(ひいい・・・恥ずかしい)
丸出しなお尻に、膝が震えそうでした。
ガガっ。
おじさんが脱衣所へのガラス戸を開けてくれます。
(恥ずかしいよ)
じろじろ見られているのを感じていました。
伏し目がちに・・・。
「すみま・・・せん」
辛そうな顔を向けて見せるのがやっとのふりをします。
「あそこにベンチがありますから」
「・・・はい」
脱衣カゴから自分のバスタオルを取りました。
よろよろ歩きながらカラダにしっかり巻きます。
そして、ぐったりと・・・その長ベンチに腰かけました。
「大丈夫?」
おじさんが心配そうに私の顔を覗き込んできます。
もう完全に、この人の“本心”が垣間見えていました。
「水でも持ってきましょうか?」
(このおじさん・・・)
あくまでも紳士的ですが、それは表面上のことです。
さりげなく顔を近づけてきて・・・。
「休んだほうがいいよ」
バスタオルの胸もとに目線を走らせるこの男の人・・・。
(恥ずかしい)
たぶん本人は私に気づかれていないと思っているのです。
「顔が真っ白ですよ」
生気のない顔をぼーっと上げてみせます。
そこに立つおじさんの顔を見つめながら・・・。
「気持ち悪い・・・」
すがるような眼差しを浮かべて見せました。
「気持ち悪い・・・です」
「横になったほうがいいですよ」
やさしい声でした。
「無理しないほうがいい」
泣きそうな顔で・・・。
「・・・はい」
かすれ声を絞り出します。
そして、そっと・・・その長ベンチの上でカラダを横向きにしました。
胸から腰まで、きっちりとバスタオルを巻いてあります。
でも、その長さは本当に腰ギリギリでした。
仰向けになるには裾が短すぎます。
涙ぐんだままベンチの上で両脚を伸ばす私・・・。
(見えちゃう・・・恥ずかしいよ)
そのまま仰向けに寝そべっていました。
天井の照明が目に飛び込んできます。
やけに眩しく感じました。
辛そうに顔をしかめて、目を瞑ってしまいます。
剥き出しの太ももを露わに伸ばしたまま・・・。
(ああん)
ぐったりと全身を脱力させました。
もう確かめるまでもありません。
寝そべったバスタオルの裾は完全に寸足らずでした。
揃えていた両膝も外向きに開いてしまいます。
ちょっと内側を覗き込めば・・・。
(イヤ、おじさん)
恥ずかしいところが露わでした。
自分では、ちゃんとわかっていないふりをします。
立っていたおじさんが・・・。
ガガッ。
そのあたりにあった丸イスを引き寄せたのがわかります。
(あ、ああ・・・)
カツッ。
すぐ横に腰かけている気配がしました。
(やぁあん)
目を瞑ったままでも感じます。
(見ないでぇ)
何もわからないふりをして・・・。
「すみま・・・せん」
辛そうに呟いて見せる私・・・。
(だめ、泣きそう、泣きそう)
「大丈夫ですよ。休んでれば落ち着きますからね」
そのやさしい声色に・・・。
(やあん)
かえって羞恥心を煽られます。
(見てるくせに)
まんまといい位置に陣取ったおじさん・・・。
この人にしてみれば、まさに役得といったところでしょう。
目の前の私の股を覗き放題の特等席です。
(ああん)
頭の中で拒否しながらも最高に興奮していました。
「のぼせちゃいましたかね?」
「すみま・・・せん・・・」
顔をしかめたまま辛そうに返事をしてみせます。
(泣いちゃう)
ちゃんとカラダにタオルを巻いてはあります。
でも肝心なところは完全に披露してしまっているのです。
(いくら貧血だからって・・・)
自ら演じる真面目なこの子が、自分でも不憫でした。
そんな自分が恥ずかしくて・・・気持ち良くて・・・。
親切ぶっているこの男性の心の裏側を想像してしまいます。
(おじさん、しっかり見て。こんなにキレイな子だよ)
目を瞑ったまま身悶えたいほどの快感でした。
何の罪もないこの女の子・・・。
(この子の割れ目が見えてるよ)
泣きそうに込み上げる興奮を奥歯で噛みしめて・・・。
「すみま・・・せん」
朦朧としているふりをします。
縁もゆかりもないこの中年おじさんに・・・。
(ちゃんと見なきゃ損だよ)
私の“縦の割れ目”を覗かせてあげました。
たぶん・・・3分ぐらい、そんな状態を続けることができたでしょうか。
おじさんも、さすがに怪しまれることを恐れたのだと思います。
「何かあったら声をかけなさいね」
そのうち向こうの方へと離れていきました。
ガタ・・・ガタ・・・。
色々と片付けものをする音が聞こえてきます。
満足感でいっぱいでした。
もうそろそろ、この辺りが潮時です。
(こんなにドキドキできたなんて)
しかも完璧にハプニングを装うことができたのです。
(最高!)
