高校2年になった6月に、先輩の紹介でバイトを始めた。
いわゆる消費者金融ってので、数年後に闇金だったことに気が付いたような会社。
とは言っても俺は、お茶を出したり掃除したり、コピーしたりの雑用係。
業務については一切知らなかったし、話されもしなかった。
PCMAX

忘れもしない9月の第1週目。
部長と呼ばれてた会社の人が、ある女性を連れて来た。
商談する時に使う小部屋に俺はお茶を持っていった。
凄く暗い感じの人で、なんとなく人生に疲れてるっていうか、やり切れない雰囲気の人だった。
どっちかっていうと美人で、ワンピースから見える谷間が印象的だった。
派手な外見じゃなくて、質素なんだけど美人なお姉さん。
お金を借りに来たんだなって、ただそのくらいしか思わなかった。

それから11月になり、よくメシに連れて行ってくれたりしたヒロシさんという人に、ある晩誘われた。
俺は酒なんて飲まないから、焼き肉をじゃんじゃん食べまくり。

「お前さぁ~童貞だろ?彼女とかいねぇ~の?」

「欲しいんですけどね、モテないんですよ」

「もっと積極的にいけよ、強引なくらいがいいんだぞ」

「はぁ・・・」

「いいか、女ってのはなぁ~・・・」

いつもの話をまたされて、半分以上聞き流しながら焼き肉を食べてた。
少ししてヒロシさんの携帯が鳴り、途中から俺をチラチラ見ながら喋ってた。

「じゃあ行きますよ。はい、連れて行きます。喜ぶと思いますよ」

そんな感じのことを言って電話を切ったヒロシさん。

「メシが終わったらちょっと付き合えよ。部長が呼んでるから」

「あの人、怖いから苦手なんすけど」

「そうかぁ?お前のこと気に入ってるみたいだぞ」

「はぁ・・・」

焼肉屋を出た俺たちはタクシーで会社に戻った。

「こっちこっち」とヒロシさんは社長室へと入っていった。

掃除でしか入ったことのない社長室に入ると、9月に見たお姉さんがソファーに座ってた。
向かいに部長が座っていて、「おぉ、こっち座れ」と笑顔で迎えてくれた。
こんな上機嫌な部長は初めだった。

「タカシ、お前童貞なんだってな?どうだ?この女」

「えっ?何すか?」

「だから、お前の童貞を世話してやろうってことだよ。この女じゃダメか?」

「えっ?いや・・・はぁ・・・」

お姉さんは下を向いたまま、じっとしている。
意味が分からなくてヒロシさんに助けを求めたが、ヒロシさんはニヤニヤしてるだけだった。

「でも・・・俺・・・知らない人とはちょっと・・・」

「な~にガキみたいなこと言ってんだ?こいつじゃ不満か?」

「不満とかそんなんじゃなくて、やっぱり初めは彼女がいいなぁ~って・・・」

「ったく・・・しょうがねぇ~なぁ~。ヒロシ、タクシー呼んでやれ」

もう帰っていいぞっていう合図だと思ったので、俺は立ち上がった。
その時、お姉さんがチラッと俺を見た。
だから思わず、「スンマセン・・・」と頭を下げた。
そのまま俺は帰され、タクシーで帰宅。
タクシー代はもちろん部長が出してくれた。

次の日になり、ヒロシさんに聞いてみた。

「昨日のは何なんすか?」

「あの女、借金返せなくてな」

要するに、借金返済の目処が立たず、今日から風俗で働くことが決まったんだそうだ。
だからその前に、部長とヒロシさんで味見をしたんだって言ってた。
俺が童貞だからということで、まず俺に味見させようとしてくれたらしい。
今だったら笑って食べちゃうかもしれないけど、童貞高校生の俺にそんな事ができるわけなかった。

「あの女、スタイルも感度もすげぇ~ぞぉ~。勿体ないねぇ~タカシ君」

しばらくの間はヒロシさんにからかわれてた。

高3の夏で俺はバイトを辞め、普通に大学生になった。
モテるような見た目じゃない俺は大学生になっても童貞のまま。
焦った俺は合コンに行きまくって、とうとう彼女ができた。
可愛いとは言えないけど初の彼女。
どうやって手を出したらいいのか分からず、付き合って2ヶ月しても手を握るだけの関係。
周りは童貞なんていなかったし、恥ずかしくて聞くに聞けない状態が続いた。
実は彼女も処女だったので、お互いにどうしていいか分からなかった。

