人は第一印象で他人の性別や年齢を判別しているそうで、僕は男顔で胸も膨らんでいなかったが、他人から『女性』にカテゴライズされることが多かった。
そのせいで僕は同級生から、「オカマ」とか「オネエ」と呼ばれて馬鹿にされ続けた。
実際の僕は普通の男でオカマでもゲイでもなかったが、見た目が中途半端な僕は女にモテることはなく、初体験の相手のソープ嬢にも、「なんか、女同士でしてるみたい」と笑われる始末だった。
そのお陰で、僕は女性恐怖症というかセックス恐怖症になってしまい、女性の前で裸になることが怖くなり、セックスはその1回しか経験がない。
そんな僕だから20歳を過ぎても彼女なんて出来る筈もなく、大学の友達も少なかったので、一人暮らしの部屋で暇を持て余していた。
(どうせ女に見えるなら女装でもしてみるか・・・)
僕は興味本位で女装をしてみることにした。
実家からの仕送りだけで生活が出来ていた僕は金銭的に余裕があり、ネット通販で女物の洋服やウィッグ、それにメイク道具を買い揃えた。
しかし僕の女装の出来栄えは最悪で、どう見ても気持ち悪いオカマにしか見えなかった。
皮肉なことに、女装したことで、僕に僅かに残っていた男らしさが強調されてしまったのだ。
男の格好をした僕は、男らしくない部分が違和感として目立ち、逆に女の格好をした僕は、女らしくない部分が目立っていた。
血管が浮き出た手の甲、ゴツゴツとした膝、筋肉質な手足・・・。
そして、何よりも顔の造形が男そのものだった。
面長な顔、大きく高い鼻、長い鼻の下、薄い唇、尖った顎、痩せこけた頬、張り出した太い眉・・・。
僕が女の子と間違われていた要因は、女っぽい体形やナヨナヨした仕草、ムダ毛のない白い肌のせいだったと改めて実感した。
僕は心のどこかで、(女装すれば綺麗な女の子になれるかも)と思っていたが、そんな事はマンガやアニメの中だけだと分かり落胆した。
僕は鏡の前でため息をつき、無意識に手で口元を隠すと、僕の顔から男らしさが消えた。
試しに女装した顔にマスクを装着すると、僕の顔は普通の女に見えた。
僕は自分の男らしさが口元の造形に集中していることに気が付いた。
その日からの僕は、マスクをする前提で、女らしく見える女装を研究するようになった。
面長な顔はサイドにボリュームのあるウィッグで誤魔化せることを知り、太い眉毛もぱっつん前髪のウィッグで隠すことが出来た。
筋肉質な足やゴツゴツとした膝は厚手のタイツやニーハイソックスで隠すことが可能で、血管の浮き出た手の甲は萌え袖にしたニットで隠せた。
さらにヌーブラを使えば胸の谷間だって作れたが、胸の大きさは女らしさとは無関係なことが分かった。
多くの女性は体形が分かりにくい洋服を着ていて、特に胸の大きな女性にその傾向が強かった。
僕は胸の谷間を強調するファッションをしてみたが、大きく胸の開いた洋服は流行のファッションアイテムにはなく、特殊な洋服だと分かった。
胸の谷間を強調している女は意図的に露出をしていることを知り、僕はその女たちが汚く思えた。
やがて僕の女装の完成度は上がっていき、難しかったアイメイクにも慣れ、元々大きかった目や長かったまつ毛のお陰で、マスクをした僕の顔は女にしか見えない状態・・・と言うか、かなりの美人になっていた。
マスクをした歯科助手がみんな美人に見えるのと同じ原理だ。
鏡に映った綺麗な女性(僕自身)が自分の思い通りに動くことが面白くて、僕は彼女に色んなポーズをとらせた。
僕は女装した自分の姿を見て興奮し・・・勃起した。
(変態だ・・・)
でも綺麗な女性になることは楽しかった。
僕の女装はエスカレートして行き、ネット通販で女物の洋服やメイク道具を買い漁り、大きな姿見やドレッサーも購入した。
男としての容姿に自信がなかった僕は自分の見た目に興味がなかったので、自分から進んで大きな鏡を買うことなどないと思っていたのに・・・。
僕の一人暮らしの部屋は、いつの間にか女の子の部屋になっていた。
僕は男らしくない体形のお陰で、無理なく女物を着ることが出来た。
と言うか、男らしくない体形の僕には、男物より女物の洋服の方が体にフィットしていた。
それに痩せてスタイルの良い僕は、普通の女性が着ることが出来ない7号サイズの洋服も着られたので、流行のファッションを存分に楽しむことが出来た。
