芸能人だと昔のさとう珠緒みたいなイメージ。
性格は違うけど。
出会ったきっかけは某ネトゲのオフ会だった。
自分含めて正直ヌルいプレーヤーばっかで、ゲームにかこつけて遊べればいいやみたいな数人の集まり。
その時のオフ会はなんのかんので10人。
男7人に、女3人。
女の子のスペックは、2人が並かそれ以下。
その子は化粧もあるのかもしれないが、一番可愛かったと思う。
男達はお察し。
オフ会はそれなりに盛り上がったが、やはり俺を含めて男はなんのかんの話題を見つけてはその子の気を引きたがってる感じだった。
これからは仮名で『楓ちゃん』と呼ぶことにします。
オフ会の男達は俺含めてテンプレみたいなオタクだったので女の子にガツガツいけるのは皆無。
他の子たちも楽しんでる感じだったけど、やはり俺としては楓ちゃんが気になったわけだ。
俺も話せる話題の時にさりげなく話してリアクションもらえると喜んだ。
居酒屋→カラオケとなって、あとは解散。
楓ちゃんともそこで別れる。
楓ちゃんはブログもやっていた。
別に女の子女の子したブログではなく、普通に日常やネトゲや買ったゲームのレポ。
しかし顔を知ったオフ会の後になると、単なる日記でも妙に意識するようになってしまう。
オフ会の日記が更新された時は意味も無くニヤニヤしてしまった。
そしてそれまでは興味が無かった日記の過去ログ(2年分くらい)を全部読み漁った。
ログを読んで行くと、楓ちゃんと俺の共通の好みが見つかった。
ギャルゲーだ。
俺もコンシューマーのベタなものからエロゲまでかなり好きだった。
彼女も同じような感じで、新作が出るといくつかはプレイ日記を上げていた。
そして俺はこのチャンスに(世間的には言うほどチャンスでも無いんだろうけど)きっかけをと思って、オフ会お疲れメールを送ってみた。
そこの内容に、彼女の日記に書かれていたギャルゲーのネタをいくつか入れてみた。
メールを打つのもドキドキして、変な汗かいたのを覚えている。
メールを送信してから数日は返事が無く、まずいことを書いてしまったかと不安になった。
それから10日ほどしてPCを見たらメールが返ってきていた!
期待半分不安半分でメールを開くと、そこには楓ちゃんからの返事が。
内容は返事が遅れたことに対する謝罪とオフ会のこと。
そして、こちらが振ったギャルゲーの話に対する数行のレスポンス。
俺は飛び上がるほど喜んだ。
今にして思うと他の人にも同じようなメールをしてるのかもなと思わないでもないんだけど、このときの俺は単純に嬉しかった。
自分のことを不細工と思いたくはないが、どう考えてもイケメンとは呼べない俺の人生の中で、コミュニケーションをとった女性の中では間違いなく一番可愛いと思った子からのメールだ。
そしてまた震える手で返信を書いた。
今度はギャルゲーの話題をメインにしてだ。
また向こうからの返事は数日来なかった。
俺は身の程をある程度分かっているつもりだ。
しつこいと思われたかと少し後悔した。
で、ある日、PCを見ると返事が来ていた。
メールを開くと、俺の書いた以上のギャルゲーネタのレスが書かれていた。
この時点で俺はかなり舞い上がっていた。
相変わらずネトゲはやっていたが、もうネトゲを通しての楓ちゃんのことしか考えられなかった。
メールのやり取りは数日に1回のレスポンスに対して俺がほぼ即日返事を書くという感じで2月くらい続いた。
そんなやり取りが続く中、ネトゲも皆ぬるく続けていた。
そして2回目のオフ会(単に飲み会)をやろうということになった。
俺は楓ちゃんが来るかどうか、もうそれしか興味が無かった。
結論から書けば、楓ちゃんもオフ会に来ることになった。
メンツは前回のメンツの内、男2人と女1人が来れない代わりに、男女1人ずつの新メンバー。
俺は楓ちゃんが来るということで是非も無く参加することにした。
楓ちゃんにも個人的にメールで『またよろしくねー』的なことを書いたりした。
そして、その後の楓ちゃんの日記にさりげなく書かれていた1文に目が留まった。
『今度のオフ会の場所、初めてでよく分からない、方向音痴なの』
俺はここで一大決心して、俺の携帯のアドレスを送ってみた。
『この場所なら知ってるから、もし良かったら俺が駅から案内するよ』
そんな感じの文章を添えて。
メールを送ってから3時間。
俺の携帯が鳴った。
ドキドキしながら開くと楓ちゃんからだった。
アドレスは携帯!
