久しぶりに会ったのに彼女は全然変わっていなかった。
彼女の髪が伸びているのが時間の経過を物語っていたが、はにかみ弾けるような笑顔も、華奢で抱き心地の良さそうな身体も、そのままだった。
見ているだけで触れたくなる女というのが存在するとして、彼女はまさにそのタイプだった。
PCMAX
彼女とは大学のサークルで知り合い、キスまでしたが、結局お互い別な相手と付き合い、卒業してしまった。

イベント好きなやつらがBBQを企画し、社会人初のお盆休みを懐かしい仲間達とバカ騒ぎすることにしたが、当然彼女も来るだろうという期待もあった。
さらに言えば自分同様にフリーになっていることも期待していた。
彼女は僕の顔を見ると、少し寂しげに微笑んだあと、いつもの朗らかな笑顔にすぐ戻った。
他の女そっちのけでわらわらと彼女に男どもが群がる。
僕は炭火を担当しながら、聞いてないふりで耳をそばだてる。

「さなえちゃん、あいつとはまだ続いてんの?」

「うん、細々とね」

「かーっちくしょー!羨ましいねぇ~。別れたら次俺ね、待ってるから」

「失礼なこと言うな、俺だよな、俺」

「お前ら引っ込んでろ。最初に待ってたのは俺なんだから。な?な?」

彼女は面白そうにあははと全部笑い飛ばした。
そうして会話に混ざって来ない僕にちらっとだけ視線を投げた。

帰りは女の子を駅まで送ってやるのがサークルの飲み会ルールだった。
早い者勝ちではなくクジ引き。
僕は盛大に冷やかされながら彼女を送る権利を得た。
つつっと大人しく横に並んで歩く彼女とようやくまともに話ができるというのに、何から話せばいいのか戸惑ってしまう。

「・・・まだ付き合ってんのか?」

結局は他の男たちと変わらないことを聞いてしまう。
彼女は伏目がちに俯いて、「うん」とだけ言って黙ってしまう。
完全に失敗したと思って頭をかいていると、そっと柔らかい手が指に触れた。
考える間もなく、僕は彼女の手を強く握っていた。
心臓が早鳴る。
彼女は黙ったまま寄り添うように腕へと近づいてきた。

いつもそうだった。
彼女は僕と2人きりになる時だけはいつも、照れたようにしながらも近くにいた。
こいつは俺のことが好きなんだと、僕は思っていた。
それがいきなり知らない奴と付き合いだし、僕もちょうど言い寄ってきた女と付き合った。
微妙で甘酸っぱい関係だった頃を思い出し、頬が熱くなる。
しかし駅が見えてくる頃には諦めの気持ちが強くなっていた。

(彼女には彼氏がいる。きっとこのあと男の部屋に行ってやりまくるんだろう)

そう思うと繋いだ手に苛立ちを覚えた。

ビールの酔いが残っているので駅のエレベーターを探して乗った。
密閉された空間に2人きりになったのがいけなかったのだろう、どちらからともなくキスをした。
壁にもたれて彼女を抱き寄せ、髪を弄る。

「・・・帰んの?」

短いつぶやきに彼女は答えてこない。

「どっか行こっか?」

こんな簡単な誘いに乗るような軽い女をどこか軽蔑していた。
だが惚れた相手なら、一度手に入れ損ねた女が顔を真っ赤にして頷くのは悪くなかった。
ホテルの部屋に入ってからもう一度抱き締めると、泣きそうな声で名を呼ばれた。

「いいんだな?途中でやめたりなんか出来ないからな」

「うん・・・」

くすぶっていた想いが再燃しただけだろうが、彼女の肌には抗いがたい魅力がある。
そう認めざるを得なかった。
男がいる女なんか抱く気になるもんなのか。
冷めた思いとは裏腹に、僕は吸い寄せられるように唇を奪い、服の上から胸を弄りだす。
感度の良さそうな声をあげ、ふんわりとした髪の毛を揺らし悶える彼女。
夢に描いたこともある彼女の媚態に胸の奥から甘く切ない感情が湧き上がる。
処女ではない慣れた仕草で服を脱がされていく様子がキリキリと胸をえぐる。

(あの頃、もっと強く押していれば俺の女になっていたのか?)

黒く疼く心を隠して、ブラとショーツだけになった彼女を広いベッドの真ん中に座らせる。

「脱げよ」

小さく震えながらブラのホックを外し背を向けてサイドテーブルの上に置く。
背を向けたまま脱いだショーツは見えないようにブラの下に隠した。
そしてじっと僕の視線に肌を晒す。
浮気などという軽い気持ちでここまで出来るものではない。
彼女は僕の女になろうとしている。
目眩がするような高揚感にゾクリと背が震えた。

明かりを消してから服を脱ぎ捨て、お互いの熱い肌を確かめ合った。
だが、愛撫するたびに憎らしくなる。
この乳首も尻もクリも、もう違う男に弄られてしまったのだと思うと、せっかく抱けたのに優しくする気になれない。
強めに弄って、それでも抵抗してこない彼女に苛立ちさえする。

ひと通り前戯をすませると、少々乱暴にうつ伏せで寝かせ、腰を突き出させてバックから挿入した。
愛液が絡まりまとわりつきながらも、キツく押し戻そうと膣が蠢く。
気にせず一気に奥まで貫くと、高い喘ぎが短く響いた。
ゆっくりと掻きまわし、逃げるように震える腰を引き寄せる。

「男がいんのにこんなことされて、そんなに俺のこと好きなの?」

愛しいはずなのに虐めたくてしょうがない。
あの時、自分を選ばなかった彼女の心に傷をつけたかった。
そんなことには気づかずに彼女は熱に浮かされたようにかすれた声を出す。

