高校3年の春先のことだ。

当時付き合っていた彼女とケンカをすることが多くなり、日に日にメールも減っていった。
僕と彼女は同じ吹奏楽部に所属していて、楽器は違ったが部屋の関係でいつも一緒に練習していた。
練習中の、僕と彼女の間だけに流れる重たい空気を察してか、彼女と同じ楽器の芹菜(せーちゃん)が、気を使って僕にメールを送ってきたのがすべての始まりだった。

ある日、練習を終えた後。
入学式は終わったが、道端に雪の残る寒い夜。

『最近◯◯(僕の彼女)と仲悪いよね?どうしたの?』

せーちゃんからの突然のメール。
普段メールをすることもない相手からの思わぬメールに、少しだけ緊張する。

『最近上手くいかなくて、今もケンカ中。大事な時期に迷惑かけてごめんね』

夏には大会もあるので、正直今の空気は練習に差し支える。
ましてこの時期は、新入部員の書き入れ時でもある。

『そっかー・・・。あの子もすごいピリピリしてるから、やっぱそうだったんだ』

せーちゃんは、他の部員も心配しているとか、やりにくいと文句を言う人もいることを教えてくれた。
僕は、部員に迷惑をかけていた申し訳なさと、せーちゃんにメールまでさせた申し訳なさで沈んでいた。

『そっか・・・ごめんね。なるべく空気悪くならないようにするから』

彼女にも悪かったので、これでメールを終わりにしようと思っていたが、せーちゃんは終わらす気配がなかった。
その後、『応援してる』とか『ゆぅ君(僕)も大変だね』とかのメールを送ってきて、僕も楽しくなってきたのでメールを続けていた。
そのうちに、せーちゃんの方から『彼氏と別れて1年経つ』だとか、『◯◯が羨ましい』だとか、勘違いを誘うような事を言ってきた。
次の日が休みだったせいもありお酒を飲んでいた僕は、調子に乗ってその言葉に乗ってしまった。

『ゆぅ君、◯◯とはずっと逢ってないんでしょ?私、観たい映画あるんだよねー』

どんなに際どいことを言われても、どういうわけだか性欲だけは沸かなかった。
ただ純粋に誰かと遊びたかったので、映画の約束を取り付けた。
その後、すぐに彼女は寝た。

翌日、昼前に目覚め、携帯電話を開くとメールが2通。

1通目は彼女からで、業務連絡のような内容だった。
もう1通は、せーちゃんからで、映画の時間などを知らせるメールだった。
向こうが酔った勢いで言った訳ではなかったことに軽く焦りを覚え、でもまぁいっか、と深く考えずに待ち合わせ時間を決め、2人で映画を観た。
ちなみにそのとき観たのは『エミリーローズ』だった。

その後も、たまに2人でご飯を食べたり、買い物に行ったりしていた。
しかし、お互い接触することは決して無く、あくまで遊んでいただけだった。

その後、彼女が知ることになり、「浮気だ」と言って頬を思い切り殴られた。

その後すぐに、家庭の事情によりアルバイトの時間を増やさなければいけなくなったので、僕は休部することになった。
アルバイトの休みの日だけでも行こうかとも思ったが、彼女と顔を合わせたくなかったこともあり休部させてもらった。

休部して1週間ほどして、珍しくアルバイトが休みの日が2日続いた。
部活の方も休みが続き、久しぶりにせーちゃんと会うことができた。

僕の家に呼び、せーちゃんが観たいと言っていた映画『平成版妖怪大戦争』を観ることにした。
両親は不在だったが、何を期待するわけでもなかったので緊張もせずに招き入れた。
映画が始まると、僕の好みには合わなかったようで、一応消さずにいたが頭には入っていなかった。
せーちゃんも同じ事を考えていたのか、お互いに苦笑いをしていた。

物語が中盤を過ぎた辺りで、せーちゃんの頭が僕の肩に乗った。
寝たのかな、と思って横を見ると目が泳ぎ、頬が少し赤くなっていた気がした。
その時に初めて変な気持ち(劣情?)が湧き上がり、そっと肩を抱いた。

ただそれだけ。
未経験でも無いのに、心臓が跳ね上がった。
思ったよりも小さな肩とか、香水じゃない甘い匂いとかに、頭がクラクラした。
せーちゃんが、意を決したように手を握ってきた。
これはもう駄目だと思って、キスをした。

舌を入れる余裕も無い、軽いけど何度もキスをした。
映画はクライマックスで、内容なんて頭に入っていないから気にもならなかった。
唇を離してはもう一度重ね、また離して重ねて。
脳が溶けてるんじゃないかってくらい気持ちよかった。

スタッフロールが流れる頃には、お互いは舌を貪りあった。

意外だったのは、先に舌を差し込んできたのがせーちゃんからだったこと。
理性もモラルも吹き飛んで、僕は手を伸ばした。
その先には、部活内で最大と噂される胸があった。
数時間後にDカップだと教えてくれたのだが、恐らくもっと大きいだろう。

初接触の感想は、“柔らかい”“手に収まらない”だった。

思い起こすと単純すぎる事を考えていたと思うが、それだけ余裕が無かったのだろう。

せーちゃんはまぶたをきつく閉じて、舌の動きもやや緩慢になっていた。
僕は位置を変え、背後に座り直し、包み込むように抱き締めた。
止まらなくなっていた思考は、素肌に触れたいという欲求を抑えることも無く、欲望のままに柔肌を求めた。
せーちゃんは抵抗せずに、唇を離さないように一生懸命という感じだった。

背中に手を滑らせ、ホックを外す。
これで、ブラに隙間ができて、捲り上げても痛くないはずだ。
ゆっくりと手を戻し、肋骨付近から掌を押し上げ、突起に触れる。
硬く尖り、指先で小さく転がすと良い声を奏でた。

どれくらいの時が経ったのか、テレビの画面はスタートメニューになり、同じ画面になっていた。
部屋は暗くなり、DVDプレイヤーになっているPS2の作動音と、せーちゃんの息遣いだけになった。

その日はそれで終わりとなり、別れ際にキスをして、せーちゃんを見送った。