当たり前といえばそうだが、翌日の視察はこれまでになく重い気分だった。
いつもは俺の隣に陣取る小川さんは、移動中も視察先でも俺から一番離れた場所。
俺も彼女に目を向けられなかったが、視線が偶然合うと気まずくて互いに目を逸らす。
もちろん言葉を交わすことはない。
日程終了後に街へ繰り出す時は、女性陣でなくオジサンたちと行動を共にした。
もっとも、クラブ(踊る店じゃなく飲む店)に名を借りた売春宿で女の子を品定めするオジサンについていけず、早々と独りホテルに戻ったんだが。
PCMAX

深夜、部屋のドアをノックする音がした。
ドキドキしながら開けたら、立っていたのは女性記者の吉田さんだった。

「昨日はアタシをのけ者にして飲んだんだって?ズルイぞ~」

笑いながら部屋に入る彼女の手には地酒の瓶がしっかり握られていた。
ちなみにこれまでの人生で、吉田さんほど豪快な飲みっぷりの女性は見たことない。
かなり度数の高い地酒をロックでグイグイ空けながら、なぜか身の上話に花が咲いた。

吉田さんは41歳のバツイチ。
もともと全国紙の経済部記者だったそうだ。
10年ほど前にカメラマンの男性と結婚したが、不規則な生活ですれ違いが重なり破局。
給料は安いが勤務が比較的楽な業界紙に移り、今はエンジニアの彼氏と同棲中だとか。

「再婚しないんですか?」

「えー?子供でもできれば考えるけど、年が年だからねぇ」

酔いもあって頬を赤らめる吉田さんは何だか今までのイメージと違ってた。

「でさ、高橋君・・・小川さんと喧嘩したの?」

唐突に切り出されて思わず地酒を吹いた。
もう時計は真夜中に近い。

「そんな、喧嘩なんて・・・」

「そお?あんな仲良かったのに、なんか今日はよそよそしかったじゃん」

俺は明らかに慌てた様子だったんだろう。
吉田さんがクスッと笑う。

「いい感じだったし、お似合いなのにね~。早くも破局かw」

「別にそんなんじゃ・・・」

「ふふふ、残り物には福がある・・・かしらね」

そう言いながら吉田さんは手を伸ばすと、ズボン越しに俺の股間をグッと握った。
一瞬、何が起きたのか理解できなかった俺は体が硬直してなすがまま。

「ふ~ん、可愛い顔してなかなか立派じゃない」

「ちょ・・・ちょっと吉田さん、何を・・・」

抵抗する間もなく・・・というより抵抗する気が起きなかったのかもしれない。
吉田さんは俺のベルトを外し、ジッパーを下ろすと下着に手を突っ込む。
ぐにゃりとしてた肉棒は、細い指に包まれると急激に硬さを増してきた。

「うわ、美味しそう・・・」

吉田さんは強引に俺のズボンと下着をずり下げ、飛び出したペニスに舌を這わせる。
プチパニック状態の中、俺は脱がされながら、なぜか腰を浮かして協力していた。
吉田さんのフェラは乱暴だが、力強いというかエネルギッシュだった。
玉袋を揉みながらカリに舌を舐めあげ、ペニスが抜けそうな勢いで亀頭を吸う。
彼女に欲情していたわけでもないのに、気が付けばフル勃起してた。

「うちの彼のも大きいけど、高橋君のコレって長いよね」

嬉しそうにペニスをしゃぶりながら吉田さんはパンツスーツとパンティーを脱ぐ。
あまり手入れしてなさそうなモサッとした陰毛が顔を出した。
脱いだパンツスーツのポケットからスキンの袋を取り出し、手際よく装着。

「別に、いつも持ち歩いてるわけじゃないのよ」

笑いながら被せられた薄いゴムは、ちょっとキツいような気がする。
吉田さんは俺を仰向けに寝かせると、腰の上に跨がって勃起に手を添えた。

「ふふ、可愛い♪」

ニヤリと笑った顔は妖艶だが、少し怖い・・・。
なんて考える間もなく、彼女が腰を下ろした。
ズブブッという感じで肉棒が一気に飲み込まれる。
フェラで興奮してたのか、愛撫したわけでもないのに吉田さんの性器は十分に潤ってた。

「ああん・・・奥まで・・・奥まで届くわ・・・」

吉田さんが譫言のように繰り返し、俺の上で腰を上下させる。
膣は小川さんより緩い。
というか小川さんが特殊で、吉田さんは普通の感触だったな。
ただ、何だか無理やり犯されてる感じがしてやたらと興奮する。
俺ってMだったのか?

