私の家の近所には同学年のU君が住んでいました。
お互いの家で他愛もない遊びをする同学年の仲良し友達。
2人とも兄弟はいませんでした。

小2の頃。
いつものような駄菓子とテレビゲームのカセットを持って遊びに来るU君。
私の部屋に入るなりテレビゲームへ一直線。
ゲームクリアのためでしょうか、目を見開き、もの凄い意気込みです。

「よっしゃー!やっとクリアできたぜー!」

何日もかけてゲームクリアを達成したU君は自信に満ち溢れた表情をしていました。
ふと時計を見るとお昼の時間。
母親が呼ぶ声に元気に応え、茶の間へ向かいました。
その日のメニューは炒飯。

「みっちゃんのおばさんは料理が上手いね~!」

U君はそう言いながら、あっという間に1人前をペロリ。
私も負けまいと急いで炒飯を掻き込み、1人前を平らげました。

「おかわりー」

2人声を揃え、2杯目に突入。
競い合うようにお互い完食しました。
食事の競争が落ち着くと、終えたばかりのゲームの自慢話が始まりました。

「凄いねぇ!おばさんはゲームとか分からないなあ」

「じゃあ今度教えてあげるよ!」と得意気なU君。

嬉しそうなその表情はとても無邪気でした。
昼食が済み部屋に戻ると、もう遊ぶゲームがないことに気付きます。

「ゲームはクリアしたし、何しよっか?」

「んーどうしよう。あ!あれやろう」

そう言うとU君はベッドへ飛び込みました。

「ベッドが壊れちゃうよお!」

「いいからいいから!トランポリンみたいで楽しいじゃん!」

「お母さんに怒られるからやめようよ」

少し困った顔でお願いすると、U君は大の字に寝転びながら、「じゃあ違うのやろ」とムスッとした顔つきで言いました。

「何すんのー?」

ちょっと拗ねながら聞くとU君は、「あれ知ってる?おとことおんな」と言い、私の顔を見ました。

「うちのお父さんとお母さんもやってるよ」

まだ低学年で純粋無垢と言ってもいい程に無知な私は、「じゃあそれやってみよっか?」と話に乗ってみました。

「一緒に布団入るんだよ」

U君が言いました。
私は既に布団に入っているU君の隣に潜り込みました。
顔をぴょこっと出すと、U君の顔がすぐ近くにあります。
途端に緊張してきました。
俯いて目を閉じた私にU君は・・・。

「お尻とか、こういう所を触るんだよ」

そう言うと私の胸を触りました。

「こういうのって大人の人がやることだよね?いいの?」

「いいの。2人だけの秘密だよ?」

「うん」

私が頷くと、今度はスカートの中に手が入ってきました。
そしてパンツの中へ。

「どう?恥ずかしいね・・・?エッチだね・・・」

U君が言います。

「恥ずかしいけど・・・心臓の奥がきゅーっとするよ。いいのかなあ?」

「いいんだよ。前も触ってみよっか?」

そう言うとU君の手はゆっくり太ももを撫でながら前へ移動してきました。

「前は嫌だよ」

恥ずかしさのあまり背を向けて寝返りをすると、U君は後ろからぎゅっと抱き締めてきました。

「物凄くドキドキしてる。もうやめよっか。こっち向いて?」

私はU君の方へ向き直しました。
そして私のおでこに自分のおでこを当てて、「またしようね」と囁きました。
私はU君の腕に無言で抱きつき、眠りに就きました。

日が経つにつれて異性を意識し始めるようになるとお互い会うことはなくなり、話すらしないようになりました。

数年後、高校生になった私は学校生活を楽しく過ごしていました。
ある日の朝、全体朝礼が終わり教室へ戻る途中で友人が、「5組の前を通って帰ろうよ!」と言いました。

「何~、かっこいい人でもいるの?」

仕方なく友人に付き合い、5組の教室を覗いてみました。

「あ、見て!後ろから2番目の席の人!」

驚きました。
ふとそこに目をやると、男らしく成長したU君の姿がありました。

(何あいつ、格好良くなってんの!)

本当に驚きました。
私と同じだった身長も遥かに伸び、色気付いています。
ブレザーの中にジャージを着込むという、我校では洒落っ気がある着こなしも完璧です。

「ね!かっこいいっしょ?タイプど真ん中でしょ」

「そうかもねぇ、でも違うな」

友人には言えませんでした。
かつて仲良し同士のご近所付き合いがあった友達だっただなんて。
ましてや一緒の布団で寝たことがあっただなんて。

「あ、今こっち見た見た?目が合ったかもー!」

(U君・・・いっぱい話したいことあるよ。いっぱい聞きたいこともあるよ)

「もうチャイム鳴っちゃうから帰るよー」

教室に戻る間もはしゃぐ友人。
それを見た私はなるべく冷静を装おうと思いました。

放課後、駐輪場に向かうと肩をポンと叩かれました。

「お前、2組だったんだな」

U君でした。
なぜこんなに緊張するんだろう?
どうしてこんなに胸が痛いんだろう?

「さっき覗きに来てたね。変わらないな~、みつは」

「呼び捨て?昔は『みっちゃん』って呼んでたのに?」

U君に呼び捨てにされるなんて・・・。
緊張が止まりませんでした。

「覚えてたんだ。アレ、またしよう。じゃーね」

そう言い、私のお尻を叩いて去りました。

「なんで叩・・・あ、ねー!引っ越してないよね?番号聞いていい?」

一気にあの頃の想い出が蘇りました。
懐かしい気持ちが後押ししてくれたのか、積極的になれました。

「学校が同じだったなんて知らなかったよ」

「そう?俺は知ってた」

そうU君は言うと私の携帯を取って番号を登録し始めました。

「ねぇ・・・スカート長い!なんか地味目だね。暇な時にメールしてね。じゃ!」

確かに地味です。
ショックでした。
U君に笑われた。
意地を張って、その場でスカートを2回折り返して帰宅しました。

帰宅後、自分の姿を鏡に映してみました。
地味な女子です。
私はU君の変わり様にショックを隠せませんでした。

(彼女でも出来たのかな?)

そう思うと、余計に落ち込みました。

(こうしちゃいられない。少しでも可愛くなろう!)

私は薄塗りの化粧をして登校しようと決意しました。

<続く>