俺も大学生だけど、彼女もいないし、付き合ってくれるんならそれでもいいかと交際を始めたんだ。
痩せ形で顔が小さくて可愛い子だった。
笑うと、えくぼができた。
表面は優しそうだけど、独りよがりで勝ち気なところもあって、そんなところも好きになった。
彼女とはほんとにプラトニックだった。
手を繋ぐことなく、腕を組むこともなく、お茶したり食事をしたり遊園地に行ったり、流行りの映画を観たりした。
あれは荒川の河川敷だったかな。
花火大会を見た帰りだった。
電車に乗らず、散歩をかねて暗い堤防を歩いた。
花火のこととか、出店の焼きそばが美味しかったとか、他愛のないことをしゃべりながら歩いていた。
暗いし歩道が狭いから、ときどき体に触れる。
一度も触ったことのない体。
腕と腕が触れる、腰と腰が触れる。
だんだんムラムラしてきた。
(したい。セックスしたい。今すぐセックスしたい)
胸がドキドキしてくる。
頭の中に鉛が入ったみたいに正常な思考ができなくなってくる。
脳より海綿体のほうが強いことを知った。
周りに誰もいないのを確かめると、彼女を抱き締めてキスした。
「やだ!」と言われてもお構いなし。
乳を揉んだ。
とにかく揉んだ。
揉み続けた。
「欲しいんだ・・・わかってよ」
小さいカップだったけど揉めないことはなかった。
彼女、ついに踞った。
でも逃さない。
そのまま歩道横の芝生に倒れ込んで、キスしながら乳を揉み、スカートの中に手を入れた。
「だ・・・め!・・・だめだめ!・・・キャッ!」
彼女の拒否はおそらく本物だったと思う。
嫌よ嫌よも好きのうち・・・なんて悠長なことを言えるレベルじゃなかった。
脚をばたつかせ、俺の髪を引っ張り、頭を叩いた。
「やめてやめて・・・やめてええっ!」
でもその声も、俺の指がクリと膣に達すると静まった。
でも喘ぎ声をあげるわけでもなく、その目は東京の夜空を静かに見ていた。
まるで能面のような冷たい顔だった。
「ぎゃあ・・・やだあああ・・・」
そう声を出したのは俺が挿入した瞬間のことだった。
固くて狭い膣だった。
挿れる場所を間違えたんじゃないかって思ったほど。
処女膜は思っていた以上に固かった。
行為が終わると、俺は彼女をそのままにして逃げた。
卑怯だって?
逃げるしかないだろう?
怖かったんだ、彼女の最後の言葉が。
「私・・・どうなるかわからないわよ。私、もうだめ」
彼女は低い声でそう言った。
それから彼女には連絡していないし、彼女からも連絡はなかった。
もちろん警察からも連絡はない。
2ヶ月くらい経って、またメールを見た。
次の彼女を探そうと思ってね。
そしたら彼女がいた。
昔の写真じゃなくて、もっと色っぽい写真だった。
それが彼女だとはとても思えなかった。
可憐さは消え失せて、まるで風俗嬢だった。
『暇な人、遊ばない?金欠で困ってるからサポお願い!』
俺のせいで彼女はこうなったのだろうか。
レイプされて自棄になった女が割り切りを始める。
どういうんだろう、逆療法?
毒をもって毒を制す、みたいな?
俺は彼女の最後の言葉がいまだに忘れられない。