僕はアイドルやモデルの私服を参考に洋服を買ったが、アイドルと同じ洋服を着た僕は、そのアイドルよりもスタイルが良かったので、彼女のスタイルが悪いことに気が付いた。
スタイルの悪いアイドルが笑顔で私服姿を載せているツイッターやインスタを見ると、そのアイドルが可哀そうに思えた。
そして、僕を馬鹿にしていた女たちを見返せた気分になれた。
僕は毎晩のように一人暮らしの部屋で女装をし、女になった自分を見ながらオナニーに耽っていた。
女装でするオナニーは普通のオナニーよりも興奮した。
鏡に映った女性が自分でスカートを捲り、大きく股を開く・・・。
女装して女になった自分が男からレイプされる妄想が一番興奮した。
鏡の中の僕はいやらしく腰を振る淫乱な女に見えたが、実際に男とセックスをしたいとは思わなかった。
やがて僕は、女に見えると思っているのは自分だけかもしれないと思い始め、他人の評価が知りたくなった。
僕は試しに性別を女と偽って、画像掲示板に自分が女装した写真をアップした。
すると男たちから、「可愛い!」とか「会ってみたい」というコメントが寄せられた。
しかし中には僕が男であることに気付く人もいたので、僕はさらに女らしくなる為の研究をした。
僕は股間を女性らしい形にするテクニックを覚えたり、胸の谷間を作る方法も知り、下着姿の画像をアップするようになった。
僕の画像を見た男たちは、僕をオナニーのネタにしてくれた。
言葉では説明し難い優越感を味わえた。
男を性的に興奮させる魔法を手に入れた感覚だった。
僕はもっと女らしくなりたいと思った。
そして、不妊症になると分かっていて、個人輸入の女性ホルモン剤に手を出してしまった。
女として綺麗になることに比べれば、不妊症になることくらい、どうでもいいことに感じたからだ。
元々男らしくなかった僕に女性ホルモンの効果は絶大で、筋肉質だった手足や血管の浮き出た手の甲には脂肪がついて滑らかなになり、男らしい顔もマイルドになっていった。
やがて僕は小細工をしなくても女性に見えるようになっていた。
実は女性のメイクは、女性が見て魅力的な顔に見えるようになっていて、女性が魅力的に感じる顔は“男の顔”だった。
高い鼻、シャープな輪郭、大きな目・・・。
女性のなりたい顔の特徴は、男顔の特徴そのものだったのだ。
現代の女性は意識的に、または無意識的に、メイクで男の顔に近づけようとしていた。
僕は女性用の本やネットでメイクの勉強をしていたが、女性用のメイクをすると逆に男らしくなることに気づいた。
僕の顔は、すっぴんの方が女らしく見え、適度に男顔の特徴が残った僕の顔は、白人とのハーフに見えた。
僕には日本人女性特有の平らな顔や短い足といった特徴がなかったからだ。
僕は自分の女装姿に自信が湧いてきて、ついに女装で外出をするようになった。
そのきっかけの一つが、街で見かけた女装者だった。
彼は一目で男だと分かる体形をしていて、男が女物の洋服を着てメイクをしているだけにしか見えなかった。
一目でウィッグと分かる髪の毛、ゴツゴツとした顔にケバいメイク、広い肩幅と高い位置にある不自然な胸の膨らみ、小さく引き締まったお尻、極端に短いスカート、流行遅れのファッション、ニーハイソックスの上から履いたサンダル・・・。
しかし、彼とすれ違う人たちの反応は普通で、彼を指差して笑う人などいなかった。
(こんなにレベルの低い女装でもバレないんだ・・・)
と言うか、誰も彼に注目していない。
女装で外出することを躊躇っていた自分が馬鹿に思えた。
でも、初めて女装で外出した時は緊張し、玄関で何十分も外出を躊躇した。
初めてのスカートでの外出は新鮮で、剥き出しの太ももに当たる外気が冷たく感じ、下半身を覆う物が、薄い下着一枚しかないことが心許なく感じた。
(女性は、こんな無防備な格好で外を歩いているのか・・・恥ずかしくないのかな・・・)
それにヒールのある靴は歩きにくいことを知った。
道路の僅かな凹凸で転びそうになる。
でも、スカートが揺れる感じが気持ちいい。
女装で外出を始めた頃は、夜中に住んでいるマンションの周辺を歩くだけだったが、すれ違う人の反応が普通だったので、徐々に行動範囲が広がり外出時間も長くなっていった。
