「立ったままじゃなく、座りなさいよ」

息子の方に顔を向けて言い、ソファを示しました。
その前のテーブルにはアイスコーヒーが入った2つのグラスが並んでいます。
私の前に座った2人はすぐに飲み物に手を伸ばしました。
改めて女の子に目をやって気付いたのは、間違いなく年上のようです。
整った顔付きで、短めの髪が活発そうに見せています。

「初めましてが、こんな風になってしまってすみません」

突然、その女の子が話し始めました。
彼女は大学1年生で、息子の中学校の卒業生。
中学在学中は女子バスケット部で、高校に入ってからは高校のバスケ部にいながらコーチの代理で中学生の後輩を教えていた。
息子と付き合い始めたのはこの夏から・・・などといった話を聞かされました。
つまり息子の4歳上。
よく見ると、クリッとした目の可愛い顔をしています。

「お母さんにこんなこと言うのは変ですけど、最後まではしてません」

正面を切ってきっぱりと言われると、『やましいことはしていません』と言われているみたいで、私の考えって古いのかなとも思ってしまいます。
とりあえず、親として今日のような関係は望まない、今後付き合いを続けていく場合は節度を持ってと伝え、帰ってもらいました。
息子は彼女を送ると言って出ていき、1人残され、テーブルの上の飲み残したグラスを見ていたら、なんだか息子を取られたような気がしてきて、再度息子を抱き締めて取り返したい衝動に駆られました。
しかし、それを戒めるように自分の情けなさも感じていました。

『今日のような関係は望まない』と言いながら、自分は息子と関係を持ってしまったのです。

勝手で矛盾した話です。

そんな思いでいる中、息子は帰ってきました。
気まずいのか、真っ直ぐ自分の部屋に入ったままです。
夕飯の準備を始めましたが、あまりに音がしないので覗きに行くと、部屋は十分に暗くなっているのに明かりも点けずに、ベッドを背に床に座り込んでいました。
別にきつく叱ったわけでもないのに何をしょげているのか、ぼんやりと見えるその姿が無性に可愛く思えてきます。
そこで何か話をしようと思い、息子の隣に座りました。

「今、身長は何センチ?」

「177」

「クラスでも高い方でしょ?」

「上から5番。バレー部、剣道部、バスケ部、野球部、そして僕」

「そうなんだ。今日の彼女も結構高いんじゃない?」

「女で170だもん、でかいよ」

「思ったより高いのね。2人並んでたらそんなに高く見えなかった」

「大学でも大きい方だってさ」

「中学生で大学生が彼女だなんて、マセてるわよ」

「彼女じゃないよ。アイツ、男だったら誰でもいいんだ」

こんな風な会話だった気がしますが、最後の言葉が中学生の息子の口から出たとは思えなくて、暗がりに慣れた目で息子の顔を覗き込みましたが、その表情は読みきれません。
すると覗き込んだ私の方を向きながら、「僕が一番好きなのはママだけ」と、これまでも何度か耳にした言葉。

「そんなこと、もう言わないの」

そう答えながら、大学生の彼女より自分が選ばれたという、母親らしくない感情を覚えてしまいました。
その気持ちを見透かされたのでしょうか、息子の顔が目の前に近づくと、あっという間にキスをされてしまったのです。
そのキスが息子を3ヶ月前に呼び戻してしまいました。
唇が離れた時、すでに息子の両腕で抱きすくめられていました。

「いけないと言われたけど、やっぱりママがいい。他の女の人じゃ嫌だ」

この時の『他の女の人じゃ嫌だ』という息子の言葉が、記憶の底に心地よく刻まれました。
その言葉のせいでしょうか、それからのことは態度ではっきりと拒否したかどうかはあやふやで、むしろ抱きすくめられたまま息子を抱き返してしまったのかもしれません。
真っ暗な部屋の硬いフローリングの上で、またもや抱き合って舌を絡めるキスをしてしまいました。

突然、「さっきはいきなりズボンとパンツを下ろされて口でやられた」と、唇を離した息子が話し始めました。
意味がわからないといった表情を見せると、息子は「フェラチオ」と早口で言い、続けて「ママには僕がやってあげた」と。
暗がりでなければ、赤くなった顔を見られたことでしょう。

