仰向けに向き直った僕の、さっきとは反対側に、また唇が押し付けられて、きつく吸い付いてきた。
脱ぎかけたブレザーをまた丁寧に着直した鶴田さんは、首筋から顔を離すと、僕の顔を見据えて言った。
切れ長の目に窓から入った光がらんらんと反射している。

「じゃあ、なんでもないのね。あたしだけなんだね?」

正直、ちょっと異様な雰囲気はあった。
透けそうなくらい白い肌で、目鼻が浮き立っていて、何かすばらしい彫刻を見ているみたいだった。
僕は迷うことなく頷いてしまった。

「じゃあ、あたしのものになってね?」

強張っていた鶴田さんの表情は一気に解けて、あの桜みたいな色味が再び頬紅みたいにつつましく差してきた。
そして唇が、今度は僕の口の上に落ちてきた。
ここで理性は吹っ飛んだ。
1回セックスしただけだから、まだ僕はほぼ童貞だ。
早く突っ込んで出してすっきりしちゃいたい。
その瞬間の正直な本音だ。
僕は轟然と体を起こし、荒々しく襲いかかり、彼女を組み敷いた。
・・・つもりだった。

ぱしん!ぱしんぱしん!

乾いた音が何発も聞こえ、起こしたはずの上体はびくともしておらず、みぞおちの上辺りに座った鶴田さんが僕の体を引っ叩きまくってる。
めちゃくちゃ叩くので、すごく痛い。
何か言葉のようなものを口走っているが、何を言ってるのかわからない。
僕がどうしたかというと、とりあえず謝った。

「な、ちょっとやめて、ごめん、僕が悪かった」

しばらくはそれでも鶴田さんは収まらなかったし、なぜか涙をこぼしてもいた。
そこまで至ってやっと僕は、ちょっと彼女が不安定なのだということを悟った。
でも当時の僕は純粋だった。
好きな女の子を地雷扱いするような発想はなかった。
何せ好きだったから。
壊れ物に触るように、頬を優しく撫で続けた。
泣き止んだ彼女は、こう言った。

「あたし、セックスは好きだけど、されるのは怖いの」

僕が「どういうこと?」と聞こうとすると遮って・・・。

「聞かないで!セックス終わったら話すから、あたしの好きにさせて」

また暴れだしそうだったので、僕は黙った。
されるがままに身を任せる分には、鶴田さんは平静を取り戻してくれた。
僕のジーンズを下ろすと、彼女はお尻をこちらへ向けて丁寧なフェラチオをしてくれた。
近くで見ると鶴田さんのお尻はボリュームがあって少し紅潮していた。

フェラチオしてもらうのは初めてだったから記憶が飛びそうになるくらいくすぐったくて、気持ち良かった。
鶴田さんの口の中は妙に熱を帯びていて、舌と唇がランダムにゆっくりと動く。
懸命に息継ぎをしながら愛撫してくれているのがわかって、僕のチンポは自分でもわからないくらいに膨らんだ。
シックスナインの体勢だから、僕も舐めたい。
篠原先輩のときはフェラもクンニもなしだった。
女性のアソコの味がどんなものか知りたかった。

「鶴田さん」

「何?」

「僕も舐めたいんだけど・・・」

「・・・だめ」

鶴田さんはにべもなかった。

何か訳ありみたいだよな・・・。
無理強いはしちゃいけないよな・・・。

そう思っても、目の前にあるものにどうしても触りたい。
フェラチオの律動に併せて、制服のプリーツスカートの中身がふるふると震えてる。

「触ってもだめ?」

「だめ。ごめんね、我慢して」

「じゃあ見るのは?」

このときの僕の声は、飼い犬が人恋しいときに出すような声だった。
我ながらキモいと思ったけど、しょうがなかった。
触覚がだめなら視覚的刺激だけでも・・・!
これはきわめて重大な問題だったのだ。
鶴田さんは、そんな僕を哀れんでくれた。
少し体を起こし、スカートをたくし上げてくれた。

「これでいい?」

淡い緑色のスキャンティ(ショーツのさらに短いやつ)からはお尻の割れ目が見えていて、さらにクロッチの部分には縦に染みが入っていた。

(脱ぐよりエロい、というのはこういうことか!)

