俺をこんな状況にした者を俺は知っている。
手足がスラリと長く、切れ長の目をした女。
長い黒髪は妖艶で、背も俺と同じくらい長身。
間違いなく美人の部類に入るだろう。
その女のことは知ってはいるが、でも今日が初対面だった。
俺はその女の目に魅せられ、まるで魔法か催眠術にかかったかのように自ら衣服を脱ぎ去り、抵抗せぬまま自ら拘束されていった。
そして我に返った時、俺は俺自身が身動き出来ぬ格好になったことを知り、後悔の念にかられた。
だが時すでに遅し。
女は俺を拘束し終えると、すぐにその気配を消した。
俺はまるで魔物の前に晒された貢物のように、魔の降臨を待っていた。
「いい格好」
突然、まだあどけなさの残る少女の声が耳に届いた。
俺は不自由な体で、見えない目で、声の主を探した。
やがて声の方から人が近付いて来る音がする。
みっともない格好を見られるより、誰かが来てくれたことの方が俺にとっては嬉しかった。
だが、俺のすぐ側に来たあどけない声に俺は身が震えるのを感じた。
「あたしはサキュバス。今から、あなたの精を吸い尽くすのよ」
その声の主が爪を立て、剥き出した俺の臀部をなぞる。
絶望から崩れ落ちそうになる俺の体を、腕の拘束が許さなかった。
「その前に・・・この汚らしいモノを処分しましょうね」
声の主の手が俺の前と後ろの陰毛を掴んだ。
「あなたは、あたしへの生贄なの。あたしはね・・・汚れを知らない少年が好き。これは汚れを知ってるもんね」
さらに強く引っ張られて俺は、「ううっ」と声を上げた。
「ねっ?あなたもイヤでしょ?引っ張られるの、辛いでしょ?」
ウンウンと頷く俺。
「じゃあ綺麗に刈り取ってしまいましょうね」
さすがに返事に困る。
痛いのはイヤだが、刈り取られるのは・・・。
「あら?お返事は?」
「うがぁ~っ」
声からあどけなさが消え、毛を掴んだ手を乱暴に引かれたために、股間と尻に激痛が走った。
「あらら・・・こんなに抜けちゃった。1本、2本、3本・・・」
14本で止まるまでの間、俺はただ「ひぃひぃ」言うだけだった。
「どう?綺麗にしたいでしょ?」
無情にもまた、そのあどけない声の主の手が俺の陰毛を掴んだ。
「次は・・・20本くらい抜けるかもね・・・」
俺はコクコクと首を縦に振った。
「そう・・・やっと分かってくれたのね。いい子よ」
程なく俺の尻の割れ目と下腹部にクリームのような物が塗られた。
そして何分か放置された後、タオルのような物で拭われた。
「綺麗になったわ~」
声の主の手が俺の下腹部に伸びる。
直に伝わるその感触に、俺は陰毛の損失を知った。
「ここの中にも・・・汚い物が詰まってるんじゃな~い?」
尻の穴に指を立てられ、俺は首をブルブル振った。
「そう?そんな事ないでしょ?」
俺はなおも首をブルブルと振る。
「そんなに言うんだったら・・・見てみましょうか?」
尻の中に何やら細い物が入り、そしてその先端から液体が腸内に入った。
(か、浣腸まで?)
