私は人気のないところで大胆な露出をすることが好きです。
でも過去に何度か目撃されそうになったこともあります。
今回はそのときの思い出をお話しします。

あれは2年ぐらい前のことでした。
“裸で自動販売機のジュースを買う”というゲームをしようと思いました。
このゲームはいつもと違って比較的人目につきやすい場所でのゲームなので絶対に無理だと思っていたのですが、最適な場所を見つけたのです。
その場所はいつもの森の近くを通る、比較的緑の多い道路の脇にありました。
道路は夜中になるとほとんど車が通ることもありません。
それは私がその場所にしばらく佇んで確認しました。
10分くらいなら全然車が通らないのです。
道路の所々には民家や社屋がありますが、どこも電気が消えていて、しんと静まり返っています。

その自動販売機は民家が設置したものなのでしょう。
自動販売機から30メートルくらい離れたところに水路があり、水路を渡る橋は畑に通じているようでした。
水路を流れる湧き水は水量が少なく、橋の下はちょっとした隠れ場所に最適でした。

私は自転車を橋から少し離れた場所に停めて、橋の下に身を隠しました。
橋の下には乾いたコンクリートの床があり、その中央をきれいな水がちょろちょろと流れていました。
橋の端部の草むらではコオロギが微かに鳴いていました。

私は耳を澄まして人の気配がないことを確認すると、いつものように着衣を脱ぎました。
脱いだ服は畳んでコンクリートの床に置いておきました。
私が橋の下から出ようとしたとき、ちょうど道路を車が走り去って行きました。
私がここに到着してから最初に通り過ぎた車です。

自動販売機まで30メートル。
最初の10メートルは暗く、もし車が道路を通過しても裸の私に気がつかないでしょう。
でも残りの20メートルは外灯の下を通って車道を横切らなくてはなりません。
通りの出口で私は立ち止まり躊躇しました。

(怖い・・・)

でも恐怖で体が震えれば震えるほど気持ちよくなっていくのです。
深呼吸をして気持ちを落ち着けると変な勇気が湧いてきて、何でも出来るような・・・そんな気持ちになりました。

私は思い切って歩道に歩み出ました。
外灯が私の裸を浮かび上がらせました。
さっきまでの恐怖が消えて、いたずらっぽい大胆さが出てきました。

私は車の通らない道路の真ん中辺りで立ち止まって左右を確認しました。
車が近づいてくる気配はまるでありません。
私はそのまま反対側の歩道に設置してあるコカコーラの自動販売機の前まで歩いていきました。
近づくにつれて自動販売機が発する明かりが私の体の出っ張った部分を照らし出しました。
小銭を握る手が薄っすらと汗ばんでいました。

自動販売機まであと少しのところで私は立ち止まってしまいました。
これ以上の明かりに自分の裸が照らし出されるのが怖かったのです。
そのときです。
道路の遠くの方で明かりが煌めきました。
それが車のヘッドライトだと気づいた私は軽いパニックになりました。
車のヘッドライトはどんどん近づいてきます。
今引き返したらきっと見つかってしまう。
私は慌てて隠れる場所を探しました。
でも、そんな場所はありません。
ライトは私のいる歩道にもう少しで差し掛かります。

(ガードレールの下に隠れようっ!)

歩道は車道から丸見えです。
でも立っているよりしゃがんでいたほうが気がつきにくいと思いました。
私は慌てて近づいて来る車にお尻を向けてしゃがみました。
ライトが私のお尻と背中をぱーっと照らすのがわかりました。

(・・・)

車が少し減速したような気がしました・・・。
私は恐る恐る顔を上げて見ました。
車は明らかに減速していました。
ガードレールに隠れて運転席は見えませんでしたが、異常なほどゆっくりと動いています。
車窓越しにこちらを見ているのは間違いありません。
私は祈るような気持ちで息を殺してじっとしていました。

(怖い・・・どうしよう・・・)

私はブルブルと震えていました。
頭のてっぺんからつま先にキーンと冷たい鉄の棒が入っているみたいに緊張していました。
そのとき車は加速し走り去っていきました。
私はほっと安心すると、その場にへたり込んでしまいました。
体にぷつぷつと浮き出た冷や汗が自動販売機の明かりに煌めいてビーズのようでした。

私はガードレールの縁に掴まってやっと立ち上がることが出来ました。
膝がガクガクと笑っていてスムーズに歩くことが出来ません。
今回のゲームはあと少しというところで中止しました。
これ以上続けることは出来なかったのです。

私はガードレールの影にもう一度しゃがみ込むと、首だけ出して左右を確認しました。
さっきの車がUターンして来る様子もありません。
私はさっと車道に裸身を躍らせるとスタート地点の橋まで小走りに帰りました。
橋の下で服を着るときも震えは収まらず、上手く着ることが出来ません。
パンツの縁はくるくるとお尻の上で丸まり、ブラウスのボタンは一段ずれてはめてしまいました。
それでも一刻も早く、この場所を立ち去りたかったのです。

ようやく自分の部屋に着くと、落ち着くためにミルクを温めて飲みました。
そして温かいカップを握り締めて考えました。

(運転手さんは私を見つけたのかな?でも、なんで行っちゃったんだろう・・・?)って。