彼女は一人暮らしで、合鍵も貰ってたまに勝手にあがってダラダラしたりしていた時期にその事件は起きた。
彼女の誕生日にプレゼントをあげようと思ったが、ちょうどその日は仕事が忙しくて会えないということで、誕生日の前日に彼女の部屋へ行き、彼女の帰宅を待った(オレは夜の仕事で、彼女は夕方帰宅するので)。
ただ待っていては面白くないので靴を隠し、タンスに隠れて驚かそうと考えた。
まさか前日にそんなことするとは思っていないだろうし、効果ありそうだと思ったからだ。
そして夕方、彼女が帰ってきた。
暗いタンスの中でどれくらいいただろう?
慎重な性格のオレは30分以上待っていたと思う。
タンスはちょうどベッドの前にあり、彼女がこっちへ来たら飛び出そうと考えていた。
しかし聞き耳を立てていると、なぜか話し声がする。
携帯で誰かと話しているのかと思ったが、どうももう1人誰かいると感じた。
ボソボソと話していて何だか判らなかったが。
足音を聞いても明らかに1人じゃない。
どうも声の感じからして男のようだ。
ここで初めて浮気の疑念が湧いた。
彼女の性格上、それはないと高を括っていた。
笑い声と話し声、どれくらい続いただろう。
おそらく10分くらいした頃、ベッドの方へ2人が近づいてくるのを感じた。
衣服の擦れる音とボソボソと喋る声しか聞き取れず、そのうち何かを吸い合うような音が聞こえてくる。
ここまで来ると頭の中にもそういう映像が思い浮かぶ。
(まさか・・・)
そんな思いも、もはや霞んでいく。
ちょっとした音も聞き逃さないくらいに耳に神経が集中する。
どれくらい時間が経ったかわからないが、そのうち喘ぎ声が微かに聞こえてくる。
聞きなれた声。
音だけの時間は非常に長く感じた。
実際には10分やそこらかもしれない。
喘ぎ声が高まっていったところで、今まで聞き取れなかったはずの言葉が聞こえた。
彼女「入れて」
それを聞いた瞬間、オレは射精してしまった。
何もしていない、触ってすらいないのにだ。
下着が湿っていく感覚と冷ややかになる頭。
その後は喘ぎ声と肉のぶつかりあう音。
どれくらいだろう?おそらくこれも10分やそこら。
さして長くないはず。
この時、オレの頭は『ゴムはつけたのか?』『中出しはしないだろ?』という二次的なものに変わっていた。
不思議なもので、そう言うところにすがろうとしていたのかもしれない。
男の「イクぞ」という言葉と、彼女の「イッて!」という言葉の後、静かになった。
荒い息遣いは聞こえる。
その後、5分くらいボソボソと喋った後、2人はシャワーを浴びに行った。
オレは脱力していたが、何よりも、『どこへ出したか?』という部分が知りたくて、ゆっくりタンスを開けて出て行くと、およそいつもの彼女の部屋からは感じたことの無い、キツい匂いがした。
自分でしてる時は気付かないだけで、セックスするとこれほどの匂いがするものだと冷静に分析していた。
すぐさまゴミ箱を漁る。
ティッシュがいくつも出てきて、それを一枚一枚ほぐす。
我ながら怪しい行為だと思える。
焦っていながらも冷静に調べた。
結果、ゴムは出てこなかった。
中に出したのか、それとも外に出したかまではわからない。
しかし生でしたのは事実のようだ。
それを確認するとオレは、再びタンスへ戻った。
この後、シャワーから出てきた二人はしばらくして出掛けていき、その後オレはゆっくりと彼女の家を後にした。
次の日の彼女の誕生日に別れました。
彼女は理由が判らなかったらしく大泣きしましたが、何の説明もせず、「とにかく別れよう」で終わらせました。
寝取られって興奮はするけど、実際にやられたらやっぱ凹む方が大きかった。