(なんとかマリンと付き合いたい)
そう思って昼飯に誘ったり、ゼミ発表の打ち上げに誘ったり・・・。
でも本気の女にはなかなか踏み込めない半端なチャラさがアダになることに。
忘れもしない8月のある夜。
俺とマリンは同じゼミで一人暮らしをしているFの家にいた。
夜中まで他愛もない話で盛り上がっていたが、俺は翌日の1限に備えて帰ることに。
俺は車で通学していたので、「送って行こうか?」と声をかけたが、マリンは「あたしは2限だから終電で帰るよ。まだ間に合うし」という返事を受けて先にFの家から帰ってしまった。
翌日。
マリンから、『ちょっと相談したいんだけど』とメールが入った。
大学の談話室で待ち合わせをし、やって来たマリンを見て、一瞬で全て悟った。
マリンの服は昨日、Fの家で別れた時と同じ服装。
マリンは談話室のテーブルを挟んで俺の前に座ると何か言いたそうにソワソワし始めた。
俺「泊まったんだね?」
マリン「分かる?(笑)終電逃しちゃってさ。泊めてもらったんだけど、そのまま・・・」
何で俺はマリンを連れてFの家を出なかったのか。
悔やんでも悔やみ切れない。
マリン「Fってさぁ、彼女はいないんだよね?あのさ・・・」
そこからマリンが何を言ったかはおぼろげにしか覚えていない。
その時点で2人は付き合い始めてはいなかったが、マリンはFに抱かれたことでその気になってしまったらしい。
マリンの話を上の空で聞きながら、(ゴムの用意なんか無かっただろうから生だったんだろうな)とかゲスな考えで頭がいっぱいになった。
結論から書くと、マリンとFは付き合うことはなかった。
Fにとっては、隣に女が寝ていれば、好きでなくても抱いただけ。
体の関係になったからといって付き合うことはせず、1人の女には縛られたくないってタイプだった。
その年の秋。
俺は失恋したマリンを慰めるため、あわよくばという下心を見え隠れさせながらマリンと友人関係を続けた。
マリンの好きなバンドを好きになり、マリンが「面白いよ」と勧めてくれた本を読み漁り、マリンが行きたいと言った場所に2人で出かけた。
マリンの気持ちがまだFに向いていたのは分かっていたが、一緒に居られるだけで嬉しかった。
マリン「あたしさ、ずるいよね」
夜景を見に行った帰り道、マリンが車内で呟いた。
唐突なセリフだったが、意味はすぐに分かった。
マリンは俺の気持ちに気付いていた。
俺「俺は一緒に居られるだけで楽しいけどな」
そんなわけがない。
一緒に居るだけで我慢が出来るわけがない。
そんな俺の精一杯の強がりにマリンは、「ありがと」とだけ呟いて、車窓の外に視線を投げた。
その年の冬。
ゼミの飲み会の合間に俺とマリンは店の外に出て煙草に火を点けていた。
北国の寒空の下で煙草を吸うのは辛かったが、煙草を吸わない他のゼミ生に気を使わなければならなかった。
マリン「今日は飲まないんだね」
俺「車だからな」
店の壁に立ったままもたれかかる俺。
その横に小さくしゃがみ込むマリン。
マリン「このまま皆を置いてどこか行こうか(笑)」
俺「みんなびっくりして探すだろうね」
マリン「探してくれるかな?」
俺「まだ会計が終わってないからな。血眼になって探すよ」
マリン「そっか、それもそうだね(笑)」
俺のつまらない冗談にマリンが笑う。
俺「なぁ」
マリン「ん?」
俺「俺じゃダメかなぁ?」
マリン「・・・」
「何が?」とは聞かれなかった。
代わりにマリンは、「ゴメンね」と呟いた。
マリン「貴方は優しいから・・・いっぱい甘えちゃった。前に車で『あたしってずるいよね』って言ったの覚えてる?」
俺「あぁ、覚えてる」
マリン「今もやっぱりずるいんだと思う。言うだけ言わせといてさ。簡単にゴメンだなんて」
