高校の卒業旅行に、みんなで温泉に泊まりに行った時の話。
みんなクラスメート。
男は、俺(圭介)、卓哉、浩の3人。
女は、亜也、美樹、真紀子の3人。
この6人で旅行に行くことになってた。
ただ、真紀子が急用ができたと言ってドタキャンしてきたので、結局、男3人、女2人の5人で行くことになった。

俺は亜也さえいるなら他はどうでもよかった。
俺はずっと亜也のことが好きだった。
しかし俺は今まで思いを告げられずにいた。
幸い、亜也には今、彼氏はいないらしい。
この卒業旅行は俺にとって最後の機会。
俺はこの旅行中に亜也に告白する決心をしていた。

温泉には浩の車(ステップワゴン)で行った。
俺は浩とは特に仲が良く、2人で遊ぶことも多い。
亜也のことを相談したことも何度もあった。
すごくいい奴だ。
卓哉は友達だけど、あまり好きではない。
いつも人を小馬鹿にしたり見下した態度をとってくる奴だ。
卓哉は浩と仲がいいので一緒に遊んでるという感じだ。
ちなみに女にモテる。

美樹は亜也や真紀子とは親友で、いつも3人でいる。
美樹とは部活が一緒で仲がいい。
顔は黒木メイサっぽい。
ドタキャンした真紀子は女子柔道部の副主将をやっていて、男子からは「メスゴリラ」と呼ばれている(もちろん誰も面と向かっては言えない)。
亜也は俺の好きな女の子。
顔は井上真央に似てる。
いつも男からチヤホヤされてる。
俺とは席が隣でよく話す。

部屋は男の部屋と女の部屋、2部屋取った。
日中は部屋に荷物を置いて車で色んな所を見て回った。
あまり見る所はなかったが、神社に行ったり、有名な滝を見に行ったりした。
亜也と2人だったら最高だったのに。
浩と美樹は常に2人でいて、恋人みたい感じに見える。
付き合ってるんだろうか?
そんな感じに見える。
俺は亜也と卓哉と3人でいた。
常に2グループに分かれてるという感じだ。
卓哉がすごく邪魔だ。

俺が亜也のことが好きだってことは知ってるだろ。
ちょっとは気を利かせろよ。
それにお前、彼女いるって言ってただろ。
彼女を置いて来るなよ!

そして夜になり、夕食を食べ終わり温泉に入った。
部屋事に小さな露天風呂が付いてる仕様だ。
男3人で入った。
しばらくして隣から亜也と美樹の話し声が聞こえてきた。
向こうも風呂に入ってるようだ。

今、亜也は何も着ていない・・・。
壁さえなければ夢にまで見た亜也の裸が・・・。

興奮して勃起しそうになった。

風呂から上がって、男の部屋に女子も来て、みんなで酒を飲んだ。
しばらくして浩と美樹が部屋の外に出ていった。
やっぱり2人はできてるみたい。
しかし誰も突っ込まない。
部屋では俺と亜也と卓哉の3人が酒を飲みながら話していた。
卓哉が邪魔だ。
お前もどっか行けよ!

しばらくして俺の携帯がないことに気付いた。
あっちこっち探したがどこにもない。
卓哉にかけてもらったが鳴らない。

「ヤバい・・・落としたのかな?」

俺が焦っていると、「車に置いてきたんじゃない?」と亜也に言われた。

俺はテーブルに置いてあった浩のカギを持って車へ向かった。
車の中に携帯があったのでホッとした。
しかし、俺が部屋に戻ると亜也と卓哉は消えていた。
女子の部屋に行ったが誰もいない。
電話をかけたが、みんな部屋に携帯を置いたままだ。

(いったいどこに行ったんだ?)

1時間待ったが誰も戻ってこない。
もう夜11時を過ぎてる。
旅館の人に聞いてみたが、「わからない」と言われた。
車が置きっぱなしなので遠くには行ってないはず。
そう思い、外に出て近場を探したが見つからない。
諦めて旅館に戻った頃、もう1時を過ぎていた。

(何なんだよこれ・・・卓哉の奴、ふざけやがって・・・)

2時、3時、4時・・・。
まだ誰も戻ってこない。
1人きりの部屋で時間だけが過ぎてゆく。
結局、朝まで誰も戻ってこなかった。
4人が帰ってきたのは朝10時過ぎだった。
みんな一緒に帰ってきた。

「お前ら、どこに行ってたんだよ?」

俺がそう聞くと・・・。
浩と美樹は道に迷っていた。
卓哉と亜也は、浩と美樹を探しに行った。
卓哉と亜也も道に迷った。
みんなで道に迷って一晩中歩いていた。
そしてついさっき、外で会った。
こんなバレバレの嘘をつかれた。

亜也と美樹は疲れたから寝ると言って部屋に戻った。
卓哉と浩も寝ると言いだした。
みんな寝ちゃった・・・。
最悪な気分。
こいつら、俺を置き去りにして、どこに行ってたんだ?
俺も一晩中寝てなかったが、とても寝れる気分じゃない。

浩と美樹はどうでもいい。
亜也は何してたんだ?
卓哉と2人きりだったのか?
それとも4人でずっと一緒にいたんだろうか?