「僕はママとしかキスはしない、そう決めてる」

そう言う息子を私はしっかり抱き締めていました。
フローリングの上で抱き合ったまま私は着ている服をすべて、といってもTシャツ、デニム、ブラにパンティ、それらをすっかり脱がされていました。
私を全裸にしてすぐ息子もすべての服を脱ぎ去り、私の身体に抱きつこうとします。
その時、先ほどの会話が私の意識に残っていて、無意識にある行動に走ってしまいました。
私は覆い被さろうとする息子を遮り、いきり立っているペニスを両手で掴むと口に含んだのです。
夫のモノを口に含んだのは、いつかも思い出せないほど昔のことでしたので、初めはぎこちなかったかもしれません。
それでもすぐに私の口や舌はすぐに反応し始めました。
表情はわからないものの、突然だったので息子は驚いたに違いありません。
そのうちに息子の吐く息が深くなり、私の頭や髪の毛を触っていた手の動きが激しくなってきました。
突然、ペニスが喉奥深く突くかのように腰が動いた後、口の中に生温かい液体が飛び出てきました。
そして私の頭上で息子の「ウッ」という声と一緒に、何度か口の中のペニスが小刻みに動き、その動きが止むのを待ってペニスを手と口から離しました。
感覚的にですが、かなりの量が口の中に出された気がします。

暗い部屋に息子を残し、洗面所で口をゆすいでいると、すぐに息子が入ってくる音がしました。
顔を上げると、目の前の鏡には裸の2人が映っています。
息子は背後から私の腰に腕をまわし、背中に頬を乗せました。
口をゆすぎ終わって再び顔をあげると、それを待っていたかのように背中から顔を離し、腰に回していた右手を私の中心部に伸ばし、探し出すようにひだの中をなぞってクリトリスに辿り着くと、その指先をゆっくりと撫で回し始めるのです。
少しの間があって、私が感じてきたのがわかるのか、今しがた射精したばかりなのにすでに大きくなったペニスが私の内股に分け入って来ました。
そしてついに息子は私の腰を持ち上げ、ペニスを挿入しようと試み始めました。
その動きを邪魔するように腰を動かすのですが、私の身体は私の意思とは裏腹に、受け入れる準備には十分なのです。

結果的には、ただ単に焦らしただけでした。
ついに2人とも一言も言葉を発しないまま、息子のペニスは私の中にが入ってきました。
そこで漏らした私の声が合図となり、私の声と息子の荒い息遣いだけが狭い洗面所で響き始めたのです。
この時も私はイッてしまい、その時身体に触れた洗面台のひんやりした感触が火照った身体に気持ちよかったのを妙にはっきりと覚えています。
しかし、また身体の中に出されてしまいました・・・。

この日を境にして徐々にですが息子とのぎくしゃくした関係は和らぎましたが、それと反比例するように身体への接触が過激になってきて、それまでなかった息子の行動、例えば胸を触ってくる、スカートの中に手を入れてくる、その入れた手がさらに下着の中にまで入ってくる、あるいはペニスをこれ見よがしに隠しもせず私の反応を楽しむかのように室内を歩き回る、といったことが頻繁に行なわれるようになったのです。
いくら鈍い私でも、母と子という関係が危うくなってきたのを感じ取りました。
それまではあまり身に着けなかったガーターやボディスーツを、家にいるときにも着るようになったのです。

そんな日々のある日、生理が遅れていることに気付きました。
初めは“遅れている気がする”程度だったのですが、10月に改めて計算してみると、見事に生理が止まっているのです。
考えられるのは、夏休みの終わり間際にした洗面所でのセックスです。
関係を持った時はすべて身体の中に出されて、避妊について何も施していないので、妊娠していてもおかしくはありません。
すぐに妊娠検査薬を購入しました。
ところが結果が怖くて、その判定薬を使うのを躊躇ってしまうのです。
息子に相談、いえ、話すこともできず、精神的にかなり参ってしまいました。