僕は感動した。
彼女は丹念に丹念に僕のモノをしゃぶってくれた。
飽きもせずに長々と。
股間のほうでちゃぷちゃぷ卑猥な水音が聞こえ、目の前のスキャンティには濃い色の染みがだんだん広がっていく。
チンポは温かくうねる、鶴田さんの口の中。
これが天国か。
なんて思っているうち、僕は大胆にも寝てしまった。

次に気がついた時には、ブラウスをいい感じに肌蹴た鶴田さんが僕の上に乗っかってガンガンに腰を振っているところだった。
目を瞑り、いつもより高い声で、唸るように喘いでいる鶴田さん。
額には汗の粒がある。
僕の体には異常な疲労感があった。
横を向いてみて合点がいった。
使用済みのゴムが、ティッシュの上に放り出してある。
もう1回、すでに抜かれてしまったらしい。
頭が急速に冴えてきた。
起きると同時に賢者タイムに入るなんて、なかなかできない経験だ。

ギシギシと派手な音を立てるピンク色のシングルベッド。
サイドテーブルの上では、ペンギンとクマのぬいぐるみが僕らのセックスをじっと見ている。
時計の針は見えないけど、まだ陽は高いところにあるようだった。
・・・待てよ。

「鶴田さん、鶴田さん。鶴田さん」

2回呼んだらようやく気付いてくれた。

「はあ、はあ、なあに?」

前髪とサイドが汗で顔に貼り付いている。
それを掻き上げるしぐさが妙に色っぽくて、彼女の中でチンポがむくむくと膨らんだ。
こんなときに何考えてんだ、って僕の分身なんだけど。
彼女もその変化に気付いたらしく、少し眉根をひそめて、「んっ・・・」と短い息を漏らした。
僕の胸板は寝ている間にキスマークだらけにされていた。

「ねえ、家の人、下にいるんじゃないの?」

僕は、今さら潜めても詮無い声を潜めて訪ねた。
同時に、帰宅するときに投げられるかもしれない冷たい視線を考えて、ちょっと萎縮した。
チンポもちょっと萎えた。
でも鶴田さんは平然としていた。

「いるよ。どうして・・・んん・・・」

「どうして?」と言い終わる前から、もう腰を打ちつけ始めてしまう。
不覚にもチンポはまた膨らむ。
摩擦が強くなって気持ちいい。
なんかすごくヌルヌルしててあったかい。
体温とかも関係あるのかな?
鶴田さんの体は雪みたいに白いのに、ずっと熱を帯びていた。

ぎっしぎっしぎっしぎっし。

ベッドが一定のリズムで音を立てながら、鶴田さんの声は小さい音階を刻みながら切なげに上昇し、細くかすれ、途切れ途切れになっていく。

「太もも、触ってもいい?」

「ん、ん、うん、いい、ん、ん!」

おずおずと太ももに手を添えた。
太ももはどうやら平気らしい。
2人で草むしりをしていたとき、膝同士が触れそうなくらいに近くにあったものだから、今初めて触ったというのに違和感さえあった。

僕は1回イッていたので、気持ち良かったけど射精感は起きてこない。
そのうち鶴田さんがイッた。
控えめに体を震わせて僕の方に倒れこんできた。
背中に手をまわして抱き締めると、彼女は息も絶え絶えになりながら僕の頭を抱き返してくれた。
少し休んだあと、鶴田さんが顔を上げた。

「小林君、あたしが上だと気持ち良くない?」

「いや、気持ちいいんだけど、なんか1回出しちゃったみたいだし」

「どうしたらイケる?教えて?」

「僕が上になってもいいかな?」

「ごめん、それはだめ。後ろは?」

「え?いいの!」

正常位はNGだと言われたが、願ってもない提案だ。
一度僕はバックをやってみたかった。

「あ、パンツ脱がなくていいから・・・。うん、そうそう、太ももに引っ掛けておいて」

「変なの・・・」

鶴田さんは僕のおかしな要求を呆れながらも快く呑んでくれた。
プリーツのスカートをたくし上げ、汗の引ききっていない白いお尻を抱えただけで、僕の心臓はバクバク言い出した。
鶴田さんの背筋が少ししなって、うなじには襟足がかかっている。
僕はもどかしく入り口を探して、チンポの先をグリグリと押し付けまくった。
そのときようやく気付いたんだけど、ゴムが付いてなかった。
さっき騎乗位だったときもナマだったみたいだ。

