そうに決まってるよ。
俺、ちんこ押さえながら、あんなにびっくんびっくんしたもん。
ああ、もうどうしよう・・・。
「なんで私がいるってわかったの?」
・・・?
まずはそっちか・・・。
全裸の俺が高揚して「マコぉ」と呟いてしまったのを、自分が呼ばれたと思ったらしい。
「マコがいるって思うわけない、ただつぶやいただけ」としか言えなかった。
すると当然、「じゃあなんで?」と聞かれたわけで。
もうやけくそだよー。
「そんなの知るかよーっ、マコが好きなんだよー!裸で好きな人のことを考えたら嬉しくて勃起するんだよー!名前も言いたくなっちゃうんだよー!裸踊りもするよー!マコのおっぱいを見たから精子も出ちゃったよー!」
何だよ、この告白?
なんで俺、こんなシチュエーションで、涙目で愛の変態告白をしてるんだよ。
余計なことまで言った気がするよ。
もうマコ、早く行けよ!
「キモイキモイ」って言いながら立ち去れよー!
マコは戸惑っていて、表情が引き攣って目もキョロキョロしていた。
もういい、マコの返事を待ってる余裕はないし、どうせ聞きたくない返事に決まってる。
誰か来るかも知れんから、今は早くマコをここから出さないと。
でも今さらプールに出て行っても、マコは森と泉に笑われるだけ。
だから俺は、「もう帰れ」と言った。
「あいつら絶対凹ます。でも殴ったりはしないから安心しろ。マコはもう帰れ。後でまた仕返しが来るようなやり方はしない。なんとか上手くやっとくから」
格好つけてそう言うしかなかった。
どうしようもない恥ずかしさと怒り。
その元凶となった2人のバカ女を凹ますことでしか、消化出来そうになかった。
マコは黙って頷くと、また個室に入ってカーテンを閉めた。
水着の上からささっと服を着ればいいものを、いちいち着替えるつもりか。
思った通り、水着を脱ぐ音が聞こえた。
なんて言ったらいいかわからないけど、(ああ・・・水着を脱ぐ音だな)ってわかる音。
もうやめてよ、また興奮するよー。
ああ、やっぱり俺また勃起してる・・・。
早くここから出てもらわんといかんのに!
こうなるなら、最初から女子更衣室に移動してもらうべきだった。
たぶんおっぱいまで出してるであろうマコに、俺はカーテン越しに言った。
「着替えてんの?そのまま服着ればいいのに!」
「あっあっ、そうだよね、でもちょっと濡れちゃったから」
「濡れた」って何だよー!
もうやめて、そんな台詞ぅぅ。
さっき座り込んだ時とかに、ちょっと水着が濡れちゃったんだろう。
そんなのわかってても、おっぱい丸出し(たぶん)で、「濡れちゃった・・・」とか言われたら・・・。
俺、もうやばい。
タオルを持っておくことにした。
「とにかく早くして、誰か来たらまずいよ」
「あっ、うん、やっぱり水着は着たままにする、ん、んしょ」
また着ようとしてるー!
このどっちつかずっ!
俺は思わず叫ぶ。
「もういいよ!途中まで脱いだんなら全部脱げよー」
「わわ、ごめん、そうだね、脱ぐね」
ごそごそ動いてる音がして、たぶんマコはすっぽんぽんになった。
俺が「脱げ」と言ったら、マコはそれに従った・・・。
脱げという命令に、好きな女の子が素直に従った・・・。
やばい。
それはすごくエッチなことだと思った。
「脱げ」
「うん、脱ぐ」
やばい。
俺、もうやばい、限界だ。
俺も海パンを下ろして、勃起したちんこをタオルで押さえて揉んだ。
そして聞かなくていいことを聞いた。
「全部脱いだ?」
マコも答えなくていいことを答える。
「うん、脱いだ。もうちょっと待って」
その言葉で俺は・・・射精したっ!
どぴゅん、どっぷどぷ、びゅるるるっていう聞こえるはずのない音がちんこに響く。
マコの、「うん、脱いだ」っていう震える声が、頭の中で何度もこだました。
そしてさっき目に焼き付いた、マコのおっぱいぷるるんを思い浮かべていた。
俺はカーテンに向かって腰を突き出してタオルの中に射精した。
カーテンとタオルがなかったら、裸のマコに精液が無駄に元気良くぶつかったはず。
そんな気がするくらい、すごい量と勢いだったと思う。
その瞬間、色んな意味で、(ああ、終わった)って思った。
一瞬だけ頭の中が真っ白になって、気付いたら静かだった。
「睦ちゃん・・・」
カーテンの向こうで抑揚のない小さな声でマコがつぶやいた。
「・・・何?」
「なんでもない」
そしてパンツを穿く様子が音で伝わってきた。
ぱちんっていう、ゴムが腰に当たる微かな音でパンツを穿き終えたのがわかった。
俺もマコもただ黙っていた。
そして制服姿のマコがようやく出てきた。
(※夏休み中だけど、登校時は制服か学校指定のジャージと決められている)
ぼんやりとした表情で、なんか言いたそうにしてるマコ。
俺は勃起が収まらなくて、もう隠す気力もなかった。
マコはそれをしっかりと見ていたと思う。
またひとつ俺の変態ぶりが証明されたんだな。
もうどうでもいい。
マコは、「ありがとう」とも「ごめん」とも言わなかった。
何も言ってくれないし、目も見てくれない。
色んな思いを振り切って、俺は更衣室からマコを追い出した。
ふと気付くと、海パンが濡れていた。
全部タオルの中に出したと思った精液だった。
染み込みきれない白いドロドロが、海パンにべっとりと付いていた。
マコはさっきこれを見ていたのか。
精液ってどんなものか見たことはなくても、察しただろうな。
(ああ、本当にもう終わったな)
泣きそうだった。
て言うか笑えた。
ふう・・・。
気分は全然落ち着かないけど、ちんこは元に戻った。
それにしても、マコにちんこ見られた。
変態だって思われた。
絶対に嫌われた。
しかも彼氏が出来たってわかってる相手なのに告白してしまった。
マコのそばで2回も射精したし、それもバレた。
一体何が起こったっていうんだろう?
