九州は大分県に位置する九重連山での出会いでした。
それは数年前、ミヤマキリシマが咲き誇る頃の出来事です。
数人のグループによる九重連山の大船山への登山でした。
気心の知れた職場のグループによる旅行です。
途中、仲間の1人が事故で足首を捻挫してしまいました。
女性だけのグループだけに引き返すしかありませんでした。
そこへ通りかかったのが、若い男性ばかりのグループでした。
その風貌から明らかに山男という感じでした。
私たちの年齢から見ると息子と見られてもおかしくない年齢の人たちでした。
その中の1人の若者の処置により、捻挫した仲間はそれ以上の痛みはなくなったようでした。
ミヤマキリシマの咲き乱れる中、彼らと写真を撮ることができたことが今回の一番の収穫だったと皆一様に喜んでいました。
私は山男の醸し出すオーラに圧倒されました。
その日は、湯布院での1泊でした。
宴会中は九重で出会った山男たちの話で盛り上がりました。
それから数ヶ月後、夏の暑い夕暮れ時の日曜日のスーパーの店内でした。
買い物をする彼の姿を見かけたのです。
若い女性と同伴でした。
九重で出会った山男の姿ではないラフな服装でした。
何度も見返しましたが、あの時の優しい眼差しに彼だと確信しました。
私の不審な気配を感じたのか、目と目が合ってしまったのです。
軽く会釈をして去ろうとする私でしたが、意外にも彼が話しかけてきたのです。
信じられないことに、その時のことを覚えていてくれたのです。
嬉しさ半分驚き半分、しどろもどろに話す私に優しく話しかけてくれたのです。
同伴の女性は彼の妹でした。
彼は近くの国立大学の学生で3年生になると紹介されました。
この春、妹さんも同じ大学の看護学科に入学したとのことでした。
それからは日曜日の夕暮れ時になると、欠かさず買い物をする自分の姿がありました。
いつも日曜日の夕暮れ時になると心が弾みます。
彼に会えるかもしれないという心のときめきが私を弾ませるんです。
気が付けば、私の1人よがりの妄想が始まっていました。
現実には、あれから彼と出会ったのは一度だけでした。
彼は、将来のことや今の生活を隠すことなく話してくれました。
私の心の中で山男たる彼の好感度はますます上がるばかりでした。
何気に見ると、買い物かごに入っているのは特価品ばかりでした。
家からの仕送りがほとんどないギリギリの生活に、兄妹で四苦八苦する姿が目に映るようでした。
家庭教師などで稼ぐ金額もたかが知れているようで、妹だけでもしっかり勉強して欲しいという兄の思いやりがあったようでした。
それからの毎週日曜日の夕方は、スーパでの買い物がルーティンになりました。
ある時には、おせっかいを承知で彼の買い物袋に牛肉の塊を入れることもありました。
暑い夏が過ぎて秋の気配を感じる頃、近くの喫茶店で会話を楽しむ2人がいました。
彼は必ず四季を通じて仲間と九重連山を縦断するそうです。
今年の秋には九重の紅葉を2人で見に行こうと約束をしました。
車と宿の手配は私がしました。
目指すは九重連山の大船山です。
日帰りを希望する彼を説得して、奮発して各部屋離れの露天風呂付の和風旅館です。
九重の紅葉は艶やかでした。
青空とのコントラストが見事に山々の紅を引き立たせていました。
時間の経つのも忘れてはしゃぎ、心地よい疲労感を覚えました。
沈む夕日を背に受けながら宿泊地に到着しました。
案内された離れの客室には、かけ流しの露天風呂が完備されていました。
風情のある露天風呂に、心なしか口数少ない緊張した彼の姿がありました。
初めて見る彼の裸体は山男そのままでした。
背中越しにお湯を流す彼の肉体は、見事に温泉のお湯を弾き返していました。
引き締まったお尻、逞しい太もも、胸筋につながる腹筋、どれも無駄な肉はありませんでした。
震える手を止めることができませんでした。
股間の中心に見え隠れする彼のモノはすでに興奮していました。
私が今まで見た中でも類を見ない大きさと形でした。
それは外国人並みかそれ以上かもしれませんでした。
静かな部屋に彼のいびきが聞こえてきます。
枕元に置かれたスタンドの薄明かりを頼りに、布団に包まった彼の寝姿をじっと見つめていました。
涙が溢れてきました。
(私も女だよ!)
心の中で叫んでいました。
いびきが聞こえなくなったと気づくと同時に、彼の布団の中に引きずり込まれました。
狂おしく求めてくる彼の口づけに、安堵と嬉しさが込み上げてきました。
性急に求めてくる彼の行為に思わず喜びの声を上げてしまいました。
私の受け入れ態勢が整うのに時間はかかりませんでした。
私の体を弄る彼の手が私の中心に辿り着いたとき、思わず仰け反りました。
枕元を照らす微かな薄明かりが彼のシルエットを浮かび上がらせました。
はしたなくも、天を向く彼のモノに頬ずりする私がいました。
彼のモノを口に含む私の行為も限界に達していました。
「もう入れて」
彼の耳元で囁きました。
彼は大きく頷きました。
この瞬間をどれだけ待ったことでしょう。
オナニーしながら、数えきれないほど彼との行為をシミュレーションしました。
まさに妄想が現実となる瞬間でした。
彼のモノが私の中に少しずつ挿入されていき、子宮深くに達した時、私の記憶は途絶えてしまいました。
想像以上の快感が脳天を突き抜けたのでした。
意識が戻っても、彼のモノを感じる余裕は残されていませんでした。
彼のモノで串刺しされたような感覚に、声にならない歓喜の唸りをあげていました。
終わりを告げる彼の声を聞いても、やっと頷くだけでした。
迸り出る彼の熱い精液を受け止めながら震えが止まりませんでした。
女としての喜びに震える体と心、涙が止まりませんでした。
女を捨てきれない私にとって、彼が最後の男かもしれないのです。
その後、男女の関係は彼が大学を卒業するまでの1年あまり続きました。
彼のセックスは、私を必ず至福の世界へと導いてくれました。
生真面目な彼は、気が付くと私好みのテクニックを身につけていました。
彼から与えられる無限の快楽が、女に生まれてよかったと実感させられました。
彼とのセックスが私の身体を完全な女性にしてくれました。
あれほど不順だった月のものも毎月計ったように訪れるようになりました。
当然、経済的援助はできる限りしました。
皮肉にも、その援助が諦めかけていた彼の夢の実現に貢献することになったのです。
卒業後、彼は国際NGOで働くため海外へ旅立っていきました。