「ここはね、子供を連れてよく遊びに来ますから裏の裏まで知っているんですよ」
得意げにMさんが話します。
「今日は平日だから誰もいないみたいですね」
このMさん、凛々しくて物事を即断即決で処理ができて、気配り、優しさも兼ね備えた人なんです。
女性役員さんからすごく人気があって、私も子供会役員を始めてからずっと気になる人でした。
その意中の人と2人でこうして歩くなんて・・・。
話しながら歩いていたら、あっという間にアスレチックのある場所に辿り着きました。
低学年の子供でも危なくないか、一つ一つ確認して見回りました。
「ちょっと試しにやってみようかな」
Mさんは遊具を身軽にこなして進んでいきます。
「よし、問題ないな。あとは怪我した時の対応ですね」
一つ一つ確認しながらだったので、全て見終わった時にはお昼を過ぎていました。
「お弁当を作ってきたのでどうぞ食べてください」
そう言ってMさんに持ってきたお弁当を差し出しました。
お弁当を食べ終えて休んでいた時のことでした。
「少し歩きませんか?」
「そうですね、せっかく来たんだし、このまま帰るのは勿体ないないかも」
こうして私とMさんは、公園内の遊歩道を歩き始めました。
「こうして歩いているとデートをしているみたいですね」
こんなことを言われたら、余計にMさんを意識してしまいます。
雑木林の中の遊歩道を歩いていた時のことです。
「ここ、この細い道!」
Mさんは遊歩道から草むらに向かって伸びる獣道(?)みたいなのを指差しました。
「これ、この前子供と見つけたんですけどちょっと行ってみませんか?」
Mさんが言うならと、ちょっとドキドキしながら私はMさんの後に続いて、草むらの中に続く道に入っていきました。
「ほら、見えてきた。なんだか秘密基地みたいでしょう」
見ると古いログハウスみたいな建物が少し離れて2つ建っていました。
「こんな場所を子供たちは喜ぶんですよ」
「Mさんも好きなんじゃないんですか?」
「まあね」
「中に入ってみませんか?」と、手前の建物に近づきました。
どうやら入り口は反対側にあるみたいです。
建物は窓が無くて、それでも木陰と天井の隙間、入り口から入ってくる風で室内は意外と涼しいのです。
真ん中にコンクリートの四角い台(テーブル)があって、周りを囲うように細長いベンチが並べてある質素な空間でした。
そのベンチの下にはお菓子の空き袋が散らかっていました。
「ヒンヤリして気持ちいいですよ」
ベンチに座ったMさんが言いました。
「外の暑さがウソみたいでしょう?」
「本当、冷たくて気持ちいいですね」
私は少し距離を置いてMさんの横に座り、見てきたアスレチックについて話をしていました。
確認項目をまとめ終わり、ふと会話が途切れた時でした。
「なぜ僕がちなみさんをここに誘ったか解ります?」
ドキッとしました。
「え?暑いから?」
「違います」
「秘密基地を見せるため?」
「それも違う」
どうしてもエッチな考えが浮かんできてしまいます。
私が答えに窮しているとMさんは言いました。
「ちなみさんと2人きりになりたかったから」
「えっ?」
「役員になってすぐに意識してました。可愛い女性だなって」
「嘘、・・・そんなこと言われたら」
「それにちなみさんの視線にも気づいてたけれど話しかけるチャンスがなくて。恥ずかしいけど、ちなみさんが好きになってしまいました。今日1日、いえ今だけでもいいから恋人になってくれませんか?」
あまりにも唐突で、どう返事していいのか困っていたら、Mさんが近づいてきて、私の顎をクイッと持ち上げました。
(あ、キスされる・・・)
Mさんの顔がどんどん近づいてきました。
グイグイ引っ張っていく、そんなところも魅力的です。
そしてMさんの唇が私の唇に触れました。
主人とも最近キスなんて交わしたこともなくて、久しぶりのキスの感触に背徳感を感じながら酔いしれていたら、性器に熱いものがジュワッと溢れてきたのを感じ取りました。
Mさんの愛撫は始まったばかりです。
今ならまだ間に合うと頭の中で考えるのですが、私はMさんにされるがままズルズルと関係を持ってしまいました。