ゴールデンウィークが明けた日の昼休みにA美からメールが入った。
『電話してもいい?』
俺はこの日は現場に入っていて電話が出来る状態ではなかったので、『ごめん。現場に入っているから今は無理』と返信した。
ものの30秒もしないうちに、『了解です』とA美からの返信メールが入った。
(やはり駄目だったんだな・・・)と、たったこれだけのA美からのメールでそう悟った。
はっと思い出したように俺はメールをし直す。
『今日から4日間現場に入るから、その後で俺から連絡する』
本当にメールは面倒臭いので嫌いだ。
話をしていた方がずっと楽である。
俺から連絡するまでA美からの連絡はなかった。
それから4日後の昼休み、会社の外からA美に電話をした。
すぐに電話に出たA美の声はあまり元気がなかった。
「ちょっと気持ちの整理が出来なくて・・・」
A美は俺にそう言うと黙ってしまった。
「やっぱり駄目だったのか?」
俺はしばらく沈黙した後にA美にそう聞いた。
「うん。彼氏のことは大好きなんだけど・・・」
A美の話を聞くと、ゴールデンウィーク中にディズニーランドやドライブなど、彼氏に色々な所に連れて行ってもらい、楽しい時間を満喫出来たようだった。
A美にはとても優しく、エスコートも完璧にしてくれたらしい。
しかしセックスになると、彼氏は普段の男らしさから一変する。
A美は何度も努力はしたが彼氏のスタイルは全く変わらず、A美自身を満足させることが出来なかった。
セックス時のA美の彼氏は、完全たる真性のドMであった。
俺にはもう分かっていた。
A美が完全にSになるというのは無理だと。
前回、俺とのセックスで俺がA美の彼氏役を演じ、A美はSになりきっていた。
しかし最後は、「可愛がって」と俺になすがままのA美であった。
やはりA美はドMなのだ。
彼氏が変わらない限り、A美とのセックスが上手くいくはずがない。
否、彼氏は満たされているが、A美は満たされないままだ。
「結局A美、お前はどうしたいの?」
俺は少し苛立つような感じでそう言うと・・・。
「・・・慰めて・・・」
A美はそれだけ言うと黙り込んでしまった。
「そうじゃなくて、彼氏とはどうすんの?別れたいの?」
黙っているA美にそう聞いた。
一番肝心なことだった。
「ううん。別れたいとか思ってない」
「そうか。お前、今どこにいんの?」
「会社の外・・・」
「お前、今、何を想像しているの?」
少し間があった。
「◯◯との・・・エッチ・・・」
「それだけ?」
「・・・私達の・・・匂い・・・」
「どうされたいの?」
「・・・私をめちゃくちゃにして欲しい・・・」
「今、お前のあそこはどうなってる?」
「・・・たぶん・・・、濡れてる・・・」
「会社に戻ってトイレに入れ」
「えっ?」
「えっ、じゃないよ。電話切るぞ」
「・・・ちょっと・・・、待ってて・・・」
俺はA美が移動している間、篭った雑音を聞いていた。
しばらく間があって、「どうするの?」と囁くようなA美の声がした。
「お前のいやらしい音を聞かせろ」
「・・・駄目だよ・・・」
「駄目。じゃないだろ。わかっててそこに来たんだろ。早くやれよ」
「・・・うん・・・」
「うん、じゃないよ。『はい』と言え」
「・・・はい・・・」
「イクまでやれよ」
ガサガサと音が聞こえ、クチュッ、クチュッと音が聞こえてくる。
(こいつ、マジでやってるな)
俺はしばらくA美のいやらしい音を聞いていた。
どれくらいだろう。
いやらしい音が聞こえなくなったかと思うと、「・・・イッちゃった」と微かに聞き取れたA美の小さな声。
「本当にイッたかどうか今すぐに写メしろ」
俺はそう言って電話を切った。
それから5分くらい経った時、A美からメールが入った。
メールを開くと、片方の指で開き、中が濡れてピンク色をしたオマンコのアップ画像。
題名も本文もなかった。
何という征服感。
完全にA美は俺の奴隷に成り下がったのだ。
A美に『綺麗だよ』とだけメールを送り、俺は会社に戻った。
そして携帯を見るとメール受信されていたのでメールを開く。
『誰にも見せないで。早く逢いたい』
俺は手帳のスケジュールを見てしばらく考えていた。
しかし5月中は逢える日がなかったので、『5月中は難しい。俺から連絡する』とA美にメールを送信した。
しばらく時が過ぎ、5月末の夜に携帯が鳴った。
子供をあやしていたので気が付かず、妻から知らされて携帯を見る。
専門学校時代の男の友人からだった。
「おう、久しぶりだな!」
「おう、おやじ、元気にしてる?」
『おやじ』とは俺のニックネームだ。
2年浪人し、大学受験に失敗して専門学校に入ったので、ほとんどの生徒達より2歳年上であった俺は、こいつにこのあだ名を付けられて、この呼ばれ方が普通になってしまった。
まあ、女の生徒達からは『おやじ』とは呼ばれなかったが。
しばらくお互いの子供の話や近況的な話をしていたが、彼から本題に入った。
たまたま先日Yちゃんと逢ったらしく、たまには飲み会を開こうという話になったらしい。
「俺が音頭取るから、おやじはいつ頃がいい?」
「いや、いつでもいいよ。平日だけ避けてくれれば。6月だろ?」
「まっ、そうだね。じゃ、てきとーな日を選んで決めるわ」
「宜しくなー」
「あっ、そうそうおやじ。Sちゃんに彼氏ができたの知ってた?Yちゃんから聞いたんだけど」
『Sちゃん』とはA美のことである。
ちなみにYちゃんは、A美といつも一緒だった女友達である。
「へぇー、知らなかったわ。どんな男だよ?」
「いや、俺もそこまで聞いてないからわからんけど」
俺は白々しく嘘を言い、しばらく下らない話をして電話を切った。
それから2日後に彼からのメール。
飲み会の日程と出席者の名前が書いてある。
A美の名前も入っていた。
次の日の昼休みにA美からメールが入った。
『今、電話いい?』
俺は会社の外に出て、俺からA美に電話を掛けた。
「飲み会の日が決まったみたいだな」
「うん。そうだね。△△君から電話が来たよ」
彼は仲間全員に電話をし、調整して日程を決めてから全員に一斉送信したようだ。
「もうお前に彼氏ができたのバレバレだぞ」
「うん。だってYや他の子にも言っちゃったから」
「で、飲み会の後はどうする?」
「・・・したい・・・」
「何を?」
「・・・エッチ・・・」
「じゃあA美の玩具を全部持って来てね。例の物をあそこに入れて来いよ」
「・・・うん・・・」
「うん、じゃない。『はい、御主人様』だろ?」
「・・・はい。御主人様・・・」
そして、この前と同じようにA美をトイレに行かせて写メを撮らせた。
『御主人様』は、その時の雰囲気で出てきた言葉だった。
しかし簡単にA美は俺に落ちた。
完全にA美は俺の下僕であり奴隷だ。
何て最高の気分だろう。
A美の希望通り、めちゃくちゃにしてやろう。
俺はA美から送られてきた写メを見ながらそう思っていた。
<続く>