俺と姉は昔から仲が良かった。
姉が高校生になるまで同じ部屋で生活していたし、姉に下の毛が生えてくる頃でも一緒に風呂に入ってた。
姉はとても優しくて、滅多なことでは怒らない。
実際、姉が激怒したのは数えるほどしか見てない。
うちは共働きの家庭で、両親とも夜まで帰ってこないので、家事全般は姉と俺で分担してやることになっていたが、俺が遊んで夜に帰ったりしたら俺のぶんまでやってくれてたりした。
お金に困ったときは小遣いを分けてくれたし、ひとつしかないデザートは必ず譲ってくれた。
もちろん俺はそんな姉が大好きだったし、姉も俺のことを大事にしてくれてたと思う。
姉も俺も地元のいわゆる進学校に進んで、公立の大学に進んだ。
姉は大学に入ったときに仲のいい友だちに誘われて軽音楽のサークルに入った。
当時高校生の俺は、今まで部活もせずに、学校が終わったら買い物をして家に帰って家事をしていた姉が、バイトやバンドの練習をして遅くに帰ってくるのがとても嬉しく、今まで姉がやってくれていた家の仕事は俺がやろうと決めた。
と言っても夕飯作りがすぐにできるはずもなく、しばらく姉に教えてもらってたんだけどね。
まあそんなこんなで無事に俺も公立大学(姉とは違う)に進学した。
そして両親の勧めで俺は一人暮らしをすることになった。
初めての一人暮らしはかなり新鮮で、多少なりとも家事をやっていた俺はそんなに大変でもなく、自分1人の家にとてもワクワクした。
一人暮らしを初めて半年くらい経った頃、姉が大きな荷物を抱えてやって来た。
姉「母さんと父さんが、たっくん(俺)が心配だから一緒に暮らしなさいって」
携帯を見ると、家族からのメールや着信がたくさんあった。
来ちゃったものはしょうがないということで、二人暮らしがスタート。
かなり広くて部屋が3つあったので、まったく不自由はなかった。
むしろ大学の友だちも多くなかった俺は正直少し寂しかったので、姉が来てくれて嬉しかった。
で、俺が大学2年、姉が大学4年のときに起きた大イベントの話。
バイトから帰ってきて、美味そうなカレーの匂いがしてたのをよく覚えてる。
俺「ただいまー」
姉「おかえり~」
心なしか上機嫌な姉。
何かいいことでもあったのかなと思った次の瞬間。
男「あ、お邪魔してます」
男の声が姉の部屋から聞こえた。
正直、聞き違いかと思った。
姉は彼氏などという存在とは無縁で、そういった話をすることもなく、俺が恋愛の話を振っても、「そういうのわかんないから」などと言っていた姉が家に男を招いてる。
半分ショックだった、でも嬉しかった。
姉はおそらくモテる方だと思う。
家に遊びに来た友人とかに、「お姉さん可愛いね、きれいだね」と昔からよく言われた。
身内のひいき目かもしれないけど、可愛いしやさしい。
それなのに一度も付き合ったことのない姉が、男を家に招いているということが素直に嬉しかった。
なぜか親のように、(成長したなあ・・・)みたいな気持ちになったものだった。
話を戻す。
俺と姉の家に知らない男の人が来ていた。
俺「あ、どうも、こんばんは」
男「弟くんだよね?ごめんね、勝手に上がりこんじゃって」
俺「いえいえとんでもない、ゆっくりしていってください」
姉「あのね、えーとね・・・」
俺「ん?」
もじもじしている姉。
まさか・・・。
姉「んと紹介するね、えーと・・・」
男「お姉さんの彼氏の◯◯(苗字)です。よろしくね」
「うわお」と声に出てしまった。
この、どストレートな男は本当に姉の彼氏だった。
見た目は、つぶやきシローをシュッとした感じ。
姉「・・・///」
俺「あ、弟です。姉をよろしくお願いします」
シロー「タメ口でいいよw義兄さんでもいいよw」
俺「いえ、◯◯さんで」
姉「今日は3人分カレー作ったから、たっくんもご飯まだでしょ?一緒に食べよう」
俺「うん、お腹減った」
で、カレーを食べて、しばらく話してシローは帰った。
どうやらシローは姉と同い年で、同じサークルに入っているらしい。
明るくて面白い人で、シローの話を聞いて笑ってる姉の顔を見ると、とても幸せそうだった。
俺はそんな姉を見て嬉しい気持ちになる反面、やっぱり寂しくもなった。
だが、姉も男の1人くらい知っておかないと社会に出たときに大変だと思うし、シローがいい人そうだったので良かったと思った。
それから毎日、姉はシローとどこどこに行ったとか、こんなことがあったと嬉しそうに話をしてきた。
そんな姉を見て、俺はとても嬉しかったし、羨ましくもなった。
