ある日、会社の仕事がキャンセルになった俺は、そのまま有給休暇の手続きを取ると自宅に向かった。
バイクでプチツーリングでも行こうと思ったのだ。

自宅に着くと、玄関に見慣れない靴が。
2階からは物音がする。
(強盗か、不倫か・・・)

俺は、デジカメとバールを持ち出し、デジカメの電源を入れた。
階段を上ると、寝室から妻・真帆の嬌声がドア越しに聞こえる。

「あん、あん、いやんっ、いいわっ、そこ」

ドアを開けると、妻が全裸でベッドの上に座っていた。
座っていたというより、男の上に跨がり、腰を振っていた。
気持ち良さそうな表情をして。

相手は・・・幼稚園のPTA会長、間尾だった。
俺は、呆然としている二人に向けてデジカメのシャッターを切ると「お前ら何やってんだ」と一喝。
さらに、何枚かシャッターを切っている間に、二人は離れた。

「あんた会長だろ、何やってんだ」

俺はバールを突きつけて怒鳴った。

「すいません」

「早く服を着ろ、二人とも」

二人はベッドから降りると、それぞれの服のある場所に行き、服を着だした。
二人とも脱いだ服がまとめられていたので、レイプではない。

「間尾さん、証拠はカメラに収めた。あんたの奥さんを今から呼ぶか??」
「それだけは勘弁してください」

俺は考えた。
ここで、奥さんを呼ぶと、PTAを巻き込んだ大騒ぎになってしまい、子供の教育上よろしくない。
そこで・・・。

「いいか、あんたの携帯電話と免許証を預かるから、今晩9時にここに来るように。来ないと返さないぞ。今は一旦帰ってください」と言って追い返した。

寝室には真帆と俺が残された。
間尾の車の音が遠ざかると、真帆は泣き崩れた。

「あなた、ごめんなさい。ちょっとした出来心なんです。何でも言うこと聞きますから、別れるのだけは・・・」
「ふうっ。何でこうなったか、話してみろよ」

PTA役員の歓迎会の席で、真帆はたまたま隣に座った間尾会長に目を付けられ、一緒に酒を飲んだ。
その席で言い寄られたそうだ。
居酒屋で歓迎会をした夜、確かに真帆は深夜0時近くにべろんべろんに酔って帰って来ている。
その時は、女性の委員同士でカフェバーにて二次会をしたという説明だった。

真帆は、「夜景でも見ない?」と誘われて車に乗り込み、途中で行き先がホテルになったとのこと。

「どうして間尾なんかに」
「あなたも結婚してから弓美さんとしたから、許されると思って・・」

「あのときはお前の見ている前で、お前公認で3Pしたんじゃないか」

ホテルに着くと、後悔の念が沸いたが、酒に酔っているため、間尾の愛撫に感じてしまい、いつの間にか服を脱がされていた。
そして、胸を舐められ、クリを擦られ、濡れたところに挿れられた。

「でもね、ゴムは付けてくれたわ。会長も酔っていたのにも関わらず」

真帆も酔っていたため逝きはしなかったが、(プロジェクトの立ち上げで忙しかった)俺とご無沙汰だったことや、久々の他の男の感触で、おおいに感じたと言う。
間尾がゴムの中で放出したあと、真帆はうとうとしたが、間尾に起こされ、(間尾の入れ知恵で)石けんなしのシャワーを浴び、自宅に送ってもらった。

真帆としてはこれで終わりにして口を拭っているつもりだったが、昨日の役員会のあと、間尾会長から「もう一度したい」と迫られた。
真帆は一旦断ったが、間尾の携帯画面を見せられて受けざるを得なかった。
ベッドに横たわる全裸の真帆の画像があったから。
それだけではなく、違う男に対する好奇心も少しはあった。
そして、今日、俺が出勤したのと入れ替わりに間尾を自宅に引き入れたというわけだ。

俺は、真帆に次の点を確認した。

「1回目で間違いを犯したと認識しているのなら、2回目を迫られたときにどうして俺に相談しなかったのか」
「黙っていればバレないと思ったから。それに好奇心があったし・・」

「居酒屋の次にホテルに向かったというが、奴は飲まなかったのか」
「間尾会長も飲んでいたわ」

(飲酒運転か・・おいおい)

俺は、真帆の携帯を取り上げると、「とにかく、即離婚ということはないが、気持ちの整理が付いたらそれなりのことはあると思ってくれ」と言い捨て、泣きじゃくる真帆を尻目に書斎に篭った。

俺は、ある人物のところに電話をかけた。
相手は、俺の大学時代の先輩で、間尾の勤めている会社の上司でもある“せいたかさん”(大学時代の本人公認のあだ名・本当に背が高い)である。

事情を簡単に説明すると、夕方自宅に来てくれるという。
俺は、パソコンに向かうと、真帆と間尾の携帯からデータをコピーし、某所に出掛けた。

夕方、せいたか夫妻がやってきて、私と真帆から個別に話を聞いた。
(子供は真帆の実家に預けた。)

個別の話が終わったところで、四人での話へ。
俺も真帆公認ではあるが、結婚後に他の女と交わった過去もあるので、真帆の今回のことが単なる好奇心で、気持ちが俺にあるのなら、家族の崩壊は避けたい。
真帆も、不倫を軽く考えて間尾を引き入れたが、事の重大さに気がついた。
家族の崩壊はやはり避けたい。

