あれは今から4年前のことだった。
当時、俺は高校3年生で相手は1個上の19歳。
まだ上京したての専門学生で一人暮らしだった。
宮崎あおいに似てるから、その人を『あおい』にしよう。
PCMAX

出会ったのはバイト先。
俺は高1のときからずっとやってたバイトで、高3の5月頃にあおいはやって来た。
まず思ったのが、可愛い!
電撃が走ったのをよく覚えている。

当時童貞だった俺はどうしたらいいか分からず、積極的に話しかけるも彼氏がいることが判明し落胆した。
しかし好きな音楽の方向性が同方面だったため、それをきっかけに仲良くなっていったんだ。
同じ時間帯の勤務だったから同じ上がりで1時間以上話し込むことが結構あって、それからあおいの家まで送るのが恒例になった。

仲良くなってから数ヶ月経って10月になった時と、ある海外アーティストが来日するから見に行こうということになった。
チケットやその他諸々の話をしながら晩ご飯を一緒に食べていたのだが、そこで衝撃の事実が明かされた。
あおいはメンヘラだった。
脚の付け根を切っていた。
今でこそメンヘラは地雷なんて思うが、当時その人が大好きだったし、まだ若かったからか、何とかして助けてあげたいと思った。
それと同時に、(なんで彼氏は助けてあげられないんだ?)という憤りを感じた。
そこから俺はあおいにどっぷりハマることになる。

時を同じくしてあおいはバイトを辞め(理由は店長が怖いから)、別のバイトを始めていた。
俺も推薦受験だったため、とりあえず小論文の練習なんかをしていた。
そうしてたらメールが来た。

『ニルヴァーナのCDを貸して欲しいんだけど今からどう?』

もちろん俺は二つ返事でOKし、地元の河川敷で手渡した。
その時に色々と話し込み、やっと自分の正直な気持ちを伝えた。
素直に好きだということ。
彼氏より自分の方があおいを幸せにする自信があるということ。
俺と付き合って欲しいということ。
そして最後に顔を近づけたら、目を瞑ってくれた。
俺はキスをした。
俺のファーストキスだった。

あおいは一言、「嬉しい」と言ってくれた。

しかし、付き合うというのは少し待ってくれと言われた。
その日はそれで解散して、後日改めてまた会うことになった。

次に会ったのは受験合格の報告でバイト先に行った時だった。
あおいにも報告メールをしたところ、今バイトから上がったとこということだった。
じゃあこれからご飯を食べようということになり、俺はあおいのバイト先へ向かった。

俺「ご飯、どこで食べるー?」

あおい「食欲なくなっちゃったからいいや」

俺はちょっと不機嫌になりながらも無理に行くのもなぁと思い、いつも通り家まで送った。
そうするとあおいが、「家でご飯食べる?」と言ってきた。
俺はもちろん承諾して家に上がった。
あおいはクリームパスタを振舞ってくれた。
そのあと2人でユーチューブを観ながらゆったりとした時間を過ごしたのだが、気づいたら終電がなくなっていて、「泊まっていきなよ」と言われたのでお言葉に甘え泊まることにした。

2人でベッドへ行き見つめ合うと、引かれ合うように唇を重ね、抱き締めた。

「俺と付き合おう」と言った。

あおいは涙を浮かべながら、「うん」と言ってくれた。
そしていざ寝るとなった時、チキンハートで童貞の俺は「床で寝るよ!」と言ったのだが、あおいが「そこじゃ寒いだろうからベッドに来なよ」と誘ってくれた。

俺はベッドへ行き、そこでまたキスをした。
とにかくキスしまくった。
息子がギンギンになり、カウパーが出まくってたwww
んで、あおいのマンコに手を伸ばすと、ぐちゅぐちゅに濡れていた。

「これはなぁーに?」って意地悪な質問をすると、あおいは「◯◯(俺)のせいじゃん///」と恥ずかしがっていた。

たぶん3時間くらいマンコを弄ってたw
その間、あおいは幾度となくビクンッビクンッと身をよじらせていた。
童貞ながら、(これがイクってやつか!)と感動していた。

で、さすがに眠くなって寝て翌朝。
起きて、まずキスをした。
もうキスの嵐。
そこからまた手マンしてたら、あおいが俺の股間に手をやってきた。
ジーパンのまんま寝てたんだけど、俺はそっこーでパンツまで脱いだ。
あの速さはルパンも真っ青だったと思うwww

それで手コキをしてもらって、いよいよ挿入って時にゴムがないことに気付いた。
一応あったのだが、彼氏のやつだから使えなかった。
しかし俺は目の前の童貞卒業に目が眩み、そのまま生で挿入してしまった。
そんで緊張のあまり射精できず、家に帰ってオナニーしたwwww

翌朝、照れ臭くなりながらも、(これからあおいと付き合うのかぁ)なんて考えて、すごく幸せな気分に浸っていた。
あおいは朝からバイトがあったからそこまで送り届け、俺はルンルンで帰った。
そこから1週間はとても幸せだった。

(あおいと、ついに付き合える)