そんな日がしばらく続いて冬が近づいてきた頃、話は転回点を迎える。
かなり冷える日だった。
姉の帰りが遅い。
ケータイの電池が切れているのか連絡も取れない。
外泊など滅多にしない姉だったし、帰りが遅くなるときや外泊するときは必ず連絡があった。
何か知ってるかもと思い、シローに電話をした。
シロー「もしもし」
俺「あ、夜分遅くにすみません。姉がまだ帰ってないんですけど、そちらにいるかと思って」
シロー「ああ、お姉さんね、うちにいるよ」
俺「ああ、良かった。代わっていただけます?」
シロー「なんで?」
俺「え、あ、いや、話をしたいので・・・」
シロー「弟くんも、ちょっと1人で生活したほうがいいぜ。姉さんに頼りっきりでさ、疲れちゃってるよ、姉さん」
俺「はあ・・・すみません」
シロー「とりあえず、ゆう(姉)はうちで休ませてる。それじゃ」
電話を切られた。
意味が判らなかったが、しばらくシローの言った言葉の意味を考えた。
確かに最近バイトが忙しくなり、家事などの配分が姉寄りになっていたかもしれない。
姉に申し訳ないと思った。
明日からはできることをしっかりやろうと思い、軽く食べて寝た。
次の日、大学が休みだったので、バイトも休みをもらって部屋中をピカピカに掃除した。
姉の好きなナポリタンを作って、近くのケーキ屋さんでケーキを買って、これまで頼りすぎていたことを謝ろうと思った。
しかし姉は帰ってこなかった。
姉だけでなく、シローにも連絡がつかなくなった。
その翌日も姉は帰ってこなかった。
朝、体に何かが当たる衝撃で目を覚ました。
シローの家のドアが開いて、玄関前で寝ていた俺に当たったのだった。
シロー「うわっ!」
俺「あ、どうもすみません。おはようございます」
シロー「何してんの?ここ、俺んちの前だよ?」
俺「姉が帰らないので、シローさんの家にいるかと思って電話したんですが繋がらなくて。それでここに来てチャイム鳴らしたんですが、留守だったみたいなので、仕方なく帰りを待とうと思って・・・。何しろ姉と繋がりのある人をシローさんしか知らないので、あなたに頼るしかなくて」
普通は警察に行ったりするんだろうけど、俺は姉がシローの家にいると確信していた。
シロー「ああ、うん、うちにいるけど・・・なんか急用?」
俺はここでカチンときた。
俺「いや急用とかじゃないでしょ。姉が家に戻らず、携帯も何日も繋がらないこの状況で、心配してるって理解できません?」
シロー「何キレてんの?wゆうなら大丈夫だよ。それにこないだも言ったろ、姉さんに頼りすぎだって」
俺「とりあえず姉と話をさせてください」
シロー「まだ寝てるからさ、また今度にしてくれない?俺も大学に行かなきゃだから」
俺「姉は大学に行かないんですか?姉が起きるまで待ちますんで、顔を見せてください」
シロー「ちょっとしつこくね?今度って言ってんじゃん」
俺「わからん人やな、警察呼びます?」
シロー「まあ落ち着けって、わかった、中入れ。俺、学校行くから。昼過ぎに帰るから、それまで家にいてくれよ」
イライラしながら中に入った。
ロフトで姉が寝ていた。
俺「姉ちゃん、起きて」
姉「あ、たっくん」
姉は俺の顔を見るなりボロボロ泣き出した。
話を聞くと、シローの家にご飯を作りに行って、話していると急にシローがとキレ始めたらしい。
「弟の話ばっかりなんなの?そんなに弟が好きなら弟と付き合えば」
姉が、それは違うと否定したら、「じゃあここに住めよ。だいたい弟と2人暮しとか意味不明」と言われ、姉は「そういう考えならきっともう上手くやれないから別れよう」と言ったらしい。
するとシローは狂ったように怒鳴って、「ここから出ていったら弟をボコボコにしてやる」と言われ、仕方なくずっとここにいたらしい。
俺と姉はすぐに警察に行って事情を話した。
特に面白くないから簡単に説明する。
とりあえず双方の両親を呼んで和解。
シローはサークルをやめて、姉に二度と近付かないという条件で。
しばらくシローから色々と脅しのメールや電話が来たので、携帯のキャリアを変えた。
で、なんとか平和な日々が訪れた。
姉は居づらくなってサークルをやめてしまったが、数週間後には、また元通りの笑顔を振りまいていた。
しかし、やっぱりシローが植えつけた恐怖は深く残っていたようだった。
まずメールの数が多くなった。
『今、お昼を食べてるよ』とか『学校終わったから買い物に行くよ』とか、そういう細かい状況をメールしてくるようになった。
加えて甘えん坊になった。
