リサ「ムカつきはしないけどちょっと嫌だった」
俺「だよね、ごめんね」
リサ「ううん、そういう人たまにいるし、しょうがないんだけど、なんかね・・・」
俺「ですよね・・・」
前述の通り俺は敏感なので、まずい流れになってると判断し、話題を切り替える。
言っておくが、俺に彼女はいないわけだが、言葉は悪いがさすがに風俗嬢と付き合うことはできない。
いくら可愛くてテクもあっても、抵抗がありすぎる。
俺「俺、バーニャカウダ好きなんだよねー。色んな野菜が食べれるし」
俺「なでしこジャパン凄いねー」
俺「紳助がさー」
などと自分の話題の少なさに驚愕するが、そんな俺のクソ下らない話を笑顔でうんうんと聞いてくれていた。
話題がなくなり困っていると・・・。
リサ「そんな一生懸命話さなくてもいいのに。私、楽しいよ?」
俺「いや、なんかさ・・・」
リサ「俺さん、めっちゃいい人」
俺「そんな事ないよ」
リサ「あはは」
(何この雰囲気)
危険度は高いよ。
ただ、チキンなくせに危険に飛び込みたい衝動もありつつなわけで。
セックスしたら終わりだとは思っていたが、したくもあり・・・。
微妙な男心に揺れ動いていた。
俺「そういや昨日の電話。あれ凄く気になってたんだよね。何かあった?話したくなかったらいいけど、何か悩みがあったら聞くよ」
リサ「あっ、あれ?えーー」
俺「無理にとは言わないけど」
リサ「俺さんってすぐ引くよねー」
俺「チキン野郎だからね。変わりたいんだけどね」
リサ「でも凄く優しいよね」
俺「優しくないよ」
リサ「またぁー」
笑顔ではぐらかされた。
しかし、これを機に一気に向こうのターンに。
リサ「初めて私を見てどう思った?」
俺「いや、そりゃー可愛いなぁって」
リサ「話してみてどうだった?」
俺「超いい子だなーって」
リサ「やってみてどうだった?」
俺「すげーって」
俺の返答に対して嬉しそうに反応している。
(可愛いぞ、あれ?)
俺の性格からして面と向かって悪くは言えない。
実際悪いとこは何もなかったが。
上記のように面と向かって相手を直接褒める言葉を言うと、なんか俺の方がその気になってくる。
危ない。
リサ「じゃぁ、私のこと、どう思う?」
直球が来た。
俺「えっ!?いやぁー良い子だなぁと」
逃げてみた。
リサは笑顔のまま。
リサに落とされるか否かの状況になってきた。
リサ「何のためにデリヘルやってるか聞いたよね?」
俺「あっ、ごめんね、聞きました」
リサ「辞めたらどうする?」
俺「えっ?どうするって・・・」
凄いドキドキしてきた。
酒が回ったのか白い肌を赤らめた可愛い女の子がジッと見てくる。
そして・・・ほぼ告白してきている。
辞めたとしても元風俗嬢と俺は付き合うことは出来るのか?
いや、無理だ。
セックスの度にこの事実はチラつく。
全てを受け入れるほどの器量はない。
いや、むしろ嫌だ嫌だとしか思えない。
今日はただ、さっくりとセックスして後腐れなくバイバイしたかった。
ただそれだけだったのに。
最悪やれなくても風俗の裏話でも聞いて今後の参考にしたかった。
お母さん、俺に風俗嬢の彼女ができそうです・・・。
怖くなってつい・・・。
俺「他の人にもおんなじことを・・・」
リサの表情が変わる。
俺「言ってないですよね・・・」
リサは頷く。
俺「でも俺、まだリサのことよく知らないし・・・」
リサ「大丈夫だよ」
24年間の人生でここまで女の子に迫られたことが無いためテンパりまくり。
彼女ってすげー頑張って努力して時間と金使って、それでやっとゲット出来るかどうかってもんでしょ。
しどろもどろになり、ひたすらビールを飲みまくってしまった。
リサ「私のこと、嫌い?」
俺「いやいや、そんなわけないよ」
リサ「そっかぁ」
向こうの攻撃が止んだので反撃を繰り出す。
俺「てかさ、1回整理しよう。ひょっとしてリサは俺のこと好き・・・とか?」
リサ「うん」
俺「えっ、なんで?会うの2回目だし、メールとかでしか・・・」
リサ「好きなんだもん」
「好きなんだもん」はマズイ。
俺の牙城が揺れ動く。
俺「どうしてさ?俺はマジでダメな奴だし、凄く悪い奴かもしんないよ」
リサ「好き」
好きの波状攻撃。
酔っ払ってきた。
リサ「でも・・・やっぱりデリやってるからダメだよね?」
押して押してからの引く作戦を向こうは繰り出した!
俺は釣られてしまうのか?
