そのビキニが、エロいのなんの!
今年買った水着がかなり派手なやつ。
パンツが紐で縛るタイプ。
ブラは三角形のヤツでした。
(ついに姉ちゃん、こんな水着着だしたかぁ)
乾いていたので、自分の部屋に持って行って、じっくりと見てしまった。
紐で縛るってことはサイズ調節がしやすいんか?
ちょっと穿いてみっか!
悪戯心でやった。
別に変な気持ちではなく。
が、穿いてから。
姉ちゃんの水着って男でも穿けるじゃん!!
なんとなく穿けちゃった。
ブラも着けてみっか?
で、やってみた。
おもしれえ!ブラってこういうもんか。
それからというもの、家族がいない時に、こっそり姉の部屋から水着を借りて着てた。
以前買ったヤツね。
新しいやつはさすがにまずいだろ!って触らないことに決めてた。
洗濯は家族がいない時にこっそり洗って干して、乾いたらこっそり姉ちゃんのタンスに戻した。
でも、悪いことはバレる!!
絶対にバレるもんなんだよな!!
ある土曜日。
姉ちゃんの部屋に入ってタンスの引き出しを開けた。
勝手知ってる場所だからね。
今日はどれにするか・・・。
姉ちゃんのビキニ水着は13セットになってた。
じっくり選んだ。
(今日は黒のビキニにしよう!)
ビキニを掴んだ瞬間にガチャ!とドアが開いた。
姉ちゃんが立ってた!!
出かけたの確認したのに!!
(戻ってきた?なんで?)
俺がタンスの引き出しを開けて黒ビキニを掴んでるのを姉ちゃんは見た。
みるみる目玉が大きくなって、ただでさえパッチリのお目々が思いっきし見開かれた。
俺は完全にヘタレ状態。
情けねえ!!
普段とっても優しい姉ちゃんの顔が・・・般若に大変身!!
この時くらい姉ちゃんが怖かった時は後にも先にもないです!!
「サトシーーーッ!!!」
ものすごい声!!
むんずと俺の首っ玉掴むと姉ちゃんの部屋の真ん中まで引きずられた。
「サトシー!!何やってんの!!」
姉ちゃんの声は凄いドスが効いてた。
何も言えずに俺はブルブル震えてた。
完全に腰抜け状態のヘタレだ。
「何やってんの!!って言ってんだろ!!」
ちなみに姉ちゃんはヤンキーじゃないっす。
ごくごく普通の女性。
「ご、ごめんなさい!!」
「ごめんじゃない!!何やってのか言え!!」
般若のどなり声!
もう凄まじいのなんのって!!
「ごめんなさい!!!ごめんなさい!!」
「うるせー!!姉ちゃんの水着何に使うんだよ!!言いなさい!!」
姉ちゃんが叫びながらパーン!
俺のほっぺた引っ叩いた。
しかも手加減無し!!全力ビンタ!!
でも痛いよりも般若に引っ叩かれた怖さの方が勝った。
もう一度パーン!!
反対側からパーン!
おまけでもう1回パーン!!
最後にもうひとつおまけで腕がうなりをあげてパーン!!
引っ叩かれてる間、俺はへたったままで引っ叩かれてるのに痛みはなかった。
俺、鼻血出た。
タラタラと。
それ見てさすがに姉ちゃんも我に返ったみたいだった。
涙流して鼻血&鼻水と口からよだれ垂らしてる俺・・・どんな顔だったんだろ?