俺「いいよ。たぶんそうだろうとは思ってたから」
煙草がフィルターを焼く頃に俺達は店内に戻った。
ゼミの仲間も、教授も、Fも俺達が煙草を吸いに出ていたことなんて気付いちゃいなかった。
きっとあの時、マリンを連れてどこかに行ってしまえば良かったんだ。
それから俺達は4年に進学した。
マリンと付かず離れずの友達関係を続けていた。
俺も外に恋人を作ろうと努力したが、いつも土壇場になるとマリンを思い出してしまい、踏み込めないまま終わってしまう。
「お前さぁ、いい加減にしたら?」
仲間内で『ミスター』と呼ばれてる友達がいて、そいつはいつも俺を見かねて合コンをセッティングしてくれていたが、俺はいつも数合わせで座っているだけだった。
「たまには番号くらい交換しろよ」
そう言われても、交換して何をすればいいのかも分からない。
何を話していいのかも分からない。
「じゃあさぁ、もっかい玉砕して来いよ」
(そうだな。それもいいかもしれない・・・)
ミスターに背中を押された俺は久しぶりに自分からマリンを呼び出した。
大学の喫煙室。
この頃から大学の敷地内が禁煙になり、喫煙者は各フロアに点在する喫煙室に押し込められるようになった。
その中でも一際利用者の少ない喫煙室に俺はマリンを呼び出した。
マリン「ごめんね、前の授業が終わんなくてさ」
通学用の鞄を脇に抱えたマリンが喫煙室に飛び込んできた。
俺「大丈夫。午後から自主休講だから」
マリン「行きなさいよ、次は専攻の授業なのに」
俺「単位は取れるからいいんだ」
マリンの他は何もかもどうだっていいんだ。
俺「俺はやっぱりマリンが好きだ。諦められない」
前フリも段取りも無い告白。
来たばかりのマリンは何も言えずに固まってしまった。
マリン「・・・」
俺「ゴメン、いきなり」
俺はマリンの顔を直視できずにそのまま俯いてしまった。
俯いたまま、何分かの沈黙。
もしかしたらもっと短かったかもしれない。
情けないけど俺は怖くて顔も上げられなかった。
マリン「ねぇ」
ようやくマリンが口を開いた。
マリン「せめて顔を上げて?」
勇気を振り絞り顔を上げた俺にマリンが目を瞑ってキスをしてきた。
マリン「でも友達以上には見れない。ゴメン」
「じゃあキスなんてするなよ」とは、口が裂けても言えなかった。
俺「嬉しかった。嬉しかったけど諦められるかなぁ(笑)」
これだけ言うのが精一杯。
笑って言ったつもりだけど、きっと泣き笑いみたいな顔になってたと思う。
マリン「ゴメンね。あたしはやっぱりずるいことしか出来ないみたい」
マリンが立ちすくむ俺の手にそっと自分の手を重ねて小さく笑った。
俺「1度だけ」
俺はマリンの手を強く握り返した。
俺「1度だけでも」
マリン「・・・」
今度は真正面からマリンの顔を見つめた。
マリン「1度だけ?」
俺「そう」
マリン「もう友達じゃなくなるかもよ?」
俺「・・・マリンが欲しい」
マリンは少し考えてから、「いいよ」と呟いた。
マリンの内心は分からない。
失望したかもしれないから、俺は分からないフリをしてたのかもしれない。
俺はマリンを抱き締め、今度は自分からキスをした。
長いキスの途中、マリンは少しだけ唇を開いた。
舌をマリンに差し入れるとマリンも応えてくれた。
煙草の残り香に混じる甘いフルーツの味。
キャンディか何かを舐めてたんだろう。
マリンの舌に自分の舌を絡めて吸い上げる。
喫煙室に響く粘着音。
唇を離すとマリンが目を瞑ったまま、「ふぅ」と息を吐く。
キスをする時は目を瞑るというお約束。
そういえば俺は目を閉じていなかったかもしれない。
そのまま俺達はフロア端の非常階段室の扉をくぐった。