俺は心の中で叫んだ。
だが、容赦なく注がれた液体は、やがて俺の腸内を暴れまわった。
不自由な足がガクガクと震え、暑くもないのに汗が流れる。
悪寒すら感じるのに、腸内は限りなく熱い。
「我慢はね・・・良くないのよ」
鳥の羽のような物が俺の首や胸を這い回る。
やがて、その羽が右の乳首の周囲を回りだした時、我慢できずに声を上げた瞬間、俺の尻もまた大きな声をあげた。
あどけない声の前で隠す術もなくクソを垂れる俺。
恥ずかしさを通り越した時、俺の思考は止まってしまった。
「ウソ・・・ついたのね?こんなに汚いモノを隠してたなんて!夢魔のあたしに糞の世話をさせるなんて・・・たっぷり搾りとってやるから覚悟してなさいっ!」
強い口調のあと、冷たい水が勢いよく尻に浴びせられた。
「ただじゃ済まないわよ。た~っぷりと、お仕置きしてあげるんだから・・・」
ほとんど真っ白になった俺の頭の隅で、あどけない声が響いていた。
両の乳首にオモリがつけられ、肉がだらしなく伸びるのが分かった。
「あら、あなた・・・太ってないのに胸は随分弾力があるのね・・・」
そうなんだ。
俺は相撲胸で、決して肥満ではないが、胸に膨らみがあるのだ。
「これで楽しまない手はないよね」
すぐにオモリが外され、目隠しが取られた。
声の主を確認した俺。
あのあどけない声は、やはり俺を拘束した、今はボンテージに身を包んだ美人。
「あたしじゃないの!あなたのおっぱいを見なさいっ!」
透明の球状の容器。
そう・・・浅くて底が丸いコップのような物が右胸に当てられた。
シューーーーーッ・・・。
コップの底についた管から、ポンプによって空気が抜かれる。
代わりに胸の肉が、どんどんとコップに吸い込まれていった。
同様に左の胸にも処置が施されて・・・。
「ほら~っ・・・あなたのおっぱいよ~。ちょっとやそっとじゃ外れないの」
女が軽く、そのコップを引っ張る。
俺の胸にくっついたそいつは、肉を引っ張るだけで外れることはなかった。
「どう?女の子になった感想は?」
女は俺の髪を引っ張り、強引に俺の顔を起こした。
何も答えられない俺。
「おっぱいは隠さなきゃね」
一旦離れた女を目で追うと、引出しから何やら取り出す。
それを手に俺に近付くと、すぐさま胸に宛てがう。
それは真っ赤なブラジャーだった。
背中でホックを留められ、肩にストラップを回される。
その頃から感じていた胸の傷みが、ブラで締め付けられることによって増幅した。
だが苦痛に満ちた表情の俺には目もくれず、続いて女が手にした物。
サイド紐の股間がパックリと割れた赤いショーツ。
紐を結び終え、裂け目に手を入れ、なぜか隆起していた俺のチンポを掴み出す女。
ただし女は「チンポ」とは言わず、「大きなクリ」と呼んでいたが・・・。
そして赤い、恥ずかしいショーツを隠すように、真っ白いミニのプリーツの巻きスカートが俺の腰に巻きついた。
「可愛いわよ」
女はそこまで済むと、そう言って俺の頬にキスをした。
女が離れた隙に、俺はこの部屋の構造を可能な限り確認した。
部屋は薄暗く、灯りも普通の色とは思えない赤。
床は無機質なコンクリート。
女が消えた左側には、さっきブラやショーツを取り出した引出しがいくつか。
右側の壁には、恐怖心を一層煽る漆黒の貼り付け台。
そして正面にはベッドが置かれ、その奥の壁一面に鏡があり、今は情けない姿の俺を映していた。
その鏡の中の俺の背後の壁には何本かの鞭とロープが掛けられており、開いた俺の足の間にはブルーのホースが置いてあった。
(さっきはこれで洗われたんだ)と分かった。
俺の足元すぐ近くに排水口が口を開けていた。
「お部屋の確認は済んだ?」
いつの間にか戻ってきた女の声に、見透かされてることに気付き、俺はたじろいだ。
「無理よ。逃げれないもの。この手をどうにかしなくっちゃ」
両腕を後手高手に拘束している青いロープを引っ張られ、俺は苦痛に顔を歪めた。
「それにね・・・もし逃げれたとして、あなたの服はあたしが隠してるの。この格好で逃げるの?」
スカートを巻き上げると、なおも隆起を続ける黒く汚れた欲棒が顔を覗かす。
「この格好を人目に晒すんじゃ・・・あたしなら自殺もんだね」
女の言う通りだった。
俺は観念し、黙って首をうなだれた。
ジュル・・・ジュボッ・・・ジュルルルル・・・。
「うううううっ・・・」
部屋に響く音は、ただそれだけだった。
前者は、俺のスカートに潜り込む女から。
後者は、その女の舌技により、不自由な口から発せられる俺の声。
女の頭が、やがてその動く速度を増し、俺の膝がガクガクと震え出した頃、女がスカートから顔を出す。
口の代わりに右手で包み込むように掴み、激しく上下させる。
「うううううっ・・・」
俺はだらしない声を発し、そして力尽きる。
女が左手に持つグラスに白い液体が注がれていた。
「まだまだ出るでしょ?」
萎んだ欲棒から手を離すと、女は立ち上がって俺の背中に手を回した。