気になってしょうがない。
悶々と1人だけ起きて、テレビを見たりモバゲーで遊んだりしてた。

夕方5時過ぎ。
俺は1人で風呂に入った。
風呂からあがると卓哉と浩は起きていた。
2人に昨夜のことを問い詰めるが、「本当だって」って同じことを言われる。
聞いても無駄だと思った。

夕食を食べた後、睡魔が襲ってきた。
昨日の朝からずっと寝てない、眠くて当然だ、ちょっとだけ寝よう。
俺は携帯のアラームを1時間後にセットして仮眠した。

アラームで目を覚ますと2人の姿は消えていた。
亜也達の部屋に行ってみたがカギがかかっている。
亜也に電話をかけたが出ない。
しかしすぐに亜也から電話がかかってきて、部屋で寝てたと言われた。
浩と卓哉がどこに行ったか知らないかと聞いたら、知らないと言われた。
美樹も部屋で寝ていると。
亜也と美樹は部屋に戻って少しだけ寝て、昼過ぎから2人で買い物に行ってたからあまり寝てないって、だから今日はもう寝るって。

まただよ・・・。
浩と卓哉は携帯置いたままどっかに行った。
亜也と美樹は寝るって。
みんなで旅行に来たのになんか俺ずっと1人じゃないか?
亜也に告白するつもりだったのに、旅行中ずっとモバゲーをやってる気がする・・・。
旅行は3泊4日。
告白するチャンスは明日しかない。
そして時間は夜10時過ぎ、2人はまだ戻ってこない。
俺はすることもなく、もう一度風呂に入った。

何なんだろ・・・この違和感。
旅行に来てからずっとだ。

そんな事を考えていると隣の部屋のドアが開く音が聞こえた。
亜也たちの部屋だ。

「なんか圭ちゃん可哀想だね・・・」

美樹の声が聞こえてきた。
向こうも風呂に入ってるようだ。
俺が風呂に入ってることは気付いていない。

「そうだな・・・なんか悪いことしちゃったな」

亜也じゃない・・・浩の声だ!
どういうことだ?
なぜ、浩がそこにいる?

浩は話を続ける。

「圭介とマキ、くっ付けてやろうかと思ったんだけど・・・マキが急に来れないって言うから・・・」

俺と真紀子をくっ付ける?
冗談じゃない!
誰があんなメスゴリラ!
だいたい俺が亜也を好きだってことも、旅行中に告白するつもりだってことも知ってるだろ?

「圭ちゃんだけ連れて来ないってわけにもいかなかったしね。卓哉君と亜也が付き合ってるなんて今さら言えないし・・・」

なななな何何何何!?
卓哉と亜也が付き合ってる?
どういうことだ?
卓哉の彼女って亜也だったのか!?

「明日はみんなで圭介と一緒にいてやろうぜ」

「そうだね・・・。昨日からずっとみんなで圭ちゃんを騙すようなことして胸が痛いし・・・」

なんだよそれ・・・。
最悪な話を聞いてしまった。
最初から言ってくれよ。
そしたら絶対来なかったのに。

そしてまた、ガラガラとドアが開く音が聞こえた。

「ちょっと休憩・・・」

今度は卓哉の声だ。
なんだ休憩って?

「ちょっと4人で入るの狭くない?」

亜也の声・・・。
これはどういう状況なんだ?
それより、俺がここにいるのがバレたらまずい。
こいつらが風呂からあがるまで一歩も動けない。
物音を立てないようにしないと・・・。

「じゃあ俺らあがるわ」

ガラガラと音が聞こえ、浩と美樹は出ていったようだ。
しばらく会話も物音も聞こえてこない。

ん?亜也と卓哉は何してるんだ?
誰もいないのか?

「・・・ん・・・ぁ」

今のは亜也の声?

「声出すなよ・・・圭介が起きてるかもしんねーし・・・」

うわ!やってる!
最悪だ・・・。

俺がすぐ横にいるとはまったく思っていないようだ。
バシャバシャという水の音が聞こえてくる。

「んん!・・・あぁ・・・」

「だから声出すなって」

お前の声も全部聞こえてるよ・・・。
もうやめてくれ!これはもう拷問だ!

「あぁ・・・気持ちいい・・・」

「どこが気持ちいい?」

「・・・オマンコ」

駄目だ・・・。
もう耐えらんねえ。

「なんで気持ちいいんだ?」

「卓哉のオチンチン入ってるから・・・」

ここは地獄だ。
一刻も早く脱出しないと。

俺は音を立てないように湯船からゆっくりとあがり、忍び足でドアに近づき、ガラガラと音を立てないよう少しずつ少しずつドア開けた。
風呂から出た俺は急いで服を着て、荷物をまとめて旅館を脱出した。
もう夜の12時を回っていた。
俺は走った。
旅館からできるだけ遠くに。

早く家に帰りたい。

旅館から3キロは離れただろうか、タクシーを発見して乗り込んだ。
俺はタクシーの中で浩にメールを入れた。

『母ちゃんから電話が来て、じいちゃん倒れたって。悪いけど先帰る。ゴメン』

メール送った後、俺は奴らの番号やアドレスをすべて消去し、電源を切った。
約2年前の出来事だが、奴らとはそれ以来会っていない。