「嘘だ・・・彼女・・・は?」
「あんなの嘘さ。いるわけねえよ。俺には・・・」
腕の力を少し緩めて顔を覗き込む。
「・・・ずっとお前がいた」
生まれて二度目のキスをした。
あの時とは違う。
もう理性なんて遠くの彼方に押しやっていた。
想いが溢れてくる。
どこをどうしたなんて覚えでない。
ただ溢れてくるものに正直に身を任せた。
春香も同じだった。
どれくらい経ったろう。
俺たちはもう止まらない。
セックスってのが何かって聞かれたら、俺たちが今してるのがセックスだ。
ただ抱き合ってるだけなのに限りなく満たされて、限りなく欲情してる。
唇を重ねるだけで俺たちの想いは果てしなく通じ合う。
畳にそのまま春香を押し倒す。
一度離れて顔を確かめる。
右手で春香の頬に触れてみる。
(本物だ)
感触がそう言っている。
再び唇の感触を貪った。
服の上から胸を触る。
もう春香に震えはなかった。
俺の理性の制止もなかった。
あっても、そんなものはクソ食らえだ。
春香が愛しい。
人はそれだけで、こんなにも強く、傲慢になれるものなのか。
ぎこちない手つきで服を脱がす。
まるで初めてもらった誕生日プレゼントを開けるときみたいだった。
ドキドキしてワクワクして。
ひとつ違うのは・・・ただプレゼントじゃ、俺のナニはここまでにならない。
春香が下着だけになる。
奇麗だ。
いつもの可愛いではなく、奇麗。
春香の肌はスベスベしている。
触ってるだけでイッてしまいそうになるのは、俺が初めてだからか?
しばらくその感触を楽しんだ。
「ん・・・」
春香から声が漏れた。
くすぐったそうにも見えたが、俺の感情を煽るには十分過ぎる。
ブラをはずそうとする。
上手くはずれない。
春香の背中をただ弄っているだけ。
俺が焦りだした頃、春香が上半身を起こして俺を見下ろす形になった。
春香と目が合う。
頬が赤らんでいた。
春香が自分でブラを外す。
恥ずかしそうだなと察すると同時に、妙にサディスティックな感情が芽生える。
下から見上げる俺の視線に、一層恥ずかしそうに顔を赤くする春香。
思いっきりその眺めを楽しんだ。
春香は胸を隠しながらブラを脱ぐ。
恥ずかしいのだろうが、その仕草が俺の欲情を一層煽った。
昔見たAVにこんなシーンがあった気がする。
でも、これは演技じゃない。
女は本能で男を焦らし、煽る仕草を知っているのか?
俺も上半身を起こし、春香を抱き寄せながらキスをする。
緊張を解いてやろうと、相手を思いやるキスだ。
胸を隠す春香の手が緩む。
春香の手首を掴んで少しずつどかしていくと、春香の胸が現れた。
小さく可愛い乳首があった。
柔らかい胸の感触を直に楽しむ。
それだけでも感動なのに、俺はその先端へと手を進める。
優しく触れる。
春香が緊張しているのは十分伝わってきていたが、かまわずに摘まんでみた。
ビクッとする反応が面白かった。
また帰ってくるよと、そう囁くような軽いキスをして、俺は頭を胸へ移動する。
舌で転がして頬で胸の柔らかさを満喫する。
谷間に顔を埋めた俺の頭を春香の華奢な両腕が優しく包んできた。
気持ちいいだけじゃない。
気の遠くなるほど安らかな気持ちになれた。
けれど俺の欲望が更なる欲望に俺を駆り立てる。
そこに留まることを許さない。
胸を愛撫しながら次第に右手は彼女の内股を弄っている。
そして下着越しに、春香の大事な部分を触った。
春香の体が強ばって、ただでさえ恐る恐る開かれていた腿が固く閉ざされた。
春香を見つめる。
目が合う。
言葉はいらなかった。
春香は、俺の顔を確かめるとだんだん力を抜いた。
その瞳が俺を捕らえて離さなかった。
見守っててやるから安心しろと俺は心の中で呟く。
言葉にしなくても伝わっていると確信できる何かがあった。
だんだんと開いていく腿の間に右手を滑り込ませ、改めて触る。
春香の顔が一層赤くなり、恥じらいの表情になる。
目を伏せたその表情が妙に色っぽかった。
濡れていた。
下着に染みていた。
嬉しかった。
俺はキスをする。
キスで嬉しさを伝えようとする。
春香もそれを一生懸命受け止める。
俺は下着の中に手を入れた。
濡れが一層実感できた。
温かい。
指に優しくまとわりついてくる。
割れ目に沿って指でなぞった。
感じているというより、くすぐったそうだ。
でも必死で耐えている。
その姿がいじらしい。
俺はキスをしながら春香を横たわらせると、自分の身体を春香の足の方にずらして、最後の1枚を脱がしにかかった。
まだ誰にも見せたことのないであろう、春香のアノ部分を、今見ようとしている。
胸が高鳴る。
ゆっくりゆっくりと脱がしていく。
脱がした。
そして・・・ゆっくりと足を開いていく。
春香の膝に乗せた自分の手に力が入りそうになる。
けれど、春香を思いやる気持ちが必死に焦る自分を抑えようとする。
春香の中で決心つくのを待っていてやりたいからだ。
少しずつだが力が抜けてくるのがわかる。
(まだか・・・もう少し・・・もう少し・・・見えた)
今思うと滑稽な姿だ。
食い入る俺を春香はどう見ていたのだろう?