「・・・うん・・・」

その素直さにいっそう嗜虐心が掻き立てられる。
馴染んだように蠢く膣からひき抜いていくと、ぬりゅっとした感触が名残惜しい。

「あ・・・やめないで・・・やだ・・・」

「どうして欲しいんだ?」

にやにやと嬉しそうな顔つきで彼女の横顔を覗き込む。
目に涙を滲ませて羞恥に頬を染めながらも僕を求めて口走る。

「・・・入れて・・・入れてぇ・・・いっぱいして・・・」

おねだりさせても気が済まない。

「淫乱だなあ。じゃあ、『さなえは淫乱です』って言えよ。言ってる間だけ入れてやるよ」

亀頭だけを擦りつけて指でクリをいじめると、彼女はぶるぶると肩を震わせた。
それでも身体の疼きには勝てないのだろう、ぎゅっと目を瞑って口を開く。

「・・・い、淫乱です・・・さなえは淫乱です・・・はあぅっ」

約束通りに僕はズブズブと蜜で溢れ返る卑猥な穴にねじ込んでいく。

「ああっ・・・い・・・うく、んああっ」

痺れるような快楽の太さに彼女の背がよじれて言葉が途切れる。

「ほら続けて。淫乱ですって言わないとまた抜くぞ」

「あく・・・い、淫乱です・・・淫乱です・・・い、いいっ、イッちゃう、イッちゃうよぉ・・・」

子猫のように背を仰け反らせて悦楽の叫びをあげる彼女。
僕は黙って腰を揺さぶり続けていたが、ふと思いついて彼女を冷たく見据えて言い放った。

「『好き』って言えよ」

汗が彼女を濡らしていく。
我を忘れたかのように何の躊躇も見せずに、彼女は僕の名前を呼びながらまた絶頂に達した。

「好きぃ・・・好き・・・好き・・・イクぅイクっ・・・好き・・・!」

「お前はほんと淫乱だな・・・」

悔しい気持ちが収まらない。
僕のことが好きなら、なぜ男と別れないんだ。
身勝手な女だ。
クリを強くねじりあげる。

「っ!!いやああ!・・・許して・・・」

彼女が達した後も、なお腰を打ちつけ続ける。
強く、激しく、この上なく卑猥に。

「壊れちゃ・・・ああっ、もう許して・・・」

「許すわけないじゃん、壊してーんだよ。俺のもんじゃないからいいよな?」

静かな怒りが彼女に伝わったのか、恐怖の色を滲ませて僕を見る。

「・・・ごめんなさい、ごめんなさ・・・あああん!」

「何に謝ってんの?だいたいお前だけ満足してどうすんだよ、俺にも満足させろよ」

尻の穴に指を引っ掛けて彼女の締まりを強くさせる。

「そこいや・・・だめぇ・・・」

泣きながら懇願するのをはねのけるように冷たい声を出す。

「嫌ならきちっと締めろよ。締め方くらいわかるだろ、処女じゃないんだからさ」

言い終わらぬうちに、ぎゅむっと膣が締まる。

「そうそう、わかってんじゃん、っと」

覆いかぶさるように体重をかけてベッドに手をつき、容赦なくピストンする。
粘つく音が派手に響き、息も荒くなるが、構わずに最奥を何度も突く。
彼女は涙を流して痛さに喘いで、あるいは悦んでいる。
どっちでも構わなかった。
どうせ俺のものにはならないんだから。

「ほら、言えって!淫乱女!」

めちゃくちゃにしてから投げ捨ててやる。
凶暴な僕に幻滅させて、それで終わりにしてやる。
一度きりの関係なんてありがた迷惑だ。

「好き・・・大好き・・・」

彼女の口からは、もう僕の名前と「好き」しか出てこない。
ますます胸が締め付けられていく。
嫌われたかったはずなのに、違う展開になっていって困惑するばかりだ。
なのに身体は素直に喜んで大量の白濁を彼女の中にぶちまけようとスタンバイしてくる。
腰の動きが止まらず、快楽を求めて激しく彼女を責め立てる。
乱暴なまでに湧き上がる欲望の渦に僕はなぜか無理やり抗った。

「・・・ばかやろー!」

そう叫んで爆発の直前に引っこ抜いた。
ビクビク震える彼女の白い尻や背中に撒き散らす。
ぐったりとうつ伏せにベッドに沈む彼女は肌を火照らせてハァハァと荒く息をついている。

「・・・舐めろよ」

まだ責め足りない。
今さらながら自分に身体を許した彼女をどうしても許せない。
ふらつきながら彼女が僕の下半身に身体を近づける。
頬を染めて舌を突き出し、精液がこぼれ落ちる男根を舐めようとする。
震える舌先が白濁を舐め取る寸前、僕は彼女をきつく抱き締めていた。

「何やってんだよ、お前・・・」

理解できない。
自分のことも、彼女のことも。

「そこまで・・・なんなんだよ・・・」

彼女は行為の最中から言い続けている言葉を繰り返す。

「・・・好き・・・」

抱き締めながら唇を噛み締めて言葉の意味を考えるが、何もわからない。

「なんなんだよ・・・」

彼女は目を瞑って泣いていた。

「好きです・・・」

「わかったよ・・・」

僕もなぜだか涙がこぼれそうになる。
見つからぬように腕で目を擦って誤魔化し、強く抱き締める。

「・・・俺もだよ・・・好きだ」

ここからどうするつもりなんだと理性が呟く。
だが、今はどうでもよかった。
彼女の望みはなんなのだろうか。
それは僕の望みと相容れるものなのだろうか。
どちらかが次の言葉を口にするまで、僕はさなえをぎゅっと抱いたまま確かな幸福の中にいた。