暇だから書く。
俺が高校の時の話だ、彼女の名は『N子』にしとく。
俺とN子は小学校からの知り合いで、何度か同じクラスになったので、友達とは言わないまでも会ったら話す程度の知り合い位の関係だった。
PCMAX

ところが高校に上がってから通学する時、同じバスに乗るようになり、俺もN子も大人しいほうで友達が少なくて、そのバスに他に知り合いが乗ってないこともあって喋る頻度が一気に上がった。
高1の時は別クラスだったのが高2になった時に同じクラスになって、しかも席も近くなり、高校に上がってからの1年半位で一気に距離が縮まった。

高校に上がってもN子は他の派手な女と違って髪とか染めてなくて、胸も大してデカくない。
地味な感じの子だったんだけど、足が綺麗だった。
たまにスカートから覗く白い太ももにいつも目が行ってた。

地味な子でも、それだけ長く知り合いとして付き合ってると、自然と俺はN子のことを異性として意識して見るようになってしまって、いつか告白しようとチャンスを窺ってた。
そのチャンスは修学旅行にやってきた。
旅行中に船で食事をとる機会があったんだけど、乗り物に弱かったらしいN子は酔ってしまい辛そうだった。
俺はN子をデッキに連れて行って風に当たれば楽になるかもと外へと連れ出し、デッキで2人並んでずっとお喋りしていた。
話しているうちに回復したのか、元気になったN子を見て今しかないと決断、告白して見事OKをもらった。
それからは週末の休みにデートしたり、一緒に勉強したり、俺にとって初彼女なのもあって結構幸せな日々を過ごしてた。

転機は高3になった時。
受験だからって理由でN子の親が家庭教師をN子につけた。
そいつがA男。
最初はなんとも思ってなかった。

「家庭教師つけられて遊ぶ時間減っちゃうかもねー」「受験だし仕方ないかー」と、2人して苦笑してた程度だ。

6月を過ぎたあたりからだったと思う。
N子の反応がなんかよそよそしいというか、俺を避けるようになってきたのを感じ始めた。
家庭教師が来ないはずの日に遊びに誘っても断られる。
一緒に帰ろうとしてもさっさと帰ってて、いつの間にか教室には居ない。
電話しても素っ気無い。

そんな日がずっと続いたけど、能天気な俺はN子を全く疑ってなかった。
受験でピリピリしてるんだろう、むしろ俺ももっと緊張感持たなきゃと反省したくらいだ。
今思い出してもバカだと思う。

N子とギクシャクしたまま夏休みに入る。
高校最後の夏休みだ。
受験で忙しいのはわかってるが、やっぱりちょっとくらいN子と遊びたかった俺は、“毎回のように断られるから、いっそいきなり遊びに行ってしまえ”とアホな事を考え、アポ無しで彼女の家に突撃することにした。
手ぶらで行くのもなんなのでコンビニで買い物をした。
N子はハーゲンダッツが好きだったんだ。
よく買って奢ってあげてた。

だけどN子のアパートまで辿り着くと、普段は空いてるN子家の駐車スペースに車が停まっている。
N子の父親の車ではない。
この車を見た時、初めてすごい不安感に襲われた。

彼女の部屋はアパートの通路に面している昼間なのでカーテンは開いていて、レースカーテンの隙間から部屋の中を覗くことができたので、俺はN子の家のインターフォンを鳴らさず、そっと窓から部屋の中を覗き込んだ。

N子が見知らぬ男に肩を抱かれてもたれかかっていた。

“ウソだろ?”という信じたくない気持ちと、“やっぱりか・・・”って諦めの気持ちとで頭が混乱して、怒りとかより体から力が抜けて、その場にへたり込みそうになった俺は、何もできずに眺めていた。

N子は髪を撫でられるだけで嬉しそうに笑い、キスをねだるように顔を近づけて、何度も男とキスを交わしていた。
会話はぼそぼそと聞こえるだけで内容は全く把握できないし、角度の関係で男の顔は見えなかった。

そうしているうちにN子は男の足元にしゃがみこんで、ベッドに腰掛けたままの男の股間を弄って、男のちんぽを取り出した。
男のモノは俺よりデカかったけど、デカさよりも勃起の角度に驚いた。
下腹にくっつきそうなくらいビンビン、俺のは立っても地面と水平にすらならないくらいフニャッとしてるから、すごい敗北感があった。

N子はそのちんぽにキスしたり手でしごいたり、必死で尽くしてた。
N子にしゃぶらせながら上から頭を撫でてる男の偉そうな態度は、ぶん殴りたくなるほど殺意がわいた。

しばらくそうしていた後、N子は男の上に跨って、外から覗いてる俺にも聞こえるくらい大きな声で「好き、好き」と、甘えた声と表情で男に媚びて、必死で腰を振り始めた。
そこまで見ててもう耐え切れず、N子の喘ぎ声を聞きたくなくて、走ってアパートから逃げ出した。

それから一切連絡はしなかった。
N子からも連絡はなく、2学期が始まる直前になって、N子から大事な話があるからと呼び出された。
指定されたファミレスに行くと、N子の隣に男が座ってた。
アパートでは顔ははっきり見れなかったが、背格好とか雰囲気から間違いないと思った。

「A男です」

自己紹介され、ここで初めて顔を見た。
悔しいけど俺よりイケメンだ。

席に着くなり、「しばらく連絡しなくてごめん。好きな人ができた」と頭を下げるN子。

隣で勝ち誇ったような顔で優しくN子の肩を抱くA男。
反吐が出そうだった。

「今さら何を言ってる。浮気してたのはわかってんだ」

そう怒鳴りつけると、A男が「わかってるなら身を引け。もうN子の彼氏は俺だから」と馬鹿にしたように鼻で笑い、「こそこそ探ってたの、最低」と逆ギレをかますN子。

もともと口下手な俺はうまく言い返すことが出来ず、とにかく、バカだのボケだの怒鳴りまくって2人を置いてファミレスから出て行くしか出来なかった。
他人が見たら間違いなく俺のほうがDQNだ。

それからは勉強一筋に頑張るつもりだったが、N子という大きなモチベーションを失い、特に夢もなかった俺は受験勉強に身が入らず、Fランの底辺の大学に進学。
N子とは冷戦状態のような互いに全く干渉し合わないままで卒業を迎えた。
周囲の女子生徒から聞いた話では、「家庭教師をしてくれてた年上彼氏のA男と同じ大学に行くためN子は必死で勉強、見事合格した」そうだ。

卒業式で印象的だったのは、N子の「じゃあ、ばいばい」と普通の友達に言うように掛けられた別れの言葉。
冷戦とか勝手に思ってたのは俺だけで、彼女にとっては俺は既に無意味な存在で過去の人で、とにかくどうでもいい存在なんだと、その時はっきり思い知らされた。

大学では彼女もできず、サークルも入らず、ゼミでできた数人の友達と適当に遊んで過ごしているうちに4年になり、就職活動がうまくいかなくて、内定が無いまま卒業。
実家暮らしだが、さすがにニートはまずいとバイトをしながら就職活動するフリをし、たまに昔の友達と遊んで適当に過ごしていたら、N子とA男が結婚するという話が友達から流れてきた。

真偽を確かめたいが、今さら連絡する気にもなれず、俺はフリーターのままダラダラ過ごしてる。

終わり。