で、ある日、その子が30歳前後の男と歩いてるのを見た。
そういう関係じゃないだろうと思いつつも、さすがに当人からは聞き出せず。
車に一緒に乗ってるとこまで見てしまった。
彼女のアパートは知っていたので、たまにその前をなんとなく通り過ぎる。
そしてある夜、アパートの前にその車が停まってるのを見た。
ショックと不思議な高揚感を感じつつ、いつものように窓のそばを通り過ぎようとしたら・・・。
話し声が聞こえた。
思わず立ち止まった。
男の声は低くて何を言っているか分からないが、彼女が楽しそうに答えているのが分かる。
声は間違いなくいつもの彼女だが、何か口調が違う。
1分くらいその場にいたが、居た堪れなくなり歩き去った。
家へ帰ってからも気になって仕方がなかった。
俺は彼女の部屋に入れてもらった事もないのに・・・。
1時間くらいしてもモヤモヤは消えず、通り道なのでコンビニへ出かけたついでにもう一度アパートの前まで寄ってみた。
窓の電灯が消えていた。
でも、車はまだそこにあった。
頭の中がパニックになり、フラフラと窓の方へ歩いていった。
自分の心臓の鼓動が聞こえる。
思わず息を潜めて耳をそばだてる。
「はぁぁぁぁん」
低い彼女の喘ぎ声が微かに聞こえてきた。
疑惑が決定的になった瞬間だった。
その日はそのまま家へ帰り、眠れない夜を過ごした。
頭に残った声が、普段の彼女とどうしても結びつかなかった。
その後も彼女とは大学で会っていたが、普通の友達としての会話から進まない。
でも、以前はTシャツにジーンズだった彼女が最近はスカートを穿くようになった。
化粧っ気は元々なかったが、微妙にメイクしている感じもする。
あの男の影響かもと思うと何とも言えない気持ちだった。
そんなある日、彼女がサークルで行った旅行の写真を見せてくれた。
楽しそうなスナップの中に1枚、水着で集合写真を撮ったものがあった。
思えば彼女の水着姿さえ見るのはこれが初めてだった。
写真の中の彼女は赤いビキニを着ていた。
スレンダーな身体に小ぶりな胸、くびれが眩しかった。
彼女は、「これはヤバいからダメ~」とか言ってすぐに隠してしまった。
見ているうちに、悔しい気持ちでいっぱいになった。
あの男はこの身体を好きなようにしてるんだろうか。
ふざけたふりで「もっと見せろよ~」とか言ってみたが、それ以上見せてくれなかった。
その夜はいつもより胸に何かが溜まる感じが強かった。
もはや恋愛感情とは違うのかもしれない。
嫉妬心を抱きつつも、俺の興味は彼女の身体にあったのだろう。
その夜、コンビニに出かけてアパートの前を通りかかると、やはりあの男の車があった。
2ヶ月ぶりくらいだろうか。
俺はまたフラフラとその窓の前をゆっくり通り過ぎようとした。
灯りの消えた窓際で声が聞こえてきた。
前に聞いたような低い声ではなく、男が責めるような口調で何か言っている。
喧嘩かと思って耳をそばだててみたが違うらしい。
彼女の声はもはや低い喘ぎ声じゃなかった。
「あっ、あっ、あーっ!」
「いや、いや、あー!」
響くように聞こえてきた。
男の声は、「・・・だろ?」とか「・・・しろよ」とか荒っぽい感じ。
(全部は聞こえず)
それなのに彼女は悶えながら、「はい・・・」とか「すみ・・・ません・・・」とか言ってる。
すすり泣くような声さえ聞こえた。
何を言われてたんだろうか。
誰か似た経験あったら教えてくれ。