そう思っていた。

(彼氏とはいつ別れてくれるんだろうなー?)なんて考えながら待っていた。

俺はどうなったのか聞こうと思い、あおいを呼び出した。
あおいは泣いていた。

「やっぱり◯◯とは付き合えない」と言われた。

やはり彼氏は捨てられなかったらしい。
俺は納得がいなかった。
どうしてなのか問いただしもした。
しかし、あおいの気持ちは俺には向いていなかった。

俺は泣いた。
人間はこんなに涙が出るのかというくらい泣いた。
雨の日に傘も差さず泣きながら帰った。
帰る道中、あまりにも泣いていたからおっさんが俺のことを2度見していた。

俺はあおいにすがった。
どうにかして付き合ってくれないかと頼み込んだが、答えはNOだった。

そのままズルズルと数ヶ月間。
首の皮1枚で繋がった未練まみれの関係が続いた。
キスはおろか手を繋いでさえくれなかったが、俺はそれでも良かった。
あおいに会えればそれで良かった。
しかしある日突然、1通のメールが来た。

『ごめん。もう会えないし連絡も取れない。さようなら』

俺は必死になって連絡を取ろうとしたが着信拒否され、メールも無視され続けた。
意を決して家にまで行ったが相手にしてもらえなかった。
友人に相談をしてサブアドで送ったりもした。
使える手立ては全て使い果たした。

結果、俺はあおいを諦めた。

このままじゃ、あおいに迷惑がかかってしまう。
俺があおいの重荷になってしまっているなら大学進学と共に前に進もうと決めた。
大学在学中は大した恋愛もなく、普通に付き合って普通に別れて、普通の大学生をしていた。

月日は経ち、俺も4年生になって就活を始めていた。
就活は順調とはいかないまでも20社目くらいで内定を頂き、まずまずの結果となった。
あとは卒論だけだなぁなんて思っていた時、ふとあおいのことを思い出した。
正確に言えば、忘れたことなど一度もなかった。
ちょくちょくSNSで探したりもしていた。

しかし大学生活も最後だしと思い、あおいの実家へ行ってみるかと決心した。
以前聞いたあおいの実家の話を統合して大体の場所は割り出せていたし、喫茶店を経営していると言っていたのですぐに見つかるだろうと思っていたが、4年間行く勇気が出ずにいた。
そんな話を当時を知っている地元の腐れ縁の大親友とした夜、もう一度SNSで検索をかけてダメだったらあおいの実家へ行こうと決めた。
そしたら検索にヒットした。
多少風貌は変わっているものの、名前や出身地もドンピシャで、あおい本人だった。
俺は神速で友達申請をポチり、結果を待った。
程なくして申請は承諾された。
飛び上がって泣きながらガッツポーズをした。
そこからメッセージを交わし、メアドを交換し、メールをしていった。
友達申請を送ってメールするまで、たった数時間の出来事だった。

今、何をしているのか?
元気でいたか?
あの彼氏とはどうなったのか?

聞きたいことは山ほどあった。
そういったメールを数通して、キリがないから近々会おうという話になり、飲みに行った。
あおいは専門学校を卒業後フリーターになっており、当時とは別の彼氏と俺の家から1時間くらいのところで同棲中だった。
お互い積もる話をして、「懐かしいねー」と言いながら、その日は特に何もなく解散した。

後日、あおいがギターを始めたいというのでついて行くことにした。
俺は高校の時からバンドをやっていて、ドラムを叩いているからギターも多少は知識があった。
そこで新しいギターを見繕って、さっそく弾きに行こうとカラオケに行った。
チューニングとメジャーコードを一通り教えて一段落したあと、一瞬沈黙がよぎった。
そこであおいと目が合い、見つめあった。

(いつだかのデジャヴだな)

そう思いながらキスを迫った。
なんと言うか、好きとか嫌いとか、そういう気持ちではなく自然とそうしたくなった。
しかし断られた。

「ダメだよ!今、彼氏いるんだから!」

あまりにもド正論を言われ、思わず2人して笑った。
その日はそれで解散した。

その後、毎日のようにメールをしていたのだが、『弦が切れてしまったから交換して欲しい』と言われた。
メールの中で、お互い観たい映画の話をしてて今度はネカフェで映画を観ようという話になり、そのついでに弦の交換もするということになった。

当日、ツタヤへ行き、目的の映画を借りてネカフェへ行った。
弦の交換も終わり、映画も観終わって、時間が少し余った。
そこでまた俺は懲りずにキスを迫った。
そうするとあおいはキスに応じてくれた。
また4年前と同じことを繰り返してしまったと反省しながらも俺は幸せだった。

そしてその後、何度かデートを重ねてるうちにあおいがオフの日があって、俺も偶然何もなかった日があり、待ち合わせて会った。
真昼間だったが、俺は単刀直入にホテルに誘った。
あおいは悩んだ末、承諾してくれた。
その時には完全にお互いを好きになっており、また俺はあおいにハマっていた。
あおいもまた俺にハマっていった。

それから数週間は、あおいのバイト先に行って一緒にご飯を食べて終電までおしゃべり、というのを繰り返していた。
その間、手は繋いでいたし、キスもしていたから、完全にカップルのようになっていた。

メンヘラはどうなっていたかというと目立った自傷はなくなっていた。
その代わり、ピアスをよく開けるようになっていた。
あおいの影響で大学では心理学を専攻していたから、たいして驚きはしなかった。
自傷している人やメンタルが弱いやつなんて大学にはごろごろいるから。
しかし、やっぱりショックなことには変わりなかった。

(結局、俺はあおいを変えれなかった)

そういった事実をむざむざと叩きつけられた気がした。