけど、たぶん、先生はお年寄りだよ。そんなにお洒落しなくても大丈夫さ」
「そうだろうね。イメージ的には白い髭を生やしたお爺ちゃんって感じかな?でも、相手が何歳でも綺麗にしておかないとね」
そう言って微笑む姿が、いつにも増して愛しく思えました。
そして、ついに時計の針が17時を指します。
直後にチャイムが鳴り、二人で玄関に向かいます。
扉を開けると、そこには爽やかな笑みを浮かべた風間さんが立っていました。
「こんばんは。風間と申します。本日はお呼びいただきありがとうございます」
「お待ちしておりました。高橋と申します。こちらこそ、わざわざお越しいただきありがとうございます。こちらは妻の絢子です」
妻は、あらかじめ抱いていた想像と異なり、若くてハンサムな男性の登場に驚いているようで、髪を触りながら恥ずかしそうに小さく会釈しました。
「さあ、お上がりください」
俯いたまま声を発しない妻に代わり、私は風間さんを部屋に通しました。
妻はそのまま台所に向かい、お茶の準備に取り掛かりました。
その後、三人でお茶を飲みながら軽く雑談を始めます。
風間さんのジョークを交えた巧みな話術に、最初は緊張気味だった妻も次第にリラックスしてきたようです。
15分ほど会話を楽しんだ後、風間さんが立ち上がりました。
「では、ご主人。早速マッサージを始めましょうか。場所はどうしましょうか?」
「ええ、和室に布団を敷いてますので、そちらでお願いします」
私は風間さんを和室に案内し襖を閉めました。
そして、布団の上にうつ伏せになると、風間さんが肩を揉み始めました。
半分芝居とは言え、隣室には妻が居るため、時折それらしく会話をしながら30分が経過しました。
いい頃合いかなと考えていると、風間さんが無言でポンッ、ポンッと肩を叩き、妻の居るリビングを指差して頷きました。
何を言いたいのか理解した私は、一人で妻のもとへ戻ります。
リビングでは、ソファーに座って読書していた妻が雑誌を置き、私の様子を窺いました。
「どう?肩こりは治った?」
「やっぱりプロだね。全身が軽くなったよ。風間さんに絢子のこともお願いしておいたよ」
「えっ?本当に?どうしよ・・・」
妻のやや困惑とも受けとれる表情を見て、私は敢えて清々と返しました。
「昨日、してもらいたいって言ってたから。問題でも?」
「いや・・・特に問題は・・・」
一瞬、何か考え込む様子を見せた妻でしたが、すぐに明るい表情を浮かべて立ちました。
「じゃあ、行ってくる!」
そう言うと髪を直しながら、風間さんが待つ和室に向かいました。
妻への(普通の)マッサージには風間さんも気合いが入ったようで、妻も大変満足した様子で戻ってきました。
待っている間、あり得ないと分かってても色々妄想しましたが、時々聞こえてくる妻の笑い声がすぐに現実に連れ戻しました。
その後の出来レースですが、帰ろうとする風間さんにカレーを勧め、三人で晩御飯を食べました。
そして最後に、「駅まで送る」との名目で、玄関で妻が見送る中、風間さんと二人で家を出ました。
「妻の反応はどうでしたか?」
「今日は普通のマッサージです。間違っても変な所に触れないよう細心の注意を払いました。でも、奥さんとの会話は弾みましたし、警戒心も低いようですので、最高の滑り出しでしょう」
「それは良かった。今後はどのように?」
「今日のようなプロセスを隔週で2~3回繰り返しましょう。信頼と親近感を更に高めて、その後の展開を優位に進めます。ところで、奥さん・・・写真で見るよりも断然可愛らしいですね」
「いえいえ。でも、風間さんのモチベーションが上がってくれれば、大変嬉しいのですが」
「それに、なんと言うか、男好きのする体ですね。マッサージ中、無性にムラムラしました。正直、抱きたくなりました」
「本当ですか!それなら、早く私の願いを達成してください!」
「任せて下さい。一義的には旦那さんのためですが、僕、セックス狂なんで。自分のためにも全身全霊をかけて成功させます!」
それから1ヶ月、この会話にあるプランを無事にクリアすることができました。