「サトシ・・・だ、大丈夫?」
さすがにやりすぎたと思ったのか、優しい声に戻ってた。
俺黙って、ただただ頷いてた。
(姉ちゃんが後で教えてくれた話だ。記憶がところどころ飛んでた)
「サトシ、なんで水着持ち出したの?何しようとしてたの?」
ブルブル俺震えながら、どうにかこうにか姉ちゃんに話した。
「ビキニ・・・着るのが面白くて・・・グシュ・・・1回遊びで・・・着たら・・・はまった・・・。グシュ・・・ジュル・・・ご、ごみんなさい・・・グジュ・・・ごみんなさい」
俺、涙と鼻水&鼻血(その時は鼻血が出てるなんて知らなかった)を必死に手で拭いてた。
顔面は涙、鼻水&鼻血で凄まじいことになってた。
いきなり姉ちゃんが笑い出した。
もう、おかしくてどうしようもないって笑い方だった。
それ見たら余計に泣けてきた。
「サトシ、あんたの顔!凄いことになってる。もう・・・ほらあ・・・泣かないの」
姉ちゃんがティッシュで顔を拭いてくれて、鼻にティッシュを丸めて詰めてくれた。
「サトシ、これは女性の水着。わかってるでしょ?男が着たら変態になるの」
うんうん頷いた。
ただ頷くしかできない。
「サトシ、もう2度とやったらだめだよ。ほらあ、顔を洗ってきて姉ちゃんのとこにおいで」
綺麗に顔洗って姉ちゃんの部屋に戻った。
「サトシ、いい?ビキニを着た女の子を好きになるならいいわよ。でも着てるビキニを着ちゃうなんて考えは捨てなさいよ。あらあら、顔腫れてきたのね」
「姉ちゃん、ごめんなさい。もうしないから」
「うん。いいわ。許してあげる。姉ちゃん、思い切り引っ叩いてごめんね。痛かったでしょ?」
「うわぁぁぁーーーん!」
俺、大泣き。
17歳なのに姉ちゃんの前で大泣きした。
「わかった。わかった。もういいから。お父さんお母さんにも黙っててあげるからね」
姉ちゃんに抱きついて泣いた。
それから2年して俺は高校卒業して、東京の大学に進学。
とうてい通学できる距離じゃない。
飛行機使わないと無理。
俺は一人暮らしを始めた。
実家を出る時、母ちゃんと姉ちゃんは泣いて見送ってくれた。
「体に気を付けるのよ。辛かったら電話してきなよ」
一人暮らしを始めて、大学も一生懸命に行った。
仲間も出来た。
実家を出て2ヶ月半くらい経った時に実家から宅急便が来た。
(なんか小さい箱だな?あ、姉ちゃんからだ!!)
20cm四方の箱だった。
急いで開けた。
開けてぶったまげた。
なんとそこには姉ちゃんのビキニ水着が3着も入ってた。
俺が姉ちゃんに怒られた時の黒ビキニ。
白にピンクのハイビスカス柄のビキニ(パンツは紐パンだった)、真っ赤なビキニでラインストーンがちりばめられてるもの。
そして、手紙が入ってた。
『サトシへ。実家出て2ヶ月半経ったけど元気にしてるかな?サトシがいなくなって家の中は寂しくなっちゃったよ。4人が3人になるってやっぱり寂しいね。サトシはどう?ホームシックになってない?友達できたかな?もしかして彼女もできてたりして。姉ちゃんからのプレゼント。あんたの誕生日だもんね。どう、ビックリした?嬉しいかな?父ちゃん、母ちゃん、姉ちゃんいないけどさ、会いたくなったり寂しくなったら、これ見て姉ちゃん思い出しなね?姉ちゃんはいつでもサトシの味方だから。サトシが今度実家に帰ってくる時を楽しみにしてるよ。姉ちゃんはどんな時でもサトシの傍にいるって思ってね?めげるなよぉ~。頑張れよぉ~。姉ちゃんより。あ、追伸!水着見るのはいいけど、着るなよ?変態になるぞお!姉ちゃんまた引っ叩くぞぉ!!なんてね』
姉ちゃんの手紙見たら涙が出てきてしまった。
今も大切に手紙と水着は置いてある。
寂しい時はそれ見ながら姉ちゃんの励ましを貰っている感じになる。
エッチも何にもないけど、僕のちょっとアブノーマルな話です。
つまらない話でごめんなさい。