家族ですら無関係だった。
きっかけは、あたしの叔父であるところの陽太おじさんが、ヤクザといざこざを起こした末に暴行してしまったことだった。
相手は幹部クラスだった。
陽太おじさんは行方をくらましたが、3日後には捕まり、拷問の末、再び行方不明になった。
今度こそ誰かに見つかることはないだろう・・・。
それで話が終われば良かったのだが、彼らは現代日本じゃ珍しい武闘派集団で、刃向かうものはとことん追い詰める無法者たちだった。
今回の件とは無関係であっても、血縁というだけで、あたしたち一家は追い込みを掛けられた。
最初は些細な嫌がらせから始まった。
糞便を郵便ポストに入れられたり、注文していないピザが届いたりという、その辺のストーカーでもやりそうなことだ。
けれど、そんなのは初めのうちだけだった。
彼らは家の前に来て、有ること無いことを大声で叫んだり、ドアを何度も何度も蹴りつけてきたりするようになったのである。
購入したばかりの一軒家に、なぜこんな仕打ちをしてくるのか、当初あたしたち一家は分かっていなかったが、罵倒の内容を聞いているうちに事態を悟った。
一度、お父さんが話をしようとして、家の外に出て彼らに近づいていったのだけれど、問答無用で殴られて帰ってきた。
それ以来、彼らが家の前にやって来て滅茶苦茶なことをしても、あたしたち一家は家の中で震えていることしか出来なくなった。
次の日からお母さんは引っ越しを望むようになった。
けれど、それで問題が解決するなんてあたしには思えなかった。
お父さんもあたしと同様の主張をした。
そのせいでお父さんとお母さんは喧嘩をした。
精神的に追い詰められていることもあり、2人の喧嘩は今までになく醜い罵り合いだった。
意外にも、外出にはあまり問題がなかった。
奴らが来ている時以外は普段と変わらない生活を送ることができた。
お父さんは会社に通っていたし、あたしは高校に通っていたし、お母さんも買い物に出掛けていた。
けれど、深夜にいきなり扉を蹴られて目が覚めたり、何時間も家の前に居座られたりしているうちに、あたしたちはどんどん疲弊していった。
お母さんが突然姿を消したのは、嫌がらせが始まってからちょうど1週間が経ってのことだった。
居間の机には離婚届が置いてあった。
お母さんが書き込むべき箇所はすべて埋まっていた。
お父さんは諦めたように溜息を吐いただけで、それ以上の反応らしい反応はなかった。
きっと近いうちにこうなることを予想していたのだろう。
しかし、あたしは大きなショックを受けた。
お母さんの目的は分かる。
お父さんの弟がヤクザと揉めて、そのせいでこんなことになったのだから、籍を抜けば自分は助かると考えたのだろう。
それは理解できる。
でも、だったらなぜ、あたしに黙って出て行ったのか。
なぜ、あたしを連れて行こうとはしなかったのか。
あたしは、取り乱していたお母さんよりも、それに比べて比較的冷静なお父さんの肩を持つことが多かった。
だからなのか。
連れて行こうとしても、あたしがお父さんの側に付くと思って、お母さんは黙って出て行った?
だとしたら、まだ救いはある。
あたしの意志を尊重したということだから。
まあ、見捨てられたことに違いはないが、それでもだ。
けど、とあたしは思う。
もうひとつの可能性を考えざるを得ない。
あたしはお父さんの血を引いている。
つまり陽太おじさんとも血縁関係にある。
お母さんは、それが引っ掛かったんじゃないだろうか。
標的になる基準がどこにあるのかは分かりようがないが、兄一家というだけでここまでするような奴らなのだから、陽太おじさんと三等親であるあたしを連れて行ったら、逃げた先まで標的になる恐れがある。
だからあたしを置いていったのではないか。
それは最低最悪の可能性だった。
拒まれるかもしれないから連れて行かなかっただなんて、そんな理由とは次元が違う。
あたしがあたしだから切り捨てたということなのだ。
真実がどうであるにしろ、あたしに確かめる術はない。
そしてあたしは二度とお母さんの顔を見ることはなかった。
お父さんは、しきりにあたしのことを心配していた。
遠縁の親戚に一時預かってもらうか、という具体的な提案までしてくれたが、あたしは拒否した。
他人の家に住むのが辛いのだったら、しばらくビジネスホテルに泊まってもいいとまで言ってくれたが、これも拒否した。
お父さんを1人にするのは可哀想という気持ちもあったが、それ以上にあたしは意地になっていた。
