「顔。赤いよ。大丈夫?」
「そう?大丈夫よ。心配してくれありがとう」
「良かった。それにしても春子の鞄、大きいね。じゃあ」
夫の爽やかな微笑み。
私は、それを見て安心する。
私は南へ、夫は北へ行く。
近所ではおしどり夫婦で有名。
しばらくアスファルトの道路をヨロヨロと歩く。
春の爽やかな風。
舞い散る桜の花びら。
それとは対照的にドクドクとした欲望が体中を渦巻いている。
「はあはあ」
ゆっくりと歩いているのに体が火照っていく。
汗も吹き出し、唇から涎が止め処なく流れる。
(大きいモノを入れていると歩きづらいわ)
私は途中で、ガクッと腰を下ろす。
もう限界。
近くを通る50歳くらいのサラリーマンに声を掛けられた。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
サラリーマンは怪訝な顔して離れていった。
私は休憩がてら鞄からスマートフォンを取り出す。
メールを起動する。
『7時20分発の3番目の車両で待っています。あれは入れているよね』
私は、すぐに返信する。
『入れています』
送信ボタンを押す。
『いい年して(笑)。最近の人妻は怖いな。了解です』
ドロッドロッとした欲望が体から湧き出てきた。
私は歩く速度を速めた。
とにかく走った。
汗がビショビショになるまでに走った。
ドクドクとしたものが込み上げてくる。
「はあん!」
途中で石につまずいてこける。
幸い怪我はなかったが、頭が真っ白になり、しばらく動けない。
(もう、何で石がここにあるのよ)
私は石を投げつけた。
周りを見る。
行き交う人の群れは無関心のようだ。
私スカートの中に右手を入れる。
(良かった。とれていないみたい)
しかし手にはヌメッとした液体がまとわりつき、糸を引いていた。
(・・・まあいいか)
私はポケットの中からハンカチを取り出し、涎と涙と手にかかった液体を拭き取る。
少しスッキリした。
そして起き上がり、また走る。
また、グイッと腰を落とす。
頭が真っ白でしばらく動けない。
喉も渇いたので鞄からペットボトルの水を取り出す。
グイッと唇から水が垂れてくるまで一気に飲み干す。
(はあ、美味しい)
私はまた走る。
そして駅の前の公衆便所で並ぶ。
(早く。漏れそう)
イライラしてくる。
5分ほどして、ようやく開いた。
出てきたおばさんが私の顔を見て驚いた様子だった。
和式トイレの個室に入る。
アンモニアの臭いが鼻につく。
鞄から重い袋を取り出した。
さらに中にある巨大なものを取り出す。
ボヨンボヨンとそれは揺れた。
チンポの形と色をした2つのディルドであった。
直径は9センチ。
どんな男のモノよりも大きいであろう。
筋が無数に通り、本物よりもリアリティがあった。
私は唾をゴクリと飲む。
そして舌で唾で濡らしながら、それを舐める。
スカートの中に手を入れる。
股間に食い込むハイレグの生地をどけ、プラグを取り出そうとするが、ピアスと振動が邪魔でなかなか取れない。
私は仕方なくスイッチを切り、やっとのことで取り出すと、ベトベトになった巨大なバイブがヌルヌルと出てきた。
(うわっ・・・昨日から入れているとはいえ、よくもこんなにベトベトにしたな)
我ながらに思った。
私は後ろかさらに手を突っ込み、もう1つのバイブを取り出す。
なかなか出てこなかったが、なんとか取り出すことに成功。
バイブは汚れ、匂いも凄かったがまあ仕方ない。
袋に入れ、鞄にしまう。
私は1つ目のディルドを床に置く。
巨大なだけではなく、長いディルドだ。
吸盤になっているので倒れない。
スカートを脱ぎ、メタリックの生地越しにローションをたっぷりと塗り、準備万端。
自分で猿轡をして声が出ないようにする。
ピストンをしながら後ろの穴にゆっくりと入れる。
(はあん。美味しい~!)
奥に入るたびに快楽の波が押し寄せてくる。
ピチャピチャ!
「お!お!おほ!」
あまりの気持ち良さに、猿轡をしても低い声が漏れてしまう。
全部飲み込む。
腹がディルドで膨らむ。
電撃のような快楽が私を襲う。
気絶でもしないかと少し焦る。
しかし構わず、もう1つのディルドを入れる。
(はあん!2穴同時に入れるの最高!)
