今から半年ほど前の話。
その日の夜、仕事が終わる頃、俺は気合十分だった。

(よし、今日はデリヘル呼ぶぞ!)と。

昼から携帯で風俗サイト巡回しながら、今日はどこに突撃しようかと鼻息を荒くしていた。
俺はチキンなので店舗型には行ったことがない。
2ヶ月に一度くらいのペースで、夜ひっそりとデリヘルを呼ぶのである。

とりあえずスペック。
俺:29歳、地方都市在住のリーマン社畜。
完全な真面目系クズで、デリヘルを利用していることなど誰にも話したことがない。

そしてその日は、一度も利用したことのない店に電話してみることにした。
俺は面倒くさがりで、昼飯が外食のときなどは日替わり定食とかスタンダードなメニューしか頼まない。
それと同じく、大抵はいつも同じところを使うんだが、その日は何となく好奇心が湧いていた。
店のHPを見る限りでは平均年齢が若そうだ。
俺は年齢用件はゆるいので、20歳以下から35歳くらいまでなら容姿次第では全然問題なしである。

早速電話してみた。
快活な感じのオッサンが電話口に出た。
今すぐ行ける嬢は1人だけらしい。
HPの内容を記憶していた俺は、その嬢がJDであり、写真を見る限りでは悪くなさそうであることを思い出しながら最寄りのホテルを指定し、今から向かうと伝えた。
移動しながら口コミサイトをチェックしてみると、2、3の書き込みがあった。
ルックスは微妙だがサービスは良いらしい。

(いけるやん!)と俺は思った。

そしてホテルに到着し、部屋番号を伝え、到着を待った。
しばらくして、ドアを開ける音がした。

嬢「こんばんは~お待たせしました~」

俺「・・・こ、こんばんは~」(ニッコリ)

嬢「◯◯です、よろしくね」(ニッコリ)

俺「・・・」

挨拶するまで間を要した。
外見は強烈だった。
まず顔が、頭が、デカい。
そして清々しいまでの不細工である。
メイクはかなり濃い。
白ギャル。
髪は明るめの茶色の巻き髪。
顎がだいぶしゃくれている。
形容は難しいが、しゃくれたシーボーズといったところだろう。
ちなみにそのときの俺は、(パネマジ◯ね)とか(チェンジ一択)なんて思考はなかった。
そもそもこれまでチェンジレベルの嬢に当たったことはなかったし、チキンだから言う勇気もなかっただろう。
そもそも他が出払ってて代わりが来るのにも時間がかかりそうだ。
混乱している俺だが、嬢が口を開く。

「お時間は?」

「90分で」

即答した。
実は店に電話したとき、先に時間の予定を聞かれていた。
そのとき、「90分にすると思います」と答えていたのだ。
俺には社畜根性が染み付いている。
クズはクズだが、先方との約束はある程度は不確定要素があっても守らなきゃならん思考に陥ってしまっているのである。
嬢が携帯を取り出し店に電話している隣で俺は、(まあ、何とか過ごせるかな)とか思いながら、必死で嬢の顔がマシに見える角度などを探していたが、とてもそんなレベルではなさそうである。
心から憂鬱になってきた。

さて、おしゃべりタイムである。
ここで俺は初めての体験をすることになる。
俺は今回でデリヘルの利用は恐らく20回強くらいだろうか。
この嬢は2人掛けのソファの俺の隣に座り、いきなり密着して手を握ったり腿を触ったりしてきたのだ。
俺の経験では、初めはエロモードもなく楽しくおしゃべりをすることしかなかったので、少々面食らった。
おまけに紛うことなきブスである。
近くで見ても、やはりドブスだ。
前述の顔の描写が乏しかったのは、言葉で形容し難いブスだったからである。

嬢「今日はお仕事帰りですか?」(棒)

俺「ですね」

嬢「お疲れ様です」(棒)

俺「・・・」

嬢「えっと、私、◯◯って言うんですけど、何て呼んだらいいですか?」(棒)

