可愛いと評判で、当時大人気だったアイドルにちょっと似てた。
抜けるように色白で、黒目がちのちょっと潤んだ目をしていて、それでいてちょっとエッチな感じがする。
俺は一発で惚れてしまった。
しかし縁もないまま時は過ぎた。
ただ俺もバンドやってて目立つほうだったので、彼女が俺のことを知っているのは人から聞いてた。
そして3年、とうとう彼女と同じクラスになった。
俺は友達からはじめようと彼女に接近した。
彼女も満更ではないようで次第に仲良くなり、周りから冷やかされるくらいになった。
しかし・・・。
あろうことか親友が俺に言ってきた。
「Y子のことが好きなんだ。お前、仲いいだろう?紹介してくれよ」
冗談じゃないと思ったが、俺はY子といい感じだと、根拠もなく自信を持ってしまっていた。
紹介したからといって、取られるわけじゃあるまい。
若気の至りのアホな選択。
諸兄の予想通り、2人は付き合うことになってしまった。
俺は彼女への思いを秘めたまま、親友の彼女として接し続け、そして卒業。
親友と彼女は地元に残り、俺は遠くの街の大学へ進学した。
大学へ進学して彼女ができた。
しかし俺が本当に好きなのはY子なのは自分でわかってた。
そして夏休み、地元へ帰り同窓会の知らせが届いた。
(Y子は来るだろうか・・・)
同窓会へ顔を出したが彼女の姿はなかった。
彼女と仲の良かったA美に聞くと・・・。
「来ないかもよー?こないだ、O君(親友)と別れたって落ち込んでたから」
結局、来なかった。
A美が、「電話したげて。慰めてやってよ」と彼女の携帯を教えてくれた。
(なんで俺に?)
そう思い、2、3日は電話できなかった。
しかし意を決して電話してみた。
「はい」
半年ぶりに聞く彼女の綺麗な声・・・。
何も言えずにいると・・・。
「・・・S(俺)くん?」
「あ、うん。そう。なんでわかった?」
「A美が電話くれるって言ってたから・・・」
取り留めない話をした。
「彼女できたんだってー?」
(A美の奴、余計なことまで・・・)
なんだかんだで会うことになった。
2人で同窓会をやろうと。
久しぶりに会う彼女はまた一段と綺麗になっていた。
俺は上機嫌になり、未成年のくせいに酒のピッチが進む。
彼女も俺に合わせて飲んで頬が赤く染まってきた。
いい調子になった俺は、これまで避けてきた話題を振った。
「Oと別れたんだって?」
「・・・うん」
それから彼女は泣き出して、愚痴やらなんやら小一時間。
そして目が据わってきた頃、涙はすっかり止まっていた。
「だいたい、Sくんが悪いんだからねー」
「・・・は?」
「人を友だちに売るようなマネしてさー。傷ついたんだよ、私!」
「ど・・・どういう意味?」
「ふん、馬鹿。それで自分はちゃっかり彼女を作って・・・ひどいよ」
彼女はまた泣き出した。
店を出ると俺は彼女の肩に手をまわした。
彼女も俺に寄り添ってきた。
(いける・・・!)
俺はラブホ街の方へ行き、一軒のホテル入り口の前で彼女の顔を覗き込んだ。
「ん?」
彼女はこくんと頷いた。
申し訳ないが少し割愛させてもらう。
結果から言うと、ラブホに入ったが出来なかった。
裸で抱き合ってキスもその先もしたが、立たなかったのだ。
飲みすぎたせいだ・・・。
その後、彼女に連絡をしても、「・・・もうかけてこないほうがいいよ。彼女さんに悪いし」との返事。
俺は大きな忘れ物をしたような気持ちで大学の街へ帰った。
しばらく経った頃、思いがけない電話が入った。
彼女の番号だった。
「もしもし?今何してるの?」
(・・・は?)
「へへ。じつは今、◯◯(俺のいる街)に来てるんだよね。会える?」
(もちろん!)
俺は買ったばかりの車(中古だけど)を駅へ走らせた。
彼女との再会。
彼女の方から俺に会いに来てくれ。
俺は有頂天になり、街を案内した。
夜になり、「海が見たい」という彼女の希望で観光スポットである砂浜へ行った。
夜ともなると人の影はほとんどない。
自然に後ろから彼女を抱き締め、彼女の顔を引き寄せる。
唇が触れ合う瞬間、彼女が呟いた。
「ねえ、今日は最後までしてね。そのために来たの、私・・・」
夢中で彼女を抱き締めてキスをした。
舌を絡めた。
足を割り入れ、ミニスカートの奥の温かい部分に太ももを擦りつけた。
ほとんど口を離さないまま胸を弄る。
Tシャツをたくし上げる。
もう興奮しすぎて訳が分からなかった。
人目が全くないわけでもないのに、とうとう彼女を後ろから犯した。
彼女はただ息を荒げるだけで声を押し殺していた。
ゴムなど付ける暇もなく、刹那の彼女の「外に!」の声で危うく我を取り戻し、引き抜いた。
その後、もう一度ホテルで、今度はゆっくりと彼女を味わった。
「俺さ・・・彼女と別れるから・・・」
しかし彼女は、「だめ」と言った。
「あのね・・・好きな人ができそうなの。それでね、前から好きだったあなたと中途半端にしたくなかったの。だから来たの。・・・だから、これで・・・ね」
俺はただ呆然とその言葉を聞くしかなかった。
俺はどうすればよかったのだろう?
付き合ってた子とは結局、すぐ別れた。
彼女が俺と決別するためにしたことは、俺にとって彼女をより強く愛してしまう結果となったから。
しかし彼女とはそれきり・・・。
俺が次に人を好きになるのは、それから2年後のことだ。