幸せな気持ちでした。
(来て良かった)
この興奮こそが、誰にも言えない私の秘密の喜びなのです。
(勇気を出して良かった)
瞑っていた目を、そっと薄目にします。
(帰ろう。帰って早くオナニーしたい)
でも、急に元気になるわけにはいきません。
起き上がるには、まだ少し早すぎます。
ガタン・・・ガサッガサッガサッ・・・。
作業を続けるおじさんは何度も私のベンチの横を通っていました。
まだ寝そべったままですが、薄目にした私には見えています。
3度目か4度目ぐらいのときでした。
横を通りがかったおじさんが心配するふりをして私の顔を覗き込んできます。
(ドキドキ)
緊張しました。
なんとなく予感があったのです。
わざと何の反応も示さない私・・・。
薄目のまま、眠ったように息をしてみせていました。
すると・・・すっと姿勢を低くしたおじさんが・・・。
(ひいい)
私の股の間を覗き込んでいます。
(イヤ、だめ)
いくらなんでもという至近距離で、あそこを見られていました。
脚を閉じたくなる自分に必死で耐えます。
そしてまた・・・。
さっと立ち去っていきました。
(ドキドキ・・・)
私にまったく気づかれていないと思い込んでいるのです。
(ドキドキ・・・)
あからさまに本性を見せられてしまった・・・。
その事実に私はショックを受けていました。
今さら綺麗事を言うつもりはありません。
頭ではわかっていたことでした。
でも・・・。
(表向きは、あんなに親切ぶっていたくせに)
しばらくして・・・。
ガタン・・・バタ、バタ、バタ・・・。
おじさんが脱衣所から出て行く気配を感じました。
私はカラダを起こしました。
とにかく最後まで演技は通さなければなりません。
(あのおじさん、すっかり油断しちゃってる)
内心、まだ動揺は残っていましたが・・・。
(そんなに見たかったの?)
一方では自尊心をくすぐられます。
(あのおじさんを喜ばせたい・・・)
そんな気持ちが湧き上がってくるのです。
(どんなに恥ずかしくたって)
どうせ相手は赤の他人でした。
2度と会わなければ、この場限りのことなのです。
バスタオルをきちんと巻き直しました。
長ベンチに普通に腰かけます。
(戻って来るまで待っててあげる)
なんとなく、あの人の思考は掴めているつもりです。
まずは少しだけ話し相手になってあげれば・・・。
(ドキドキ、ドキドキ・・・)
たいして待つまでもなく入口の戸が開きました。
ロビーからおじさんが戻って来ます。
ベンチに座っている私を目にして、『おっ』という表情になっていました。
「少しは良くなりました?」
まっすぐに近づいてきます。
(ドキドキ・・・)
「はい、だいぶ」
静かにおじさんの顔を見上げました。
(ドキドキ・・・)
いかにも申し訳なさそうに・・・。
「すっかりこんな・・・ご迷惑をおかけしてしまって」
しゅんとしてみせます。
(ドキドキ・・・)
本当はもう・・・こうして顔を合わせていること自体が恥ずかしくてなりません。
<続く>