昔、俺が高校生くらいの時の話から始めます。
3つ年上の姉ちゃんは当時ハタチくらいだったと思うんだけど、上手く言えばボーイッシュ、下手すりゃ男勝りでおっかないやつだったのよ。
性格はさっぱりしてて容姿も整ってたし、外ヅラは近所でも評判のいい姉さんって感じだった。
でも俺にとっては小さい頃からいっつもいじめられたり、つまんない用事を押し付けられたりってのがあって、はっきり言って嫌いだった。
中2くらいで俺のほうがデカくなったあたりから、もろに犬猿の仲って感じで、ほとんど喋ることもなくなっちゃって、食事とかもできるだけ違う時間帯にとるようにしてた。
俺んとこは両親共働きでほとんど家にいなかったから、本来なら姉弟力を合わせて仲良くしなくちゃならなかっただろうにね。
今考えると、なんでそんなに嫌ってたのかわかんないよ。
コンビニとか弁当買いに行って、『この弁当はこの間姉貴が食べてたから食いたくねーよ』とか、そんな下らないこと考えるほど嫌いだった。

そんなある日、新聞と一緒に届いた洋服屋のチラシ見てたんだよ。
で、なんだか知らないけど姉貴に、「たまにゃスカートでも穿いたら?」なんて言っちゃったんだよね。
そしたら、「うるせーよ、ジーンズが好きなんだからほっとけよ」なんて返事が返ってきて、俺も「あっそ」なんて感じだった。
いっつも古着ばかりで小汚い格好ばっかりしてる姉貴だったんだけど、スタイルは悪くなかったんだよね。

その晩だったと思うんだけど、姉貴がやけに洗面所と部屋をちょこちょこ往復してるんだよ。
洗面所に行くには俺の部屋の前を必ず通らなきゃいけないから、部屋でボケーとマンガ本読んでた俺は気になって、ちょこっと廊下に出てみたのね。
そしたらなんと、あの男勝りな姉がスカートを穿いて歩いてたんだ。
で、俺に見つかるや否や恥ずかしそうにドアの陰に隠れて、「なんだよ文句あんのか?」なんて悪態ついてきやがった。
俺は「別にー」なんて言いながら部屋に戻ったんだけど、ドキドキして落ち着かなくて、ベッドで枕を抱いて、「うおーー!」なんてゴロゴロしてた。

しばらくしてコンコンとノックする音が聞こえてきて、「ちょっといいか?」なんて姉貴は入ってきた。
いつも通り裾が擦り切れてボロボロのジーンズを穿いてたんだけど、手にはさっき穿いてたスカートを持参してた。

「やっぱ似合わないよね、スカートなんて。これ、あんたの彼女にあげちゃってよ」

なんて言いながら俺にスカートを投げてよこした。

「暗くてよくわかんなかったけど似合わないことはないと思うぜ」

なんて言いながら、俺は姉貴にスカート投げ返して、「ちゃんと着て見せてよ」って言った。
クールを装ってたけど、内心すげえドキドキしてた。

「や、やだよ」

「いいから穿いてみろよ」

「やだってば」

「穿いて見せてよ」

「いやだ」

「見たいんだよ」

なんてスカートの投げ合いをしばらく繰り返してたんだけど、姉貴は渋々ジーンズの上からスカートを穿いた。
黒のタイトミニって感じのスカートで、スタイルのいい姉貴にはとってもよく似合ってた。
けれどもここで素直に褒めてあげられない俺は、「ジーンズの上に重ねて穿いたってよくわかんねーよ」なんて言いながら無関心を装ってしまった。
すると、姉貴は素直にスカートの下に穿いてたジーンズをスルスルと脱いで、「ど、どう?」なんて顔を赤らめた。
超久々に姉貴の生脚を拝見したわけだが、スラリと伸びたそれはいつものジーンズ姿からは想像もつかないほど華奢で、女って感じを漂わせてた。
考えてみると、姉貴もルーズソックスにセーラー服なんて高校時代が合ったはずなんだが、俺の記憶にはまったくそんな姿は刻まれてなかった。
大嫌いなはずの姉のスカート姿を食い入るように見つめ、勃起してしまう俺がいた。

俺のちょっぴりやらしい視線に気付いたのか、姉貴は「恥ずかしいから、あんまし見んなよな」なんて言いながらジーンズを穿こうとした。
俺は、「ちょ、ちょっと待って他にスカート持ってないの?」なんて言いながら姉貴がジーンズを穿くのを制した。
姉貴は俺の迫力に押されたのか、体勢を崩して尻もちをついてしまったのだが、その姿も萌えだった。
パンツは水色だった。

