瞳が輝いている。
今日の順子はとびっきり綺麗だ。
今日、俺たち2人は小学校以来、十数年の付き合いを経て結婚する。
物心ついて以来、俺の傍らにはずっと順子がいた。
学校生活でもプライベートでも・・・。
そのほとんどが楽しく、忘れ難い思い出だ。
でも一つだけ、2人にとって耐えがたい、心の奥底に刻み込まれた記憶がある。
俺は順子のアップした髪の下に広がる聡明そうな額をじっと見つめた。
念入りにメイクを施したその肌には、ちょうど眉間の上辺りに、まるで観音像のような丸い火傷の跡がある。
この傷については俺も順子も互いに今は口にしない。
しかし、この火傷を負った日の記憶が消えることはない。
そう、この先一生・・・。
忘れもしない高校3年の初夏のある夕暮れ、俺(誠)は、幼馴染の順子と日の落ちかけた校舎の影で他愛もないお喋りに興じていた。
順子とは小学生時代から仲良しで、高校も一緒の高校に行こうと申し合わせていたくらいだ。
当時でも順子ほど穏やかで優しい少女は珍しかったと思うし、真面目で家庭的な彼女を俺はずっと好きだった。
幼馴染特有の甘さや親しみも手伝って、自然な流れで交際は続いていた。
その日も、お喋りの内容はいつもと変わらなかった。
体操部の夏に行われる最後の大会に向けて猛練習していること。
クラス委員をしているために、女子同士の不仲に困っているというささやかな悩み。
俺がお笑い芸人のものまねをして見せたり、友人との馬鹿話を聞かせてやると、隣に腰を下ろした順子はコロコロと楽しそうに笑い転げた。
授業終了後、部活動の始まるまでのわずか30分ほどの休憩時間は俺らの幸福タイムだったのだ。
俺「今度、順子のレオタード姿、写真に撮らせてくれよ」
冗談めかして頼むと、順子は普段は穏やかな瞳をちょっとだけつり上げ、俺をぶつ真似をしたが、すぐにその目をにゅっと柔らかく下げて俺を見つめた。
順子「考えといてあげる」
順子は小柄だが結構成長が早く、バストはDカップだったし、体操部ということもあって太股もかなりムチッとした俺的にはそそられる体つきだった。
当然俺と順子は既に身体の関係があった。
1年前の夏休み、俺の部屋でバージンを捧げてくれて以来、時折愛を確かめ合っていた。
俺たちは身体の相性もかなり良くて、生意気にも順子の性感帯は知り尽くしていたと思うし、順子も“ベッドで果てる”という域まで悦びを感じてくれていた。
週末のデートの約束をしながら、俺は順子の身体を愉しめることに大きな喜びを感じていた。
俺「じゃあ、な」
俺は、また明日という意味で右手を挙げた。
俺は当時、水泳部だった。
練習時間は異なるので、体育館で練習をする順子とは大抵ここで別れることになる。
順子「うん、バイバイ」
順子はそれに応じて、同じように手をひらひらさせてお別れの合図をした。
が、すぐに少し真面目な表情になると立ち去ろうとした俺に駆け寄ってきた。
順子「そうだ。ねえ、誠・・・また喧嘩したんでしょ・・・」
順子はクラス委員の優等生の女の子が問題児を注意するような口調で近づき、少し上目遣いに俺を見つめ鼻先を指差した。
順子「あんまり喧嘩ばっかしてるとマズいよ~。進学とかに響いたらどうするの?」
俺は当時、相当問題児で、喧嘩はよくした。
中学まで空手を習っていたこともあって喧嘩には自信があった。
でも順子はそんなことが周囲に広がるたびに心配してくれた。
順子「定時の人とかの間で噂になってるみたい・・・ほんと、やめてよね。怪我とかしたらたまんないでしょ」
順子が言う『定時の人』というのは、俺らの高校に併設されていた定時制の生徒の事だった。
かなりワルが多く、学校に寄せられる問題はほとんどが定時制の生徒が起こしていた。
順子も体操部の練習が遅くなり、定時の生徒が体育館を使うことになると、いやらしい言葉を投げつけられたり、「じっと見つめられたりしてキモい」という話をよくしていた。
そして順子が言う、喧嘩した相手というのも定時制の生徒だった。
喧嘩というのは適当ではないかも知れない。
俺に言わせれば降りかかる火の粉を払っただけだ。
きっかけは些細なものだった。
数日前、佐藤という塗装工をしている定時の生徒が、うちの教室の生徒の机の中から財布を抜き取る現場を見つけた俺が注意したのに逆切れし暴れたため、俺が打ち負かしただけだ。
自分で言うのも何だが、結構正義感の強い俺は、問題は起こすがどこか周囲から信頼されていたのも事実で、この件で全日制と定時制両方の教師から感謝され褒められた俺はとても気を良くしていた。
鼻血を出しながら悔しげに俺を睨みつけていた佐藤を、どこか優越感に浸った目で見ていたのは事実だ。