1人暮らしの部屋で俺は1人ガッツポーズをした。
そして俺は事前の下調べで駅から店までの道を調べた。
本当にアホだなと思うんだが、何度も書くが当時の俺は必死だった。
携帯へのメールは彼女からのメールに、『では当日はよろしくです』みたいなことを1回書いた以外は怖くて打てなかった。
それから数日後のオフ会当日。
携帯が鳴り、彼女から『何時に待ち合わせますか?』とメールが来たので返事を打ち、俺はその時間の1時間前からそこで待っていた。
待つこと1時間、彼女が来る。
前回と服装は違っていたが、やっぱり可愛かった。
向こうも初対面ではないからなのか、結構話し方も砕けている感じだった。
俺としてはまだ緊張していたので、彼女の社交性というかコミュ力はすごいなと思っていた。
オフ会の内容は省略する。
程よく楽しく、盛り上がってたと思う。
楓ちゃんは少し酔ったようでテンションが高かった。
今まで猫を被っていた、というよりは向こうも一応緊張していたのかもしれない。
今回も男達は楓ちゃんに結構な興味があっただろうけれど、俺は心の中で変な優越感を持っていた。
オフ会後の帰り道、これはおそらく本当に偶然だったのだろう、楓ちゃんと帰りの電車が同じになった。
ちょうどJR、私鉄、地下鉄が乗り入れるところだったので、ルートがバラけたのだ。
急にドキドキし始める俺。
楓ちゃんはちょっと酔っている。
ここでリア充ならいくらでもやりようがあるんだろうけど、俺にはそんな能力は無い。
ただ電車が同じだけで幸せだった。
幸せだったが、満たされないもどかしさも同時に味わった。
そうしたら彼女が、「よかったらこの後、お茶飲まない?」と言ってきた。
少し酔い覚ましと、せっかくだしギャルゲーの話でもしようということだった。
時間は夜の9時くらい。
俺は天にも昇る気持ちだった。
少し前のオフ会ではあれだけワイワイ喋ったのに、急にどもるレベルまで言葉が出ない俺。
それでも向こうが聞き上手なのか、お互いの好きなゲームの話で会話は弾んだ。
話を始めてから1時間くらい、彼女のほうも結構テンションが上がっていたのかもしれない。
ギャルゲーからエロゲの話題になった。
俺もそれまでの会話の端々からエロゲも知っているんだろうなという感触はあったが、こうして彼女自身の口から出てくると背徳的な感じがした。
いわゆる葉鍵や型月といったベタなところだけでなく、物によっては俗に言う抜きゲみたいなものでもプレイしていた。
彼女曰く、「好みの絵だったら買う」そうだ。
その時は喫茶店だったこともあり無難なゲームの話題をメインにして彼女とは別れた。
家に帰ってから、俺はまた楓ちゃんにお疲れメールを打とうと思ったが、頭の中からエロゲの話題が離れなかった。
正直、俺も男だし、彼女の魅力に興奮していないと言えば嘘だ。
この日に着ていたミニスカートから見える太ももを何度もチラ見していた。
そんな彼女にエロゲの話を振ってみたい。
彼女のメールにエロゲの内容を書かせてみたい。
という屈折した感情が湧いてきた。
あれだけ話題にしたんだから大丈夫だろうという考えと、流石にエロ路線の話になったら嫌がるだろという考えがせめぎ合う。
コンシューマーになったエロゲから振ることも考えたが、それでかわされたらもう1度話題も振りづらい。
そんなことを悶々と考えて、その日は即日メールが出来なかった。
翌日、俺は考えた末にエロゲの話題を振ってみることにした。