そして、髪を伸ばしていた僕は美容室に行き、思い切って女性の髪型にすることにした。
担当の美容師さんは若い女性だったが、僕が男であることを伝えると、彼女は全然気づかなかったと言って驚き、他の美容師さんやお客さんも僕が女の子にしか見えないと言ってくれた。
(男の洋服を着ていても誰も男だと気づかない・・・それに女っぽい僕を嫌がらない・・・)
僕は男だとバレても問題ないと知り、ますます女装をすることに抵抗がなくなった。
髪形をお任せにした僕は、マッシュショートにカットされた。
すっぴんの僕は、髪が短くなったのに女性にしか見えなくなっていた。
美容師さんたちは僕の顔見て「可愛い!」を連発していて、「佐藤栞里に似てる!」とか「本田翼ちゃんにそっくり!」と言って褒めてくれた。
お世辞だと分かっていても嬉しかった。
また、僕自身も自分の顔が可愛いと感じていた。
元々男の状態でも女性と間違われていた僕は、本物の女性として街に馴染んでいった。
そして女装外出をするようになって1ヶ月もすると、僕は大学に行かなくなり、一日中女性として生活し、昼間の繁華街を普通に女装で歩くようになっていた。
自分とは違う人格になって生活することで、とても開放的になれて、僕は女装にますます嵌っていった。
特に、性別が違う人格になると、他人のリアクションが変わることが面白かった。
女装した僕は、道で人とすれ違う時、おばさんとぶつかりそうになることが多くなった。
女装した僕に対し、おばさんが道を譲ってくれないからだ。
そのとき僕は、男の時の自分が女性から道を譲られていたことに気が付いた。
おばさんは若くて綺麗な僕に厳しく、「もっと端を歩きなさいよ!」と注意したり、怖い顔で睨んできたりした。
日本ではまだまだ女性の地位が低いことを実感した。
女装をしていると、女性との距離感が近くなることにも驚いた。
電車やバスの席に座っていると、僕の隣に座って来るのは女性ばかりで、体を密着させてくることも珍しくなかった。
でも一番驚いたことは、ナンパや痴漢をする男が多いことだった。
僕自身はナンパや痴漢をした経験がなく、僕の男友達もナンパをする奴はいなかったが、僕が女装で歩いていると多くの男がナンパをしてきた。
特に夜の繁華街は酷いもので、酔っぱらったサラリーマンからよくナンパをされ、中にはすれ違いざまにお尻を触ってくる男もいた。
男に興味のない僕はナンパしてくる男たちを無視したが、ナンパされること自体は嫌なことではなかった。
女として自分が認められた気分になったからだ。
また、電車に乗っていると、向かいに座っている男が僕のスカートの中を覗こうとしていることにも気がついた。
本や新聞を読む振りをしながら僕の股間を凝視してきたり、駅の階段で下から盗撮してきたり、中には僕を見ながらアソコを勃起させる男もいた。
僕は誇らしい気分にさえなった。
しかし、ナンパや痴漢に慣れてくると、自分が軽い女だと思われている気分になり、だんだんとナンパ男が鬱陶しく感じ始めた。
僕は人通りの多い道を避けたが、暗い夜道が危険なことまでは知らなかった。
人通りの少ない夜道を一人歩きしていると、ゼロ距離で後をつけてくる男や、集団で道を塞いですれ違いざまに体を触ってくる男たち、中には僕の目の前で立ち止まり、いきなり立小便をしてくる酔っ払いまでいた。
その男は自分のアソコを僕に見せて喜んでいた。
キモい・・・これはさすがにキモ過ぎる。
さらに酷かったのは、男に後ろから抱きつかれた時だった。
僕は知らないマンションの植え込みに押し倒されて、男に胸を揉まれ、スカートを剥ぎ取られそうになった。
幸いにも中年女性の集団が通り掛かったので、男は何もしなで逃げ去った。
僕はレイプされかけた自分が恥ずかしくて、植え込みに隠れて中年女性の集団をやり過ごした。
僕の膝や手のひらには擦り傷が出来ていて、お気に入りの洋服はビリビリに破られ、ブラは捲られて乳房が露出していて、ショーツが少しだけ脱がされていた。
女性の洋服の防御力は限りなくゼロに近いものだった。
僕は夜の繁華街を避けるようになり、怖くて、しばらくの間はスカートを穿くことができなくなっていた。
僕がナンパや痴漢によく遭うのは、僕が綺麗な女だからではなく、一人で歩いているからだと分かった。