俺は露出願望があって、見せることを妄想の中で望んでた。
でも実際に見せたら、やって来たのは絶望感だったよ。
“見られた”からかな。
見せるのと見られるのは違うってことかな。
あー、もうよくわからない。
もういい、終わった。
俺はこれ以上ない恥ずかしい失恋をしたんだ。
だけど同じ時間と空間を裸のマコと共有出来たこと。
それだけはオナニーのおかずとして忘れずに生きて行こう。
1人になって泣いちゃいそうだけど、まだ泣かない。
俺はいじめのことをなんとかするって、マコに約束したんだ。
気を取り直して、さっきからおぼろげに考えていた作戦を整理する。
森と泉、あのバカ女2人を凹ますのだ。
でも何のために?
わからない。
こんなことしてスッキリしても、俺の情けなさは変わらない。
マコに格好つけたいって気持ちもあるけど、もう意味がない。
・・・いや違う、見返りを求めてはいけない!
俺はマコが好きなんだから、嫌われても、マコのためになることをする。
中2病的にでも、そう思わんとやっとれんわー。
色んな気持ちがぐるぐるして舞い上がってきたから、その勢いに任せて行動開始。
思いつきの適当な作戦だけど、失敗してもリスクは少ない。
悪いのはあっちなんだから、いざとなれば開き直ればいいんだ。
しょっちゅうプールに来てる俺は、あることを知っている。
それは体育のムキムキ先生が最初の見回りに来る、おおよその時間だ。
もうすぐそれくらいの時刻になる。
先生はいつもプールの建物に入ると男子更衣室を通る。
泳ぎたい場合はまずそこで着替えるけど、そうじゃなくてもまず更衣室から入る。
そして更衣室のもう1つの出口、プール側に続く出入口からプールサイドに出る。
その先生を利用するために、建物の外に出て遠目に窺いながら待つ。
最悪男子生徒でも実行可能だけど、期待通りムキムキ先生がこっちに歩いてきた!
しかもスポーツバッグ持ってるのを確認。
着替えてプールに入るつもりだ!
数分間更衣室に留まることになるわけで、さらに好都合。
俺は更衣室に戻って、プールサイド側の出口の横で息を整える。
入口側のドアでガチャッと音がした。
先生が入ってくる!
それと同時に俺は出口からプールサイドに飛び出す。
そして、さも今来たかのような顔で森と泉のところに駆け寄った。
「おお、睦ちゃんおはよう(ニヤニヤ)」
邪悪な笑顔を見せる森と泉。
たぶんこう思ってるだろうな。
『マコの奴、睦ちゃんのちんこ見たかな!変態って罵ってやるー、ウヒヒ』
でも俺の口から出た言葉は・・・。
「更衣室でマコが倒れてるんだけど!」
森と泉は一気に顔面蒼白になってポカーン。
「ハ、ハア?何それ!」
「お前ら一緒に来たんだろ?なんでマコだけ男子のとこにいんの!息してないかも知れん、早く見て来い!」
何が起こったんだ~と不安そうな顔を見合わせる2人。
『まさか自殺じゃねーだろーな!』とかヒヤヒヤしたんじゃねーの、バーカバーカ。
そしてムキムキ先生が着替えの真っ最中とは知らずに2人は男子更衣室に走る。
先生、ごめんよー。
ぐちゃぐちゃ説明したけど、要は2人と先生を男子更衣室で鉢合わせさせたかった。
更衣室に忍び込んだ2人が現行犯で先生に捕まるという筋書きを作りたかった。
これが俺の作戦だった。
そして結果的に全部思い通りに運んだ。
いちいち中の様子を見には行かなかったけど、まあ大体わかる。
2人が先生のムキムキ大人ちんこを見たかどうかまでは知らんし、どうでもいい。
ともかく先生に叱られてるのは見た。
2人は悪いけど知能はサル以上だから、マコや俺のことを言い訳には使わない。
いじめてたのがバレかねないからな。
俺の仕業と先生にバレても、こっちは構わない。
どうでもいい。
知らん。
<続く>