「もうひとつ買ってきたけど・・・そっちはまだ穿いてない」

パンツが見えてることはまったく気にしない様子だったけど、次の瞬間『しまった!』って感じの表情をした。
俺にもなんで姉貴が『しまった!』って感じの表情をしたのかが手に取るように分かった。
つまり姉貴は、今朝俺が言った、「たまにゃスカートでも穿いたら?」って言葉を素直に受け入れ、その日のうちにスカート買いに行っちゃったわけなんだ。

(俺の言うこと素直に聞いちゃうなんて結構可愛いとこあるなぁ)

って思ったんだけど、そこは突っ込んだら姉貴の機嫌を損ねると思ったので、「もうひとつのスカートも穿いて見せてよ」って俺はお願いしてみた。

「わ、わかった・・・」

そう言って俺の部屋を出ていくスカートを穿いている姉貴の後ろ姿は、どっからどう見ても“いい女”って匂いを醸し出していて、俺はたまらず姉貴の後を追いかけた。

久しぶりに姉貴の部屋なんて入ったんだけど、想像してたよりもずっと綺麗に片付いてた。
窓際に花なんて飾ってあって、部屋の空気が俺の部屋のそれとはまるで違ってた。
全体的に白を基調として統一されていた部屋の雰囲気は、俺に姉貴を“女”として意識させるのに十分すぎるほどだった。
しかも、姉貴は俺が後ろを追いかけてきたのに気付いてなかったのか、おもむろに黒のタイとミニを脱ぎ捨て、水色パンツ姿で買ってきたスカートの値札を外し始めた。
俺はそんな姉貴の姿をボ~と見てたんだけど、俺の気配に気付いた姉貴は、「キャッ!」なんて可愛らしい小さな悲鳴を発した後に女の子座りでペタンと座り込んでしまった。
値札を外そうとしてたもうひとつのスカートで水色パンツを隠そうと押さえ込んでる姿は激萌えだった。

「ノックくらいしなさいよー」

「ドア、開いてたってば」

なんて二言三言の言葉を交わしたんだけど、俺は気まずい雰囲気に耐えられなくなって、姉貴の部屋を出ていった。
部屋に戻った俺は、(なに姉貴のパンツ姿に興奮してんだよ。鎮まれ鎮まれ!)なんて暴走気味のチンポを説得した。
メスゴリラって感じにしか思えなかった姉貴にハァハァ感を憶えるなんて、俺にとっては信じられないことであって屈辱的ですらあった。

このときの心の葛藤は今となっては馬鹿みたいに思える。
よくよく考えたら、姉貴はルックス、スタイルともに抜群で、男にも女にもすげぇよくモテてた。
俺は小さい頃から何かと姉貴と比較してはダメな弟って感じで自分で思い込み、逆恨みみたいな感じで姉貴のことを憎んでた。
そんな姉貴を“女”として意識した時に、初めて姉貴の魅力に気付いた。
でも、それに気付いた自分を素直に受け入れることができなくて、俺はますます姉貴から遠ざかっていくのだった。

ますます俺は姉貴に対してよそよそしくなっていくんだけど、それに比例するように姉貴も俺に対して話しかけてこなくなってきた。
スカートの件でちょびっと俺たちの間に光が差したかにも思えたのに、素直じゃない馬鹿な俺が意地を張ったせい。
でも、姉に対して抱いていた劣等感みたいなのは俺の中で根強くて、卑屈になってたんだよね。
姉貴はやっぱりスカートを穿くなんてことはなくて、相変わらずあちこち破れてるジーンズにTシャツなんて格好のままに戻った。
たとえ一瞬とはいえ、どうしてスカートを穿いてみる気になんてなったのか、俺には不思議で仕方なかった。

そんなある日、俺は姉貴の部屋に英語の辞書かなんかを借りに行った。
借りに行ったって言うか、姉貴が留守だと知ってて忍び込んで勝手に持ってきたって感じ。
で、英語の宿題かなんかに使って元通りに部屋に返しに行ったんだけど、俺はそこであるものを目にする。
カレンダーに赤丸が付いてた。
まだ2週間くらい先だったんだけど、その月の末くらいに俺の誕生日があって、その日に赤丸付いてた。
俺たちは本当に仲が悪い姉弟だったんだけど、いや、実際は仲が悪いというわけではなくて、お互いに無関心不干渉で滅多に口も利かない姉弟って感じだったんだけど、なぜか毎年誕生日プレゼントだけはお互いにやりとりしてた。
そんな高価なものじゃないし、ここ近年は「ほらよっ」なんて感じでぶっきらぼうに投げ渡すって感じだったけど。