俺「・・・Mでいいですよ」

嬢「Mさん、かっこいいから、私緊張しちゃう」(棒)

俺「・・・」

なんだコイツ。
AV嬢のセリフの方がまだマシに聞こえるほど、棒読み状態。
ちなみに俺は適当な名前を答えたのだが、結局名前を呼んだのは、この1回だけだった。

蛇足だが俺は嬢に対しては年上年下関係なく常に敬語である。
精神的な距離感があったほうが興奮するからというのがその理由だ。

つまらない会話は続いていく。
その間、頬にキスされたり耳元で棒読みの言葉を囁かれたりとスキンシップも続いた。
首筋をなぞられたときなどは、(ああ、龍はあごの下の逆鱗に触れられるとこの上なく怒るというが、こういうことか)などとつまらないことを考えたりした。
それにしても一向にイライラが募るばかりである。

(90分も我慢できるのか?)

俺はしばしば目を閉じつつ、「北川景子ちゃん、北川景子ちゃん・・・」と心の中で唱えたりした。

しかし、女性とは大変だ。
容姿が劣るだけで大変なハンデを背負わなければならない。
そう考えると、この嬢が少し哀れに思えてきた。
そう考え始めたとき、嬢はあまりに俺の反応が素っ気ないことにさすがに気づいたのか、「シャワーにしましょうか?」と言ってきた。

「そうですね」と答え、2人は服を脱ぎ始める。

なんとも淡々としたものである。
きっと俺のせいだろう。
嬢の下着姿を見ると、ややぽっちゃり、といったところだ。
HPの写真だと、だいぶスリムだったのだが、そんなのは当たり前である。

嬢「ねえ」(棒)

俺「はい」

嬢「ホック外して」(棒)

後ろ向きになった嬢のブラのホックを外す。

(はあ・・・)

たるんだ肉体の後ろ姿を見てさらに憂鬱になった。
2人とも全裸になり浴室に入った。
俺は椅子に座った。
そのとき口コミサイトの書き込みを思い出した。

(『ルックスは微妙』って、全然微妙ってレベルじゃねーじゃん・・・)

嬢がボディソープを泡立て、俺の身体を洗い始める。
ここで嬢は自分の身体、特におっぱいを俺の身体に押し当てながら洗いだした。
恥ずかしながら、これも初めての体験である。
ソープとか行くと、よくあるのか?
そしてこれが意外にも気持ちいい。
つうか、かなり気持ちいい。

嬢「ねえ、ここ(おっぱい)洗って」(棒)

俺「・・・」

相変わらずの棒読みだが、俺は興奮して無心でおっぱいを揉み揉み。
この時点で俺はまだ勃起はしていなかった。
引き続き一心におっぱいを揉み洗いしていると、嬢の手が俺の股間に伸びてきた。
そして泡だらけになった手で俺のチンコを洗い始める。

(これは!!)

手つきがものすごーーく気持ちいい。
俺はものの数秒でガッチガチに勃起した。
驚愕した。
俺は普段、事前のシャワーでチンコを洗ってもらったところで全く勃起などしないのだ。
これまで勃起したのは一度だけだ。
そのときの嬢は背が高く、すらりとした貧乳モデル体型の30歳くらいの希崎ジェシカ似の美人お姉さんだったのだが、俺のしょぼんとしたチンコは嬢に洗われるなり、そのフィンガーテクによって数秒ではち切れんばかりに強制勃起させられたのである。
その嬢のテクは凄まじく、手コキやらフェラやら素股やらで弄ばれ、さんざん寸止めされた挙句、最後は嬢の口内に思いっきりぶちまけた。
あれは今でも良き思い出だ。

話が脱線したが、そのとき以来、『フィンガーテクニックが素晴らしい嬢は全てのテクニックが素晴らしいはず』という定理が出来上がっていた。
そしてそれは大抵当たっていた。
嬢に優しく洗われているチンコは猛り狂っている。
嬢は獣をその手であやすように洗い、俺の息が荒くなる。
恥ずかしながら、このまま果ててしまいそうな心持ちだ。

嬢「すっごく硬くなってる、ふう」

(棒読みじゃねえ!本気を出してきたか!)