そんなある日の日曜日、友達と渋谷に買い物へ出掛けた。
18時頃、マックで友達とダベってた。
何気なく友達の背後に座る女の人に目をやると、あの時のお姉さんが座っていた。
もう2年近く前だったけど、俺はすぐにわかった。
思わずじっと見ちゃってたんで、お姉さんも俺の方を見てきた。
お姉さんも気が付いてくれた。

「あぁ!」

「どうも・・・」

「あの時の高校生?」

「はい・・・」

「やだぁ~、誰かと思ったぁ~。今は大学生?」

「はい、そうです。お姉さんは?」

「アタシはずっと同じ。知ってるんでしょ?」

「まぁ少しだけ・・・」

「ねぇ、これあげる。アタシこれから仕事だから連絡して」

お姉さんからもらったのは、思いっ切り店名が書いてある風俗の名刺だった。
源氏名は『加奈子』。
言われてみれば榎本加奈子に似てるので、そっちから取ったんだろうって名前。
裏には手書きで書かれたメアドと電話番号があった。
メールをしようか普通に悩んだ末、俺はメールを出した。
彼女とのことで少しでも助言をくれたらって思ったから。
お姉さんはいつも夕方から深夜まで仕事をしているらしく、それ以外はマメにメールをくれた。
慣れてきた頃に俺も彼女とのことを相談し始めると、真面目に答えてくれた。

「女の子に慣れないとダメよ」

「でも男兄弟で育ったから、慣れたくても慣れないんですけど」

「じゃあ今度アタシに付き合いなさい」

女の子と喋る練習と慣れを兼ねて、お姉さんとメシに行くことになった。
お姉さんは池袋と要町の間辺りに住んでいて、そのマンションの下にあるイタリアンの店に連れて行かれた。
俺が酒を飲まないからお姉さんも飲まず、ひたすら会話の練習。

「こう質問したら?」

「それじゃあ会話が終わっちゃうじゃない」

「あ、そっか」

お姉さんは年下といえ、男と2人っきりでメシを食うのが久しぶりだって言ってた。
店で嫌でも接客するから、そういうのが嫌だったらしい。
それでも俺は全然嫌じゃなくて、むしろ癒されるって言ってた。

2回目に誘われてメシを食った日、「お茶でも飲んでく?」と部屋に誘われた。
女の1人暮らしの部屋なんて、今まで入ったこともありません。

「こういうのも経験でしょ?」

お姉さんはそう言うので、俺はついて行った。
でも正直、下心がなかったかといえばウソになる。

マンション自体は高級っぽいけど、お姉さんの部屋は質素なワンルームだった。
縦長な8畳にベッドと小さい机があり、あとはテレビとコンポだけ。
クロークに衣服は全部入れているらしく、本当に小ざっぱりとした部屋だった。

「なんか生活感のない部屋だね」

思わず呟いてしまいました。

「そう?まぁ、座ってよ」

コーヒーを飲みながら、どうやって彼女との距離を縮めていくかを話してた。

「例えばね・・・こっち来て?」

ポンポンと自分の横の床をお姉さんは叩いた。
お姉さんはベッドに寄りかかるように座っていたんで、俺は同じように隣に座った。

「公園でベンチに座ってたとするじゃない?そんなに離れて座っちゃダメよ」

俺はお姉さんに密着するように座り直した。
柔らかい肉体の感触がモロに伝わってくる。

「そう、それで肩を抱くとか腰に手を回すの」

俺の腕を持ち、お姉さんは腰を抱かせてきた。

「もっと会話しながらギュッと手に力入れてもいいんだよ」
「内緒話する感じで、耳に口をくっ付けちゃうのとか」
「そのとき、耳に吐息を当ててもいいし、そのまま喋ってもいいの」

言われるがまま、俺はお姉さんの耳に口を付けたり、コソコソと耳打ちしたり。
もうこの時点で俺の息子は完全に起き上がってる状態。
たぶんお姉さんも分かってたんだと思う。
分かっててやらせてたんだと思う。

