『今から迎えに行く』
吉川からそうメールが来た。
約15分後、教室の前に、吉川と彼の彼女である真弓さんが来た。
真弓さんも俺の1つ年上の先輩で浩美さんと同い年。
真弓さんは、「浩美~、お待たせ!」と言った。
どうやら真弓さんも浩美さんに用があったらしい。
俺はてっきり吉川と2人で遊ぶものだと思っていた。
4人で廊下に出て話し合いの結果、俺と吉川と真弓さん、そして浩美さんの4人でドライブに行くことに。
それから全てが始まった。
吉川とは昔からの親友で仲が良かったが、真弓さんとは話したことがほとんどない。
ましてや浩美さんとは全くなかった。
正直、帰りたかった。
でも、せっかく誘われたのに俺が行かなきゃ吉川の立場がない。
なので俺は行くことにした。
真弓さんの車に乗ったが、車内の中でも俺は緊張しっぱなしでずっと固まっていた。
すると浩美さんが・・・。
「どうしたの?せっかくなんだから楽しもうよ。ね!雅人君」
優しく声をかけてくれて、しかも名前まで呼んでくれた。
本当に嬉しかった。
「はい!そうですよね」
次第に緊張が解けてきて俺達は車内で盛り上がった。
行った先は海。
泳ぎはしなかったが、足だけ浸けて海水の冷たさを感じてた。
海を後にして、夕方の6時までずっとあちこちをまわって、帰りコンビニでお酒を買うことに。
もちろん未成年だし、それも制服。
ここは私服を着てた真弓さんに任せて、みんなで金を出し合い、お酒を買ってきてもらった。
なんとかバレずに済んだようだ。
長時間を過ごしてるうちにもうすっかり浩美さんとも真弓さんとも仲良くなってた。
次に誰の家に行こうってことになり、じゃんけんをして負けた浩美さんの家に行くことになった。
初めて入る女性の部屋だったから、すごくドキドキした。
ドアを開けて中に入ると部屋は綺麗に掃除してあってあちこちにぬいぐるみが置いてあり、香水か何かのいい香りがした。
(これが女の子の部屋か~!)
俺は感動した。
それからは宴会みたいになった。
夜の7時くらいからだったかな。
俺はあまり酒に強くないのに、3人は「飲め!飲め!」と次々に俺に飲ませる。
缶チューハイ3本くらいで俺はギブアップし、そのまま夢の中へ。
その後も3人は飲んでたらしい。
酔いがある程度覚め、起きるともうすっかり明るくなってた。
携帯を見ると親から何通もメールや電話が来ていた。
すぐに親には、『友達の家に泊まってた。そのまま学校に行ってるから』とメールしておいた。
もちろん行ってないが。
時間は午前10時くらい。
一応友達に電話で、『俺と浩美さん、今日休むから担任に言っておいて!』と連絡しておいた。
3人はいつまで飲んでいたのだろう。
あんなにいっぱい買った酒もほぼ全部が空になっている。
3人は爆睡していた。
(誰かが起きるまで待つか・・・)
そう思ってずっと待っていた。
1時間後、最初に起きたのは浩美さんだった。
「おはよ~・・・」
眠たそうな声で言う浩美さん。
「おはようございます。担任には今日は休むって言っておきましたよ。休みますよね?」
すると浩美さんは「うん」と言って俺をジ~と見つめて、いきなりこんな事を言い出した。
「・・・ねぇ。ちょっとついて来てくれるかな?」
「いいですよ」
何も不思議に思わずに浩美さんの後をついて行った。
それからだった。
浩美さんの部屋は2階。
下におりるともう家族は仕事へ行ったのだろう、誰もいなかった。
(どこ行くのかな?)
風呂場だった。
着くなり浩美さんは服を脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと!浩美さん!?」
俺の言葉にたいして驚く様子もなく、俺にこう言った。
「汗かいたね。昨日はお風呂入ってなかったもんね。入ろうよ、一緒に」
俺は呆然と立ち尽くした。
まだ酔ってるのかと思った。
いくらなんでもそれはできない。
2階にはまだ吉川と真弓さんが寝ている。
起きてきて見つかったら非常にマズい。
「やめましょうよ。俺、汗はかいてないですから。それに2人とも2階にいるんですよ?」
そう言って更衣室から出ようとした時だった。
浩美さんに腕を掴まれた。
「待って。大丈夫、起きてこないって。2人だけの内緒!ね?いいでしょ?」
「本当に大丈夫ですか?」
再度確認をとる俺。
浩美さんは一言、「大丈夫」と言った。
早く済ませればいいんだ。
そう思って浩美さんと一緒に入ることにした。
お互いに逆を向いて服を脱ぎ始めた。
もちろん俺はタオルを巻き、浩美さんも全身にバスタオルを巻いていた。
浴室に入ると、湯船のお湯は抜かれていた。
俺はホッとした。
一緒に湯船になんか入ったら絶対ヤバいと思ったから。
シャワーだけで済ますことにして、最初は浩美さんが浴びた。
俺はずっと後ろを向いていた。
「気持ちいい~。やっぱお風呂は毎日入らないとね。雅人君?」
俺は、「そうですね」としか言えなかった。
女性と性交渉がない童貞の俺にはあの場はキツ過ぎた。
数分後、シャワーの音が止んだ。
「はい。次は雅人君だよ。どうぞ」
(もし振り向いた時に、浩美さんが何も着てなかったらどうしよう・・・?)
心臓がバクバクしてきた。
ゆっくり恐る恐る振り向くと、浩美さんはさっきと同じようにバスタオルを巻いていた。
(よかった・・・)
場所を変わり、次は俺がシャワーで体を洗い始めた。
とにかく浩美さんが何かしてきそうで心配だったので、急いで体と髪を洗い終えた。
「浩美さん、もういいですよね?出ましょう」
しかし浩美さんは無言だった。
「浩美さん?」
すると、こんな返事が返ってきた。
「雅人君ってさ・・・童貞でしょ?さっきからずっと出ることしか考えてないし」
かなりドキッとした。
「ち、違いますよ!そういうわけじゃ・・・」
慌てて言った。
「いいよ、隠さなくても。別に悪いことじゃないじゃん。・・・私となら・・・どうなの?」
ものすごく恥ずかしくなってきた。
(どうって・・・)
ここでやらせてくれるのかと思った。
さらに浩美さんの一言。
「高校、あと1年もないんだよ?思い出にって思えばいいんだよ」
浩美さんは全てOKだった。
俺も正直もうどうでもよくなった。
「本当に・・・本当にいいんですか?」
もう浩美さんは、「いいよ」としか言わなかった。
「じゃあ・・・お願いします・・・」
<続く>