3回くらい絶頂を迎え、最後には潮まで吹き、個室のドアを濡らす。
もう1イキしたいが、これ以上やると本当に気絶するし、時間も時間なのでここで我慢する。
グッチョリとなったディルドと汚れたディルドを取り出す。
それらを袋に入れ、鞄にしまう。
後ろの穴がポカリと開いているのが自分でもわかった。
面倒なのでハンカチで股間は拭かず、そのまま穿く。
粘液で股間がすうすうと冷える。
自分の出したモノで汚れた個室。
申し訳ないと思いながら水を流し、外に出る。
フラフラとするが、まだ物足りない。
腕時計を見る。
7時15分。
階段では上れないので、エレベーターでホームに出る。
もの凄い人だかり。
『今、着きました』と、メール。
向こうからも、『了解!』とのメールが。
4本の足音。
(来た、来た)
私は股間を再び濡らす。
痒くなる。
ポタリポタリとピアスを伝い、ホームのアスファルトを濡らしているのが自分でもわかった。
それなのに周りの人間は気づかない。
電車が来る。
私達はゾロゾロと乗る。
音楽とドアの閉まる音。
走り出す音。
(まだかしら)
満員電車。
私がイライラしながら揺れていると、細い指が股間に入ってきた。
(この指は淳子さんのかしら?)
耳元から溶けるような女性の囁く声。
「春子さん、今日もグッチョリね。来る前にオナニーでもしたのかしら?」
それは南津子さんの声だった。
私はドアに押しやられる。
突起物をつねられる。
腰がガクッとなる。
必死に体を支えるが、足がガクガクと震える。
「あら。もうイッたのかしら。早いわねえ。大丈夫。私達が支えるから思いきり乱れなさい」
絵里子さんの囁き声だった。
(周りにバレるんじゃ・・・?)
私は喘ぎ声を必死に抑える。
南津子さんに口を押さえられる。
10分ほど彼女達に翻弄された後、「今日は12時に宗太郎さんの家で」と言われた。
ドアが開く。
ようやく解放された私。
2人は何事もなかったかのように足早に去っていく。
上品な佇まいの2人。
まるでさっきのことが嘘のよう。
会社に休むことを連絡し、しばらく、喫茶店で休んでいた。
昼食をとり、アパートへ。
実は私は夫としか経験がなかった。
しかし子供もできず、退屈な日常を過ごしていた。
そして夫の単身赴任。
「上品で清楚な奥さん」という評判にも耐えられなかった。
(私は「奥さん」ではなく、私なのだ)
そう思った。
自分を取り戻すために英会話教室に行った。
そこで南津子さんと知り合う。
すぐに仲良くなった。
1ヶ月ほどして飲み会に誘われた。
そこで宗太郎などの若い男達と知り合った。
ラグビー部の学生や、浄水器の営業している人など様々な人がいた。
年は20代から30代前半。
みんな精悍な顔つきをしていた。
そこで打ち明けられたのだ。
実は乱交サークルだということを。
その日はビックリして何もせず帰った。
しかし迷いに迷った挙句、参加することに決めたのだ。
未練も後悔もあった。
夫に対する罪悪感も。
しかし、それ以上に私は自分でありたかった。
そして私は快楽に溺れ、人生を楽しむようになった。
「ちょっと。奥さん。もうやめてえ」
私は男達が引いてもイチモツをしゃぶり続けた。
美味しい。
下からも前の方の穴に別のイチモツが入っている。
そして後ろからは、南津子さんにペニスバンドで肛門を犯されていた。
頭が真っ白だ。
チュパッ!
「はあん。何よ。私をド変態にしたのはあんた達でしょ。これでも上品と言われていたんだから。ああ!またイク!」
ガクっと腰を下ろす。
仰向けになっている男のチンポが奥まで当たり、さらに気持ち良くなる。
「ああん!」
「春子さん、重いよー!」
「はあ。はあ。何よ。これくらい我慢しなさい」
仰向けになっている男が泣きそうな顔をしている。
普段は恰幅のいい筋肉質の男。
いじめたくなった。
「春子さん、今でも言われているわよ。でも本当の顔はドスケべな変態淫乱熟女」
ジュバジュバ!