やがて僕は普通の女性として生活することに慣れ、緊張することもなくなっていった。
着ている洋服も、アイドルやモデルを参考にすることはなくなり、街で見かける女性と同じような洋服を着るようになった。
しかし、それと同時に女装で外出する刺激もなくなっていった。
僕はさらなる女装外出の刺激を求めるようになり、女性にしか入れない場所に行くようになっていた。
きっかけは運転免許証の更新だった。
僕の新しい免許証の顔写真は女にしか見えない状態になっていて、名前が『ゆうき』だったこともあり、僕の運転免許証は客観的に見て女性の物に思えた。
僕は試しに、ネットカフェに入会する時、性別欄の『女性』に丸をつけて手続きをしてみた。
すると店員さんは当然のように僕に女性の会員証を渡してくれた。
初めて入ったネットカフェの女性専用エリアに僕は興奮した。
まず部屋の匂いが違っていた。
部屋には乳製品が発酵したような女の匂いが充満していた。
僕は女性専用エリアに入っただけなのに勃起していた。
女性専用のシャワールームは誰も使用していなかったが、横にある洗面台には綿棒やコットン以外に生理用品が置かれていた。
僕は生理用品をいくつか持って個室に戻り、包装紙を剥がしてみた。
初めて手にした生理用品は簡素な物だったが、これが女性器に密着する物だと思うと興奮し、僕は個室の中でオナニーをした。
僕の精液を受け止めたナプキンは、ゆっくりと精液の水分を吸収していった。
賢者に戻った僕は、自分の穿いていたショーツに新しいナプキンを貼り付けてみた。
初めてのナプキンはゴワゴワして着け心地の良い物ではなかったが、女の子に近づけた気分になった。
僕はナプキンの着け心地を確認する為に、女性専用エリアを歩くことにした。
平日のネットカフェは空いていたが、何人かの女性が利用していた。
女性にしては背の高い僕はハイヒールを履くと170センチ以上になり、通路を歩くと普通に個室の中が覗けた。
僕が通路を歩いていると、中にいる女性がオナニーをしている姿が見えた。
僕は盗撮物のエロ動画で女性がオナニーをする姿を見たことはあったが、オナニーをする女性を生で見たのは初めてだった。
その女性はリクライニングシートに寝そべり、両足を机の上に乗せた姿勢でヘッドホンをしながらエロ動画を観ていて、ズボンに右手を入れ、左手で自分の胸を揉んでいた。
僕は女性のオナニーは声を出しながらするものだと思い込んでいたので、その女性が静かに自分の女性器を弄っていることが意外だった。
それにエロ動画を観ながらオナニーをしていることも意外で、動画を観ながらオナニーをするのは男だけだと思っていた僕は衝撃を受けた。
その女性は、僕が早送りしてしまうフェラのシーンを熱心に観ていたので、男と女とでは興奮するシーンが違うのかも知れないと感じた。
僕は心臓の鼓動が激しくなり足が震えてきたので、逃げるようにドリンクバーに向かったが、その女性は僕にオナニー姿を覗かれたことに気づいた様子はなく、ドリンクを持って戻って来た時も同じ姿勢でオナニーをしていた。
僕は他の女性も気になり、違うブースを覗くと、ほとんどの女性はリラックスしているせいなのか、男には見られたくない姿で寛いでいた。
大きく股を開いて座っている人、服や靴下を脱いでいる人、そしてオナニーをしている女性も何人かいた。
彼女たちのオナニーの方法は様々で、エロ動画以外にマンガを見ながらしている子や、何も見ないでしている子、それに洋服を脱いで器具を使う本格的なオナニーをしている子までいた。
本格的なオナニーをしている子も声を出していなかったが、時折体をビクンと痙攣させ、性的に興奮していることが分かった。
僕は受付に行き、本格的なオナニーをしている女の子の向かいの席に移動することにした。
そのネットカフェの扉の下には隙間があり、寝そべると向かいのブースが丸見えになった。
本格的なオナニーをしている女の子は、男に見られていることに気づかず、黙々と器具を自分の膣に出し入れしていた。
僕は興奮し、さっきオナニーをしたばかりなのにアソコが勃起していた。
僕はスカートの中に手を入れ、ゴワゴワしたナプキンの上から右手の中指で股間を弄りながら、左手で自分のおっぱいを揉んだ。
女性と同じ方法でのオナニーは、直接アソコを触っていないのにとても興奮した。
<続く>