「もう彼女はドキドキしちゃってるから、ここでキスしちゃうの」

お姉さんがこっちを見た時、顔と顔の距離は数十センチ。
思わずそのままキスしちゃいそうになった。

「彼女のためにとっておかなくていいの?」

俺がキスしそうな雰囲気になってるのに気が付いたらしく、お姉さんはオデコをくっつけてきてそう言った。

「キスもどうしたらいいのか分からないから・・・」

お姉さんが目を閉じたので、俺は吸い込まれるようにキスをした。
フレンチな軽いキスを1回して唇を離すと、お姉さんは至近距離で俺を見つめてくる。

「教えてあげるね」

「うん」

お姉さんは俺の唇に吸い付いてきた。
そして口の中に舌を入れてきて、俺の舌をベロベロと舐め始めた。
教えてもらうとか、それどころの騒ぎじゃありません。
お姉さんのキスに圧倒されながら俺は真似るように舌を動かした。
必死になってキスしてたので時間が経つのも忘れた。
俺はドキドキしながらお姉さんに抱きつき、お姉さんも俺に抱きつきながらキスを続けた。
オッパイが胸に当たって興奮度は最高潮。
でも、この先どうしていいのか分からない。
お姉さんはそんな俺を見透かしたように助け船を出してくれた。

「もうこんになっちゃって」

唇を離した時、俺の息子をジーパンの上から触ってきた。

「途中まで教えてあげよっか?」

ベッドに寝たお姉さんの上に乗り、キスをしながらオッパイを揉んだ。
痩せてるから小さいかと思ったけど着痩せするタイプだった。

「初めはもっと優しく触って」
「後ろでとめてるから外して」
「女の子の洋服は粗末にしちゃダメよ」
「シャワー浴びてくるね」

服を着た状態でキスをしながらどう触るのかを教えてもらった後、お姉さんはお風呂に消えた。
出てきたら俺も入らなきゃかなとか、どう言おうかなとか、軽くパニック。
答えが出ぬまま、お姉さんがバスタオル1枚で出てきた。

「シャワー浴びる?」

言われるまま素直にシャワーを浴びた。

「早くしないと風邪引いちゃうからね」

悪戯した子供にでも言うような口調だった。
急いでシャワーを浴びて出てくると、お姉さんは布団に包まっていた。
そこにおずおずと入っていき、抱き合いながらキスをした。
生まれて初めて見る生の女体に、どうしようもないほど興奮した。
オッパイの触り方から乳首の舐め方、「ここも触ると興奮するの」とか教えてもらった。
いざアソコを触ってみると、お姉さんはかなり濡れていた。

「濡れてるの分かる?そのままここを優しく触って」

クリトリスの位置を指示され、俺の指を持って、どう動かすかを教えてくれた。
お姉さんは声を出さないように我慢しているようで、時々「はぁ・・・」と息を漏らす程度。
俺は必死で指先に集中した。

「優しく指を入れて・・・そう・・・分かる?柔らかいでしょ?優しく触って・・・」
「もうちょっと奥・・・その上・・・そこがGスポットだから・・・こう動かして・・・」
「んっ・・・だんだん動きを・・・んあぁっっ・・・そう・・・はんっ・・・」

息子をギンギンにしながら俺は指マンを覚えた。
明らかにお姉さんは感じていて、その姿もエロくて興奮した。
お姉さんは俺の息子を握り、上下にシコシコと動かしながら手マンを教え続けた。

「彼女は処女だから無理だけど・・・もう1本入れてみて・・・んぁっ・・・」

調子に乗ってきた俺は、指を2本にして教えられたように動かしまくった。
我慢の限界になったのか、お姉さんは明らかに気持ち良くなっていて、喘ぎ声もはっきり出し始めていた。
腕が攣るんじゃないかと思うくらい手マンをした。
お姉さんはイカなかったけど、抜いた指はふやけてベッチョリ濡れていた。

「舐めてもいい?」

息子を握りながら上目遣いで尋ねるお姉さんに俺は頷くしかなかった。
初めて亀頭に舌が触れ、温かい口の中に入った時、思わず声が漏れてしまった。
亀頭を這うように動く舌、ジュポジュポとしゃぶる感覚と音、もう頭がスパークし始めていた。

(このまま口でイキたい)