そんな状態で無為に10月も過ぎてしまいそうになり、ついに日曜日に決断し、判定薬を使ったのです。
その結果は、『妊娠していない』でした。
皮肉なもので、その翌日、不順だった生理が始まりました。
妊娠していないことがわかり、本当にホッとしました。
いつも生理中は憂鬱になるのに、その時だけは妙に浮かれた気分でした。
ただ2~3日経って不意に(避妊しなきゃ)と思って塞ぎ込んだり、また何日か経つと(正しいのはセックスをしないことなんだ)と思い立ち、毅然とした態度で息子と接しようと虚勢を張ったり、何でこんなことになってしまったのかと思い病んだり、情緒不安定の期間がしばらく続いた気がします。
そんな状態の中で、あの30日をありありと思い出させるような、忘れられない、しかし忘れ去りたい出来事が再び起きてしまいました。

11月も末になった土曜日の午後、本を買いに寄った書店のショーウィンドー越しに見えたのは、なんと息子と例の女子大生が仲睦まじく歩いている姿でした。
受け取った本を落としそうになるほどの驚きです。
あの夏の日以来、息子の口から彼女のことは一言も出なかったのですから。
私が帰宅しても、やはり息子は帰っていませんでした。
ただでさえ部活動も一段落して、近づく年末の喧騒に浮かれそうな週末です。
案の定、日が暮れてから届いたメールは、『夕飯はいらない』。
家に帰って来た時は9時を過ぎていました。
帰ってくるまで、女子大生と歩いていたことを言おうか言うまいか考えていたのに、息子の姿を見た途端、口を突いたのは・・・。

「今日一緒に歩いていたでしょ。まだ付き合っていたの!」

それまで色々と、どういった言葉で切り出そうかと考えていた時間が無駄になってしまいました。

その時の私の言い方は詰問口調になっていたようです。
乱暴な口調で「付き合ってなんかいねぇよ」という反抗的な返事が息子からありました。
しかし、嫌々ながらも渋る様子もさほどなく、これまでの経緯を話しだしました。

「来年の試合を頑張って」という呼び出しを受けて、夕ご飯をご馳走になったのが今日。
そこでまた「まだ先輩後輩の立場でいよう」と言われたこと。
あの日以降会ったのは2、3回くらいで、ハンバーガーを奢ってもらう程度の付き合い、ということでした。
息子の言うことすべてを信用したわけじゃないのですが、どこか安心したのは事実です。
以前にも感じたことがある、母親らしくない感情が湧き出ていました。

すると、その心の動きを見透かされたのでしょうか、「ママ以外の女の人を好きになんかならないよ」と大人びたことを言った後に、「ねぇ、もしかして嫉妬した?」と笑ったような目で続けるのです。

「バカなことを言ってるんじゃないの」くらいのことを言ってもよかったのでしょうが、見透かされたことが動揺に繋がって、顔を背けるくらいしかできませんでした。
その私の反応で増長したのか、「嫉妬したんでしょ?」とうるさいくらいまとわりつきます。

「何度も言うけど、ママだけが好きなんだ」

そう言うと今度はソファに座った私の前に座り込み、私の膝の上に組んだ手を乗せ、さらにその上に顔を乗せて笑ったような上目遣いで私を見るのです。
なぜかその目を見返すことができなくて、目を逸らしている私に息子は言葉を続けます。

「人には言えないけど、初めての人がママなんだもん。ママが大好きだって、ママもわかってるはず。ホントは毎日でもママとセックスしたい」

話の内容についてはおぼろげです。
言っている内容が徐々に過激になっていく息子の声を聞いているうちに、だんだん頭がぼーっとしてしまう錯覚に陥りました。
そして、ついにその頭に衝撃が走る言葉が出たのです。

「ずっと我慢してるけど、僕がその気になったら、ママが嫌がってもやれる、絶対に」

言っている意味がわかってくると、『絶対に』の言葉が重くのしかかります。
膝の上の息子の目は、もう笑ってはいません。
体格や腕力では、すでに息子に敵うわけがないのは確かな事実です。
初めて息子に恐怖を感じました。

<続く>