「あの、ゴム・・・」

「いらない、あぅ、ん・・・っ」

彼女は声を漏らしながらも脚の曲げ方を調整して、入りやすいように助けてくれた。
亀頭が引っ掛かる感覚を覚えた僕は、ほとんど発作的に腰を前に進めて鶴田さんの中へ押し入った。

「うあああんっ・・・!」

カリの擦れる感じがはっきりとわかって、僕はあっという間にイキそうになってしまった。

「ごめん、もう出ちゃいそうなんだけど」

「ん、んっ、いいよ・・・出ちゃっていいよ・・・」

「どこに出せばいい?」

鶴田さんは鴨居の辺りを、例のあの視線でちらと見た。
そこにはもう一着、制服がかかっていた。

「洗い替えあるから、んん、どこでもかけて、あ!んん・・・」

私服が見られなくて残念とか思ってたけど、鶴田さんはこういう演出を用意してくれていたのだった。
ブレザーもブラウスもリボンもつけたままの鶴田さんは、四つん這いになってお尻だけを剥き出しにして、男のペニスを受け入れている。
僕は、いかにも彼女らしい、プリーツの折り目のくっきりついたスカートを鷲掴みにして、そこへ精液をぶちまけた。

その日は最後に、念願だった、好きな女の子とのピロートークをすることができた。
といっても、さっぱり楽しめる内容ではなかった。

「小林君、ごめんね」

「なんで謝るの?」

「試すようなマネしちゃった。小林君ちが遠いこと、あたし知ってたんだ」

「試す?」

「そう。ほんとにあたしのこと好きなのかな、って。夜中の3時にメール送ったのもわざとだよ。慌てて起きてメールに気付いて、それでも来てくれるかなって」

鶴田さんが顔を赤くして恥ずかしそうに目を伏せると、彼女のあそこもきゅっと締まる。

「それにね、あたしって変なんだよ」

うん。
何も言わずに僕は聞くことにした。

「お父さんとか、親戚のお兄ちゃんとかにいたずらされたことがあったのね。『仲良くするにはこうするんだよ』とか言って。嫌だったんだけど気持ち良かったの。だから、セックスは好きだけど、怖いの」

「うん、うん」と僕は頷いていたが、あまりに衝撃的で、それを顔に出さないようにするので精一杯だった。

「でね、お父さんは死んじゃって、お兄ちゃんは外国に行って帰って来ないの。あの人たちは嘘ついてたんだよ。あたしを好きだとか仲良くしたいとか言ってたのに。だから、本当にあたしのことを好きでいてくれる人を探してたの。盗み聞きみたいになっちゃったけど、小林君がああ言ってくれてるのを聞いて、あたし訳わかんないくらい舞い上がっちゃって。旅行から帰ってすぐ篠崎先輩の家に行って小林君のアドレス聞いて、3時まで夜更かししてメールを送ったの。そのあとも寝ないで小林君のこと、窓のところで待ってたんだよ」

少し虚ろな目をして語る内容は、脈絡があるようで全然ないように思えた。
ちょっと異様だったけど、でもやっぱり鶴田さんは彫刻みたいにきれいだった。

「仲良くなりたいなと思ったから、最初からこうするつもりだった。迷惑だったらごめんなさい」

「そんなことないよ」

「じゃあ、あたしで気持ち良くなれた?」

「うん。良かったです」

なんでへりくだったのかは自分でもわからないけど、率直な感想だった。
鶴田さんもそれを聞いて落ち着いたみたいだった。

「それでね、あたしって変な子だから、普通のエッチはできないし、途中で訳わかんなくなっちゃうこととか、たぶんあるんだ。今日みたいに。でも、そういう時だけだから。普段はいい彼女でいられると思う」

「あ、じゃあ、僕と付き合ってくれるの?」

「うん。変な子だけど、なるべく小林君の希望を聞くようにするから。よろしくね」

「あ、じゃあ早速なんだけど・・・、おっぱい見せてもらってもいいかな?」

「え?う、うっ、う・・・」

乳首が桜色なのかどうか確認したかったんだけど軽率だった。
鶴田さんのトラウマか何かに触れてしまったらしくて、その後は帰る時間までずっと彼女を慰めた。

結局、高校時代は鶴田さんの乳首を見ることは叶わなかった。