せいたかさん夫妻を通じて基本的な部分を確認した私たち。
今後の再発防止に重きを置いた対策と、ペナルティに話の焦点が移った。

俺は、ポケットから1台の携帯電話を取り出した。
高齢者向けの通話専用機種。

「これは??」
「当分の間、コレを使いな。今までの端末はしばらく預かるから」

真帆の携帯のデータフォルダには、間尾との情交の場面とか、間尾の性器の画像が大量に残されていた。
いずれも間尾からメールで送られてきたもの。
更に、メールでいやらしい会話をしていた跡も。
真帆は「会長のエッチトークに付き合っただけ」と主張する。
性器の画像も単に溜め込んでいただけだと。
(確かに、画像の背景は1種類だけだったので、浮気はホテルと自宅、計2回だったことを証明することになった)

でも、他の男とエッチメールをすることで再発の危険があるので、子回線契約していた今までの携帯を解約し、通話専用の携帯を用意したのだ。

「あと、PTAの役員も辞退して」
「えっ」

「まあ、その話は奴が来てからするけど。それから、今度の週末のドライブは中止ね。とても行く気にならないよ」
「はい」

・・・せいたかさん夫妻の心温まる執り成しで、異例の短時間で話がまとまり、家庭崩壊だけは免れた。

夜9時5分前、PTA会長の間尾が訪れた。
出迎えた(間尾の上司である)せいたかさんの姿に驚いたようだが、とりあえず居間のフローリングの上に正座させる。

せいたかさん夫妻主導で話が進んでいく。
真帆とはあくまでも成り行きだったこと、不倫行為をしたのは2回であることや、大まかないきさつの事実確認が行われる。
一部、間尾が言葉をはぐらかす場面もあったが、彼と真帆の携帯の記録を見せると沈黙した。

「免許と携帯を返すよ。真帆に関するデータは全部消したけど」
「はい」

誘いに乗って、自宅に引き入れた真帆にも責任の一端があるので、慰謝料の額は1回目の分だけとして、彼の月収ぐらいの金額。

あと、せいたかさんから・・・。

「立場を利用してこういうことをした以上、PTA会長は辞退するんだな」

「・・・」

俺も真帆に言った。

「お前も文集新聞委員長は辞退しろよ」

「はい」

せいたかさんは、間尾の奥さんを呼ぶべきだと主張したが、まず間尾が難色を示した。

「ざけんじゃねぇ、ケン君(俺)がどれだけ傷ついてるのか、わかってんのか」

せいたかさんは間尾に殴り掛かろうとしたが、真帆も「ママ仲間でやりにくくなるから」と反対。
俺とせいたか夫人も「奥さんを傷つけるから」と反対。
せいたかさんは呑んでくれた。

ところで、示談の結果は随分間尾に対して甘い内容に思えるが、せいたかさんの企みは別にあった・・・。

表向き、間尾は「仕事が忙しくなったから」、真帆は「体調不良」を理由に役員を辞退することになったが、理事長先生と副会長だけには事実を伝え、理解を求めた。

一方、せいたかさんは、(間尾の勤務先の会社の)重役にこの話(間尾のやったこと)を伝えた。
重役から注意をしてもらうとともに、勤務評定に反映させてもらおうとしたのだ。

ところが話は社長に飛び火。
社長は、PTA会長の立場を利用した不貞行為と、飲酒運転をしたことに激怒した。
間尾は県外の支店に即刻左遷を言い渡され、単身赴任することになった。

「仕事の都合で会長職はできなくなった」という理由が現実のものになったのである。

PTA臨時総会は紛糾した。
副会長は数年前に会長をやっているという理由で会長昇格を拒否。
文集新聞委員も、代わりの委員長の補充を要求。
しかし、4月も終わりになろうというこの時期に役員を引き受ける者はいない。
休憩の際、俺は、理事長先生に別室に呼ばれ、説得された。

「あんたも辛いだろうが、再発防止のためにも、あんたにやってもらいたい」

俺は、間尾の跡を継いでPTA会長を引き受けることになった・・・。
その流れで、文集新聞委員長も、間尾の奥さん、直子さんが引き受けることになった。

一方、家庭内にはわだかまりが残っていた。
やはり、俺が真帆を抱く気にならないというのが大きい。
あのあと、真帆と間尾が使用していたベッドのマットレスを買い替え、ベッドを離して配置するように模様替した。
真帆は悲しみの表情を浮かべながら見守っているだけだった。

夜になると、ゴムやローションの入った缶を枕元に置いているのも横目で見ながら、睡眠導入剤を服用してさっさと寝てしまう。
真帆が目の前で着替え始めると、部屋を立ち去る。
真帆を愛しているからこそ、憎さもひとしお。

転機は5月の終わり頃。
俺が出張に行ったとき初恋の女と交わったときのこと。
自分も不倫してしまったし、それを引き金に真帆のことを再認識した俺は、出張から帰ると獣のように真帆の中に逸物を抜き差しし、果てた。

それからは普通に抱けるようになった(ベッドもくっつけた)。