ブラのホックが外され、あの透明なコップが顔を覗かす。
女はそれを掴むと、ぐぐっと力を込めて引っ張った。
極限まで伸びた俺の胸の肉。
それがいよいよ限界に達した時、すぽっと音を立て、コップが胸から外れた。
心なしか胸が膨らみを増した気がした。
その隆起した両の乳首に、ピンクのローターが当てられた。
果てたばかりの俺の体は全身が性感帯と化していた。
機械的な快楽から逃れようと必死で身を捩らすも、女と両腕の拘束と2つのローターはそれを許さない。
再び欲棒が顔を上げたところで、女はローターのスイッチを切った。
やっと訪れた平穏に俺はほっとするのだが、欲棒を抑えるには至らなかった。
くちゅ・・・うううううっ・・・くちゅ・・・うううううっ・・・。
俺は今まさに、体内にサキュバスの侵入を許していた。
俺の体内を弄るサキュバスの細い指は、確実に俺を快楽に導いていた。
スポイドで体内にローションを注がれ、そこから滴るそれは女の愛液に似ていた。
「ほら・・・ほら・・・ほら・・・」
サキュバスは情け容赦なく、俺のGスポットと言うべき場所を寸分の狂いなく弄んでいた。
そして口枷が外された瞬間、俺から発せられる声はまさに女のそれだった。
「ああんっ・・・だめっ・・・ああっ・・・」
やがて指が2本に増え、2本指がバイブに変わった頃、俺は何度目かのドライオーガニズムに達していた。
奥深くに挿入されたバイブは、自分の意思で抜くのは不可能だった。
女は抜けないことを確認すると再び俺の前に立った。
ついさっき俺を苦しめていたローターを手に取ると、ガムテープで胸に固定した。
「いや~~~っ・・・ああ~~~っ・・・ああ~ん・・・」
そのスイッチが入れられた時、俺は今まで以上の声を出して喘いだ。
ジッ・・・。
ジッパーが外される音がする。
その音の方に喘ぎながら顔を向けると、サキュバスがその衣装を脱ぎ捨て、己の裸体を晒していた。
その姿は、とても魔物とは思えず、むしろ妖精・・・いや・・・神々しくさえ感じさせた。
その股間にいきり立った、俺のより随分立派なものもまた、彼女の、いや・・・彼の神々しさを増させていた。
しかし見た目はどうであれ、こいつはサキュバスに違いない。
舌舐めずりすると膝を折り、再度俺のスカート内に顔を埋める。
「いくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ・・・」
グラスに注がれる我が遺伝子達。
「もっと出しなさいっ」
神々しい姿とは裏腹に淫靡な声を発し、俺の欲棒をしごき続けるサキュバス。
尿道に残った遺伝子のみならず、さらに加わった新しいモノまでもがグラスに注がれていった。
「あんっ・・・あんっ・・・あんっ・・・だめっ・・・いいっ・・・」
俺は今、サキュバスに犯されていた。
完全に拘束を解かれ、俺を縛り付けるものは何もないのに。
いや・・・サキュバスに挿入されたモノが俺の体を拘束していた。
ベッドに四つん這いになり、俺はサキュバスを受け入れていた。
「いいの?気持ちいい?」
さっきまでとはうって変わってサキュバスは優しく俺に接していた。
言葉も、そして腰の動きも。
俺は今、サキュバス・・・いや・・・インキュバスの女になった。
何度も何度もドライオーガニズムに達しながらも、俺はインキュバスから離れられないでいた。
「いいわ・・・あたしもイクわよ・・・」
インキュバスの腰の動きが徐々に速度を増す。
「ああんっ・・・いいっ・・・いいの~・・・」
俺はインキュバスに、己の体と精神の全てを預けた。
そして・・・インキュバスが放った愛が俺の体内に注がれるのを感じた。
「ああっ・・・」
俺は至福の喜びを感じていた。
彼女、いや彼から腕枕をされ、空いたもう一方の手で髪を撫でられていた。
肛門から、俺が受け止めきれなかった愛が少しずつ流れ出ていた。
「可愛いよ」
インキュバスはそう言うと俺にキスをした。
髪を撫でていた手が離れ、それがスカートの中に。
腕枕されたまま、唇を塞がれたまま、俺はこの日、4度目の射精をインキュバスの手に行なった。
ちょろっとしか出なかったそれをぺろっと舐め、インキュバスはにこっと笑った。
「どうでした?もう足腰が立たないんじゃないですか?」
金髪で髭面。
片方の耳に4つもピアスした、チビの若い男に声を掛けられる。
「ええ・・・まぁ・・・」
「アヤノちゃん、若いのに凄いテク持ってますもんね」
「そうですね・・・」
「たまにはニューハーフと遊ぶのもいいでしょ?」
「まぁ・・・」
「癖になったりしてね。それじゃあ最後、アンケートにお答え下さい」
『年若い店員の、あのにやけた顔がムカツク』と、俺はアンケート用紙の“その他欄”に書いた。
“女の子欄”は全て、優に◯を付けたことは言うまでもない。
女は初めての男を忘れないと言う。
それが分かった俺だった。
たまに行く、痴女系のお店での出来事である。