前にマリンと見つけた秘密の隠れ家。
あまり人が使わない端の校舎の誰も使わない非常階段。
階段に積まれた学祭用の資材を跨いで階段を上り、屋上フロアの1つ下。
そこに学祭で泊まり込む生徒のための布団が梱包されて置いてあるのを俺もマリンも知っていた。
慌ただしく梱包を解いて布団を広げてマリンを押し倒す。
マリン「待って!」
マリンが声をあげる。
固まった俺にマリンは・・・。
マリン「お願い、優しくして」
顔を僅かに背けながら囁いた。
俺は気持ちを沈めて優しくマリンに覆いかぶさりキスをした。
1年以上焦がれたマリンとのセックス。
俺は自分の服を全て脱いで全裸に、マリンも自分から服を脱いで全裸になった。
布団に横たわったマリンは右腕で胸を隠し、左手で股間の茂みを隠した。
顔は横を向いて目を閉じている。
身体を許してくれたマリンの優しさと恥じらいに俺は再び気持ちを抑えきれなくなり、マリンの右腕を剥ぎ取ると乳首に吸い付いた。
すでに硬くなっているマリンの乳首。
音を立てて吸い上げるとマリンは、「ハァッ」と短く息を吐いた。
そのまま片手を下に伸ばしてマリンの茂みを隠す左手を退ける。
割れ目を指で開くとマリンの中は濡れ始めていていた。
マリン「・・・当たってる」
マリンの太腿の辺りに俺の硬くなったモノが当たっていた。
マリン「舐める?」
俺「お願いしてもいい?」
マリン「うん」
マリンが身体を起こして俺の股間に顔を埋める。
マリンの小さな口が、さっきまでキスをしていた口が、今は俺のペニスを咥えている。
亀頭の先に唇を当てて根元に向かってゆっくりと咥えこんでいく。
口の中ではマリンの下がペニスの裏筋を何度もなぞり上げる。
ゆっくり根元まで咥えると、今度は首を振りながらジュポジュポと激しいフェラになった。
このままマリンの喉を突いて壊したい気持ちを懸命に抑え、マリンに身体を任せる。
マリン「ひもひいい?」
俺「気持ちいいよ」
マリンが口に含んだまま喋ると、舌が思ってもいない動きをしてくれる。
(こうやってFのモノも咥えたのかな?)
そう思った矢先にマリンが言う。
マリン「今、変なこと考えてたでしょ?」
俺「何が?」
マリン「それなりの付き合いだから分かるよ?1度だけなんだから集中しなくていいの?」
俺「ちゃんと分かってるよ」
心でマリンに謝り、セックスに没頭する。
俺「マリン、もういいよ」
口でイカされないうちにフェラをやめてもらい、マリンを再び布団に横たえる。
俺「もっと足を開いて」
マリン「・・・うん」
マリンがそっと股を開くと、今度はしっかり濡れて陰唇が自然と開いていた。
マリン「あんまり見ないでね。OKはしたけど恥ずかしんだから」
マリンが拗ねたような表情を見せる。
俺はマリンの両足の間に膝をつき、開いた穴に指を入れた。
マリン「・・・ッ!」
マリンはギュッと目を瞑って歯を食いしばって声を堪えていた。
多少声を出したって誰にも聞かれないのに。
俺「マリンの声をもっと聞きたい」
指を2本に増やして動かすと、愛液が飛沫になって吹き出した。
布団には点々とマリンの出した染みがついていく。
マリン「だめっ!それダメ!!気持ちいい!中ダメ!イクっ!」
1度限りの特別なセックスにマリンも興奮したのか、手マンだけでマリンはあっさりイッてしまった。
こんなに簡単にイクとは思わなかったので俺は指先についた愛液をマリンのクリトリスに塗り込めた。
マリン「クリダメ!イッてるから!イッてるから待って!!」
膝を震わせながらもピッタリと足を閉じてガードするマリン。
俺「少し待つから足を開いて」
俺が優しく声をかけるとマリンは俺の様子を窺いながらゆっくりと股を開いた。
