そのおばさんに最初に会ったのは駅前の小さな居酒屋だった。
俺は男友達と2人で飲んでいたが、しばらくすると、その横におばさんと若い外人の女の子が座った。
外人の女の子はまだ若そうで20歳くらいに見えた。
最初に話しかけたのは留学経験がある俺の友達だった。
女の子はメアリーという名前で、アメリカから旅行にやってきたらしい。
おばさんの方は綾さん。
綾さんはメアリーの両親と知り合いで、その関係で今日初めて会ったらしかった。
綾さんも英語はあまり得意でないらしく俺の友達が通訳したので、「ありがとう、やっぱりちょっと伝わらないことがあるのよね」と感謝してくれた。
俺も英語が出来たらかっこ良かったのにと思ったが、そこはしょうがない。
友達がメアリーと会話している時、俺は綾さんと会話したが、すごい美人ってわけでもないが優しいお母さんといった感じの人だった。
2人と別れるとき綾さんに「今日はありがとうね」とお礼を言われ、「いえ、こちらこそ楽しかったです」と答えた。
「これからヒロシ君は家に帰るの?」
「そうですね」
「近いの?」
「歩いて10分くらいかな」
「そうなんだ」
その瞬間、なんとなくだが綾さんが、まだ帰りたくなさそうな空気を感じた。
酔っていたせいで勝手に俺がそう解釈したのかもしれないが、「俺のうちでまだ少し飲みます?」と誘ってみた。
「えー、いいの?」
「俺はいいけど、時間、平気なの?旦那さんとかは帰ってないの?」
「今日は旦那遅いから平気。でも、こんなおばさんとでいいの?」
「大丈夫です」
流れで俺の部屋に行くことになったわけだが、俺も感じのいい綾さんに好意は持ったけど、40過ぎのおばさんを連れ込んで何かしようなどとはその時は考えていたわけではなかった。
俺は小学校の時に母親を亡くしていたせいかマザコンのところが多少ある。
実際、付き合っている彼女も5歳上だった。
だから後で考えてみると、綾さんと母親が重なったのかもしれない。
駅前のコンビニで酒を購入して俺のアパートへ向かった。
向かう途中で綾さんの子供の話になり、そこから綾さんは「私、バツイチなんだ」と告白してきた。
前の旦那との間には息子が1人いて、すでに大学生になっているらしい。
「そんな大きな息子がいるように見えませんよ」と俺は言った。
今の旦那とは2年くらい前から同棲していて、籍を入れたのは半年くらい前らしい。
「じゃあ、新婚ですね」
「中年同士の結婚で、しかも籍を入れただけ。ラブラブとかそういうんじゃないわ」
「そうなんだ」
「ヒロシ君は彼女はいるの?」
「いますよ」
俺は正直に答えた。
「どういう子?可愛い?」
「そうですね。まあまあかな」
俺もなんて言ったらいいかよく判らなかったが、そんな会話をしながら俺の部屋へ着いた。
改めてビールを開けて話を始めたけど、しばらくして座っている綾さんの黒いスカートの中からパンツらしきものがチラチラ見えるのに気付いた。
ストッキングを穿いているので若干見にくいが、それでもパンツの色までわかる。
(誘ってるのか?それとも単に酔ってだらしなくなってるだけか?)
気が付くとチンコが反応してしまっていて、それを悟られないようにズボンのポケットに手を入れてチンコをずらしたりして誤魔化した。
(もしここで手を出したら綾さんは抵抗するかな?)
今日初めて会ったのに部屋までやって来たのは好意を持たれていることに間違いないけど、まさか自分の息子と変わらないこんな若い男が自分を襲うとは綾さんも想像はしてないはず。
「あの~、綾さん」
「何?」
「今日、どうして部屋までやって来たの?」
「どうしてって?」
綾さんは怪訝な顔をした。
「いや、危険を感じなかったのかなって」
綾さんは手を口に当てて笑いながら・・・。
「いやだ。だってヒロシ君、こんなおばさんを女とは見ないでしょ?そしたら心配ないんじゃない?」
「いや、女と見ないこともないですよ」
俺は答えた。
「本当?」
綾さんは目を大きく見開いた。
「女って感じた部分もあります」
「そうなんだ。じゃあ、ちょっと危ないわね」
「帰ります?」
「どうしよっかなあ~」
ちょっと失敗した会話をしたような気がして内心へこんだ。
しばらくして・・・。
「ちょっとトイレ借りるね」
綾さんが立ち上がってトイレに行った。
(チャンスだろ。たぶん一回きりの関係だろうし、ここで手を出さないでどうする?)