俺「いや、それは絶対ない!!そうじゃないから!!」
釣られてしまった。
さらにはチキン故の言えない本音という大技を出してしまった。
お前の一番拘ってるポイントはそこだろ、と。
リサ「デリじゃないならやっぱり私が好きじゃない?」
俺「いや、好きだよ」
リサ「ホント?!」
俺「うん」
あっ・・・言っちゃった。
脆いな、俺の牙城は。
言い訳するとすれば、振るなんてことは人生において経験がないし、相手にそんなこと絶対できん。
あと、リサは大した攻撃は繰り出してないはずなんだが、なんか可愛くて魅力的でホントに好きになりかけてた。
デリヘルさえやってなければと箸を思い切り噛んだ。
リサ「よかったー。よろしくお願いします」
ちょこんと頭を下げてきた。
くそぅ可愛いじゃねーか。
俺「いや、マジで俺でいいの?ホントに?」
リサ「いいの」
俺「なんか申し訳ないな・・・」
リサ「私には気を遣わなくていいからね?俺さんは他の人に気を遣い過ぎてるんだから、私には普通の俺さんでいて欲しいな」
俺「普通の俺が嫌な奴だったら?」
リサ「好き」
なんかもうね、マジで好きかも。
それからリサは甘えてきた。
手を握ってきたり、「酔っちゃった」と可愛く言ってみたり。
それはもうたまらん可愛さなのだが、俺は今晩セックスしたくて頭がいっぱいだった。
今ここで付き合う条約を締結した為、リサのフリーセックスパスはゲットしたはずだ。
ただ、今日使えるのか?
使いたい。
こうなってしまった以上どうしても使いたい。
さて、流れをどう持っていくか。
最悪チューでも我慢するか?
否、セックスだ!
リサはニコニコしながらこちらを見ている。
気付けば店に入って3時間くらい経過していた。
場所を変えるには十分だろう。
いや、待てよ。
たった今付き合うことになり、そうなった途端にセックス方向へ持っていくのはあまりにも酷いか?
『デリ嬢=すぐやれる』なんて俺が思ってると思われるかもしれん。
一度そう思ってしまうともう何も手立てを考えられなくなってしまった。
セックスしたい、でも言えない・・・、待てよ?
私の前では普通の俺さんでいてと言ってたよな?
とは言えだ、「行っちゃいますか!」とストレートに言えるわけもなく、何かを考えてるような表情を作り、リサの顔を見て、リサの胸元に視線を落とした。
リサ「なにー?」
俺「うん、何でもないよー」
また視線を落とした。
気づいてくれ!!お願いします!!
リサ「俺さん、朝早いんだよね?」
俺「んなの全然大丈夫だよ!なんなら有休ブチ込むよ?」
おっ、気づいたか!
リサ「あははは。でもダメだよー仕事は仕事。私はいつでも会えるし」
チッ、ミッドウィークの馬鹿野郎め。
夜の23時を回ろうかという頃、店を出た。
余談だが、明らかに稼ぎは向こうのが多いはずだが、支払いは俺にさせてもらった。
リサ「やだー、そういうのやだよー」
俺「付き合い始めた初日くらい俺に男を飾らせてくれ」
リサ「えー女も飾らせてよー」
なんてクソリア充の戯れ言やりとりをしつつ、渋々リサは了承してくれた。
会計の際は腕にグッて来て、「ありがとう」って。
たまらん、おっぱいたまらん。
そして偶然にもリサの家と俺の家は近かった。
駅にして3駅。
(地元が近かったのも早く打ち解けた要因か?)
なのでタクシーで途中まで一緒に帰ることに。
残念な話だが、俺もリサも実家住まいな為、そのまま乗り込んでセックスはできない。
車内で。
リサ「私、もうお店辞めるからね」
俺「ありがとう。でも店長の人とかに殺されないかな俺」
リサ「あはは。殺させないよー」
俺「ウソだよ、俺は大丈夫」
リサ「やっぱり辞めてもデリやってたってのは絶対嫌だと思う」
俺「そんな事ないって!これからだよ、気にしないで」
またやっちまったぜ。
でも言えねーよ。
リサ「私、頑張るからね!良い彼女になるから、なんかあったら言ってね」
俺「大丈夫だよ、今の感じで」
リサ「ううん、頑張るから!」
そんな健気なリサが可愛くて可愛くて、リサにすり寄ってしまった。
リサ「んー?」
俺「俺、ホント好きだよ」
キモいの百も承知で言ってしまった。
そして流れでキスした。
いや、ホント好きになってしまった。
リサの魅力にやられてしまった。
カモにされてもいいかなと。
ただそうではないと俺は信じてるし、良い付き合いをしていきたい。
さすがに元デリってのを割り切るのは相当キツいし、たくさん葛藤があるだろうが、それを理由に別れるのは絶対しないわ。
こんな自己満文章を読んでくれた皆さん、ホントありがとう。
なんか彼女ができました。
俺もマジで頑張ります。
色々邪な思いとかあったけど、今はあんまないです。
チキンな俺だけど、しっかり守れるように精進します。