彼がサイズ違いの水着のハンガーを持って来てくれました。

「ありがとうございます」

手を伸ばして受け取りながら、一瞬ちらっと相手に水着姿を見られます。
またカーテンを閉めて・・・。

(ドキドキ)

すでに私の緊張はマックスになっていました。

(やばい、膝が震えてる・・・)

受け取った水着はそのまま床に置きます。
穿いていたビキニのパンツを脱ぎました。
録画動作中のスマホを取り出して、バッグの横ポケットに差し込みます。
角度を計算しながら向きを調整しました。
カーテンのすぐ内側のところで、床に直接ぺたんと座りこみます。
背中を壁にもたれました。
紙ショーツの後ろをずり下ろして、いわゆる半ケツ状態にします。

(あんなにしゃべった相手なのに。ずっと顔を突き合わせてたのに)

この店員さんの前でなんて、あまりにも背徳的な気持ちでした。
そして、そんな自分に内心の興奮を抑えることができません。

(たぶん、これが・・・本当の最後・・・)

ワンチャンスと決めていました。

ばん!

左足で正面の壁を蹴ります。
同時に、どん!と、後ろの壁に自分の背中をぶつけました。
派手に音を立てておきながら・・・そのまま沈黙して見せます。
右足を横に伸ばしました。
カーテンの下から、だらんと足首を外にはみ出させます。

(ドキドキ)

「お客様!?」

ものの数秒で、店員くんが駆け寄ってくる気配がありました。
カーテンの下から飛び出させた足首を引っ込めます。
そして、なおも無言でいる私・・・。

「どうされました?大丈夫ですか?」

演技しながら罪悪感に胸が痛みます。

(ごめんなさい、ごめんなさい。仮病なの・・・貧血のふりなの)

「う・・・う」

それとなく苦しそうな声を洩らしてみせました。

「お客様?開けさせていただいてよろしいですか?」

困惑が伝わってくる問いかけに・・・。

「あ・・・あ・・・は、い・・・」

あえて拒否をせず、相手がカーテンを開けてしまうように促します。

「失礼します」

真横にあるカーテンが半分ほど開かれて・・・。
彼の目に映ったのは、試着室の中でへたりこんでいる私・・・。
店員くんが、瞬間的に固まってしまっていました。

「すみ・・・ま、せん。また、貧血・・・が・・・」

ゆらゆらと手を差し出してみせると、慌てた感じで・・・。

「大丈夫ですか?」

膝をつくようにして寄り添ってきてくれます。

「はあ、はあ、はあ・・・」

彼の腕をぎゅっと掴んで・・・。

「ごめん、なさい・・・すぐ、治る・・・から・・・」

じっとしたまま、辛そうに唇を噛みしめる私・・・。
大きすぎるビキニのトップが切なく胸から浮いていました。
その内側は完全にすかすかです。

「はあ、はあ、はあ・・・」

店員くんは、すぐに気づいたようでした。
ちょっと覗き込むだけで、目の前には、この女の貧弱なおっぱい・・・。

(ああん)

その小ささが仇となって、可哀想に乳首まで見えてしまっています。

(あああ、見てる)

私に腕を掴ませてくれたまま・・・。

「無理しないでください、大丈夫ですから」

優しく声を掛けてくれている店員くん・・・。

(恥ずかしいよう、見ないでえ)

ものすごく興奮しました。
さりげなく首を伸ばすようにして私の胸元を覗きこんでいるのがわかります。
これほどの美人が、下半身には、ちゃちな紙ショーツひとつ・・・。

(だめ、だめえ)

私は“可哀想な女”になりきりました。
涙を浮かべて・・・。

「はあ・・・はあ・・・」

辛そうに口で息をしています。
彼の腕を離して両手を床につきました。
苦しげな顔のまま上体をゆらゆらさせて見せます。
床にへたりこんだまま、我ながら迫真の演技でした。