顔を近づけながら春香の表情が視界の隅にチラリと見えた。
顔を真っ赤にして半分を手で覆っている。
けど、今の俺はそれどころではなかった。
間近で見た。
毛は思ったより薄かった。
ピンクみたいだった。
溢れる雫を一滴残らずこぼさぬかのように舐め始めた。
ドキドキした。
春香が思わず声を出す。
身体が強ばり、腰が逃げようとする。
柔らかい春香のお尻に俺の指を食い込ませ、逃がさない。
春香はすすり泣く。
でも俺はやめない。
春香の手が俺の髪の毛を掻き毟る。
でも止まらない。
俺は貪る。
何か今までずっと大事にしてきた物を壊したくなるような、そんなドス黒い感情が俺の中で渦巻きはじめてた。
「イヤ!!・・・」
その声が俺を正気に引き戻してくれた。
我に返って春香の顔を見る。
泣いていた。
今まであんなに大事にしていた春香が泣いていた。
「ご、ごめんな。春香。あの・・・俺さ・・・」
今思い出しても情けない声だった。
あの時、どんな顔してたか考えたくもない。
今すぐ果ててしまいそうなくらいだった俺のナニも萎えてくるのがわかった。
自己嫌悪の念が俺の中で暴れる。
「・・・初めてなんだから・・・」
消え入りそうな声が聞こえた。
狂ったような喜びが俺をぶち壊すのではないかと思った。
もちろん初めてじゃなくったって、俺は春香を受け止め、愛するだけの覚悟があった。
春香が自分の意志で選んだことなのだから、そりゃ多少の嫉妬はあっても、男なら受け止めてやるくらいの器がなくてはと思っていた。
その上での出来事であったが、やはり嬉しかった。
たまらなかった。
春香を抱き締めて謝った。
俺も初めてなんだと伝えた。
少しビックリしていたが、俺の正直な告白は誠実な気持ちを伝えてくれたらしい。
「お前が愛しくて愛しくてたまらなかったことだけはわかってくれ」
春香の涙を優しく拭ってやる。
ありきたりだけど目尻に優しくキスした。
「・・・うん。・・・わかってたよーだ」
そう言って抱きついてきた。
たまんねえと思った。
今思い出しても愛しくなる。
可愛くてたまらなかった。
もう一度、今度こそ優しく愛撫する。
ありったけの想いを込めて愛撫する。
春香も少しずつだが、“感じる”という感覚を覚えはじめてきたらしい。
勉強熱心な子だからな、春香は。
頭もいい。
すぐ適応できる。
先ほどくらいに濡れてきた頃、ついに俺のアレをあてがった。
途端に強張ったのがわかる。
しばらく入り口の辺りに擦り付けるだけにする。
それだけでイッてしまいそうだった。
「恐いか?」
「・・・うん・・・でもね、嫌なんじゃないんだよ。あのね・・・」
「わかってる」
言葉にしなくても伝わる想い。
あの時は確かに感じた。
初めての出血に備えて、春香の腰の下にタオルを敷くことにした。
ちょうどすぐそばに春香が畳んだタオルがあった。
俺だって不安だった。
なんだかんだ言っても初めてだから。
でも、それ以上に女の春香のほうが不安だろうと思った。
そう思ったら、兄貴としての義務感みたいな気持ちが出てきた。
いや、それは、男として愛しい女を守りたいって気持ちなのかもしれない。
もしかしたら両方なのか、俺にはわからないが、とにかくあのときは必死だった。
挿入しようと力を込める。
少しずつ入り口のありかを探りながら力を込める。
(ここか?)
春香の方にも反応があった。
俺はゆっくり進み始めた。
春香の顔が苦痛に歪む。
どうやら一発でビンゴだったらしい。
そのまま少しずつ進もうとしたが、苦しそうな春香に見かねて一気にやることにする。
「いくぜ」
春香の腕に力がこもった。
それが答えだ。
俺は一気に挿入した。
春香の必死に押し殺して叫ぶ声が聞こえた。
俺は春香が慣れるまで、しばらく動かない。
苦悶の表情が少しだけ和らぐと春香の目線が俺を探しはじめる。
ここだよと言う代わりに軽くキスをした。
春香は泣いていた。
その涙の意味はお互いに理解していた。
深くキスをした。
幸せだった。
お互いの手を握り締める。
こういう行為は知っていたが自分たちも自然にそうしていた。
そのままどのくらい経ったろう?
ずっとこのままでもいいと思った。
でも、俺が耐えられそうになくなってきた。
春香が締め付けに俺は必死でイクのを抑えてるが、もう限界が近い。
上体をあげて春香の表情を見ると、前よりだいぶ痛みが和らいでいるようだ。
春香も察したらしい。
軽く膝を上げて受け止める準備をする。
俺は少しずつ動き始めた。
春香はまだ感じるのは無理らしく、痛さをこらえるので精一杯のようだった。
でも、俺を心配させまいと必死で耐えている、その姿が無性に愛しかった。
間もなく俺は果てた。
少し中で出してしまったが、すぐに抜いてお腹の辺りに残りを出した。
(後で聞くと安全日ぽかったらしい)
お互い上気している顔を見つめ合って深いキスをした。
ティッシュで拭ってやりながらも、ずっとキスをしていた。
親には、オレの家に寄った春香が疲れて寝ちまったから今日は泊めると電話した。
そのときも俺たちは裸で抱き合っていた。
その夜、俺たちは何度も求め合った。
そしてその後、ものすごい幸福感の中で、俺たちは眠りに就いた。
結局、春香は俺の大学と近い大学に進学した。
家から通っているが、ときどき俺の家に泊まっていく。
後悔なんかしていない。
春香もそうだ。
前までの、春香から逃げようとしていた俺はもういない。
今は春香を支えられる男になろうと頑張っている。