横から冬美さんに上腕を舐められる。
冬美さんの舌ピアスが当たり、少し痛い。
そこには際どい格好をした女の入れ墨がある。
何回かイッた後、私はリクエストをした。
「あはーん!今日は逆さ吊りにしてえ!」
「いいとも。これを履きな!」
絵里子さんに渡されたものは、編みタイツと太ももまで覆うピンヒールのエナメルブーツだった。
ズズズ・・・。
ブーツのジッパーを閉める。
立つと背が高くなった気分になる。
私は高揚して、仰向けになっている男の足を思いきり踏んづけた。
苦痛に歪む男の端正な顔。
対照的にイチモツは元気になっている。
私はそれを見て、ニヤリと笑う。
「ちょっと待って。この男をいじめてから」
私は男に跨がり、耳元で囁く。
「私に踏んづけられて立っていたの」
「はい。立っていました」
男は叫ぶようにして言った。
「じゃあご褒美をあげるわ」
私は自分の舌を男の舌に絡める。
そして自分の後ろの穴に男のイチモツを入れた。
前の穴とは違った一体感、イチモツの温かさを腸壁で感じる。
締め付けるたびに襲う鈍い悦び。
「おっほ!おっほ!」
私は喉の奥から猿のように声をあげ、男の舌を舐める。
「おお!」
時々襲う大きな快楽に耐えきれず、私は口を離し、野獣のように叫ぶ!
そして、また男の舌に自分の舌を絡める。
キュッキュッ!
エナメル革と板張りの床が擦れる男が聞こえる。
私達はこの男を馬のように調教していた。
この男のイチモツには毛が1本もない。
私達が永久脱毛させたのだ。
もっとも私達の毛もないが・・・。
何回かイッたあと、ようやく私は逆さ吊りにしてもらった。
全頭マスクもされ、前も見えないまま頭に血が上る。
手は後ろに縛られ、乳の周りも形が変わるくらい縛られる。
逆に足は開かされたまま吊るされる。
「どう、吊るされた気分は?」
足の方から南津子さんの声が聞こえる。
「はい。最高です。春子をもっといじめてください」
「あんたのガバガバのマンコがヒクヒクしながら垂れ下がっているわよ。何とかしなさい」
ピアスをしているためだろう。
今度は被虐感にヨガる。
チュパ!
一瞬、何が起きたのかと思った。
南津子さんが前の穴に腕を入れてきたのだ。
さらに後ろの穴にも腕を入れてくる。
両方の穴から襲う強烈な快楽。
腕を締め付ける度に、膣壁と腸壁から更に猛烈な悦びが襲ってくる。
「マンゴも、ゲヅもイグう!」
「ははは。この子。ケツでヨガっているわ!」
「ケツは私が調教したからね」
激烈な快楽に気が狂いそうだ。
「もうやめでえ!じぬう!じぬわ!!」
南津子さんは無慈悲にも、さらに攻め立てる。
やがて激烈な快楽はとろけるような快楽に変わり、声すら出なくなった。
ヨダレと涙が止め処なく流れていった。
冬美さんの嘲笑が聞こえる。
冷たく残酷な声だ。
本当に死ぬのではないかと思った。
「ひるい!ひるい!もうやめれえ!」
気が遠くなっていく。
パシン!
絵里子さんに背中を叩かれ、目を覚ます。
「起きなさい!」
「ははは。もっろ、いじめれえ!」
私は声にならない声を出す。
気が遠くなるたびに叩かれ、ついには顔におしっこや精液までかけられた。
生温かい瘴気と強烈な青い匂いがマスク越しに伝わり、目を覚ます。
高笑いする男女の声。
ここからは覚えていない。
目を覚ますと私はソファでぐったりとしていた。
スマホを見ると日付けが変わっていた。
カーテンを開けると眩しい太陽の光。
絵里子さんがご飯を作ってくれた。
大量の水分を出したので喉が渇き、水を浴びるほど飲んだ。
みんなげっそりとなり、目の下にクマが出来ていた。
「昨日はやり過ぎたみたい。疲れちゃった」
「でも、機会があればまたやりたいわ」
ご飯を食べて解散。
彼女たちは涼しい顔をして日常に戻り、夫や子供のご飯を作る。
これが彼女達の“退屈な日常”を生きる術なのだろう。
しかし、退屈な日常は、いつかは終わる。
その時のために、せめて“祭りの日”は思い切り乱れ続けようと思う。