仕草も可愛く、部署内ではちょっとしたアイドル的存在だ。
営業車が故障のために、急遽俺の車で出ることになった。
東京から3時間もかかる営業先だったので、車中では色々と話をした。
その中で、オフ会の話やバイブが当たったことなどを面白おかしく話した。
話のノリで、「バイブあげるね」と言って渡そうとした。
すると・・・。
「こんなの使わないですよー。私1人でしないしーw」
大笑いされて丁重に(?)断られた。
楽しい時間は過ぎ、営業も無事終わって会社駐車場に着いた。
アユミは個人の荷物を自分の車に仕舞おうと、軽の可愛らしい車のドアを開けたその時、袋入りのバイブを放り込んだ。
俺はアユミの車のドアを閉めると、わざと慌てさせて会社に戻らせた。
「も~、あんなの入れないでくださいよ~w私、本当に使いませんからね~w」
アユミが笑いながら言った。
その後は溜まってた仕事で俺もアユミも大忙し。
バイブのことなど忘れて、てんやわんやだった。
それから2週間が過ぎたある日。
(あのバイブ、どうしただろうか・・・?)
休憩中、たまたまアユミと2人きりになったタイミングで聞いてみた。
想像通りの答えが返ってきた。
「え~、あ~、そんなのありましたねー。忘れてましたよー。私、本当に使わないので処分しちゃいますねー」
明るい笑顔でアユミはそう言った。
俺はここでカマをかけてみた。
「あ~実はね、あれさ~、俺のスマホと連動しててね、電源を入れると俺のアプリに稼働時間がGPSで全部記録されるんだよね~w」
もちろん嘘だ。
そんなアプリは(たぶん)ない。
するとアユミは耳たぶまで真っ赤にして言った。
「酷い!!!何それ!!!騙したの?」
目に涙を溜め、悲痛の表情で俺を睨んできたので、さすがに俺も焦った。
まさかと思ったが、マジで使いまくってるみたいw
俺も意地悪なので、さらにカマをかけた。
「結構使ったよね~。アユミちゃん、俺、毎日チェックしてたからね~」
アユミが必死に弁明する。
「そんな・・・、違います。興味本位で電源入れてただけです!」
俺は嬉しくなってきた。
「そうなんだね~。それにしても長い時間だったよね~。強弱調整もアプリにしっかり記録されてるんだよね~。あれ、じつは小型マイクも入っててさ、声も拾っちゃうんだよね~」(←大嘘)
とうとうアユミは泣き出した。
「酷い・・・酷い・・・そんな声を聞くなんて・・・誰にも聞かれたくない声なのに・・・私だって1人で疲れて帰ったら・・・女の子だもん・・・仕方ないでしょ・・・」
(この子、どんどんバラしてくれるw)
どうやらあの後、帰ってすぐに開封したらしい。
最初は興味本位のつもりで本当にちょっとのつもりが、使ってみたら気持ちよくてどっぷりハマったみたいだ。
以来、帰ってから日課のように愛用してるようだ。
ここでネタばらし。
そんなアプリなんてないし、バイブにもそんな細工はない。
それを聞いたアユミは鬼のような形相になり、俺は強烈なビンタを喰らった。
当たり前だが、それから二度と口を利いてくれなくなった。