そう思ったくらい気持ち良かった。

「じゃあ、ゴムの付け方を教えてあげるね」

ベッドの下にあった小箱から出したゴムを、「ここを摘まんで空気が入らないように・・・」と説明しながら実践してくれた。
勿体ないと断ったけど、お姉さんはつけたゴムを取り、新しいゴムを俺に渡してきた。
少し手間取ったけど、ちゃんと装着できたと思う。

「入れる場所、教えてあげるね。指で開いていいよ、ここ・・・分かる?ここに入れるの。指入れてみて?分かる?」

穴の位置は分かった。

「じゃあ次は正常位で入れるやり方ね。いいのよ、手を使っても。固定してそのまま亀さんの先で探すようにしていいの。そっちはお尻の方だからもっと上・・・そう、そこ・・・」

「先っぽだけ入れていい?」

「うん・・・入れて・・・」

穴を探すようにしながら位置を確かめ、グッと力を入れた。
思った以上に簡単に息子が半分くらい入っていった。

「んはぅっ!・・・」

「もう我慢できないよ・・・奥まで入れちゃうよ?」

「いいの?彼女のために我慢しなくていいの?」

俺は腰を押し付けるようにして根元まで入れた。
気持ち良かった。
温かくて柔らかい隙間に息子を入れてる感覚だった。
恐る恐る腰を動かしていると、お姉さんは下から抱きついてきて、キスをしてきた。
もうその後は無言で、ただひたすら腰を振った。

お姉さんは、「すごい・・・気持ちいい・・・」と優しく微笑みながら俺に抱きついてきていた。

10分も持たなかった。
正常位で入れて、そのままゴムの中で射精した。
イッた後、軽く罪悪感に苛まれたけど、添い寝するお姉さんの匂いを嗅ぐとどうでも良くなった。

ベッドで色々な話をした。
初めて会った時、俺が断ったことに対して実はムカついてたって。

『アタシはこれから沢山の男と寝なきゃいけないのに、なに平和ぶってんだ』って思えたらしい。

だけど風俗で働き出して2年くらいしてから、今度は断った俺に感謝しだしたらしい。
会う男たちは性欲丸出しだけど、そんな男ばかりじゃないんだって思えたって。
風俗で働き出すと男が信用できなくなるって、お姉さんは言ってた。
体目的の男がこんなにも多いのかって実感したらしい。
俺と会って恋愛相談に乗ってるうちに、羨ましいなぁ~って感じて、途中から俺を自分のものにしたいって感情が芽生えたんだって。
だから部屋に誘ったし、抱いて欲しくて、わざと我慢できなくなるシチュエーションにしたんだって。
お姉さんは、「ゴメンね」と言いながら話してくれた。

その日は結局お泊りをして、朝まで3回もやってしまった。
2回目からお姉さんは本領発揮した。
喘ぐわ、腰は振るわ、フェラもさっき以上の卑猥な舐め方だった。
それから毎日メールも続いてて、なんか彼女なんてどうでも良くなってきた。

(またお姉さんに会って、思いっきりセックスしたい)としか考えてなかった。

でも次の週になったある日の夜、お姉さんから電話がかかってきた。

「もう会えないし連絡も取れない」って。

訳を話さないからしつこく聞くと、ちょっとだけ教えてくれた。
ここ1年くらい通ってくれているおじいちゃんがいるらしい。
そのおじいちゃんは都内の繁華街などにも土地を持っている地主さんで、かなりのお金持ち。
以前から、「借金を全部払ってやるから愛人になってくれ」と誘われてたらしい。
でも自分で作った借金だからと、つい先月まで返済していた。
それが終わったから風俗は引退して、おじいちゃんの専属になると。
おじいちゃん名義のマンションに引っ越して、今まで連絡を取っていた男たちとは縁を切るというのが条件。
もう勃起もしないおじいちゃんだから、ほとんど老人介護みたいなもんだって言ってた。

そして、「いい男になってね」と最後に言われた。

電話を切ってからすぐに掛け直したけど、電源が切れた状態になってて、次の日には解約されてた。

今でも1枚だけ、2人でベッドで抱き合って撮った写メがある。
もうあれからだいぶ経つけど、何をしてるのかなって今でも思い出す。
お姉さんの本名も知らないけど、今にして思えば本気で好きだったんだなって思う、そんな淡い思い出。