中1のときの担任が、俺の幼稚園の時の先生(初恋)に似てて密かに憧れていたのだが、結婚してしばらくして産休をとり、中3になって復帰してきた。
結婚したときはすごいショックだったし、お腹が大きくなったときは絶望を感じたが、復帰してきた先生は、以前にも増して色っぽくなったように思った。
PCMAX

俺も1年の時よりは色気づいていいたし、より具体的な対象として先生を見るようになっていた。
自分勝手に思っていただけだが・・・。
付き合っていた同級生はどうしてもガキっぽく感じて、キスはしたが、それ以上のことはなんとなくやる気がしなかった。

そんなときにクラブのOBから、そのOBの同級生の話を聞いた。
その話によると、先生はうちの中学に来る前の学校で、教え子と関係して、それが元で飛ばされたというのだ。
噂話に過ぎないとは思ったが、俺はそれを聞いて変な期待を持ってしまった。

先生は美術の教師で、文化祭の実行委員会担当だったので、1年、2年と実行委員だった俺は迷わず委員に立候補した。
企画の立案、テーマの決定、各クラスの調整、パンフの作成、看板作り。
俺は3年連続だったので中心になって活動し、放課後も遅くまで作業した。
先生も付き合ってくれた。
それが俺の狙いだったことは言うまでもない。

文化祭3日前、大看板の作成が遅れていて、委員たちは焦っていた。
3年生は受験勉強があるので下校時には帰るように指導されていたが、俺は実行委員長だったので居残り、さらに後輩たちも6時半に帰るように言って、先生(Y先生)ともう1人(技術家庭の教師)、そして俺の3人だけになった。

「A(俺)、もういいよ。あとは先生たちでやっとくからお前も帰れ」

技術家庭の先生が言ったが、俺は言い返した。

「間に合いませんよ、もうちょっとやります。それより先生、ペンキが足らないんですけど・・・」

「そうか?何色?ちょっと買って来る。Y先生、あとお願いします」

「はい。どれくらいかかります?」

「1時間以内には戻ります」

Y先生はちょっと不安そうな顔をした。
なぜなら、すでに俺はY先生に、自分の気持ちを露骨にアピールしていたからだ。
技術教師が出て行くとすぐに俺は、「先生、ここってどうしたらいいですか?」と、俺のそばに先生が来るように促した。

「どこ?」

先生は俺の横にしゃがんでハケを持った。
赤ちゃんのような匂いがした。
クリーム色のポロシャツに紺のジャージ、背中には薄っすらとブラのホックが浮き出ていた。
先生が看板に集中している横顔に思わず見惚れていると、それに気がついて俺のほうを向いて、「ん?どうしたの?」と聞いた。

「先生、いい匂いですね」

先生は驚いたような顔をして動きが止まった。
俺は我慢できなくなって、先生の唇に自分の唇を押し付けた。
一瞬の間があって、先生は意外と落ち着いた様子で顔を離し、でも真顔で言った。

「何考えてるの?引っ叩くよ」

俺はそれに答えず、先生の頭に手をかけて強引に引き寄せ、再びキスをした。
先生は体に力を入れ抵抗しようとしたが、しゃがんだ不安定な体勢だったので俺の方に倒れかかってきた。
歯がぶつかって痛かったが、俺は力任せに唇を押し付けた。

「ん、ん!」

先生は少し藻掻くように体をよじったが、引っ叩きはしなかった。
少しして、舌を差し込もうとした。
先生は唇を固く閉じていたが、俺がかまわずに舌を動かしていると、一瞬口を開いて僅かに舌が触れた。

「やめなさい!」

突き飛ばすように先生は俺から離れた。

期待させるような展開だが、俺のそのときの経験はそこまでです。
でも先生は無言で人差し指を自分の口に当てて俺を睨みつけただけで、それ以上は何も言わなかった。
俺もそこまでだった・・・。

文化祭が終わっていよいよ受験モードに突入したが、俺は志望校を実力以上の私立に絞って受けることにした。
試験日が近づいたとき、帰ろうと駐車場に歩いて行くY先生を呼び止めた。

「先生。俺、◯◯高校を受けるんですけど」

「そうなんだってね、頑張りなさい」

「あの、たぶん俺の実力だったら厳しいんですけど、もし合格したら一生のお願いを聞いてもらえませんか?」

先生は少し眉間に皺を寄せたが、すぐ笑いながら・・・。

「あのね・・・、もうそんな約束はしません。A君には彼女いるんでしょ、私も結婚してるの!」

先生はお願いの内容を聞く前にこう言った。

「でも、お願いします!」

俺はそう言い捨てて、断られたショックを隠すようにその場を逃げ出した。
家に帰って、俺は自己嫌悪でしばらくは呆然としていたが、改めてさっきのことを考えていると、ある言葉が引っかかった。

「もうそんな約束はしません」

確かに先生は、「もう」と言った。

受験は残念ながら失敗した。
俺は実力通りの公立高校に入学したが、もし志望校に合格していて、改めて先生にお願いしていたら、もしかして・・・。
過去には戻れないが、今考えても勉強不足が悔やまれてならない。