しばらくして「うおぉ~」という歓声と拍手が沸いたので、見ると、昔この辺りでは超ワルで大男の団長が、少し酔った母を抱きかかえ、駐車場の方へ歩いて行く所だった。
皆の方を振り返った団長は、くしゃくしゃの満面笑顔だった。
青年団の奴らは、「ヤッタ~、牡馬団長!」「酔って中出しするな!」など、口々に叫び、口笛を鳴らしていた。
僕は猛然とダッシュして行く車を呆然と見ていた。
夜7時頃、母は「遅くなってゴメン」と、買い物袋を提げて帰ってきた。
僕が団長の車で出て行った事を言うと、母は一瞬、言葉が詰まった後、「そうよ、酔い覚ましに車で風切って走ってもらっっていたの」と答えた。
それ以上、追求できなかったけど、僕の耳には今でも青年団の奴らの声が耳に残っている。