吉田さんは騎乗位で喘ぎながらブラウスを脱ぎ、ブラジャーも外して全裸になった。
中肉だが運動選手風というか、肩幅が広くてがっちりした体格。
胸は小ぶりだ。
彼女が男っぽい印象なのは、立ち居振る舞いだけじゃなく体型のせいもあるんだろう。

「ああぁ・・・いい・・・すてき・・・ああああぁぁ~~!」

俺に跨がりながら体を仰け反せてオーガズムに達した吉田さん。
こっちはまだまだこれから。
俺は体を起こし、座位の姿勢になって下から突き上げた。

「やん・・・ああ・・・すてき!もっと!もっとちょうだい!」

ビンビンに勃起した乳首を吸い立てながら、さらに激しく腰を突き立てる。
吉田さんは快感で顔を歪め、俺にしがみつきながら2度目の絶頂を迎えた。
奥まで挿入したまま彼女を仰向けに横たえ、今度は正常位に移行。
大きく広げた両脚を抱えるようにしながらダイナミックに腰を振る。

「やだ!すごい・・・すごい・・・ダメダメダメダメ・・・」

吉田さんは半狂乱で俺の頭を抱きかかえ、顔全体にキスの雨を降らせる。
俺は渾身の力を込めて彼女の体を抱き締め、奥深く挿し込んだまま射精した。
死んだようにベッドに横たわる吉田さん。
萎え始めたペニスを引き抜くと、コンドームの先端の袋が精子でパンパンに膨れ上がっていた。

翌日から視察の雰囲気がまた少し変わった。
いつも小川さんがいた俺の隣には、吉田さんが妻のようにぴったり寄り添う。
あまり近づかれても息が詰まるし、他の団員の目もあるから距離を取ろうとするが、彼女はお構いなし。
移動中はさりげなく俺の手を握ってきたりもした。
気まずい思いで周りを見回すと、小川さんが悲しそうな目でこっちを見てる。
何だか浮気してる気分。
どっちかと言うと浮気したのは俺じゃなくて旦那がいる小川さんであり、同棲中の彼氏がいる吉田さんの方なのに・・・。

もっとも、小川さんが俺に話し掛けて来ることはない。
こりゃ完全に嫌われたか。
帰国して強姦罪で訴えられることはないだろうな。
そんなことを考えながら、なぜか胸が締め付けられるような気分に襲われた。

夜の自由時間は相変わらずオジサン軍団と行動を共にした。
女部長の田中さんに「一緒に来てくれないの?」と訝しがられたが、「あまり女性とばかり一緒だと何だかんだ言われますから」と誤魔化した。

吉田さんも毎日のように部屋へ来た。
そして体育会系の豪快なセックス。
激しく喘ぐ彼女を貫きながら、(なんで俺、こんなことやってんだ?)と考えたりした。

本来の目的以外での悩みの多かった視察旅行も終盤に入り、とうとう帰国前日。
日程最終日ということで、向こうの政府高官(閣僚級)との懇談会が催された。
会場に向かうバスで、いつものように隣に座った吉田さんが小声で話し掛けてくる。

「ねえ、小川さんと話してないの?」

「え?ええまあ・・・そうですね」

「彼女に聞かれたわよ。『吉田さん、高橋君と仲良くなったんですか?』って」

なぜかズキッとした。
半ば無理やり犯した罪悪感とも少し違う切ない感情。

(こないだ知り合ったばかりの人妻相手に、俺は何を思い悩んでるんだ?)

柄にもなく深刻な顔つきを見た吉田さんが続ける。

「アタシ、今日はそっちの部屋に行かないからさ。ちゃんと話してみたら?」

驚いて吉田さんの顔を見た。
彼女はクスッと笑い、俺にウインクしてみせた。

<続く>