香織のスカートの中は別世界のように感じられた。
スカートの外はどこかとても遠いところのように。

「これって、大きいのかな、小さいのかな?」
「アタシのお父さんのはもっと大きかったよ」

「引っ張ったら皮剥けたー」
「ギャハハハハ」

「こんなの入らなーい」
「ちょっとー、すごい固いよ」

「ビクビクいってるー」

むぎゅ。

鼻先、口元に柔らかいものが押しつけられる。

むぎゅぎゅ。

下着越しに押しつけられる。
押しつけられては、にゅるっにゅるっと前後に動かされる。

「あん」
「香織、ずるいー。タカシに押しつけてるでしょー」

(ヤバイ、出ちゃいそう。イクっ!)

・・・いつまでもキリがないくらい射精し続けた気がした。
急に目の前が明るくなり、顔にかかっていた重さがなくなり、手足を押さえつけられていた力も抜かれた。
香織、夏美、由美子、あと他の女子達。
さっきまでの下品な笑いがなくなり、顔を赤らめている。

「タカシ。ゴメン」と香織。

「あ、いけない、もうじきお母さん帰って来ちゃう」と夏美。

翌日からまた普通の日常が始まった。
香織は相変わらずエッチなことを聞いてくるし、俺も変わらず嫌な顔をしながらも答えるという感じ。
それから秋はどんどん深まり、冬の終わりまでの間に何度か夏美の家に行ってエッチな自習は行われた。

そしてある日、香織と由美子とセックスをした。
そのときは他の取り巻きがおらず、香織、夏美、由美子、そして俺の4人だけ。
夏美の部屋でエッチな話をして、触りあっているうちに艶めかしい気分になっていた。
夏美が、「アタシ用があるからちょっと出てくるね」と言って部屋を出ていくと、玄関の閉まる音が合図のように香織が唇を重ねてきて、舌を絡めてきた。
そして香織と由美子にリードされるようにして童貞を失った。
最初が複数だったことはちょっと特殊かもしれないけど、ここまでの経緯からすると当然の流れだった。

2年になってクラス替えが行われた。
香織とは違うクラスになってしまい、今まで別のクラスだった由美子と同じクラスになった。

「香織と離れちゃったね」
「うん」

「夏美は何組になったの?」
「タカシ、聞いてないの?」

「何が?」
「春休みの間に引っ越したのよ」

「隣の市だからそんな遠いところではないみたいだけど、通えないから転校したの」
「え?聞いてないぞ」

「やだー、知ってるとばっかり思っていた。夏美はお父さんの仕事の都合で引越が多いのよ。その前は小学校の6年の時にどこだったか離れた県から引っ越してきたのよ」

それから2ヶ月くらいして、今度は俺が引っ越すことになった。
そう遠いところではないものの、通うには1時間半はかかってしまうので、学区外通学も認められず転校を余儀なくされた。
そして、この中学も今日で最後という日。
香織から声を掛けられた。

「タカシ」
「香織・・・」

「っくしょー」
「なにがちくしょーなんだよ」

「タカシ。色々ごめんな。また色々ありがとうな。・・・きだった・・・」
「聞こえねーよ」

「二度も言えるかよ。バーカ」
「そうだ。香織にこれあげるよ」

カバンからクロッキー帳を取り出し、後ろの方から何枚かページを捲る。
絵が描かれた目当ての一枚の後ろに鉛筆で走り書きをする。

『“好き”と言ってくれてありがとう。もしも、もう少し大人だったら、俺も“好き”と言えたかもしれない。俺は香織と違ってまだガキだから、まだ好きってピンと来ない。ごめんな』

そう書いて、香織の横顔が描いてある一枚を手渡した。
1年の3学期の席替えのあと、香織と席が少し離れたときに、その横顔をスケッチしていた。

「なんだよ。最後に汚ねーじゃねーか。タカシの馬鹿馬鹿。早くくたばれっちまえ。早く行けよ。じゃーなー」

それから3年。
海岸沿いをオートバイで走る。
夏の白い陽射しを浴びてオートバイを走らせる。

「あちー。コンビニ寄ってなんか飲み物でも買うかな」

コンビニでアイスと飲み物を物色して、レジへ商品を持っていく。

「260円になります。・・・あっ」

「あっ」

「夏美・・・」

偶然の再会だった。

「何時にアルバイト終わるの?じゃあ、その頃にまた来るから」

夜を待って、またそのコンビニに行く。

「久しぶりだな。元気だったか?夏美が引っ越して、そのあと俺も引っ越したんだ。でも・・・まさか、こんな近くにいるなんて思わなかったよ」

夜の海岸へ下りて砂浜へ座り、波の音を聞きながら3年間のことを話す。
離れてしまった3年間のことを話し終わると、並んで座っていた距離が一気に縮まった気がした。
それは気だけではなく、お互いの手が触れ、そして俺は夏美の肩に腕を回した。
もう3年前の受け身の俺ではなかった。
自分から夏美を引き寄せた。

「夏美・・・。あのとき・・・。夏美が自分の部屋から出て行ったとき・・・。なんであのとき部屋から出て行ったの?」

夏美から考えてもなかった答えが返ってきた。

「香織にタカシをとられるのを見たくなかったの。実はあのとき、もう引っ越しが決まっていたの。それで叶わぬ恋だって分かっていたから」

夏美がそんなことを思っていたなんて気付きもしなかった。

「夏美・・・」

月明かりの下で夏美と初めてキスをした。
そういえば・・・夏美とキスしたことなかったな。
キスしたのは・・・。
気付いてあげられなくてごめんな。
あの頃はまだガキ過ぎちゃって・・・。

そんなことを考えながら、愛しむキスを繰り返した。