そしてその間、妻は風間さんへの好感度を劇的に深め、私抜きでも気軽に会話を楽しめる友人のような関係にまで到達していました。
いよいよ、次のステップを試みる時がやって来ました。
その前日、風間さんと電話で話し合いをしました。
「風間さん、明日で5回目です。そろそろ進展を・・・」
「そうですね、少し変化を加えましょう。それに際して1点お願いがあります。僕が到着する1時間前に急に出社しなければならなくなったことにして、奥さんと僕を二人きりにして下さい。ちなみに今まで会社に泊まったことはありますか?」
「繁忙期はしょっちゅうです」
「それは良かった。明日、奥さんへのマッサージを19時を目処に始めます。その直前に『泊まりこみになる』と電話してください」
「わかりました。やっと動き出しますね。興奮してきました!」
「僕もですよ。ただ、あまり過度の期待はしないでください。奥さんの反応如何で無理は控えます。それと、明日は僕のカバンに隠しカメラを仕込みます。内容を問わず、あとで旦那さんに映像をお渡しします。最後に、奥さんはお酒を飲めますか?」
「強くはないですが、好きですよ。よく一緒に晩酌してます」
「では、出社する時、僕にビールを出すよう奥さんに指示しておいてください。あとは僕がなんとか飲ませます」
「酔わせてガードを下げるということですね」
「羞恥心を軽減するのが目的です。無理矢理とかは全く考えていません。旦那さんが見たいのはそんなレベルの低いものではないはずです」
「おっしゃるとおりです。妻が自分の意思で股を開くところが見たい。淫乱な妻の姿を・・・」
当日、私は朝から落ち着きませんでした。
しきりに時計を見ては、大して進んでいない時間にもどかしさを感じていました。
そして、風間さんの来訪に備え、妻がお化粧直しを始めた頃、17時にセットした携帯のアラームがようやく音を立てました。
妻に聞こえるよう、大きめの声で一芝居うつと、急いで会社に行く準備をしました。
「悪いけどちょっと会社に行ってくる。18時に風間さんが来るけど、そんなに時間はかからないと思う。ビールと摘みを出して待っててもらってくれ」
「うん、わかった。休みの日まで大変ね。お仕事、頑張って!また状況を連絡してね」
「ああ、19時くらいに連絡する。それと、料金は前払いしてるから、万が一帰れない時は絢子だけでもマッサージしてもらって」
笑顔で頷いた妻は、玄関で無邪気に手を振りました。
私は駅までの道のりをゆっくり歩くと、電車に乗って三つ先の駅で下車しました。
近くのネットカフェに入店すると、時刻は17時45分を少し回ったところです。
飲み物を用意して、リクライニングシートに座ると、風間さんから『もうすぐ家に到着します。19時の電話、忘れずにお願いします』とメールが来ました。
その後の1時間は、日中など比較にならないほどの長い時間を過ごした気がします。
トゥルル・・・トゥルル・・・。
5回目のコールが鳴り終わる直前、妻がいつもの明るい声色で電話に出ました。
「はい、高橋です」
つい先程まで聞いていた声なのに、妙に愛しく、懐かしい気がしました。
「あっ・・・俺だけど。風間さんは?ちゃんと来てる?」
「うん。今、ビールを飲んでいらっしゃるわ。私も少しいただいていたの。血行が良くなって、治療の効果が上がるんですって」
風間さんの目論見はうまくいっているようです。
「そうか・・・それは良かった。ところで、今日は会社に泊まり込みになりそうなんだ」
「えっ・・・?大丈夫なの?何かトラブルがあった?」
「いや、大したことじゃない。心配しなくていい。それより風間さんにそう伝えて、絢子だけでもマッサージしてもらって」
「あ・・・、うん、わかった。もし、帰れそうな時は連絡して」
「たぶん無理だけど、その時は連絡する。じゃあ、仕事に戻るよ」
携帯を切ると、すかさず風間さんにメールを打ちました。
少しでも妻の様子を聞きたくて、我慢できませんでした。
――――――――――――