単純に、『お勧めのがあったら教えて欲しい』とだけ。
それで特にそっち方面に持っていけなくても、関係は破綻はしないだろうと思って。
2ヶ月以上メールして馴れていたが、ここに来てまた緊張したのは言うまでもない。
数日後、彼女から返信が来た。
彼女からのメールはお疲れの挨拶と、道案内のお礼。
そして、お勧めのエロゲを書いてくれていた。
書かれていたのは3本。
1本はコンシューマーにもなった、やや古めのゲーム『A』。
もう1本はたぶんオタクなら大半が知ってるレベルのゲーム『B』。
最後の1本が、とある小規模メーカーのかなりハードなエロゲ『C』だ。
ちなみに全て俺のプレイ済みだったゲームだ。
注釈に『好きな絵で選んでみた』と書いてあったが、俺は勘ぐってしまった。
少なくとも俺は、(この手の抜きゲを絵だけの理由で女の子が遊ぶのか?)と思うからだ。
まあ勘ぐると言ってもそこまでで、それ以上を想像できたわけでもないのだが・・・。
俺は彼女への返信で嘘をついた。
Bの話題ではあまりエロ方面の話に持っていけない気がする。
俺も名作だと思っているし、正直エロよりもストーリーが好きだったからだ。
Aの話題も、本当に可愛い女の子の絵や服に焦点が当たりそうで、エロにはもって行きづらそうだ。
というか俺は、Cのエロゲの話題が振りたくて仕方がなかった。
これはいわゆる凌辱ジャンル。
このゲームの話題ならば十中八九エロの話題を避けることは無い。
そう思った俺は、Aは未プレイだけど内容は知ってる。
Bは好きだねーと軽めに。
そしてCのゲームについて、『偶然にも先週プレイした』と言ったのだ。
ゲーム自体の発売はそれよりもかなり前のものだ。
また待つこと数日、楓ちゃんから返事が来た。
内容を読むとエロゲCの話題だ。
俺はまたもガッツポーズをした。
内容は『絵が好き』という無難な内容から、『結構ハードな内容だけどね^^;』という照れ隠し(?)みたいな感じの書き方だった。
それだけだったのだが、俺は頭の芯が熱くなるような感じがした。
返信の内容は絵が綺麗なことに同意するのと、さりげなく『ちょっと◯◯のシーンはすごかったわー』とか、本編でのエッチシーンの話題を振ったりした。
後はその中に登場する女キャラの話題などだ。
ぶっちゃけストーリーはそこまで凝ったものでもないと俺は思っている。
基本エロいことが重要だったので。
そしてメールを送って彼女からの返事を待った。
今度は確か2日後だったと思うが、とりあえずかなりの短いインターバルでこちらに返事が来た。
メールチェックは毎日行っていたから俺は驚いた。
彼女からもそのシーンの感想が当たり障りのない感じで書かれていた。
それだけでもやはり俺は興奮した。
そんなやりとりをまた2ヶ月くらい続けた。
エロゲの話題を交えつつの日常会話だ。
途中でPCから携帯に変えようかと思ったが、なかなかきっかけが見つからなかった。
しかし文章は、敬語からやや砕けた感じにお互いなっていった。
そしてある日、俺の携帯に着信があった。
楓ちゃんからだ。
俺は焦った。
唐突過ぎて緊張してしまって、正直序盤は何を話したか覚えていないレベル。
少しずつ落ち着いてきて、会話をする。
気のせいかもしれないが、彼女の声が電話越しだとエロく聞こえた。
これはホントに気のせいだろう。
顔が見えないだけで逆に興奮は高まった。
そしてエロゲの話題を改めて振る。
俺の心臓はバクバク言っていた。
<続く>