しかし至近で見るとやっぱりブスである。
俺は一気に冷静さを取り戻した。

シャワーを終え、歯を磨き、ベッドに入った。
俺は閃いた!

(そうだ!照明を落とせばエエんや!)

なんてことはない。
真っ暗だとさすがに困るので、かなり暗めに調節した。
イケるやん!
とりあえず嬢に攻めてもらうことにした。

また蛇足になるが、俺は本番とかには興味がない。
交渉が面倒だし、フェラしてもらう方が好きってのもあるし。
そしてゴムEDなのが厄介なのだ。
いきなりのディープキスが難所だったが、ひたすら目を閉じて北川景子ちゃんの妄想をすることで、それは素晴らしいものになった。

(キスうめえ!景子ちゃん、キスうめえ!!)

ベッドに寝た体勢のまま首筋を攻められ、乳首を攻められた。
唾液たっぷりの舌攻めは素晴らしかった。
俺のチンコはギンギンをキープしっぱなしだ。
乳首を執拗に攻められるたびに俺のチンコがビクビクと反応し、嬢のお腹あたりにぺちぺちと当たる。
嬢はこういうのを結構喜んでくれたりする。
気持ちよくなってくれているのはやっぱり嬉しいものなのだろう。

そして嬢の大きな顔が俺の股間に移動する。
俺の視線は鉛直上の虚空を彷徨っているので何の問題もない。
そして焦らし気味に周囲を攻めながらフェラが始まる。
やはり俺の定理は間違っていなかった。
素晴らしく気持ちいい。
このときはもう景子ちゃんの妄想など必要なかった。
ただ快楽があるのみである。

裏筋をじっくり何往復も舐められ、玉をくすぐるようにチロチロと舐められ、はち切れそうに脈打つチンコをゆっくり頬張る。
口の中はとろとろだ。
オナホでいうと超マッタリ系。
果てるまでたっぷりと時間をかけて、無理にガシガシと攻めてこない。
そんな感じの俺好みのフェラ。
最高だよ、景子ちゃん!!

そんな快楽にしばらく身を任せていると、嬢がフェラのペースを落としてくる。
これは、『今度は私を攻める番』という無言のサインだろう。
事実、ベッドに横たわり、手コキモードになっていた。
俺が嬢を攻めるときはワンパターンである。
首筋、耳を舐めておっぱい弄って舐めて、クンニしてイカせて終わり、だ。
今回もそんな感じで最後はクンニでイッてもらって完了するつもりだ。
おまんまんは無臭だったのが救いだった。
陰毛はカット&剃り整えられていたので、舐めやすくて良かったのだが、最中に口の周りがジョリジョリチクチクとして気になるのが難点でもある。

ペロペロしている最中、嬢は棒読みで喘いでいた。
俺は大いに困惑した。
もしかしたら棒読みじゃないのかも知れない。
ただ彼女は彼女なりに一生懸命尽くしてくれているだけなのかも知れない。
何しろ初めから俺が無愛想なのに、向こうはひとつも不機嫌な様子がない。

俺はようやく気づいた。
間違いなく、この嬢は優しく、いい子である。
すごくブスではあるが。

そう思うと情が湧く。
クンニにも一層気持ちがこもった。
クリの皮を剥き、舌先でくすぐると棒読みの喘ぎも次第に大きくなる。
そしてフィニッシュ。
「イク」とは言わなかったが、喘ぎ声が一瞬止まり、身体をビックンビックンと痙攣させたのが合図だった。
それでも演技か心配だったので、その後も執拗にクリを舐め続けると、小刻みに声をあげながらビクンビクンと仰け反って嫌がったので、本当にイッたのだろう。

俺はクンニが好きだ。
それは女の子がイッた後、しばらく恍惚の表情でビクビクしているのを見るのが好きだからだ。
気持ちよくなってくれると純粋に嬉しい。
このときも同じ気持ちだった。
美人だろうがドブスだろうが関係ない。
俺は嬉しかった。