順子「本当にやめなよね。定時の人たちって変な人達ともつるんでいるって言うし・・・」
順子は念を押すようにちょっぴり俺を睨んだ。
だけれど俺は、彼氏を心底心配する順子を可愛い奴だと思うだけで、そんな忠告を気にも留めていなかった。
その後、俺たちの身に降りかかる忌まわしい体験など予想だにせず・・・。
部活を終えた俺はロッカーに着替えに戻った。
珍しく練習に熱が入り既に夜の8時過ぎだった。
人気の無いロッカールームに入る。
すると、俺のロッカーに一枚の張り紙がしてあった。
『グラウンドの用具室で待っています。誰にも知らせず一人で来てね。でも、その前に携帯に電話してね。愛してるわ。順子』
藁半紙にサインペンで殴り書きされた文字。
明らかに順子の書いたものでないことはすぐわかった。
何か冷やかすような文面だが、何処か不吉な予感を覚えた。
俺は携帯を手にし、順子に掛けた。
3回、4回・・・呼び出し音が鳴る。
「現在電話に出ることができないか、電波の届かない所に・・・」
お決まりのメッセージが流れるだけだ。
5回ほど掛けただろうか、俺はたまらなく不安になり、グラウンドの隅に設置されている用具室へ急ぐ。
すでに日が完全に落ち、野球部の練習も終わったグラウンドはほぼ真っ暗だったことを記憶している。
そこからわずかに明かりが漏れる用具室の中で、俺と順子は壮絶な屈辱かつ恐怖を味わうことになる・・・。
小さな用具室のドアを開けた俺の目に飛び込んできたのはあまりにも無残な光景だった。
そこには裸にされ、泣きべそをかく順子の姿。
成長著しい乳房は隠す手立てを奪われるかのように、両手首はビニール紐を使って頭上で縛られ、その縄尻は窓に設置された錆びついた格子に結び付けられている。
俺「じ、順子!!」
順子「んッ、んんッ!!」
俺の姿を認めると順子は瞳をぐっと開いて涙を溢れさせると、声ならぬ声を出し俺を見た。
口には粘着テープがべったりと貼り付けられている。
順子は裸身を捩って首を振る。
その両脇には数人の男たち。
いずれも、定時制の生徒で、一人はあの佐藤だ。
佐藤はガムをくちゃくちゃと噛み鳴らしながら冷やかすように言った。
佐藤「ほ~ら、王子様が迎えに来てくれたよ~」
佐藤は順子の顎に手をかけて俺の方を向かせる。
俺「てめえ!!」
俺は目の前の事実に激昂した。
順子が裸にされている。
しかもこんな下らない奴らに、問題を起こすしか能のない定時の連中に、俺の順子が!!
それも、つまらない逆恨みの代償として・・・。
佐藤「こえー顔すんなよ。それより見ろよ、おめえからのラブコールがあんまりしつこいんで、順子チャン、濡れ濡れじゃねえかよ」
佐藤は順子の秘部を顎でしゃくる。
俺は心臓が止まりそうになった。
順子は薄ピンク色のパンティだけは身に着けている。
でもその股間部分が角ばった“何か”がテントを張ったように突き出ている。
愛液で濡れそぼり、パンティから透けて見えるそれが順子の携帯だという事に気がつくまで数秒かかった。
俺は頭を殴られたようなショックを覚えると同時に、怒りに腕が震えた。
俺からの電話が、囚われて屈辱的な仕打ちに耐えていたであろう順子の敏感な部分を徹底的に刺激し、辱めていたとは・・・。
見ると床には順子の部活用のバッグや練習用の破れたショートパンツが散乱している。
恐らく遅くまで最後の大会に備え一生懸命に練習をした後、ロッカーロームでこいつらに拉致された。
そして、若さ溢れる肉体を大胆に晒した薄い練習着を引き裂かれ、裸同然にされた挙句、縛られここに曝された。
さらに、秘部にはバイブレーション設定された携帯を挿入されて、俺からの呼び出しで最もこいつらに見られたくないであろう痴態をしっかりと眺め愉しまれたであろうことを想像するだけで、俺は耐えられなかった。
「こいつかよ、全日の糞野郎は・・・」
佐藤に飛びかかろうとした俺の前に、背の高い、ごつい男が立った。
俺は初めて恐怖を覚えた。
朴という見覚えのある男だった。
地元では相当噂のある男で、『親父は堅気でない』という噂があり、息子本人も飲み屋に入り浸っていたらしいし、中学時代は補導歴もあるという噂の奴だった。
奴も定時制に在籍してはいたが、この頃では学校に姿を見せる事はほとんど無くなっていた。
蛇に睨まれた蛙とでも言えばいいのか・・・。
情けないことに俺は怯んで立ちすくんでしまった。
これで勝負は、そして、俺と順子の運命も決まってしまったと言っていい。
朴はいきなり俺の顔面に拳を叩きこんできた。
前歯が折れる衝撃とともに俺は吹っ飛んでいた。
その後のことは思い出したくもない。
