当時、高校生になると同時に俺は塾に通わされた。
個別指導だったおかげで先生と話す機会がたくさんあった。
俺が習っていた教科は英語。
担当の先生は背の高い若い女性だった。
頻繁に塾に通ったためすぐに仲良くなり、プライベートなこともだんだん話すようになった。
PCMAX
勉強はもちろんのこと、勉強以外の相談もするような仲になった。
学校でも英語の成績はピカイチだったため、俺は先生(以下、『麗奈』)のことをものすごく信頼していた。
それに応えるくらいの成績を自分の中では取れてるつもりではいた。
授業の休憩中などに、麗奈に恋愛相談をすることが増えていった。
俺は人並みに恋をし、人並みにお付き合いをし、人並みの経験をしていたつもりだ。
ただ他人に誇れるのは英語力のみで、他は普通かそれ以下という感じだった。

時間が経つにつれて麗奈の恋バナを聞くことも増えていった。

「私の恋っていつもこうなの~、笑っちゃうよねー」
「昔、彼氏にこういうことされたことあるけどひどいよね?」
「やっぱ男はこうじゃないと~」

麗奈は色んな話をしてくれた。
しかしある違和感を覚えた。
麗奈の口から出てくる男の名前が全てカタカナなのである。
最初の頃はあだ名か何かだと思っていたが、あるとき疑問を投げかけてみた。

麗奈「あだ名じゃないよ、全員本名!私、アメリカ人と付き合うことが多いんだー」

どうやら麗奈は収入のほとんどを海外旅行に使っているらしい。
海外放浪癖は大学生あたりからついていたようだ。
詳しい理由は忘れたが、高校時代にアメリカに魅力を感じて貯金を始め、大学時代に貯めたお金で旅行をしてハマったらしい。
勘違いして欲しくないが、このハマったというのはアメリカ人にハマったわけではなく、アメリカの文化にハマったという意味だ。

麗奈「私には夢があって、そのために今働いているんだー」

俺「なんですか?その夢って」

麗奈「・・・うーん。秘密」

麗奈は教えてくれなかった。
確かに麗奈の恋バナは面白かった。
そして、そういう話をしてくれるということは、俺に心を開いてくれているからだと思っていた。
しかし違ったらしい、俺には最後まで夢を教えてくれなかったからだ。
少し悲しんだが悲しみは一時のもので、そんなことも忘れて塾に通った。

俺は高校3年生になった。
志望校を麗奈と一緒に決め、麗奈に勉強を教わり、常に麗奈は俺を見守っていてくれた。
アドレスと番号を教えてもらい、わからないことはメールや電話で聞いた。
俺は麗奈にとても感謝していた。

そんな中、模試の結果が良かったので、喜んでもらえると思って麗奈に見せに行った。

麗奈「あれ?今日は塾ないよー」

俺「模試の結果が届きましたので、それを見せに参りました」

麗奈「わざわざありがとー、おー、ずいぶん伸びたねー」

どこか違和感を感じた。
めでたい話なのに、どことなく声のトーンが低いのだ。

俺「ありがとうございます。これも麗奈先生のおかげです。・・・もしかして疲れてますか?」

麗奈「あー、うん。ちょっとね、実は言ってなかったことがあるんだ。受験直前で申し訳ないんだけど、塾辞めるんだ」

聞くところによると、4月の時点で決まっていたらしい。
まだ塾長にしか言っておらす、それ以外の人たちにはなかなか言えなかったらしい。
転職するのは麗奈の自由だ、別になんにも不思議なことではない。
しかし、前から決めていた割には、辞める時期がおかしい。
俺は察した、夢のために辞めなければいけないのだと。

麗奈はついに自分の夢について語ってくれた。
音楽関係の仕事に就きたいのだそうだ。
自分にはよく理解できなかったが、アメリカ音楽に魅了されたらしい。
音楽家として大成するために、この時期に辞めなければいけなかったのだ、と。

麗奈「はい、あなたにお手紙があるの。何かわからないこととか悩み事とか、なんでもいいから連絡頂戴ね」

こうして麗奈はアメリカに行った。

俺は悲しかった。
麗奈に対して抱いていた感情は尊敬や憧れ、それは感謝などではなく異性に対する好意だったことに気が付いた。
そして俺は考えた、本当に連絡してもいいものなのかと。
普通に考えて、連絡したらあっちも喜ぶと思ったのだが、このときの俺はそうしなかった。
そして・・・。

(受験に受かったらこの手紙を開封し連絡をしよう)

そう思った。

俺は無事に受験に合格し、手紙を開封した。
手紙の内容のほとんどは俺に対する励ましの言葉だった。
とても嬉しかったが、その手紙の最後に書かれた追伸を読んで目が留まった。

――――――――――――
P.S.
あなたの英語力には目を見張るものがありました。
大学生になったら、いえ大学を卒業した後でもいいです。
アメリカに留学してみませんか?
宿などは心配しなくてもいいです。
――――――――――――

大学生1年の夏休み、語学留学という形で俺はアメリカに向かった。
お金がなかったため麗奈の家に居候させてもらった。

麗奈「まさか本当に来てくれるとは思わなかった。凄く嬉しい、ありがとう」

話は飛ぶがベッドの上での話になる。
その日は2人でお酒を飲んだ。
麗奈も俺もほろ酔い程度だった。
アルコールの力なのかかわからないが、麗奈がとてつもなく美しく感じる。
なおかつ、渡米してきてからずっと麗奈と一緒だったこともあり、俺は溜まっていた。

無防備にソファに横になっている麗奈。
チラリと見えるブラが俺を興奮させる。
麗奈の寝息までもが可愛らしい。
化粧をとったスッピンの麗奈、30歳過ぎというのがびっくりするくらい綺麗な肌。
無駄な脂肪もほとんどなく、出るところは出ている理想的な体。
麗奈の全てが可愛い。
麗奈の全てが美しい。
俺の頭の中は麗奈でいっぱいになった。

(あぁ、麗奈とキスがしたい)

麗奈の唇は柔らかかった。
貪るように麗奈にキスをした。
何度も何度もキスをした。
麗奈の口全体を舐め回すようにキスをする。
寝ているのか起きているのかは判らなかった。
バレてもいい、怒られてもいい、追い出されてもいい、俺は何度もキスをした。
鼻息が恥ずかしくて呼吸を我慢していたが限界に達した。
俺が息継ぎをした瞬間、麗奈が起き上がった。

麗奈「続きは向こうでしよ?」

俺たちはベッドに向かった。
麗奈のTシャツをはぐ、麗奈のブラジャーを剥ぐ。
大きく膨らんだ胸を揉んだ。
麗奈の口から洩れる喘ぎ声。
もう我慢できそうになかった。

麗奈「濡れてるから、もういいよ」

俺は挿入した。
でも、ピストンしてたらだんだん萎えてきて、中折れした。
そこからの記憶がない。

この日以降、ずっと気まずくて、留学終了までなんの進展もなかった。
日本に戻ってからは音信不通だ。