俺「入れるよ」
マリンの膣口に亀頭の先端を宛てがい、「いい?」と聞くと、マリンは目を閉じて頷いた。
ゴムの用意なんかなかったけど、マリンは許してくれた。
ゆっくり腰を突き出すと、ペニスがフェラなんかとは比べ物にならない快感に包まれる。
マリンの中は1度イッてるにも関わらず狭く、強引に突き入れると強烈な締めつけを返してきた。
マリン「あぁっ、んっ、あんっあんっ!!」
突くたびにマリンの中から愛液と喘ぎ声が溢れる。
俺「マリン、好きだ」
マリン「今だけ、んっ、今だけ好きにしていいからッ!」
正常位の下からマリンが俺を強く抱き締める。
同時にマリンの中も強烈に締まり、俺はマリンの中に勢いよく精液を放出した。
マリン「中に出てる・・・」
それでもマリンは抱き締めたまま離さない。
俺はマリンの腕を優しく解いてうつ伏せにすると、今度はバックから犯した。
マリン「1回だけ、あんっ」
マリンとのセックスは1度だけの約束。
それでもこの時だけは、1度イッたくらいじゃ勃起は収まりそうになかったし、1度くらいじゃ満足できなかった。
マリン「そういえばゴムしてないね」
マリンは気付いていなかったらしい。
俺「生はダメだった?」
マリン「赤ちゃんできちゃうかも・・・」
逆に俺は燃え上がった。
マリンが妊娠すれば俺のものになってくれるかもしれない。
あと少しで学校も卒業だ。
妊娠しても結婚できるし、マリンと一緒に暮らしていける。
俺「妊娠したら責任取るから」
マリン「ヤダっ、妊娠、ダメっ!」
マリンは俺の下で藻掻くが、寝バックでがっちりホールドしているので動けない。
マリン「友達じゃいられなくなっちゃう!1回だけって、あっあっあっ、約束だよ!」
俺「もう友達には戻れないよ!ごめんマリン!」
俺は激しく腰を振って、マリンの2度目の射精をする。
マリン「あんっ、赤ちゃん、まだ産みたくない・・・」
ゆっくりペニスを引き抜くと、俺の先端から精液の糸が引かれて、マリンのアソコと繋がっていた。
尿道に残った精液を絞り出すとマリンの肛門の辺りにポタポタと垂れた。
マリン「約束と違うし・・・」
マリンは布団に顔を埋めた。
マリン「最初に確認しなかったあたしも悪いけど、中に出したらダメだよ・・・」
俺「ごめんね。マリン」
もう2度も中に出されたマリンの中は愛液と精液で一杯になり、マリンが四つん這いに身を起こして「んっ」とお腹に力を入れると、ブリュブリュと音を立てて溢れてきた。
俺は黙ってマリンの中から出てきた体液を指で拭った。
マリン「やっ」
指先がクリトリスを掠めたことでマリンが声を上げて腰をくねらせた。
泡立った体液がマリンが動いた拍子に布団に垂れ落ちる。
俺「マリン・・・」
俺は四つん這いで惚けているマリンの腰を掴むと3度目の中出しをすべく、柔らかくなりかけたペニスをねじ込んだ。
マリン「またっ!?もうダメ!やだぁ!」
マリンが懇願してきたが俺は構わず腰を打ち付ける。
言い訳をするなら、マリンも口では「嫌だ」と言っていたが、決して逃げようとはしなかった。
ただひたすら口で、「ヤダヤダ、中ダメ」と繰り返すだけで、バックで突いている時も自分で腰を振っていた。
俺「マリン!」
後ろからマリンの両胸を鷲掴みにし、俺はこの日、3度目にして最後の射精をした。
マリン「3回も中に出すなんて・・・」
マリンは少し怒った顔で鞄からティッシュを出すと自分の股間を拭った。
俺「ごめん」
冷静になって謝ったが、謝って許されるようなことではない。
マリン「妊娠しちゃうかなぁ・・・いっぱい中に出たみたいだし」
マリンは溢れてくる精液を拭くのを諦め、指先についた精液を眺めながら呟いた。