そのカレンダーの赤丸を見つけた日以来、俺の中で何かが変わってしまった。
なんだか姉貴が可愛くて仕方なくなってきた。
もちろん表立って態度に出すなんてことはしない。
けど、姉貴の帰りが遅かったりするとソワソワして落ち着かなくなったりして、なんの用事もないのに家の周りウロウロして姉貴の帰りを今か今かと待ってみたり、我ながら今思い返すと恥ずかしい。

そうして俺の誕生日を迎えるわけなんだけど、なんと誕生日プレゼントどころかカレンダーの赤丸は俺の誕生日の印なんかではなく、姉貴の短期留学の出発の日だった。
俺はまったく知らされてなくて、その当日も姉貴が出発した後に父ちゃんから事の経緯を聞かされたくらい。
俺は生まれて初めて姉貴の携帯に電話した。
番号登録してなくて、母ちゃんの会社にわざわざ電話して姉貴の携帯番号を聞き出した。
番号を押す指が震えていたのを今でもよく憶えている。
いったい電話して何を話せばいいのかなんてまったく分からなかったし、なんのために電話しようとしているのかすら自分でも分かっていなかった。
でも、なぜか姉貴にもう一生会えなくなってしまうような気がして、とにかく電話しなくちゃって思ったんだ。

「あ、ああ、お、俺だけど・・・」

「うん、どうしたの?珍しいじゃん電話してくるなんて、っていうか初めてか」

「あ、あのさ、留学なんて聞いてなかったんだけど・・・」

「あ、そうだっけ?お父さんからでも聞いてるのかと思ってたよ」

そんなぎこちない会話を交わした。
上手く話せなかった。
何を言おうとしていたのかもまったく分からなかったけど、とにかく上手く話せなくて残念だった。
最後に姉貴は、「今年は何にも準備してあげられなかったけど、誕生日おめでとう」って言ってくれた。

電話を切った後、居ても立ってもいられなくなって俺は原チャリに飛び乗った。
無免許だったけど、当時は結構乗り回していたので操作はお手のものだった。
幸い姉貴は空港そばのホテルで1泊して本格的な出発は次の日だったってこともあり、俺がいきなり姉貴に、「今、近くまで来てると思うんだけど、会おうよ」なんて夜9時過ぎに電話してもあんまり驚かなかった。
ホテルの名前と部屋番号を教えてくれたので俺は一心不乱に目指した。
ホテルに着いて、エレベーター待ってることもできなくて8階まで階段駆け上がったくらい。

姉貴は開口一番、「汗クサっ」って笑った。

俺がシャワー浴びてる間にルームサービスで軽い食事かなんか頼んでくれてたみたいで、俺は本来姉貴が使うはずのバスタオルを腰に巻いてムシャムシャと食い物にかじりついた。
姉貴の視線をひしひしと感じたけど、腹が減って仕方なかった。
なんてたって原チャリ4時間飛ばしてきたから。
とにかく姉貴に会いたかったんだよね。
俺のそんな気持ちを察してくれたのか、姉貴はすごく優しくてさ、メシに喰らいついてる俺の髪の毛を拭いてくれたりしちゃってて、なんだか恋人同士みたいだった。

俺はメシを食い終わった後に、ひと通りの自分の心境を説明した。
特に「姉ちゃんのこと、女として好きみたいなんだ!」なんてそんなことを告白したわけじゃないけど、どうしても留学前に会いたかったってことと、「本当はもっと仲良くしたいんだ、今までごめんね」ってことを強調した。
なんだか知らないけど、今までの自分をすごく反省して姉貴に謝らなくちゃって思ったんだよね。

その後、どうしてそういうことになっちゃったのかよく覚えてないんだけど、2人で裸で抱き合って寝た。
挿入一歩手前くらいまでお互いに愛撫しあった。

姉貴の留学中は何度も手紙を交換した。
『早く会いたい』とか『愛してる』とか、そんな恥ずかしい言葉を記したものが今でも押入れのどこかに眠っていると思う。
留学から帰ってきた姉貴には、今までとはまるで別人のように甘えまくった。
姉貴はそんな俺を受け入れてはくれたものの、最後の一線だけは踏み越えることは決して許してはくれなかった。

月日は流れ、俺も今年24歳になった。
もうだいぶ前から裸で抱き合うなんて関係からは遠ざかっている。
姉に対する特別な感情はすっかり鳴りをひそめ、今では普通の仲良し姉弟。
しかし、今秋姉貴が結婚することが決まってしまい、俺は少しだけガッカリ。
完全に他の男のものになってしまう前に一度だけでも姉貴と最後までしたいっていう感情が芽生え、姉貴にもそれを伝えた。
たぶん姉貴は受け入れてくれると思う。