お母さんはあたしたちを切り捨てたけれど、あたしはそんなことをしない。
してたまるか。
その想いがあたしを家に留まらせた。
事態を甘く見ていたというのもある。
ヤクザたちは、あたしやお父さんが外出しても何もしてこなかった。
外とは言っても常に人目があるわけではない。
手を出そうと思えば、いくらでもできたはず。
極端な話、拉致だって簡単だったろう。
けど何もしてこなかった。
これはつまり、家に嫌がらせはしても、本人には手を出さないという追い込みの上限が定められているからだろうとあたしは考えた。
報復対象に入ってはいるが、所詮はただの親戚に過ぎないのだから、彼らとしても、あまり大事にするつもりはなく、そのうち引き上げるつもりでいる。
その推測を元にあたしは家に残ったのである。
しかしそれは全くの見込み違いだった。
この程度の嫌がらせなんて小手調べに過ぎなかった。
1ヶ月くらい後、ヤクザたちは家に乗り込んできた。
深夜のことで、あたしもお父さんも寝入っていた。
高校生になってからは個室を与えられていたけれど、お母さんがいなくなって以降、あたしとお父さんは2階の寝室で一緒に寝ていた。
いつ嫌がらせをされるかも分からないような状況では、1人じゃ恐くてとても寝られなかった。
ヤクザたちが家の鍵を壊し、中に入ってきても、あたしたちは気付かなかった。
2人とも耳栓をして寝ていたので、1階でちょっとくらいの物音がしたって起きることはない。
寝室にまで踏み込まれて、あたしたちはようやく目を覚ました。
何が起きたか分からないなんてことはなかった。
電気は消えていたが、全く何も見えないほど暗くはなかった。
突然の出来事であるにも関わらず、あたしはすぐに状況を悟った。
もちろん慌てたし恐かったけれど、それで頭が真っ白になることは不思議となかった。
あたしは上半身だけを起き上がらせたが、乗り込んできたヤクザに押し倒され、再び仰向けにさせられた。
お父さんに助けを求めようとして隣を見ると、向こうのベッドではすでに殴る蹴るの暴行が始まっていた。
それを見てあたしは固まってしまった。
のしかかっているヤクザに抵抗することも出来なくなってしまった。
ちょっとでも彼らを怒らせると、お父さんのように暴力を振るわれるかもしれない。
そう思うと身体に力が入らなかった。
不意に部屋が明るくなった。
誰かが電気のスイッチを入れたらしい。
それで押し入ってきた人数がようやく把握できた。
6人。
それほど広くはない寝室にこれだけの数が集まると、余計手狭に感じた。
彼らはみんな土足で上がり込んでいたのでカーペットは泥だらけになっていた。
あたしのベッドに上ったのは1人だけだったが、シーツも所々が黒くなっていた。
あたしは男の手によってパジャマの上着を捲り上げられて、息を呑んだ。
ブラジャーを剥き出しにさせられた恥ずかしさよりも、とにかく無防備に肌を晒すことに恐れを感じた。
衣服を剥かれて、その先に待っていることは明らかだった。
ブラにまで手を掛けられると、あたしはさすがに固まっているわけにもいかなくなり、男の手を掴んだ。
すると男は鬱陶しそうに振り払い、さらにあたしの頬を平手打ちした。
思い切りという感じではないが、結構な力が入っていて、かなり痛かった。
しかしそれよりも暴力を振るわれたこと自体があたしには衝撃だった。
あたしはまた恐怖に染まり、無抵抗になった。
男はすぐに動きを再開した。
あたしの胸からブラジャーをむしり取り、次にパジャマのズボンを乱暴にずり下げる。
足首からそれが抜かれると、今度はパンツを掴まれた。
あたしは反射的にまた男の手を掴みたくなったが、必死に我慢した。
またビンタされるのが恐かった。
それにビンタとは限らない。
拳で殴られるかもしれない。
とてもではないが暴れることなんて出来なかった。
パンツを引き下げられて股間が露出した時、あたしは心臓が一瞬だけひやりとするのを感じた。
男はあたしの陰毛を引っ張った。
かなり強く引っ張られたので、あたしは痛みを和らげようと腰を浮かした。
その動きが周りで見ているヤクザたちには面白かったらしく、寝室内に笑い声が広がった。
彼らはこのレイプを楽しんでいるようだった。
陽太おじさんへの怒りから一連の報復を行なっているわけではないらしい。
お父さんは、もう殴られてはいなかったけれど、顔中に痣を作って部屋の隅に横たわっていた。