欲望がグルグルと頭を回っていた。
綾さんがトイレから出てくると、俺は決意をして立ち上がって綾さんの方へ向かった。
「あれ、ヒロシ君もトイレ?」
綾さんが俺に聞いてきたが、俺は首を横に振るとそのまま綾さんの両肩を押さえて廊下の壁に押し付けた。
『え?』と驚いたような表情をした綾さんだったが、俺はそのまま身体を強引に引き寄せて唇を重ねた。
「ちょっと・・・」
綾さんの喘いだような声がしたが、さらに力を込めて抱き締めた。
綾さんは急な出来事に身体を固くして俺を押しのけようとしていたが、しばらくするとその抵抗も収まった。
すると綾さんが力を抜いて口を半分くらい開けてくれた。
1分くらいキスをしていただろうか。
唇を離すとお互い目を合わせた。
「お酒臭くない?」
綾さんがそう聞いてきたけど、「お互い飲んでるんだし、わからないよ」と俺は笑った。
「そっか」
「もっとしていい?」
「うん」
再びキスをすると、今度はかなり濃厚に舌を絡め合った。
しばらくキスしながら綾さんの胸やお尻を揉みまくった。
綾さんもだいぶその気になってきたのか呼吸が荒くなり、このままベッドへ行こうとしたとき最悪のタイミングで俺の携帯が鳴った。
「ちょっと、ごめん」
そう言って綾さんの身体を離し、携帯を見てみると彼女からで、一瞬迷ったが、綾さんに「ごめん、彼女から」と正直に言って電話に出た。
「もしもし、あのね、今からそっち行っていい?」
彼女の声がすぐに聞こえてきて、俺は心臓が破裂するかと思ったが平静を装い、「何分後くらい?」と聞いた。
「20分くらいかな」と彼女が答え、「わかった」と俺は言うと急いで電話を切った。
電話を切った後、綾さんが「彼女?大丈夫?」と心配そうに聞いてきた。
「ごめん、大丈夫だけど、彼女がもうすぐここへ来るらしい」
「嘘!あとどれくらい?」
綾さんも驚いた様子。
「20分後くらい」
「じゃあ急いで帰るね」
「ごめん。この埋め合わせは必ず・・・」
「いいのよ。別に気にしないで」
綾さんは笑いながら帰り支度をし始めた。
「やっぱり、お互い悪いことはするもんじゃないわね」
綾さんはそう言いながらバックを手に取って玄関へ向かった。
「そうですね。でも残念だった・・・」
「でも良かったんじゃない?今日は酔ってるし、もしそうなったら逆に後悔したかもよ」
「う、うん・・・」
俺は元気のない返事をした。
玄関まで見送ると名残惜しむ感じで俺は、「また、会えますか?」と聞いた。
「電話する」と綾さんは笑顔で言い、急いで部屋を出て行った。
その後、俺は急いで部屋の窓を開けて女性の匂いを消し、今度は窓を閉め切って煙草を吸って綾さんの痕跡を消した。
浮気がばれるか内心ビクビクしたが、彼女に気づかれることはなかった。
ただ綾さんとの興奮が残っていたせいか、その日はかなりの早漏で、彼女に「あれ、早くない?溜まってたの?」なんて言われたけど・・・。
翌日。
綾さんから連絡が来るかどうか心配だったが、電話をかけてきてくれた。
「大丈夫だった?」
綾さんが聞いてきた。
「なんとか無事に」
「彼女がいるのに他の女の人に手を出したらだめよ」
「そうですね。でも、ちょっと残念だった」
「でも、何もしない方が良かったでしょ?」
「あそこまでして何もしないのは逆につらい」
「まあそうね、男の子だもんね」
「あの後、彼女が来なかったらエッチOKでしたか?」
「そうね、しちゃったかもね、酔ってたし」
「そういう言葉を聞くと余計に残念」
綾さんに、「彼女がいるんだから大事にしなさいよ」と念を押された。
でも、諦めきれない俺がいた。
「昨日の続きは、やっぱりだめですか?」
「やっぱりシラフになるとだめね。色々考えちゃうし」
「どうしてもだめですか?」
「結構押してくるのね(笑)。でも私、おばさんだよ。バツイチだし、旦那いるし。会ったらヒロシ君、絶対エッチなことしようとするんでしょ?」
「だって昨日はOKだったでしょ?」
「昨日は酔っていたから・・・。お茶飲んで話をするとかだけじゃだめ?」
「それはつらいなあ~」
「やっぱりお互いまずいでしょ?」
「それはよくわかってるけど・・・。でも俺、綾さんと旦那との関係を壊すつもりとかないですよ」
「・・・」
「絶対秘密にするし」
「・・・」
「とりあえず、もう一度だけ会ってよ」
俺の熱意に負けたのか、最後は綾さんも「会うだけよ」と言ってOKしてくれた。
<続く>