今までだと、「お姉ちゃんがごはん作るね」だったのが、「一緒にごはん作らない?」になった。
何より、「一緒に寝て欲しい」と言うようになった。
俺も姉が恐くて泣いてるんじゃないかとか心配だったから、同じ布団で寝ると安心だった。
姉は、「夏はくっつくと暑いよね」とか呑気なことを言ってた気がする。
問題は俺が立派な男であり、姉が可愛い女の子であるということ。
勃起がやばかった。
久しぶりに一緒の布団で寝て、ぐわっと来た。
髪のいい匂い、痩せてるけど柔らかい体、パジャマの胸元から見えるわずかにできた谷間。
意識しないつもりでも俺の股間は爆発寸前だった。
俺「姉ちゃん、くっつきすぎたら寝られないよ」
姉「うーん・・・zzz」
毎夜のようにムラムラし、姉が寝るのを確認しては、こっそり抜いて寝る日々が続いた。
ある夜。
その日も俺は例外なくムラムラしていた。
正直もう我慢できないと感じていた。
姉は眠たそうにゆっくりと話し始めた。
姉「あのね、たっくん」
俺「んー」
姉「たっくんが助けに来てくれたときね、お姉ちゃん、たっくんみたいな男の人を探そうって思った」
俺「ん、うん、どうだろーね。俺しかいないんじゃない?w」
姉「ふふ、かもねえ~・・・どうしようかなあ」
「どうしようかなあ」
この一言が理性をふっ飛ばした。
俺「俺、姉ちゃんみたいな人が嫁に欲しい」
姉「え~??ふふwありがと~」
俺「姉ちゃんと結婚したい。割と本気で」
姉「お姉ちゃんも、たっくんと結婚できたらいいなって思ったことあるよw」
俺「しようよ」
姉「姉と弟は結婚できないよ~w」
俺「知らん、もう無理」
俺は姉ちゃんの体の上に覆い被さった。
姉「ちょっと、何~。もー寝るよ」
なんか言ってる姉の頭の下に左手を入れて持ち上げて、半ば強引にキスをした。
姉「!!!」
結構長めのキス。
離れた後、姉はしばらく目をきょろきょろさせて、何が起こったのかわからないような顔をしていた。
俺「ごめん」
姉「え、あ、えと、うん」
なんとも言えない反応に俺はまた興奮してしまい、何度も姉と唇を重ねた。
ようやく姉が自分から口を開いた。
姉「えと、今日は寝ない?たっくん疲れてる?嫌なことあった?」
途端に罪悪感が溢れてきた。
(あちゃー、姉に欲情してしまった!)
俺「ごめんごめん、忘れて、ごめん」
姉「う、うん・・・」
その日はそのまま背中を向けて寝た。
しかし、次の日の夜・・・。
姉「電気、消しますよー」
俺「はーい」
パチ。
暗くなってしばらくして姉が口を開いた。
姉「ね、昨日のことなんだけど、さ」
俺「・・・」
姉「なんかあったんでしょ?女の子に振られちゃった?それともバイト先で嫌なことあった?」
俺「・・・もしそうだとしたら、昨日の続きしてもいい?」
姉「え、それは、うーん、ちょっとだけならいいけど・・・」
頼まれると断れない姉の性格を俺は知っていた。
俺「いいわけない。ごめんね、大丈夫だよ」
そう言って目を瞑ったら、唇に何か柔らかいものが触れた。
俺「!!」
目を開けたら姉の顔が目の前にあった。
姉「自分からしたの初めてだよ、たっくん」
しばらく見つめ合って沈黙。
恥ずかしそうにしてる姉が可愛くて吹き出してしまった。
姉「ちょっと、なんで~?」
時々出る、この困ったような声も可愛さの一つだと思う。
俺「姉ちゃん、もう無理だ、正直に言う」
姉「はい、言ってごらん」
俺「姉ちゃんと、えーと・・・」
姉「?」
俺「恋人同士ですることをしたい」
姉「・・・ちゅーだけじゃなくって、ってこと?」
俺「そういうことです」
姉「wwwwww」
久しぶりに大笑いする姉を見た。
俺「姉ちゃん?www」
俺もつられて笑った。
姉「たっくんも男の子だね。女の人と一緒に寝てたら我慢できなくなっちゃうの?w」
俺「姉ちゃんはなんでもお見通しですね」
姉「ふふwww」
俺「ん~~~、ごめん、姉ちゃん、ほんとごめん」
めいっぱい謝って姉に抱きつく。
姉「も~・・・任せる!好きにしなさい!でも今日だけだよw」
俺「姉ちゃん・・・ごめんね」
姉「絶対内緒だからね!」
俺「もちろん!」
俺はテンションマックスだった!
思い出すとムラムラしてくる。
しかし、どこから手を出していいものかわからず、一応経験済みではあるものの、不慣れな俺は攻めあぐねていた。
とりあえず背中なんかを触ったり、首を触ったり、そのたびに姉がぴくりぴくりと反応をするのが面白くて、ずっとそんなことをしてた。
そのうち姉もとろんとした顔になり、初めて見る姉の色っぽい顔に息子は元気を取り戻した。
<続く>