メールしてすみません。
ご指示通り、会社に泊まると伝えました。
妻もお酒を飲んでいるみたいですね。
どんな感じですか?頃合いみて返信下さい。
――――――――――――
20分後、携帯から待ちに待ったメール受信音が鳴り響きました。
――――――――――――
奥さんは今、台所でお皿を洗われています。
ノリがいいですね。
ビールをお注ぎすると、グラスを空けてから差し出してくれます。
顔は真っ赤ですし、目も潤んでます。
僕のペースに付き合って、かなり無理されているのかも・・・。
まあ、酔えば酔うほど、これからの展開に期待できます。
事実、飲み始めてから奥さんの姿勢が崩れ、弛んだ胸元から黒いブラジャーが見え放題だし、たまにスカートが捲れて太ももを見せつけるし、誘われてるのかと勘違いしてしまいます。
今からマッサージです。
帰る時に僕からメールしますので、それまで旦那さんからは絶対に連絡しないでください。
――――――――――――
風間さんのメールに書かれた妻のだらしない姿が、映画に出てくる女郎のイメージと重なり、心臓が激しく鼓動を打ちました。
それから先はただひたすら風間さんのメールを待ちました。
20時にはマッサージを始めているはずなのに、21時を回っても音沙汰ありません。
(もしかして・・・既に?いや、絢子に限ってそんなはずは・・・。でも、相手が風間さんなら・・・)
期待と、それを否定しようとする複雑な思いが、頭の中をグルグルと回ります。
そして、22時15分。
再び携帯が音を立てました。
――――――――――――
たった今、お宅を出ました。
ソフトですが、個人的には今後に期待できる内容だったと思います。
帰ったら今日のことを聞いてみて下さい。
奥さんのお話と後日お渡しする映像を比べてみてはいかがですか?
では。
――――――――――――
風間さんの勿体ぶった報告に多少苛立ちを感じましたが、とにかく妻のもとに帰りたくて、急いで電話しました。
「あっ、もしもし、俺だけど」
「あなた~?電話待ってた~。お仕事どう?やっぱり泊まり?」
「いや、それが予想外に早く終わって。今から後片付けして、退社するよ。風間さんは?」
「うん・・・帰ったよ・・・」
「そうか・・・そうだよな。また後で話を聞かせて。とりあえず急いで帰るから」
逸る気持ちを抑え、時間を調整しながら家路に就きます。
玄関では妻が艶っぽいネグリジェ姿で出迎えてくれました。
遅い晩御飯をとり、風呂に入ってさっぱりすると、ソファーで本を読む妻にいよいよ今日のことを尋ねてみました。
「そういえば・・・風間さんって何時に帰ったの?」
「えっ?そうね・・・あなたから電話が来る少し前かな・・・」
「ほう・・・ずいぶん長く居たんだね。そんなに遅くまで何してたの・・・?」
「おしゃべりをしながら・・・マッサージしてもらってた・・・」
「じゃあ、いつもより念入りにやってもらえたんだ?」
この時、一瞬だけ妻が羞恥の表情を浮かべたように見えました。
嫉妬した私は、さらに意地悪な質問をしてみたくなりました。
「普段と同じようなマッサージだったんだよね?」
「えっ?普段と・・・?うん・・・そうだね・・・。たぶん・・・」
思惑通り、髪を触りながら動揺しています。
やはり、風間さんの報告にあったように、妻にそうさせる何かがあったことは確実のようです。
「んっ?たぶんって?」
「実はビールを飲みすぎちゃったみたいで・・・、その・・・あんまり覚えてないの・・・」
「そんな酔ってたんだ?でも、電話した時には、しっかりと受け答えしてたよ?」
「でも・・・途中からだんだん・・・酔いも醒めてきたし・・・」
不自然さが増していく返答に、妻が何かを隠そうとしていると確信しました。
しかし、これ以上の追求は今後に悪影響を及ぼしかねないと思い、グッと言葉を飲み込みました。
(絢子・・・隠そうとしても無駄だよ・・・。風間さんに何をされ、君がどう反応したのか、その全てが記録されているのだから)
私は心の中で、妻にそう語りかけました。
<続く>