気絶しているのかもしれなかったし、あたしみたいに無抵抗になっているだけなのかもしれなかった。
娘が目の前で強姦されようとしているのに何もしないのかと思わなくもなかったが、しかしどうしようもないことであることもあたしは理解していたので、失望はしなかった。
そんなことよりも、ただただ恐怖心があたしを支配していた。
別の男がベッドに上がり、あたしの顔の近くに膝をついて自身のベルトに手を掛けてカチャカチャやりだしたのを見て、あたしはその男がこれから何をするつもりなのかを察した。
この時点であたしはまだ処女だったけれど、性知識は人並みにあったので、フェラチオくらいは知っていた。
ペニスを鼻先に突き付けられ、咥えるように命令されたが、絶対に無理だと思った。
酷い臭いがしていた。
生理的な嫌悪感を催すような臭いだった。
あたしは顔を背けようとしたが男の手で顎を掴まれ、無理やり口を開かされるとペニスを押し込まれてしまった。
そうなると、もう拒否はできない。
後頭部を押さえられていたので顔を引くことはできない。
男が無遠慮に腰を押し出してくるので、口内の奥深くまで侵入を許すことになった。
最初は不潔感から来る吐き気が込み上げてきたのだけど、すぐにそれどころではなくなった。
ペニスの先端で執拗に喉を突かれ、何度も咳き込んだ。
なのに男は全くお構いなしに陰茎を出し入れしており、苦しくて仕方なかった。
泣きたいと思っているわけではないのに涙が勝手に流れていく。
噛むという選択肢は最初から頭になかった。
彼らを逆上させたらどうなるか、想像するだけでも恐ろしいことだった。
そうしてイラマチオをされている間、あたしの下半身には最初の男が取り付いていた。
クリトリスを中心に股間を指で弄り回されていたが、あたしはそれどころではなく、口内の蹂躙にひたすら悶えていた。
だから膣にペニスをあてがわれても分からなかった。
処女を奪われたことに気付いたのは、破瓜の痛みに襲われてからだった。
身体を引き裂かれているかのような激痛がして、あたしは喉を震わせた。
悲鳴を上げたつもりだったが、ペニスを口に含んでいるため、あまり声にはならなかった。
せいぜいが呻き声だ。
口を犯している男と同様、処女を奪った男も、あたしに対して一切の容赦をせずに腰を叩き付けてきた。
膣内を襲う無慈悲な痛みにあたしは泣き濡れた。
それまでは、泣くつもりもないのに勝手に涙が出ていただけだったけれど、この時はもう泣きたくて泣いていたという感じだ。
痛くて辛くて、どうしようもなく泣けてきた。
犯されている間も、あたしの口にペニスを突っ込んでいた男は腰を動かしてイラマチオを続けていた。
喉を突かれ、吐きそうになっているというのに、さらに口内深くに突き込まれた。
下半身からは痛み。
上半身には苦しみ。
頭がおかしくなりそうだった。
あたしの顔は涎と涙にまみれていた。
特に口の周りはペニスが出入りするたびに涎が掻き出され、ベトベトになっていた。
枕にもいくらか垂れ落ちていただろう。
口内を蹂躙していたペニスがいきなり粘液を噴出して、あたしの顔を跨いでいた男が、ようやくそこから退いた。
あたしは横を向いて口内に溜まった液体を吐き出した。
白く粘性のあるそれが精液であることは処女のあたしでも分かった。
いや、すでに処女ではないか。
やっと自由になった口で、あたしは大きく息を吸った。
しかし一息つくことすら許されなかった。
膣内を蹂躙していた男が動きを速めたために、一層の痛みに襲われたのだった。
それからすぐ男はペニスを抜き取り、あたしの胸に精液を放った。
膣内射精をされなかったことにあたしはホッとしていたけれど、その理由は全く救われないものだった。
男がベッドから下りると、また別の男がベッドに上がってきた。
あたしは再び強姦されることになった。
中に出されなかった理由はこれで明確になった。
次の男が使う穴に精液を満たすわけにはいかないから。
それだけのことだ。
その男はあたしのお腹に射精した。
処女を奪った男と、口を犯した男より、明らかに噴出の勢いが強かった。
一瞬だけど、オシッコを掛けられたのかと勘違いしたくらいだ。
我慢していたオシッコを一気に放出した際の勢いに近いものがあったと思う。
もちろん実際に飛び出してきたのは小さな塊だけなので、すぐにオシッコではないと分かったのだけど。
3人目の男がベッドから退場すると、今度は4人目と5人目が同時に迫ってきた。
それまで仰向けだったあたしは、腕を掴まれて身体を引き上げられた。