5人の男にたっぷりと可愛がられた。
拳を食らい、脳みそがぐらつくたびに、瞼がみるみるうちに腫れ上がって来るのがわかったし、口の中に生暖かい血が広がり、ボディブローをくらい吐き気もした。
何よりも屈辱的だったのは、大好きな女の前で無様な姿を晒すことだった。
順子は俺が殴られけられるたびに、粘着テープを張られた口の中でくぐもった声をあげた。
俺は暴行の雨嵐が止んだ後、意識こそ失わなかったが、もう抵抗する気力もなくコンクリの床に横たわった。
顔に固い靴底の感触が襲いかかってくる。
佐藤「謝れって言ってんだろうがぁ~!口ほどにもねー、ヘタレ野郎が!全日制の奴はこれだから嫌ぇなんだよ!!」
佐藤の怒声が響く。
しかしの片隅に順子が狂ったように泣きじゃくり、声ならぬ声を上げ、裸身を捩りながら首を振っている。
やがて順子の哀願が利いたのか、俺は凄まじいリンチから解放された。
でも、それはさらなる地獄の始まりでしかなかった。
金髪「この女、喋りたがっているぜ、ガムテ外しましょーよ」
金髪の男が言っている。
佐藤「いいだろ、もうどんだけ叫んでも聞こえやしないし」
佐藤が応じている。
金髪がまるで愉しむように順子の口から勢いよく粘着テープをはがす。
俺は無様に横たわるだけで、順子が何もされずに解放されるのを祈るだけだった。
しかし俺の願いは通じるはずもなく、奴らの報復のターゲットは完全に順子に代わっていた。
順子「お、お願い・・・誠を殴るのをやめて!!」
順子は開口一番、俺の助命嘆願をしてくれる。
男「悪いねぇ~お嬢ちゃん。俺ら、人の悲鳴を聞くのが大好きなんよ。サディストの変態さんなわけ」
佐藤の仲間の一人が必死に涙を流す順子をおちょくる様に、彼女の頬を指でつっつくのが目に入った。
順子の哀願はさらに続く。
順子「ひ、悲鳴だったら私が聞かせてあげる!!きゃあ~~ッ!!いやあぁ~~ッ!!こ、これでいいでしょう!?お願い!!」
順子は一人で悲鳴をあげて裸身を悶えさせた。
大きめの乳房がユサッと揺れるのがわかった。
恐怖のためもあろうが、俺を救うために必死になってくれたのだろう。
だけど、そんな順子の行動は奴らの嗜虐心を掻き立てるだけだった。
佐藤「ごめんねぇ~、順子チャン。俺たち君の悲鳴より、喘ぎ声を聞きたいなぁ~」
順子の顔が恐怖に引き攣った。
ブィーン、ブィーン、ブィーン・・・。
携帯の振動音に交じって卑猥な音が室内に漏れる。
ひちゃ、ひちゃちゃ・・・ねちゃちゃ・・・。
順子「あッ、ああぁぁ・・・、あッ、あッ、あぁ~~ッ・・・」
股間を覆い隠すパンティの秘部に挿し入れられた携帯が震えるたびに、順子は正直すぎるほど敏感に反応してしまう。
順子は苦悶の表情を浮かべ、頭上で縛られた両手首を必死に擦り合わせ、健康的な肉体を捩る。
俺「や、やめろぉ~・・・」
順子がいたぶられているすぐ目の前に、パイプ椅子に後ろ手に縛り付けられた俺は、恋人が凌辱されていく様をまざまざと見せつけられることになってしまった。
奴らは俺から携帯を奪い取り、順子の携帯を鳴らし続ける。
佐藤「ほ~ら、ほら、今度は誠君にはずかし~ぃ姿をたっぷりと見せてやれよ。『順子、感じちゃう』ってかあ」
秘部に挿入された携帯はパンティを押し上げ、テントを張っている。
携帯が鳴らされるたびに当然順子の秘部でバイブレーションが震え、敏感な部分を刺激し続けるのだ。
順子「あ、ああッ、お願い、や、やめてぇ~~・・・」
佐藤はそんな順子の哀願を無視し続け、携帯を操作する。
最初は長めに、そして時折短めに携帯を振動させ続け、いやらしさ丸出しで順子をいたぶる。
望まぬ快楽を与え続けられた順子の股間はパンティがぐっしょりと濡れて、下の唇にねじ込まれたワインレッドの携帯が透けて見える上、太股まで愛液まみれだった。
男「この女、あと何回鳴らせばイクか、賭けねえか?」
奴らのうちの一人がそんな提案をした。
「こんなつまんねぇ方法じゃ、順子チャンも愉しくねえだろ」
「そうだぜ、『全日制の女を好きにできる』っていうから協力してやったんだぜ」
「それにしても、この順子って女、いいカラダしてんなぁ」
口々にあられもない姿で卑猥すぎるいたぶりを受ける順子を眺め、好き勝手な言葉を吐き続けている。
佐藤は順子のパンティをずるりと引き下げる。
順子は肩でハアハア吐息をしながら、この屈辱に耐え忍ぶように視線を落としている。
瞳に涙を溜め、口をきっと結ぶその顔は、幼少期、クラスの悪ガキにいじめられて泣いていた顔と変わらなかった。
だが違うのは、今、俺は順子を守ってやる術を持たないことだけだ。
<続く>