部活から家へ帰ると、姉が目を輝かせてテレビにかじりついて何やら観ていた。
姉が何を観ているのか気になって画面を観ると、な、なんと!
大相撲中継を見ているではないか。

俺「姉ちゃん、相撲なんか見て、どうしたの?」

少し小馬鹿にして鼻で笑い、問いかけた。
すると・・・。
PCMAX

姉「ビシッと体と体が当たる圧力音が、なんだか良くない?」

まさかそんな答えが帰ってくるとは思わなかった。
姉は周りからの評判も良く、「生徒会の美人副会長」と言われるくらいの人気者だ。
家にいても、どこの家庭にでもあるような、下着姿で歩き回ったり、無防備にあぐらをかいたりなんてことはしない。
淡々としていて、家族ながら本心を曝け出さないそんな姉が大相撲観戦とは、なんとも滑稽なことである。

俺「今時だったらサッカーとか野球じゃない?興味ないの?」

すると、視線はテレビの方を向けられたままで・・・。

姉「う~ん。伝わるものがないなぁ」

(ん?こいつもしかして、男の裸体に興味あるんじゃないか?)

俺「姉ちゃん、プロレスもビシッって音するよ?」

そう言って、どんな返答が帰ってくるか期待した。

姉「う~ん。プロレスよりお相撲さんの方が強いイメージがあるなぁ」

残念なことに“裸体説”は外れてしまったようだ。
しかし次の瞬間、姉は驚くべき発言をしてきた。

姉「やっぱり生身の体同士がぶつかるのって最高!」

単なるフェチなのか、エロが入ってるのか分からない。
まぁ、エロな話なら恥ずかしくて口に出しては言わないか。
ちょっと冷静になってみた。
すると、テレビの前で正座をして、握り締めた拳を膝の上に置いて力を入れて見ている姉が可愛く思えて、ちょっと悪戯心が芽生えてしまった。

姉「◯◯(俺)、このお相撲さん、昨日凄く強かったんだよ。投げ飛ばしたんだよ」

俺「あ~横綱だからね。そりゃあ強いよ」

姉「今日も勝つかな?」

俺「負けるんじゃない?」

姉「えっ!?なんでよ?」

俺「賭けてみる?俺は横綱が負ける方!」

姉「絶対に勝つよ!バカだねー、◯◯は。じゃあ勝ったらアイス買ってきてよ!」

アイス・・・。
なんて欲のない姉なんだ。
俺はここぞとばかり悪知恵を働かせた。

俺「じゃあ横綱が負けたら、四股を踏んでもらうからね!」

横目で姉の顔を見たが、四股の意味がよく分からなかったのか余裕な表情。

姉「はいはい。なんでもあげるよ。でも勝たないんだからアイスもらうのはあたしよ」

姉は完全に四股の意味を知らなかった。
まぁ負けてもアイスだし、まぁいっかと思って観ていた。
しかし、なんとラッキーなことに、本当に横綱が負けてしまったのだ。

俺「よっしゃー!俺の勝ちだ!」

姉「えー!なんで?昨日と全然違う~」

ガクっと項垂れ、ショックな表情の姉。

俺「はい!じゃあ四股踏んで!」

姉「えっ?四股って何?」

俺は四股を踏んで見せた。

俺「よいっしょぉぉ!」

最後に股を開いて静かに腰を下ろす。

(ふっ!決まったな・・・)

それを見て姉は、『これをやるの?』と言わんばかりの焦った表情に変わった。

俺「はい!やって!」

ニヤけると変なことを考えていると悟られるので、平静な顔を装って言った。

姉「ちょ、ちょっと、それ恥ずかしい・・・動き」

ガードの堅い姉が四股を踏むのはさすがに抵抗があるのだろう。
が、容赦はしない。

俺「えー?負けたのに?早くやってよ!」

すると姉は渋々立ち上がって、やろうかやらまいか悩んでいた。

姉「とりあえず着替えてくるね」

逃げようという魂胆だろう。
ここで引き下がってはいけない。

俺「今すぐやって!」

姉「今の、制服だとやりにくいから着替えてから」

俺「早く終わらせた方が楽だと思うよぉ~」

ヤバい!
ついニヤけてしまったぁ!
賢い姉に俺の企みを悟られてしまった。

姉「ふ~ん、そういうこと?」

俺「えっ?なんのこと?」

(ダメだ。親にチクられる)

姉「自分の姉のを見たって嬉しくないと思うんだけど、違うの?」

俺「・・・」

姉「絶対に見せないから」

姉は勝ち誇った笑みを浮かべて自分の部屋に入っていった。

(くそー、絶対にいつか、姉ちゃんのパンチラを見てやる!)