そしてベッドの上で四つん這いの姿勢を強制された。
あたしは泣きながら謝った。
別に自分は何も悪いことをしていないけれど、とにかく「ごめんなさい、すみません、許してください」と繰り返していた。
だが男たちはまるで気にしていないようだった。
刺激を加えていない状態でも痛む膣に後ろからペニスを突き込まれると、あたしは言葉を止めた。
というか息が詰った。
あまりに痛くて謝罪どころではなくなった。
痛みが酷くなってきたのは、何度も突き込まれているうちに膣粘膜が腫れあがったせいだとその時は思っていたが、実際のところそうではなく、4人目の男が特別に巨根なせいだった。
四つん這いでレイプされているあたしの前方に、もう1人の男が膝立ちになった。
そいつはあたしの髪を掴むと、強引に引っ張り上げてきた。
顔を上向きにさせられたあたしは自然と口を開いてしまった。
間髪入れず、ペニスを口内に押し込まれた。
あたしは前からも後ろからも犯される状態になった。
後ろから責めている男はあたしのお尻に指が食い込むくらいがっしりと掴み、自らの腰を激しく動かしていた。
前から責めている男も同じで、あたしの耳の辺りを掴み、顔を固定して好き勝手に腰を動かしている。
彼がペニスを突き込むたびに、あたしの鼻は彼の陰毛に突っ込まされることになった。
時には恥骨と鼻がぶつかって、鼻の奥に痺れるような不快感が込み上げてきたりもした。
口を犯していた男はあたしの顔に向けて射精した。
精液のほとんどは髪に降りかかった。
膣内を突いていた男はペニスを抜いて、先端をあたしの背中に押し付けながら射精した。
あたしは射精時に脈動するペニスの感触を覚えさせられたのだった。
6人目の男は、あたしをベッドから引きずり下ろした。
あたしは足を床につけ、手をベッドの上に置いた状態で犯された。
またしても後ろからのレイプだったが、四つん這いの時とは違い、ほぼ立った状態でのことだったせいか、なぜだか屈辱感が増したような気がした。
いや、体位が変わって気持ちが切り替わっただけか。
順番が逆だったとしたら、たぶん四つん這いの時に、より大きな恥辱を感じていたのだろう。
最後となる6人目も中に出さなかったので、あたしは嫌な予感を覚えた。
それは現実のものとなった。
すでにあたしを犯し終えた男のうちの2人が、またペニスを勃起させて距離を詰めてきたのである。
あたしは精神の均衡を失い、後先を考えることなく、泣き喚きながら男の足を蹴ったりして抵抗した。
しかし男の1人に張り倒されると、途端に動けなくなった。
それでも男はあたしを何度も平手打ちした。
それからベッドに戻されたあたしは2人に犯され、さらに休憩して精力を回復させた別の男の相手もさせられた。
あたしは明け方近くまで輪姦された。
そしてあたしはヤクザの娼婦になった。
もちろん自分で望んでのことではない。
輪姦の様子にビデオで撮られて、それを使い、脅されてのことだった。
代わりにお父さんは晴れて日常生活に戻ることが出来たようだった。
あたしは毎日のように彼らの性処理をさせられた。
高校には行かせてもらえたが、校門の前に高級外車が迎えに来ることが何度かあった。
運転手がいかにもな外見をしてたせいで学内で問題となり、最終的には退学を余儀なくされた。
3年くらいはヤクザに飼われていたけれど、彼らに飽きられると、ソープに売り飛ばされてしまった。
その際に莫大な借金を背負わされ、それをすべて返済すれば自由の身になれると言われたが、全く嬉しくはなかった。
いくら実入りの良いソープ嬢でも、すぐに稼げるような額ではなかった。
救いの手は思いも寄らないところから差し伸べられた。
お父さんが助けてくれたのである。
お父さんはマイホームを売って作ったお金と、会社を辞めて得た退職金で、あたしの借金をすべて清算してくれたのだった。
あたしとお父さんはずっと遠くに引っ越して、2人で暮らした。
お父さんは慣れない仕事に苦労していたようだった。
給料も少なかった。
でもまあ安アパートで暮らすのに困るほどじゃなかった。
あたしは半年くらい何もせずにいた。
それくらいは許されると思う。
いつまでも傷心に浸っていたって仕方ないかと思えるようになるまで、半年の時間が必要だったのだ。
それからあたしは週に3日だけバイトをして、残りの日は勉強をすることにした。
やがて大検に合格すると受験勉強を本格化させ、希望の大学に入ることもできた。