嬢は痙攣しながらしばしの余韻に浸ると、すぐさま攻めに転じてきた。
今度は俺をイカせにかかっている。
前述の通り、ガシガシ系フェラは本来好きではないが、彼女の口がマッタリ系でバキュームもしてこないので、これがまた気持ちいい。
持続力がそれほどない俺は、だんだんチンコがむずむずしてきた。
やばい、ドブスの口内に思いっきりぶちまけそうだ。
なんか知らんが興奮した。
すごく。

「い、イキそうですう」

俺は情けない声をあげ、嬢は一層ペースを上げた。
そしてついに自分より随分年下の、ドブスの嬢のテクニックに悶絶した挙句、口内に俺の溜まった精液を放出させられたのであった。
嬢は顔をしかめながら、しっかりと口で受け止めるとゆっくりと俺の股間から顔を上げ、そのまま洗面所にうがいをしに行った。
俺は放心状態で虚空を見つめていた。

戻ってきた嬢は、俺の隣に寄り添うように横になり、ぴったりとくっついてきた。
正直言って俺は賢者タイムがかなり重いと思う。
俺はこの糞ドブスをぶん殴りたい衝動を抑えることに必死で、その後の数分、何か会話をしていた気がするが覚えていない。

時間は、まだ30分くらいはあるようだ。
俺は2回戦が出来ないタチなので、いつもは嬢と楽しく会話しながらフィナーレを迎えるのが常であるが、このブスとはとてもそんな会話ができそうにない。
何にしろ見た目がひどい。
そして相変わらずの棒読み口調。
賢者タイムと相まって俺の不快指数は急激に上昇した。
嬢も様子を察したのか、口数がめっきり減ってしまった。

そして少しすると唐突に、「マッサージ、しましょうか?」と言ってきた。
どうやら簡単なマッサージならできるらしい。
これはと思い、お願いすることにした。
同時に、彼女に対してものすごくすまない気持ちになった。
本当に優しくて、気遣いができる子だ。
しかし顔を見るとすぐにその気持ちも薄れた。

結論から言うと、マッサージはひどいものだった。
肩を強く圧迫されて痛くてたまらなかった。

「痛くないですか?」と聞かれ、実際痛かったのだが、これくらいしないと凝りは解れないのだろう、きっとそうに違いないと思って「大丈夫です」と言っていたら、その後数日、肩の痛みのせいで日常生活に苦痛を伴った。

そんなこんなで時間がやってきた。
再びシャワーを浴びる。
相変わらずのフィンガーテクでまた勃起させられた。
なんだか癪に障った。

照明を元に戻し、着替えを済ませた。
なんと驚いたことに名刺をもらった。
デリヘルの名刺なんて普通あるのか?
俺には初めてのことだったのでいささか驚いた。
名刺を受け取り、部屋の清算を済ませ、そして2人でホテルを出た。

嬢に、「今日はありがとう」とお礼を言って別れた。
彼女はひどくブスだった。
しかし俺に対して嫌な表情のひとつも見せず、常に俺に気持ちよく過ごしてもらおうという意識と行動があった。

(当たりなのか、外れなのか?)

一緒にいた90分、俺の気持ちはずっと対極を行ったり来たりしていた。

途中でコンビニに寄った。
喉が渇いていたので水を買い、コンビニを出て、携帯の発信履歴から店の番号を消し、ネットの閲覧履歴も消し、さっき嬢からもらった名刺を破り、ゴミ箱に捨てた。
家に帰ったのは11時頃だったが、彼女が晩御飯のそうめんを作って待っていた・・・のだが、待ちくたびれたのだろう。
すでにすやすやと寝息を立てている。
俺は風呂に入り、そうめんを完食し、さっさと彼女の寝ているベッドに入った。
朝は俺より早く起きて朝飯を作り、仕事に行き、帰ってから家事をし、俺がどんなに遅く帰って来ようとご飯を作っておいてくれる、できた女性だ。
俺はクズだ。

デリヘルはそれ以来利用していない。