このまま横たわってしまいたい・・・。
でも、そんなことできない・・・。

いかにもそんな感じで、必死に辛さに耐えているふりをします。
そして・・・。

「ご、め・・・。ごめんな・・・さい」

少しでも楽な姿勢ができるようにと・・・奥の方へ這おうとするみたいに体をよじらせました。
でも、ほとんど動けずに、そのまま小さく体を丸めてしまう“この女”・・・。

「はあ、はあ、はあ・・・」

憐れにも紙ショーツが腰からずり下がっています。

(あああん)

興奮の頂点でした。
真後ろには男性の店員くん・・・。

(いやん、いやん)

床にうずくまったまま・・・。

「はあ・・・はあ・・・」

私は生身のお尻をぺろんと出してしまっています。

(恥ずかしい・・・)

見えてしまっているはずでした。
お尻の真ん中のその下に・・・。
この女のデリケートな割れ目の部分が。

「はああ・・・はああ・・・」

羞恥心に胸を掻き毟られます。
朦朧としたふりを装って・・・。

「うぅぅ」

そのまま自分のあそこを見させていました。
アンモラルな快感に脳がとろけていく私・・・。

(恥ずかしいよう)

後ろからは・・・。

「大丈夫ですか?」

ちゃんと彼の声が耳に届いてきています。
誰にも気づかれることなく・・・背後から、いくらでも見放題の店員くん・・・。

(お尻の穴が・・・恥ずかしいよ・・・)

肛門も丸見え状態のまま、1分ぐらい・・・。
身動きもせずに・・・。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

そうやって朦朧としたふりを続けました。

(あああ・・・だめえ・・・)

自尊心を掻き毟られながら・・・。

(ドキドキドキドキ)

この屈辱のひとときに非日常の興奮を味わいます。

(だめえ、耐えられない。もうイヤぁ・・・)

ゆるゆると上半身を起こしました。
店員くんがさっと立って、離れているのがわかります。

(ドキドキ)

泣くのをこらえるのに必死でした。

「少し・・・。落ち着いて・・・きました・・・」

涙目の顔を向けて、本当に申し訳なさそうに謝って見せます。

「ごめん・・・なさい・・・」

(こんなに、こんなにキレイな顔をした女だよ)

「いえいえ。良かった、大丈夫ですか?」

(見てたくせに)

すっとぼけている彼に、健気にも素直に頷いて見せる“この女”・・・。

(イヤあん、もうだめ)

カーテンを閉めて服を着ました。
恥ずかしすぎて・・・。

(あああ・・・あああ・・・)

本当に、今にも気が狂ってしまいそうです。

荷物をまとめました。
試着室から出てパンプスを履きます。

「大丈夫そうですか?」

心配そうに声を掛けてくれる店員くんに水着を返しました。

「ごめんなさい。今日はやめておきます」

まともに相手の顔を見ることができません。

「本当にごめんなさい。ちょっと疲れが溜まってるのかな」

それでも勇気を振り絞って、会話を交わして見せる私・・・。
儚げに微笑みを浮かべた“いい人”のまま、お店を後にしました。

(ドキドキ)

限界です。
抑えていた感情が溢れ返ってきました。
エスカレーターですれ違いになるおじさんが・・・涙をぼろぼろと流している私に気づいて驚いた顔をしています。
駐車場に戻って、自分の車に乗りこみました。
そのまま運転席で泣き崩れます。

(恥ずかしいよ)

強烈な刺激と羞恥心と・・・猛烈な屈辱感と・・・。
思いっきり泣くことで、いつまでも興奮の余韻を噛みしめていました。

(良かった・・・無事で)

ようやく気持ちが落ち着いてきます。
バッグからスマホを取り出しました。
ムービーを再生してみます。
そこに映っている、あの店員くんの“本当の顔”・・・。

(いやんいやん、変態。やめて、やめて・・・)

背筋をゾクゾクさせながら、小さな画面に見入ってしまう私でした。